いしかわ里山里海サイクリングルート|ナショナルサイクルルート候補の全7コース解説

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いしかわ里山里海サイクリングルートとは、加賀地方の温泉地から能登半島の最北端まで、石川県の多様な里山と里海の景観を自転車で結ぶ総合的なサイクリングルートです。2026年3月、このルートは第3次ナショナルサイクルルートの候補として正式に選定されました。ナショナルサイクルルートとは、国土交通省が「日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルート」として認定する制度のことです。

日本海に突き出た能登半島と、白山麓の豊かな山々。石川県は対照的な二つの自然環境を併せ持つ稀有な地域です。荒波が削り出した奇岩の絶景、波が静かな内浦の透明な海、幾重にも積み重なる棚田、湯けむり漂う温泉街。これらの風景を自らの脚で走りながら体感できることが、このサイクリングルート最大の魅力です。

この記事では、いしかわ里山里海サイクリングルートの全体像と7つのコースの特徴、見逃せない観光スポット、走行を支えるサポート体制、そして第3次ナショナルサイクルルート候補に選ばれた経緯と今後の審査の見通しまでを、わかりやすく解説します。石川県で自転車旅を計画している方が出発前に知っておきたい情報を、まとめてお届けします。

目次

いしかわ里山里海サイクリングルートとは

いしかわ里山里海サイクリングルートとは、石川県が整備・推進するサイクリング観光の総合プロジェクトです。加賀地方の温泉地から能登半島の最北端まで、県内の多様な自然・文化・食を自転車で結ぶ構想のもとに整備されています。

このルートの特徴は、ひとつの道ではなく複数のコースの集合体である点にあります。全体はいくつかのエリアに分かれており、走る人の体力や目的に応じてコースを選べる柔軟さを備えています。各エリアは、環境省が認定する自然体験ルートの総称「ジャパンエコトラック」の認定エリアとしても登録されています。いしかわ里山里海サイクリングルートは、その第9号エリアに認定されています。

ルート整備の面でも工夫が重ねられています。石川県は県内の自転車活用推進の観点から、道路上に進行方向を示す矢羽根マーキングやサインを順次設置しています。2kmごとに目印を配置することで、初めて訪れる人でも迷わず走れる環境づくりが進められています。

「里山里海」という名称には、山の暮らしと海の暮らしが隣り合う石川県ならではの風景を、自転車でつないで体感してほしいという思いが込められています。棚田や農村が広がる里山と、漁港や砂浜が続く里海。その両方を一日のうちに行き来できることが、このルートならではの個性です。車や電車では通り過ぎてしまう小さな集落や路地の表情まで、自転車の速度だからこそ味わえます。

ナショナルサイクルルートとは何か

ナショナルサイクルルートとは、国土交通省が「日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルート」として認定する制度のことです。2018年6月に制定された自転車活用推進計画を根拠とし、2019年に制度が始まりました。

この制度の狙いは明確です。優れた観光資源を有機的に結びつけたサイクルツーリズムを推進し、新たな観光価値を生み出すことで地域創生につなげることにあります。背景には、自転車旅行者を呼び込むことで地域経済を活性化させようという意図があります。自転車で走る旅行者は、宿泊費・飲食費・地域産品の購入など、地域に広くお金を落とす傾向があることが注目されています。

サイクルツーリズムの経済効果を示す事例として、しまなみ海道沿線の広島県尾道市が挙げられます。尾道市のインバウンド旅行者は、2008年に年間約2万5,000人でした。それがサイクルツーリズムの振興を経た2010年には、約3万7,600人にまで増加しました。自転車を軸とした観光振興が、地域に旅行者を呼び込む力を持つことを裏づける数字です。

ナショナルサイクルルートの指定要件

ナショナルサイクルルートに認定されるには、いくつかの必須要件を満たす必要があります。主な指定要件は次のとおりです。

指定要件内容
ルートの延長おおむね100km以上(島しょ部を除く)
ルートの連続性景勝地や観光地を有機的に連携した連続ルート
走行空間矢羽根等の路面表示により自転車通行空間を整備
案内表示経路や案内看板を設置
ゲートウェイ施設鉄道駅等にレンタサイクルや着替え場所を備えた拠点を整備
サイクルステーションルート上におおむね20kmごとに整備

これらの要件は、単に距離が長いだけでなく、旅行者が安全かつ快適に走り、観光を楽しめる環境が整っているかを問うものです。ゲートウェイ施設とは、鉄道駅などに設けられた旅の起点となる拠点で、レンタサイクルや着替え場所を備えています。

第1次指定は2019年に行われ、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」(茨城県)、「ビワイチ」(滋賀県)、「しまなみ海道(瀬戸内しまなみ海道サイクリングロード)」(広島県・愛媛県)の3ルートが選ばれました。その後の第2次指定では「富山湾岸サイクリングコース」(富山県)や「能登半島サイクリングルート」など複数のルートが加わり、全国的な指定が進んでいます。そして現在、第3次指定の審査が進行中です。

いしかわ里山里海サイクリングルートが第3次ナショナルサイクルルート候補に選定

いしかわ里山里海サイクリングルートは、2026年3月23日に開催された令和7年度第1回ナショナルサイクルルート審査委員会において、第3次ナショナルサイクルルートの候補ルートのひとつとして正式に選定されました。

今回の候補には、全国から7つのルートが名を連ねています。

候補ルート名所在地
いしかわ里山里海サイクリングルート石川県
ふくしま浜通りサイクルルート福島県
フジイチ山梨県・静岡県
雪国魚沼Golden Cycle Route新潟県
鳥取うみなみロード鳥取県
あまいち熊本県
わかさいくる福井県

これら7ルートは、全国117本の「モデルルート」の中から選ばれたものです。評価の観点は、通行空間の安全性・走行環境、案内表示、案内看板の三つでした。数あるモデルルートの中から候補に残ったこと自体が、いしかわ里山里海サイクリングルートの整備水準の高さを示しています。

候補選定後の流れとして、2026年4月以降に現地視察が進められており、夏頃の指定が見込まれています。

ただし、審査には地域による時間差があります。能登半島地域を含む奥能登エリアのルートについては、令和6年(2024年)1月1日に発生した能登半島地震とその後の復旧状況を踏まえ、他のエリアより審査が遅れる見通しです。奥能登エリアの審査は2027年以降に行われる予定で、能登地域の復興と観光インフラの再整備の進捗に合わせて進められます。

ナショナルサイクルルートに指定されると、国による積極的な情報発信やPRが行われ、外国人旅行者を含む観光客の誘致につながると期待されています。石川県にとって、この選定は震災からの復興と観光振興を同時に後押しする重要な機会となっています。

いしかわ里山里海サイクリングルートの7つのコースと特徴

いしかわ里山里海サイクリングルートは、大きく7つのコースに分類されます。走る人は、自分の体力や旅の目的に合わせてコースを選べます。

コース名距離の目安特徴
いしかわ里海めぐりルート(のと里浜ルート)約373.3kmメインルート。本格的なロングツーリング向け
羽咋・巌門 里山サイクリングルート約62.9km能登金剛の絶景と里山。初心者向け
七尾湾ルート約20〜40km内浦の穏やかな海。中継地点として人気
奥能登ルート約208km能登半島最北端を一周。上級者向け
日本遺産・加賀四湯いでゆルート温泉地を周遊4つの温泉地と港町を巡る
白山手取川ルート約45km白山と扇状地の田園風景
能登海浜自転車道約160km自転車専用道路。安全性が高い

メインルートとなる里海めぐりルートは、全長約373.3km、最大標高差189m、累積獲得標高は2,718mに達します。走行時間は約30時間と本格的なツーリングルートです。一方、能登海浜自転車道は約160kmの自転車専用道路として整備されており、初心者でも安心して走れる環境が整っています。

羽咋・巌門 里山サイクリングルートの魅力

羽咋・巌門 里山サイクリングルートは、羽咋市を起点に能登金剛の絶景と里山の風景を楽しめる全長62.9kmのコースです。最大標高差140m、累積獲得標高は310m、走行時間の目安は約4.5時間で、難易度は比較的低くサイクリング初心者にも挑戦しやすいルートです。

このルートのベースとなっているのは、北陸鉄道能登線の廃線後の路盤を転用した「羽咋健民自転車道」です。車道を走らない安全な専用路が続く区間があり、安心して走れます。千里浜なぎさドライブウェイを経由し、日本海の断崖と奇岩が連なる「能登金剛」沿いを走るパートが、このルート最大のハイライトです。

奥能登ルートの魅力

奥能登ルートは、能登半島の先端・奥能登エリアを巡る全長約208kmの上級者向けコースです。輪島市や珠洲市など能登半島の最北端エリアを一周する設定で、日本海側の荒々しい外浦から、珠洲岬の禄剛崎灯台を経て、穏やかな内浦へと海の表情が一変する劇的な変化を体感できます。沿道には棚田・漁村・農村という里山里海の原風景が続きます。

このルートは「のと里山空港」への自走アクセスも想定された設計です。空路でのアクセスと自転車旅を組み合わせる旅行スタイルにも対応しています。

七尾湾ルートと和倉温泉エリア

七尾湾ルートは、能登半島の根元に位置する七尾市を中心とし、能登島を含む七尾湾の穏やかな内海の景色を楽しめるコースです。外浦(日本海側)とは対照的に、内浦は波が静かで透明度の高い海が広がります。七尾湾岸のコースは20〜40kmの距離設定が可能で、初心者にも適しています。

七尾市内には、北陸屈指の名湯「和倉温泉」が立地します。能登の旅館文化を代表する温泉地で、サイクリングで疲れた体を癒す宿泊地として多くのサイクリストに選ばれています。和倉温泉の旅館の中には、自転車を室内に持ち込んで保管できるサイクリスト歓迎の宿泊施設もあります。

七尾湾に浮かぶ能登島は、周囲約70kmの島で、橋2本で七尾市と結ばれています。能登島を一周する「ノト島イチ」は40〜50kmで起伏も比較的少なく、家族連れや初心者のサイクリングデビューに適しています。透明度の高い海と田園風景が交互に現れる穏やかなルートで、能登島水族館や能登島ガラス美術館など立ち寄りスポットも充実しています。

日本遺産・加賀四湯いでゆルートと白山手取川ルート

日本遺産・加賀四湯いでゆルートは、石川県南部の加賀市・小松市を中心とするコースです。片山津温泉・山代温泉・山中温泉・粟津温泉という「加賀四湯」と呼ばれる4つの温泉地を巡り、日本遺産に認定された北前船の里・橋立地区の歴史的な港町の景観も楽しめます。サイクリングと温泉を組み合わせた旅ができるルートです。

加賀地域は、古くから「加賀百万石」と呼ばれた加賀藩の豊かな文化を今に伝えるエリアです。山中漆器・九谷焼・輪島塗といった伝統工芸の産地が集まっており、職人の工房を訪ねる旅と自転車旅を組み合わせることもできます。片山津温泉は柴山潟の湖畔に立地し、湖と日本海と白山の三景が重なる独特の景観が特徴です。

白山手取川ルートは、白山を源流とする手取川沿いを走る全長約45kmのコースです。白山は標高2,702mの火山で、日本三名山の一つとして知られる石川県のシンボルです。手取川が形成した扇状地には豊かな農業地帯が広がり、コシヒカリなどの優良米が生産されています。季節によっては、水田に白山が映り込む「白山逆さ映り」の絶景が見られることもあります。

いしかわ里山里海サイクリングルートの主要観光スポット

いしかわ里山里海サイクリングルート沿いには、ここでしか体験できない観光スポットが点在しています。走りながら絶景や文化に触れられることが、このルートの大きな価値です。

千里浜なぎさドライブウェイ

千里浜なぎさドライブウェイは、羽咋市から宝達志水町にかけて続く約8kmの砂浜です。自動車・バイク・自転車が直接乗り入れられる日本唯一の「走れる砂浜」として、国内外に知られています。砂粒が非常に細かく、海水を含んで締まっているため車輪が沈まない特殊な環境です。潮の香りに包まれながら波打ち際を走る体験は、いしかわ里山里海サイクリングルートの名物のひとつです。

能登金剛と巌門

能登金剛は、志賀町富来から輪島市に至る日本海の断崖沿いに広がる絶景地帯です。荒波に削られた奇岩・怪石が連続し、代表的な見どころが「巌門(がんもん)」です。日本海の波浪が長い年月をかけて岩肌を削り形成した洞門の景観は圧倒的です。サイクリングルートはこの絶景に沿う形で設定されており、走りながら随所に絶景ポイントを体験できます。

白米千枚田

白米千枚田は、輪島市白米町にある日本を代表する棚田景観です。日本海に向かってなだれ落ちるように連なる約1,000枚の小さな棚田が織り成す風景は、国の名勝にも指定されています。春の水鏡、夏の緑、秋の稲穂、冬の「あぜのきらめき」と呼ばれるイルミネーションと、四季ごとに全く異なる表情を見せます。奥能登ルートの主要観光スポットとして欠かせない場所です。

輪島の朝市

輪島の朝市は、輪島市の中心部で開催される日本三大朝市のひとつです。200軒以上の露店が並び、新鮮な海産物や輪島塗の工芸品、地元の農産物が売られる活気ある市場で、能登文化を象徴する存在です。サイクリングの途中に立ち寄り、朝採れの海の幸を味わうのが、ベテランサイクリストのおすすめスタイルです。

見附島と禄剛崎灯台

見附島は、珠洲市の沿岸に浮かぶ軍艦の形に似た奇島です。陸から岩場伝いに歩いて近づくことができ、独特のシルエットが朝日や夕日に映える絶景として知られています。奥能登サイクリングの定番立ち寄りスポットです。

禄剛崎灯台は、能登半島最北端の珠洲岬に位置する白亜の灯台です。明治時代に建てられ、「日本の灯台50選」にも選ばれています。日本海と太平洋の両方が一望できると言われ、晴れた日には遠く佐渡島を望むこともできます。奥能登ルートを走るサイクリストにとって、この地に立つことが大きな目標のひとつとなっています。

いしかわ里山里海サイクリングルートのサポート体制

いしかわ里山里海サイクリングルートは、走りやすい環境づくりのためのサポート施設の充実にも力を入れています。初めて訪れる人でも安心して走れる仕組みが整えられています。

公式スマートフォンアプリは、その中心となる存在です。「いしかわ里山里海サイクリングルート」の公式アプリは、iOS(App Store)およびAndroid(Google Play)向けにリリースされています。各ルートのマップ表示、サポート施設・休憩スポットの検索、レンタサイクル情報、駐車場情報(Google Maps連携)、スタンプラリー機能などを備えており、スマートフォン一台でルート上のあらゆる情報にアクセスできます。

スタンプラリーも、ルートを楽しむ仕掛けのひとつです。道の駅、温泉施設、観光名所などに設置されたスタンプポイントは、全25か所以上にのぼります。スタンプを集めながらルート上の名所を確実に訪問できる仕組みで、完走記念の特典も用意され、達成感を高める工夫がされています。

走行を支える施設面では、修理工具の貸し出しや空気入れの利用、輪行バッグの一時預かりなどに対応したサイクルステーションが、ルート沿いに整備されています。宿泊施設やレストランの中にも、自転車の持ち込みや洗浄に対応したサービスを提供するところが増えており、石川県全体で「サイクリスト歓迎」の環境が広がっています。

レンタサイクルは、鉄道駅や観光案内所、一部の宿泊施設で利用できます。クロスバイクやロードバイクのほか、電動アシスト付き自転車を借りられる拠点も増えています。体力に自信のない方や、短区間だけ体験したい観光客にも対応しています。なお、輪島市などの能登地区では、地震後の観光復興の一環として、サイクリングツアーの受け入れが段階的に再開されています。

ルートに関する問い合わせは、石川県土木部道路整備課が窓口となっています。最新の整備状況や通行可否については、この窓口や公式サイトで確認できます。

能登半島地震後のいしかわ里山里海サイクリングルートの現状

いしかわ里山里海サイクリングルートを訪れる前に知っておきたいのが、能登半島地震後の現状です。エリアによって状況が大きく異なるため、最新情報の確認が欠かせません。

2024年1月1日に発生した能登半島地震(最大震度7)は、奥能登エリアを中心に甚大な被害をもたらしました。輪島市・珠洲市・能登町などでは道路の損壊や家屋倒壊が相次ぎ、観光インフラも大きな打撃を受けました。さらに同年9月21日からは奥能登豪雨が発生し、復旧途上の地域に追い打ちをかける形となりました。

この影響から、奥能登エリアを含むルートの一部区間では、公式に案内されているルート情報と現地の実際の状況が異なる場合があります。石川県は公式ウェブサイトやアプリでルート情報を随時更新しており、訪問前に最新情報を確認することが強く推奨されます。

一方、加賀エリアや能登南部エリアを中心としたルートは、震災の直接的な影響が比較的小さく、サイクリングを楽しめる環境が維持されています。石川県は、能登へのサイクリング旅行の再開を通じた復興支援も、取り組みのひとつに位置づけています。旅行者の訪問が地域の経済復興を後押しすることへの期待が高まっています。

輪島の朝市も、震災後の困難な状況の中で少しずつ再開への歩みを進めています。白米千枚田の棚田管理を担う地域団体も活動を続けており、能登の風景と文化を守ろうとする地元住民の取り組みが続いています。サイクリストの訪問は、こうした地域の営みを支える力にもなります。

いしかわ里山里海サイクリングルートを楽しむための注意点とヒント

いしかわ里山里海サイクリングルートを最大限に楽しむには、季節選びと走行計画が重要です。

訪問の最適シーズンは、エリアと目的によって異なります。

季節特徴
春(4〜5月)新緑と海の青が鮮やか。気候も走りやすい
夏(7〜8月)海水浴シーズンで活気がある。気温と日差しへの対策が必要
秋(9〜11月)稲刈りと紅葉の季節。白米千枚田の黄金色の棚田が美しい
冬(12〜2月)日本海の荒天と積雪があり、一般的に推奨されない

走行計画では、分割走行の活用がポイントです。全長373.3kmのメインルートをすべて走破するには、相当の体力と時間が必要です。エリアごとのコースに分割して訪れることができ、1泊2日から3泊4日での周遊が人気です。公式アプリでは、エリアごとの距離・時間の目安も確認できます。

公共交通との組み合わせも有効です。JR七尾線・のと鉄道・北陸新幹線(金沢・小松駅)などと自転車旅を組み合わせれば、体力的な負担を調整しながらルートを楽しめます。輪行とは、自転車を折りたたんで電車に乗せる移動方法のことです。輪行に対応するサイクリストも多く、鉄道駅周辺にはレンタサイクル拠点も整備されています。

初心者の方は、自転車選びから準備を始めましょう。短距離・観光中心であれば、クロスバイクや電動アシスト付き自転車が扱いやすい選択です。ロードバイクは長距離を効率よく走れますが、荷物の積載には工夫が必要です。ヘルメットは必ず着用し、グローブ・日焼け止め・補給食も忘れずに準備します。

出発前には、タイヤの空気圧確認、ブレーキの効き具合のチェック、サドル高の調整を行います。長距離走行では、股擦れを防ぐパッド入りサイクルパンツの着用が快適さに大きく影響します。補給水は2L以上を携行するか、ルート上のコンビニや道の駅で随時補給する計画を立てると安心です。

石川県の気候は日本海型で、特に秋から冬にかけて天気が変わりやすい点に注意が必要です。走行中の急な雨に備えて、薄手のレインウェアを常備することが推奨されます。また、能登半島はトンネルが多い区間もあるため、夜間や薄暗い場所での視認性を確保するフロント・リアライトは必携です。

走り終えた後の楽しみが、石川ならではの食です。石川県は「加賀料理」で知られる食文化の豊かな地域です。のどぐろ(アカムツ)、能登かき、輪島の海産物、加賀野菜、能登ミルク(乳製品)など、石川ならではの食材と料理が随所で楽しめます。ルート沿いの道の駅や食事処では、走った後の体に染み入る地元グルメが待っています。

いしかわ里山里海サイクリングルートについてよくある疑問

いしかわ里山里海サイクリングルートを計画する人が抱きやすい疑問について、ここでまとめて回答します。

初心者でも走れるのかという疑問については、走れるコースがしっかり用意されていると言えます。羽咋・巌門 里山サイクリングルートや七尾湾ルート、能登島を一周するノト島イチは距離が短く起伏も比較的少ないため、初心者やファミリーに適しています。一方、全長約208kmの奥能登ルートや約373.3kmのメインルートは上級者向けです。電動アシスト付き自転車を借りられる拠点も増えており、体力に不安がある人でも参加しやすくなっています。

どのくらいの日数が必要かという点については、エリアを分割すれば1泊2日から3泊4日が目安です。メインルート全線の走破には約30時間の走行時間がかかるため、エリアを絞った旅程が現実的です。公式アプリの距離・時間の目安を使うと、自分に合った計画を立てやすくなります。

ナショナルサイクルルートにいつ指定されるのかという疑問については、加賀・能登南部を中心としたエリアは2026年夏頃の指定が見込まれています。奥能登エリアは能登半島地震の復旧状況を踏まえ、2027年以降に審査される予定です。指定の正式な時期は、今後の審査の進捗によって決まります。

奥能登エリアは今訪れても問題ないのかという点については、エリアによって状況が異なります。加賀・能登南部はサイクリングを楽しめる環境が維持されています。奥能登エリアはルート情報と現地状況が異なる場合があるため、必ず公式サイトやアプリで最新情報を確認してから訪問してください。

まとめ

いしかわ里山里海サイクリングルートは、加賀の温泉地から能登半島の最北端まで、石川県の多様な里山・里海の景観と文化を自転車で体感できる総合的なサイクリングルートです。日本海の荒波が刻んだ能登金剛の断崖、波打ち際を走れる千里浜なぎさドライブウェイ、日本海を見下ろす白米千枚田、輪島の朝市、能登半島最北端の禄剛崎灯台など、ここにしかない体験が自転車旅を豊かに彩ります。

2026年3月、このルートは第3次ナショナルサイクルルートの候補に選定されました。加賀・能登南部を中心としたエリアは2026年夏頃の指定が見込まれ、全国・世界からの注目はさらに高まっています。一方で、能登半島地震からの復興という課題も抱えており、サイクリストの訪問は観光復興への貢献にもつながります。

走ることで感じる風、匂い、光。車や電車では味わえない速度で広がる景色との対話が、このルートにはあります。石川県への旅を計画する際には、ぜひ自転車での旅を選択肢に加えてみてください。出発前には、石川県公式サイトおよび公式アプリで、最新のルート情報・施設情報・通行規制情報を必ず確認しましょう。

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