いしかわ里山里海サイクリングルートは、石川県が整備する全長373.3kmのサイクリングコースで、加賀から能登半島の先端まで里山里海の美しい景観を自転車で堪能できるルートです。2024年の能登半島地震と奥能登豪雨で大きな被害を受けた能登地域では、このサイクリングルートを軸としたサイクルツーリズムが復興の重要な柱として注目されています。サイクリストが能登を訪れ、宿に泊まり、地元の食を楽しみ、土産物を購入する一つひとつの行動が、被災地の復興を直接支える力となっています。
本記事では、いしかわ里山里海サイクリングルートの全体像と3つのエリアの魅力を紹介しながら、能登半島における復興の現状やサイクリングを通じた復興支援の意義について詳しく解説します。能登の自然・文化・食を自転車で体感しながら、復興を応援する旅の参考にしていただければ幸いです。

いしかわ里山里海サイクリングルートとは――能登復興を支えるサイクルツーリズムの基盤
いしかわ里山里海サイクリングルートとは、石川県が整備・推進するサイクリングルートで、加賀から能登にかけて展開する豊かな自然環境と美しい里山・里海の景観を自転車で堪能できるよう設計されたコースです。単なる道案内にとどまらず、地域の観光地や食文化、県民のおもてなしも含めた総合的なサイクリング体験を提供することを目的としています。
このルートは「ジャパンエコトラック」第9号エリアとしても認定されています。ジャパンエコトラックとは、日本の豊かな自然環境の中でのエコ旅行を推進するために国土交通省と自転車活用推進本部が認定する長距離トレイルで、地域の魅力と持続可能な観光をつなぐ仕組みです。この認定により、国内外のサイクリスト・自然愛好家から高い注目を集めてきました。
ルートの総延長は373.3kmにおよび、最大標高差は189m、走行時間は約30時間とされています。石川県の多様な地形と景観を横断するこのルートは、初心者から上級者まで、さまざまなスタイルのサイクリストが楽しめるよう工夫されています。
いしかわ里山里海サイクリングルートを構成する3つのエリア
いしかわ里山里海サイクリングルートは大きく3つのルートから構成されており、それぞれが異なる地域の魅力を持っています。石川県の多彩な表情を自転車で感じることができる、バリエーション豊かな構成です。
奥能登ルート――日本の原風景を走る
奥能登ルートは、能登半島の先端部を周遊するルートです。日本海に面した断崖絶壁、棚田、小さな漁村、独特の祭りと文化が息づくこのエリアは、まさに日本の「原風景」といえる場所です。千枚田、見附島(軍艦島)、輪島朝市跡周辺、珠洲岬などの著名スポットを巡りながら、里山里海の美しい景観を全身で感じることができます。
見附島は珠洲市にある高さ約28mの奇岩で、その形が軍艦に似ていることから「軍艦島」とも呼ばれています。島から昇る朝日は絶景で、多くのカメラマンやサイクリストが夜明け前から訪れるスポットです。白米千枚田は輪島市にある棚田で、日本海に向かって広がる幾何学模様の美しい景観が特徴です。小さな田んぼが急斜面に約1,004枚も並ぶその光景は、国の名勝および重要文化的景観に指定されており、日本の棚田百選にも選ばれています。冬には「あぜのきらめき」と呼ばれるイルミネーションイベントが開催され、25,000個ものLEDライトが棚田を幻想的に彩ります。
なお、奥能登ルートは2024年の地震・豪雨以降、走行可能な区間と通行規制区間が混在しているため、最新の道路情報を事前に確認することが不可欠です。
羽咋ルート――砂浜を走る唯一無二の体験
羽咋ルートは、千里浜なぎさドライブウェイや巌門など、能登中部の日本海岸の絶景を楽しむルートです。千里浜なぎさドライブウェイは一般車両が砂浜を走行できる全長約8kmの希少な場所で、自転車でも砂浜を走ることができます。波音を聞きながら海岸線を疾走するこの体験は、他では味わえない独特の爽快感があります。
羽咋市内では自転車専用道路が設けられており、安全にサイクリングが楽しめる区間もあります。巌門は能登金剛と呼ばれる断崖絶壁が続く海岸線の中にある洞窟で、波の侵食によって形成された自然の造形美が見事です。
白山・川北ルート――初心者にも親しみやすい里山の道
白山・川北ルートは、石川県南部の白山麓と手取川流域を走るルートです。日本海と白山の山並みを背景に、農村地帯の里山景観が広がります。白山は日本三名山の一つで、その雄大な山容は平野部からも望むことができます。手取川沿いの道は比較的平坦で、サイクリング初心者にも親しみやすいのが特徴です。加賀温泉郷や白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)など、歴史と文化の深い観光地も点在しています。
2024年能登半島地震と奥能登豪雨――能登が受けた大きな試練
2024年1月1日午後4時10分、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生しました。最大震度7を記録したこの地震は、輪島市・珠洲市・穴水町・能登町などの奥能登地区を中心に甚大な被害をもたらしました。家屋の倒壊、土砂崩れ、道路の寸断、津波による浸水と、複合的な被害が地域全体を覆いました。
その爪痕が癒えないうちに、同年9月21日から降り続いた記録的な大雨が奥能登を再び襲いました。この「奥能登豪雨」は河川の氾濫や土砂崩れを引き起こし、地震で既に傷ついていたインフラにさらなるダメージを与えました。輪島市、珠洲市、能登町などでは道路・河川・住宅への被害が拡大し、地域の復旧・復興は長期化を余儀なくされました。
国土交通省の資料(令和7年出水期前時点、2025年6月)によれば、道路・河川のインフラ復旧は段階的に進んでいるものの、課題は依然として多い状況です。通行止め区間の解除が進む一方で、落石の危険性や路肩の損傷が残る箇所も存在しており、サイクリストや観光客は事前に最新の道路情報を確認することが強く求められています。
能登復興の現状と観光再開の歩み
能登半島の復旧・復興は、地震発生から2年以上が経過した現在も進行中です。石川県の公式観光サイト「ほっと石川旅ねっと」の2026年2月更新情報によれば、観光施設の営業再開は段階的に進んでおり、多くの場所で一般観光客の受け入れが可能になってきています。
具体的には、千里浜なぎさドライブウェイ、妙成寺(みょうじょうじ)、能登金剛、のと食祭市場(穴水町)などは訪問可能な状態となっています。遊覧船の一部も通常運行を再開しており、観光復興の足音が着実に聞こえてきています。
一方で、輪島朝市の仮設市場や珠洲の商店街など、まちなかの復興はまだ道半ばです。団体ツアーの受け入れが難しい地域もあり、観光の形態も従来とは変わってきています。地域住民に過度な負担をかけず、その場の状況に合わせた「寄り添い型」の旅が求められています。
道路整備については、国道249号線や沿岸部の県道を中心に復旧工事が進んでいます。能登半島沿岸部を走る「絶景海道」の復興についても、2025年2月に有識者・国・県・市町からなる検討会が設置され、周遊観光の促進やサイクルツーリズムの活性化に向けた議論が始まりました。復興のビジョンに「サイクルツーリズム」が明確に位置づけられていることは、大きな意義を持っています。
サイクリングを通じた能登復興支援の意義
サイクリストが能登を走ることは、復興を直接支える力になります。能登のような里山里海地帯では、農業・漁業・宿泊業・飲食業・土産物業など、観光と密接に結びついた産業が多く、サイクリストが宿に泊まり、地元の食を楽しみ、土産物を買う一つひとつの行動が地域経済を支えています。
「能登ルネサンス(のとルネ)」プロジェクトが住民に対して行った調査では、「観光客に来てほしい」という声が多数を占めました。「復興している姿を見てほしい」「訪れてくれることが一番の励みになる」という言葉は、現地の人々の本音です。被災地に遠慮して行かないのではなく、行って直接応援することが求められています。
サイクリングは、その特性上、地域との密なふれあいが生まれやすい旅のスタイルです。自動車では素通りしてしまうような小さな漁村や棚田の農道も、自転車ならばゆっくり立ち止まって景色を眺め、地元の人と言葉を交わすことができます。こうした「低速観光」「スロートラベル」のあり方が、復興期の能登の観光に特にフィットしています。
また、サイクリストは体を動かす分だけカロリーを消費するため、食事の量が多く、食事代の消費が他の旅行者より高い傾向があります。地元の旬の食材を使った定食、海鮮丼、のと牛、能登野菜などを存分に楽しむことができ、それが地域の飲食店を支えることにつながります。
ツール・ド・のと400の歴史と能登復興における役割
能登を代表するサイクリングイベント「ツール・ド・のと400」は、1989年(平成元年)に始まった歴史あるサイクリング大会です。能登半島を3日間かけて一周するルートで行われ、総距離400km以上という日本最大級の規模を誇ります。
2024年の大会は、能登半島地震の影響で通常の3日間周回形式での開催が困難となり、1デイ(1日)開催に変更されました。それでも大会は実施されました。主催者と関係者は「開催しないことで能登の復興が遅れることへの危機感があった」と語っており、批判を受けながらも地域の伝統を守り、能登の存在を全国に発信し続けようとした姿勢は多くの人々の心を動かしました。
2025年の大会は9月15日に設定され、地震前に近い形での開催復帰が期待されていました。能登半島を自転車で走ることを通じて、参加者が復興の現状を目の当たりにし、地域に経済効果をもたらすというサイクリングイベントの意義は、震災後においていっそう大きくなっています。
38年以上の歴史を持つツール・ド・のとは、単なるスポーツイベントではありません。地元住民のボランティアによる支援、沿道での応援、エイドステーションでの地元食の提供など、能登の「おもてなし」文化が詰まったイベントです。参加者と地域が一体となって作り上げるこのイベントは、能登復興のシンボルとして今後も続いていくでしょう。
北陸3県デジタルスタンプラリーと広域サイクリング連携
2025年には「自転車で巡る!北陸3県デジタルスタンプラリー2025」が開催され、石川・富山・福井の3県にまたがる広域サイクリング観光が促進されました。いしかわ里山里海サイクリングルートもこの取り組みに参画しており、北陸全体でサイクリスト誘客の機運が高まりました。
石川県単独での取り組みとしても、令和7年度(2025年度)のフォトコンテストとスタンプラリーが2025年4月26日より開催されました。ルートを走りながら写真を撮影・投稿することで賞品が当たる仕組みも展開され、SNSを活用した情報発信と参加型イベントを組み合わせることで、若い世代のサイクリストやインバウンド旅行者へのアプローチも図られました。
インバウンドの観点でも、サイクルツーリズムは大きな注目を集めています。欧米やアジアの自転車旅行者にとって、日本の里山里海を自転車で巡る体験は非常に魅力的であり、ジャパンエコトラック認定ルートとしての国際的な認知度向上も期待されています。能登の自然・文化・食が世界的に評価されれば、それが復興の長期的な経済的基盤にもなりえます。
サイクリングで体感する能登の絶景スポット
能登半島には、自転車で訪れることで特別な感動が得られるスポットが数多く存在します。ここでは代表的な絶景スポットを紹介します。
千里浜なぎさドライブウェイは、羽咋市から宝達志水町にかけての約8kmの砂浜海岸です。砂浜の粒子が細かく水分を含んでいるため、自動車・バイク・自転車で走行できます。世界でも3か所しかない「自動車で走れる砂浜」の一つとして知られており、石川県を代表する観光スポットです。波打ち際ギリギリを走り抜ける爽快感は格別で、夕暮れ時の夕日が海を染める景色は圧巻です。
見附島(みつけじま)は、珠洲市の宝立町にある無人島で、能登半島屈指の奇岩として知られています。弘法大師(空海)が布教のために能登を訪れた際に発見したとされる伝説を持ち、「見つけた島」が島名の由来とも言われています。軍艦のような見た目から「軍艦島」の別名でも親しまれており、見附ビーチには「縁結びの鐘」も設置されています。
禄剛埼灯台(ろっこうさきとうだい)は、能登半島の最北端・珠洲市狼煙(のろし)町に立つ灯台で、「日本の灯台50選」にも選ばれています。丘の上から見渡す360度の水平線は、能登の絶景の中でも特別な体験です。ここを目指してサイクリングする「能登最北端アタック」は、多くのサイクリストにとって憧れのルートとなっています。
ルート35(能都内浦線)は、能登町から七尾湾を眺めながら走る県道で、「穴場の絶景ルート」として知られています。七尾湾の内海は波が穏やかで、対岸の山々と島が点在する景観は、日本海の荒波とはまた異なる静かな美しさを持っています。交通量が少なく、自分のペースでゆっくり走れる点も魅力です。
のと里浜サイクリングルートは、いしかわ里山里海サイクリングルートとは別に整備された「能登海浜自転車道」を活用するルートで、ジャパンエコトラックにも認定されています。七塚海岸から千里浜海岸を走る約35kmのルートで、比較的平坦で初心者にも走りやすいコースです。
世界農業遺産「能登の里山里海」が育む文化と食
能登は、日本の原風景が残る数少ない場所の一つです。2011年には「能登の里山里海」がFAO(国連食糧農業機関)の世界農業遺産(GIAHS)に認定されており、その自然・文化的価値は国際的にも認められています。
世界農業遺産「能登の里山里海」は、石川県北部・能登半島の4市5町(輪島市、珠洲市、羽咋市、七尾市、志賀町、宝達志水町、中能登町、穴水町、能登町)に広がる、人と自然が何世代にもわたって共存してきた農業システムの総称です。里山(山林・田畑)と里海(沿岸域・漁場)が一体となって機能するシステムが世界的に評価されました。
能登の伝統文化の中でも特に注目すべきは「あえのこと」です。田の神様を家にお迎えし、1年間の農作業への感謝と来年の豊作を祈る伝統的な農耕儀礼で、12月5日に神様をお迎えし、2月9日にお見送りするというこの行事は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。現在でも農家によって大切に受け継がれている、能登ならではの文化です。
「キリコ祭り」は能登各地で夏から秋にかけて行われる祭礼の総称で、大きな奉灯(キリコ)と呼ばれる御輿を担いで街を練り歩く勇壮な祭りです。輪島大祭、能登生国玉比古神社祭礼、珠洲市の飯田燈籠山祭りなど、地域ごとに個性が異なり、地域コミュニティのきずなを体現しています。震災後も各地でキリコ祭りを再開しようとする動きは、地域の人々の「復興への意志」そのものです。
輪島塗は石川県輪島市で生産される漆器で、国の重要無形文化財にも指定されています。製造工程は100以上に分けられ、職人が一筋一筋丁寧に塗り重ねることで、堅牢かつ美しい器が生まれます。地震と火災によって輪島のまちなかは大きな被害を受け、多くの職人の工房・住居が失われましたが、輪島塗職人たちは仮設の工房で制作を続け、伝統の技を守り続けています。サイクリングで輪島を訪れた際には、仮設の販売所などで輪島塗の製品を手に取ってみることをおすすめします。
能登の食文化も特筆すべき魅力の一つです。日本海の豊かな漁場で獲れるブリ、サザエ、アワビ、ズワイガニ、甘エビ、そしてのどぐろ(アカムツ)などは、全国的に高い評価を受けています。「のと牛」は石川県産の和牛ブランドで、霜降りの美しいきめ細やかな肉質が特徴です。また、能登の棚田で育てられる「能登米」は、澄んだ水と豊かな土壌で育つ旨みの強い米です。こうした食材を使った料理を地元の食堂や道の駅でいただくことが、そのままサイクリングの大きな楽しみになります。
能登の「生業の復興」最前線――仮設商店街と出張朝市
復旧・復興の歩みの中で、地元事業者の努力も続いています。輪島の朝市は日本三大朝市の一つとして知られ、200軒以上の店が軒を連ねていましたが、2024年の地震と火災で壊滅的な被害を受けました。しかし「輪島朝市組合」の組合員たちはあきらめませんでした。かないわ地区を拠点として仮設の「出張輪島朝市」を始め、全国各地のイベントや百貨店などに出店しながら輪島朝市の火を守り続けています。出張輪島朝市の活動回数は250回以上にのぼり、能登の食文化・産品を全国に届け続けています。
能登空港では、2024年11月に「NOTOMORI(ノトモリ)」という仮設飲食店街とコワーキングスペースがオープンしました。輪島の朝市で長年営業してきた中華料理店「香華園」を含む複数の飲食店が入居し、Wi-Fiや電源、プロジェクターも完備されています。2025年8月末時点で約11万人以上が来場しており、能登の玄関口として復興への気運を高める拠点となっています。
珠洲市でも地元の飲食店が結集し、「道の駅すずなり」の隣に仮設商業施設「すずなり食堂」がオープンしました。2025年秋以降は、珠洲市の見附公園や禄剛埼方面にも大型観光バスが訪れるなど、観光需要が少しずつ戻ってきています。
こうした事業者たちの奮闘を支えるのが、訪れる観光客・サイクリストです。仮設の商店で買い物をし、地元の食堂で食事をし、宿に泊まることが、そのまま能登の事業者の生きる糧になります。「消費することが支援になる」という感覚を持ちながら、能登の旅を楽しんでいただきたいところです。
能登サイクリング旅の準備と注意点
能登へのサイクリング旅を計画する際には、いくつかの重要なポイントがあります。
道路状況の事前確認は最も重要です。石川県のウェブサイトでは、道路の通行止め情報が随時更新されています。特に奥能登ルートは被害が大きかった区間を含むため、出発前に必ず最新情報を確認してください。落石の危険性がある区間では、ヘルメット着用はもちろん、慎重な走行が求められます。
宿泊施設・飲食店の事前予約も欠かせません。震災・豪雨の影響で営業を休止または縮小している施設が依然としてあるため、行き当たりばったりの旅では食事や宿泊に困る可能性があります。宿の確保と食事の目途をつけてから出発することが望ましいです。奥能登エリアの宿泊施設は震災の影響でまだ数が限られていますが、穴水町、輪島市、珠洲市などに徐々に宿が復活しています。観光庁の「能登半島地震からの復興に向けた観光再生支援事業」により、宿泊業の再建を支援する取り組みも進んでいます。
補給食や水の持参も重要なポイントです。コンビニや自販機が少ない区間も存在するため、長距離走行の場合は十分な補給食を準備しておく必要があります。特に奥能登の集落は過疎化も進んでおり、震災前から商店や食堂の少ないエリアがあります。
地域への配慮ある行動も心がけたい点です。仮設住宅が立ち並ぶエリアや、まだ復旧工事の続く場所では、住民の生活の場であることを尊重し、騒音や無断撮影を避けるなどのマナーが求められます。応援の気持ちを持って訪れることと、地域住民への敬意を忘れないことが大切です。
アクセスについては、公共交通機関を使う場合、金沢駅からIRいしかわ鉄道やのと里山里海号(観光列車)を利用する方法があります。金沢からレンタサイクルを借りて能登方面へ向かうことも可能です。一部のサイクリスト向け宿泊施設では輪行袋ごとの受け入れや、整備工具の貸し出しも行っています。
装備については、能登の道路は場所によって路面状態が変わりやすいため、タイヤのパンク修理セットは必携です。丘陵地帯のアップダウンに備えた体力づくりも事前に行っておきましょう。天候の変化も激しいため、レインウェアやウィンドブレーカーも用意が必要です。特に能登半島は海に突き出た半島のため、強風にも注意してください。
サポート体制と公式アプリの活用方法
いしかわ里山里海サイクリングルートには、充実したサポート体制が整備されています。ルート沿いには25か所以上のスタンプラリーチェックポイントが設置されており、スタンプを集めてアンケートに答えると地域の特産品プレゼントに応募できる仕組みになっています。
専用のスマートフォンアプリ「いしかわ里山里海サイクリングルート」がiOS・Android向けに提供されており、GPSナビゲーション機能やチェックポイント情報、周辺のサービス施設情報などをリアルタイムで確認できます。アプリを活用すれば、地図が苦手な方や初めてのサイクリストでも安心してルートを走破できます。
サポート施設としては、自転車の空気入れや修理工具を備えた休憩スポット、自転車をそのまま持ち込める「サイクルフレンドリー宿」、地元の新鮮な海の幸を提供する道の駅・飲食店なども整備されています。
情報収集については、石川県観光連盟の公式サイト「ほっと石川旅ねっと」の「今行ける能登」コーナーが最も信頼できる情報源の一つです。また、SNSで「#能登復興」「#いしかわサイクリング」などのハッシュタグを追うと、実際に訪れた旅行者のリアルな情報も得られます。
いしかわ里山里海サイクリングルートで能登の未来を支える
いしかわ里山里海サイクリングルートは、石川県南部の加賀から能登半島の先端まで、多様な景観と文化を自転車で体験できる373.3kmのルートです。2024年の能登半島地震と奥能登豪雨は、このルートを含む能登地域に深刻な打撃を与えました。しかし復旧・復興は着実に前進しており、多くの観光地や施設が訪問可能な状態に戻ってきています。
ツール・ド・のとをはじめとするサイクリングイベントも復活・継続されており、能登のサイクルツーリズムは復興の重要な柱として位置づけられています。国・県・市町が連携してインフラ整備を進め、サイクリスト向けのサポート体制も整いつつあります。
能登に自転車で訪れることは、絶景を楽しみ、地元の食を味わい、地域の宿に泊まることそのものが復興支援になります。ペダルを漕ぐ力が、能登の未来を押し進める力になります。いしかわ里山里海サイクリングルートを走り、能登の今を、その目で確かめてみてください。
※本記事に記載の情報は2026年4月時点のものです。道路状況・施設営業状況は随時変わりますので、最新情報は石川県公式サイトおよび各施設にお問い合わせください。








