福島県田村市で開催される「あぶくま洞ヒルクライム」は、国内では珍しい2ステージ制のヒルクライムレースとして注目を集めています。8,000万年の歳月をかけて形成された壮大な鍾乳洞を舞台に、短距離ながらも厳しい勾配が特徴的なコースが設定されており、初心者から上級者まで幅広いサイクリストが挑戦できる魅力的な大会です。福島復興サイクルロードレースシリーズの一環として開催され、地域活性化にも貢献している本レースは、競技性の高さと地元のおもてなしが絶妙に融合した特別なイベントとなっています。参加者には地元特産品の提供や観光スポットでの特典もあり、レースだけでなく福島県の自然や文化を満喫できる総合的な体験が待っています。

あぶくま洞ヒルクライムコースの特徴は?2ステージ制の詳細を解説
あぶくま洞ヒルクライムコースの最大の特徴は、国内では珍しい2ステージ制のヒルクライムレースを採用していることです。この形式では、異なる二つの峠道を一日に2度走行し、それぞれのステージの合計タイムによって最終順位が決定されます。
第1ステージは入水鍾乳洞側のコースで、第2ステージはあぶくま洞側のコースを走行します。各ステージ間には強制的な休憩時間が設けられているため、急な登坂が苦手な方や体力に不安がある初心者でも、体力を回復させながら挑戦することができます。この休憩時間は単なる休息ではなく、1stステージのゴール後にはさっぱりとしたかき氷の提供があり、参加者の疲労回復をサポートしています。
大会のメイン会場は星の村天文台に設置され、高さ140mの白い岩壁がそびえ立つダイナミックなロケーションが印象的です。このような自然豊かな環境で開催されるレースは、競技性だけでなく景観の美しさも楽しめる贅沢な体験となっています。
コース全体は「あぶくま洞都路線」という公道を利用しており、レース当日は交通規制が行われます。公道レースならではの臨場感と、地域住民の協力によって成り立つこの大会は、参加者にとって特別な思い出となる要素が満載です。また、2ステージ制により、1つのステージで思うような結果が出なくても、2つ目のステージで挽回のチャンスがあるという競技的な魅力も備えています。
あぶくま洞ヒルクライムコースの距離と勾配は?各ステージの攻略ポイント
あぶくま洞ヒルクライムコースは、短距離ながらも厳しい勾配が特徴的な挑戦的なレイアウトとなっています。各ステージの詳細な数値と攻略ポイントをご紹介します。
第1ステージ(入水鍾乳洞側)は、距離5.4km、平均勾配7.4%の設定です。しかし、参加者の体感では最初の平坦区間を過ぎると、平均勾配が8%以上に感じられるほど急な登りが続きます。このステージの最大の特徴は、平坦な区間がほとんどなく、脚を休める場所が少ないことです。そのため、スタート直後からペース配分を慎重に行い、無理な飛び出しは避けることが重要です。
第2ステージ(あぶくま洞側)は、距離5.1km、平均勾配6.1%となっています。数値上は第1ステージよりも緩やかに見えますが、実際にはスタート直後の数百メートルの比較的緩やかな区間を過ぎると、10%近い傾斜が連続し、終始登り続ける感覚で走ることになります。
両ステージに共通する攻略ポイントとして、休める箇所が少ないため、持続可能なペースを見つけることが最重要です。特に初心者の方は、序盤でペースを上げすぎると後半で大幅にタイムロスする可能性があります。また、路面は全体的にきれいで走りやすいと評価されているため、路面状況を心配する必要はありません。
天候による影響も考慮すべき要素です。過去には雨によって深部体温が冷やされ、思いのほか走りやすくなったという参加者の声もあります。しかし、雨天時はスリップのリスクも高まるため、ブレーキングポイントの調整やコーナリング時の注意が必要です。
事前のコース試走が強く推奨されており、コースのリズムを掴むことで体力温存や怪我のリスク軽減につながります。試走時には交通規則を厳守し、実際のレースでのペース感覚を身につけることが攻略の鍵となります。
あぶくま洞ヒルクライムコース参加方法は?2025年大会の申込み情報
2025年の第8回あぶくま洞ヒルクライムは、7月26日(土)に開催され、現在申込み受付中です。参加を検討されている方向けに、最新の申込み情報を詳しくご紹介します。
申込期間は2025年6月14日(土)から2025年7月21日(月)までとなっており、期間に余裕をもって申込みを完了することをおすすめします。申込みに関する問い合わせは、あぶくま洞ヒルクライム実行委員会(電話:050-7116-0133、メール:info@raceresult.jp)まで連絡可能です。
参加費については、一般参加者(男子アスリート、年代別、体重別、女子、コスプレなど)は4,999円に設定されています。特筆すべきは、小学生から高校生までの学生は参加費無料という点です。これは、子どもたちに公道レースを経験し成長してもらいたいという主催者の願いが込められた素晴らしい取り組みです。
参加資格として、小学4年生以上の健康な男女で、競技時間内にコースを完走できる自信がある方が対象となります。未成年者は成人の保護監督者の同伴が必要です。また、過去1年以内に命に関わる重大な手術経験がないこと(怪我などの外科手術は除く)が条件とされています。
カテゴリーは非常に多様で、自分に合った部門での参加が可能です。男子アスリートクラス(PWR4.8以上)、年代別クラス(中学生~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60歳以上)、体重別クラス(75~84kg、85~94kg、95kg以上)、女性クラス(39歳以下、40歳以上)、そして人気のコスプレ部門まで用意されています。
体重別クラスは、ヒルクライムの常識である「軽ければ速い」という考えを覆し、重量級でもパワフルに走れる力自慢の選手に門戸を開いた画期的な取り組みです。コスプレ部門については、公式サイトで衣装規定が別途提示されるため、参加前に必ず確認してください。
スタート時間は多くのカテゴリーが15:00予定となっており、暑熱対策を考慮した夕方スタートが採用されています。
あぶくま洞ヒルクライムコース参加時の注意点は?安全対策と準備について
あぶくま洞ヒルクライムコースへの参加にあたっては、公道を利用したレースという特性上、厳格な安全対策と事前準備が求められます。安全で楽しいレース参加のために、重要な注意点をまとめました。
健康状態の管理は最優先事項です。過去1年以内に命に関わる重大な手術経験がないこと(外科を除く)が参加条件とされており、体調を十分に整えて競技に臨む必要があります。寝不足などの体調不良は事故やトラブルに繋がりやすいため、レース前日は十分な休息を取ることが重要です。
同伴参加の強い推奨も特徴的な安全対策の一つです。万が一の事故や怪我にスムーズに対応できるよう、参加選手同士やご家族など2名以上での来場が強く推奨されています。単独参加の場合は、事前に家族にレース参加の旨とスケジュールを共有し、帰宅時のサポート体制を用意しておくことが必要です。
保険に関する注意として、主催者側で参加者を対象とした傷害保険に加入していますが、全額補償される内容ではありません。不十分と感じる場合は、各自で追加の保険に加入することが推奨されています。競技中の事故や怪我は基本的に参加者自身の責任となるため、リスク管理は慎重に行いましょう。
自転車の整備については、検車は行われないため、自己責任での徹底した点検が必要です。ハンドル、サドル、タイヤの空気圧とキズ、ホイールの振れ、クランク・ペダルの緩み、ギアチェンジ、ブレーキの効き具合などを事前にチェックしてください。自転車安全整備店での出走前点検も強く推奨されています。
認定されたヘルメットの着用が義務となっており、未着用の場合は参加資格を失います。また、計測チップはフロントフォークに、ゼッケンはポケットの位置の高さに横に2枚装着する必要があり、正しい位置に装着しないとリザルトから除外される場合があります。
レース中の心構えとして、特に初心者や50歳以上の方は、常に自身の体調を把握し、無理をしないことが求められています。危険を感じたら早めに危険回避に努め、入賞に関係ない集団でのゴールスプリントは「一番やってはいけない行為」とされています。
あぶくま洞ヒルクライムコース周辺の観光スポットは?レース後の楽しみ方
あぶくま洞ヒルクライムコース周辺は、豊かな自然と魅力的な観光スポットに恵まれており、レース参加と合わせて福島県の魅力を満喫できる絶好のロケーションです。レース後の疲労回復と観光を兼ねた楽しみ方をご紹介します。
あぶくま洞は、約8,000万年という歳月をかけて創られた大自然の造形美が魅力の鍾乳洞で、全長600mの洞内には、種類と数の多さで東洋一ともいわれる鍾乳石が続いています。見どころは高さ29mを誇る洞内最大のホール「滝根御殿」で、クリスタルカーテンや洞穴サンゴなど貴重な鍾乳石を間近で鑑賞できます。また、「月の世界」では日本の鍾乳洞で初めて導入された舞台演出用調光システムによる幻想的な空間が楽しめます。
探検コースでは、追加料金300円で本格的な冒険体験ができます。丸太のはしごや飛び石を渡ったり、狭いところをかがんで進んだり、膝まで浸かる水たまりを進むなど、レースとは全く違ったスリルを味わえます。洞内は年間を通して約15℃と一定しており、夏のレース後には特に涼しく感じられるでしょう。
入水鍾乳洞は国の天然記念物に指定されており、本格的なケイビングの醍醐味が味わえます。全長900mの狭い洞内はA、B、Cの3コースに分かれており、Bコースから奥はほとんど手が加えられていないため、10度の冷たい水に膝まで浸かり、懐中電灯やろうそくの灯りを頼りに進む本格的な探検が楽しめます。
グルメスポットも充実しています。昭和49年創業の老舗「かなや食堂」では、精肉店直営ならではの新鮮な肉を使った豊富な定食メニューが味わえます。「JA福島さくら農産物ふぁせるたむら」では地元の新鮮な野菜や加工品を購入でき、手作りピザやジェラートのイートインスペースもあります。
おのまち小町アイスバーガーは小野町のご当地グルメで、サクサクのバンズとカリカリのナッツ食感が特徴です。レース後のクールダウンに最適で、シェフリー松月堂、レストラン志木、丸忠ストアーなどで楽しめます。
ファミリーでの参加なら「ムシムシランド」もおすすめです。日本唯一の虫の楽園で、カブトムシドームでは常時1,000匹以上のカブトムシと触れ合え、世界中のカブトムシやクワガタの標本も展示されています。
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