東京都心から気軽にアクセスできる江戸川サイクリングコースは、初心者から上級者まで幅広いサイクリストに愛される人気のロングライドコースです。通称「江戸サイ」と呼ばれるこのコースは、約60~64kmにも及ぶ平坦で走りやすい自転車道で、都会の喧騒を離れて川辺の自然や下町の風景を満喫できます。江戸川沿いには豊富な観光スポットが点在し、季節ごとに異なる表情を見せてくれるため、何度訪れても新たな発見があります。信号がほとんどなく、車道と分離された安全な環境で走行できるのも大きな魅力です。サイクリング初心者の方でも短い区間から挑戦でき、経験豊富なライダーにとっては持久力強化の絶好のトレーニングコースとなっています。

江戸川サイクリングコースの基本情報は?距離や難易度、アクセス方法を知りたい
江戸川サイクリングコースは、北端の千葉県野田市関宿城付近から南端の東京湾河口部(葛西臨海公園付近)まで約60~64kmの自転車道です。利根川との合流点である関宿から東京湾まで、江戸川の両岸に整備された専用コースを走ることができます。
難易度としては初級~中級レベルで、高低差がほとんどない平坦なコースのため体力面でのハードルは低く設定されています。初心者の方でも10~20kmの短い区間から始められ、上級者なら往復120km超のロングライドも可能です。信号や車道交差がほとんどないため、ノンストップで爽快に走行できる環境が整っています。
アクセス面では、コース沿いに多数の鉄道駅があるため非常に便利です。南端へは京葉線葛西臨海公園駅、中間地点の柴又エリアへは京成金町線柴又駅や北総線新柴又駅、千葉県側からは常磐線松戸駅などが最寄り駅となります。輪行(自転車を専用袋に入れて電車で運ぶ)を利用すれば、片道だけ走って電車で帰ることも可能です。
コースは左岸(千葉県側)と右岸(東京・埼玉側)の両方に整備されていますが、右岸は全区間ほぼ舗装済みで連続性があり、左岸は道幅が広く見晴らしが良いという特徴があります。ただし左岸の一部区間(約5km)は未舗装のため、初心者の方は右岸ルートを選択することをおすすめします。
江戸川区・葛飾区内は「健康の道サイクリングロード」として特に整備が充実しており、距離表示板が250mごとに設置されているため、現在地の把握も容易です。レンタサイクルも葛西臨海公園などで利用できるため、手ぶらで訪れても楽しめます。
江戸川サイクリングコース沿いの観光スポットや見どころは?立ち寄りたい場所を教えて
江戸川サイクリングコース最大の魅力は、自然・歴史・文化に触れられる多彩なスポットが沿道に点在していることです。南端から順にご紹介しましょう。
葛西臨海公園は南の拠点となる都立公園で、高さ117mの大観覧車「ダイヤと花の大観覧車」からは東京湾や富士山まで一望できます。園内の葛西臨海水族園では世界の海の生き物を鑑賞でき、サイクリングの締めくくりにぴったりです。
なぎさ公園には2023年に開館した「魔法の文学館」(江戸川区角野栄子児童文学館)があり、『魔女の宅急便』作者・角野栄子氏の世界観を体験できます。館内カフェテラスは旧江戸川の流れを眺めながらくつろげる穴場スポットです。
小岩菖蒲園では、毎年6月上旬に約100種類・5万株もの花菖蒲が色とりどりに咲き誇ります。満開の花々を愛でながら休憩できる東屋もあり、初夏のサイクリング途中には必見のスポットです。
柴又エリアはコース中盤のハイライトで、帝釈天題経寺の荘厳な本堂や葛飾柴又寅さん記念館など、下町情緒あふれる見どころが集中しています。門前の参道では草だんごや煎餅といった昭和レトロな味も楽しめます。
対岸の矢切の渡しは江戸時代から続く渡し舟で、自転車も同乗可能(要相談)です。ゆったり流れる江戸川を小舟で渡る体験は格別で、映画『男はつらいよ』の舞台としても有名です。
水元公園は東京都内最大級の水郷公園として知られ、蓮や菖蒲の池、バードサンクチュアリなど豊かな水辺の自然を満喫できます。春は桜並木、秋は紅葉と四季折々の風景も見どころです。
北端の関宿城博物館は江戸川サイクリングロード北端のランドマーク的存在で、天守風の外観が遠目にも目立ちます。利根川水運の要衝として栄えた歴史を学べ、天守展望室からは広大な利根川・江戸川流域を眺望できます。
江戸川サイクリングコースの安全性や道路状況は?初心者でも安心して走れる?
江戸川サイクリングコースは車道とは完全に分離された自転車・歩行者専用道のため、交通事故のリスクが非常に低く、初心者でも安心して走行できます。信号交差もほとんどなく、基本的にアスファルト舗装の走りやすい路面が続いています。
路面状況については、全線にわたり良好に整備されていますが、右岸の一部や左岸の市川橋~新葛飾橋間約5kmは未舗装区間があります。特にロードバイクで走行する際は、ひび割れや凸凹に注意し、安全な速度を保つことが重要です。
歩行者との共存が最も重要な安全ポイントです。週末や祝日、天気の良い日は散歩やジョギングを楽しむ人、親子連れなど歩行者も非常に多くなります。自転車は歩行者最優先の意識を常に持ち、混雑時にはベルをむやみに鳴らさず、「右から通ります」等と声掛けして追い越すのがマナーです。
風の影響も注意すべき点です。堤防上は遮るものがない分、横風の影響を強く受けます。特に春先や秋冬の強風日は、橋の上や開けた区間で突然の強風に煽られることがあるため、ハンドルはしっかり握り、必要に応じて風上に身体を傾けるなどバランスに注意してください。
夜間・早朝の利用については、街灯がほとんどないため夜間の走行は極めて危険です。原則として日の出から日没までの時間帯に利用し、冬季の早朝は路面凍結の恐れもあるため、日が昇って路面状況が安定してから走り始めることをおすすめします。
緊急時への備えとして、万一のパンクや機材トラブルに備えて携帯ポンプや簡単な工具・パンク修理キットを携行しておくと安心です。コース上には距離表示板が設置されているため、緊急時の現在地確認にも役立ちます。
江戸川サイクリングコースのトイレや休憩所はどこにある?補給ポイントも知りたい
江戸川サイクリングロード沿いには各所に公衆トイレや水飲み場が整備されており、長距離サイクリングでも安心です。河川敷の野球場やサッカー場などの運動施設に併設されているケースが多く、基本的に数kmおきにトイレがあると考えて大丈夫です。
主要なトイレ・休憩ポイントをコース順にご紹介します。まず葛西臨海公園には各種設備が完備されており、篠崎ポニーランドや小岩菖蒲園にも簡易トイレや休憩所があります。柴又公園(寅さん記念館前)は売店もあり、充実した休憩が可能です。
水元公園は東京都内最大級の公園だけあって、トイレ・自販機が完備されています。埼玉県境のみさと風ひろばには風車のモニュメントとベンチがあり、サイクリスト達の憩いの場となっています。野田市のNODIZEは自販機で飲み物や補給食を購入でき、北端の関宿城にはトイレ・自販機・資料館が整備されています。
補給環境については、コース上にコンビニや飲食店はそれほど多くないため、水分や軽食は事前に用意して持参することを強くおすすめします。特に夏場は最低でもボトル2本(1リットル以上)の水分、塩タブレット等を持って熱中症予防に努めてください。
自販機はスポーツ施設の管理棟付近や休憩施設にありますが、間隔が空くこともあります。補給食として手軽に摂れるエナジーバーや羊羹、バナナなども携行すると安心です。
食事スポットとしては、少しコースを外れれば街に出るため、最寄りのコンビニや飲食店も活用できます。特に昼食を取れる店は柴又帝釈天参道(飲食店多数)、松戸・流山橋周辺(ファミレス等)、野田市街(醤油の街として有名で飲食店多数)などが挙げられます。
江戸川沿いにはバイシクルコーヒーのようなサイクリスト歓迎のカフェも点在しており、ヘルメット着用で来店するとドリンク割引サービスを受けられる店もあります。なお、休憩所のゴミ箱が撤去されている場所も多いので、自分の出したゴミは必ず持ち帰りましょう。
江戸川サイクリングコースの季節ごとの楽しみ方は?いつ行くのがおすすめ?
江戸川サイクリングコースは一年を通じて様々な表情を見せてくれ、季節ごとに異なる魅力があります。それぞれのシーズンの見どころと注意点をご紹介しましょう。
春(3~5月)はサイクリングロードが最もにぎわう季節です。3月下旬~4月上旬には各所で桜が咲き誇り、特に柴又周辺では「柴又さくらまつり」も開催されます。4月中旬~下旬には三郷エリアで菜の花が一面に咲き、5月下旬~6月上旬は小岩菖蒲園の花菖蒲が見頃を迎えます。気候も安定して走りやすいですが、強風の日が多い点には注意が必要です。
夏(6~8月)は日中の気温・湿度が高く過酷ですが、江戸川沿いは水辺の涼風を感じながら走れるため、早朝や夕方を中心に楽しめます。おすすめは朝サイクリングで、日の出と共に走り出せば爽やかな空気の中で野鳥のさえずりをBGMに快適に走れます。8月上旬には江戸川区花火大会が開催され、夏のハイライトとなります。熱中症対策として適切な水分・塩分補給が重要です。
秋(9~11月)は残暑が落ち着き、ベストシーズンの一つです。秋晴れの日の江戸川沿いは空が高く爽快で、10月頃には河川敷の草地が黄金色に色付き、コスモスが揺れる光景も見られます。11月中旬以降は水元公園や里見公園で紅葉が見頃を迎えます。ロングライドにも最適な時期で、各地でサイクルイベントも開催されます。
冬(12~2月)は寒さは厳しいものの、空気が澄んで景色が最も遠くまで見渡せます。晴天率も高く、日中太陽が出ていれば意外と快適に走れます。江戸川土手からは条件が良ければ富士山が顔を出し、特に葛西臨海公園大観覧車から望む冠雪の富士山は絶景です。人出も少なくマイペースに走れますが、防寒対策は万全に行い、早朝の路面凍結には注意が必要です。
総合的におすすめの時期は、気候が安定し花も楽しめる4~5月と、涼しく走りやすい10~11月です。ただし、季節ごとの魅力を知ることで、何度訪れても新たな発見があるのが江戸川サイクリングコースの魅力です。
コメント