天竜川サイクリングロードは磐田から掛塚まで約12キロ、河川敷の魅力を紹介

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磐田市の天竜川河川敷には、天竜川左岸歩行者自転車道と呼ばれるサイクリングロードが整備されています。上流の寺谷地区から下流の掛塚地区まで約12キロメートル続き、すべての橋の下を抜けられるため信号待ちがほとんどありません。遠州地方でロードバイクや家族サイクリングを楽しみたい人にとって、まず候補に挙がるコースです。

この記事では、天竜川サイクリングロードの区間や距離、沿線にある公園やキャンプ場、遠州地方の広域サイクリングルートとのつながり、アクセス方法や走行時の注意点までをまとめました。磐田市周辺で河川敷サイクリングを計画している人の参考になれば幸いです。

目次

天竜川左岸歩行者自転車道は寺谷から掛塚まで約12キロ

天竜川サイクリングロードの正式名称は、天竜川左岸歩行者自転車道です。上流側の起点は磐田市の寺谷地区、下流側の終点は磐田市の掛塚地区で、総延長は約12キロメートルとされています。支線や周辺の遊歩道を含めた数え方では13キロメートル程度と紹介される資料もあり、区間の取り方によって多少の幅があるようです。

コースは全区間が舗装されており、天竜川の流れに沿ってほぼ一直線に伸びています。地形はほぼ完全に平坦で、上流に向かっても下流に向かっても高低差をあまり感じません。脚力に自信がない人や子どもでも、無理なく長距離を走れる設計になっています。寺谷地区の起点付近にはループ状の周回路もあり、折り返し地点として使いやすくなっています。

道幅は歩行者、ジョギングをする人、自転車が共存できる広さが確保されています。天竜川に沿って走るので、川風を感じながら開放的な景色を楽しめるのも、このコースが人気を集めている理由のひとつです。

このような河川敷のサイクリングロードは、もともと堤防天端や河川敷にある河川管理用通路を活用して整備されているケースが全国的に多く見られます。河川管理用通路は、河川のパトロールや水防活動、災害復旧作業のために設けられた通路ですが、そこに歩行者・自転車専用道路を重ねて整備することで、地域の人が安全に通行できる空間としても活用されています。河川管理者が河川管理用車両の通行を妨げないよう配慮しながら、沿川の自治体と協力して整備を進める形が一般的で、天竜川サイクリングロードもこうした河川空間の利活用の一例といえます。

橋の下を抜けるノンストップ設計で信号待ちがほぼゼロ

天竜川には道路橋、東海道本線の鉄橋、東海道新幹線の鉄橋など、多くの橋が架かっています。天竜川サイクリングロードは、これらすべての橋の下を通過するルートになっており、交差点や信号を経由せずに長距離を一気に走れます。国道1号や東名高速道路の下もくぐり抜けられるため、一般道路を横切る場面がほとんどありません。

新幹線が頭上を通過する瞬間に出くわすこともあり、鉄道が好きな人にとっても見逃せないポイントです。自動車が乗り入れることのない河川敷内の専用路なので、交通事故のリスクが低く、この安心感が家族連れに支持される大きな理由になっています。

コース沿いの景観にも見どころがあります。上流側から下流に向かって走ると、進行方向左手に「風竜」の愛称で呼ばれる風力発電用の風車が見えてきます。右手には天竜川の広い川面が広がり、対岸には浜松市側の街並みや山並みを望むことができます。河口に近づくにつれて、進行方向にはるか太平洋の水平線が見えてくる区間もあり、上流部の穏やかな川景色とは違う開放感を味わえます。

池田の渡し公園は噴水と芝生広場が整った休憩スポット

寺谷地区に近いエリアには、池田の渡し公園(豊田池田の渡し公園)があります。この公園は、かつて天竜川を渡る池田の渡しと呼ばれる渡船場があった場所を整備してつくられており、天竜川東岸の河川敷に広がっています。

園内には赤い傘のような特徴的な屋根を持つ東屋があり、そこに噴水が設置されています。噴水から流れ出る水は浅い小川となって園内を巡っており、天竜川の流れをイメージしてデザインされているそうです。夏場は子どもたちの水遊びスポットとしても賑わいます。広々とした芝生広場も整備されているため、ボール遊びやピクニックなど、思い思いの過ごし方ができます。

公園のところどころには、この地の歴史や自然について解説した案内板が設置されています。池田の渡しの歴史や天竜川の成り立ちに関心がある人にとっては、ちょっとした学びの場にもなるでしょう。駐車場も整備されているため、車で訪れてそこから自転車で走り出す拠点として使う人が多いスポットです。

掛塚地区は遠州の小江戸と呼ばれた廻船問屋の港町

サイクリングロードを下流に向かって進むと、天竜川は遠州灘に注ぐ河口部へ近づいていきます。終点にあたる掛塚地区は、かつて天竜川舟運や木材集散地として栄えた港町で、古い町並みや土蔵造りの建物が今も残っています。

掛塚は江戸時代、大坂と江戸を結ぶ廻船の中継地として栄え、天竜川舟運によって上流から運ばれてきた木材の集散地として発展しました。江戸中期以降、天竜川上流の木材が枯渇すると、掛塚の廻船問屋は幕府の年貢米輸送を請け負うようになり、伊勢や美濃からの年貢米を江戸へ運ぶことでさらに富を蓄積したといいます。当時は廻船問屋が軒を連ね、遠州の小江戸と呼ばれるほどの賑わいを見せていました。明治18年には新たな港が整備され、明治19年から28年にかけて最盛期を迎えましたが、東海道線の甲府・浜松間開通や天竜駅の開業により、交通の要衝としての役割は徐々に薄れていきました。

この歴史を今に伝える建物のひとつが、旧廻船問屋・津倉家住宅の土蔵です。上質な木材とともに、天竜川の氾濫にも耐えられるよう工夫された建築技術が用いられており、往時の掛塚の繁栄を伝える文化財として保存されています。竜洋海洋公園内には掛塚湊の碑も建てられており、サイクリングの途中に立ち寄れば、天竜川と共に生きてきたこの地域の歴史に触れられます。

河口部に近づくにつれて視界が開け、遠州灘の海岸線までも見渡せるようになります。天竜川と太平洋が出会う場所ならではの景観は、上流部の穏やかな川景色とはまた違った魅力があります。

竜洋海洋公園はオートキャンプ場と日帰り温泉を併設

天竜川河口の近く、磐田市駒場地区には竜洋海洋公園があります。天竜川の河口部と遠州灘の海岸線を一望できるロケーションで、サイクリングロードの終点近くを目指すライダーにとって格好の目的地です。

園内には遊具施設や広場があり、家族連れが自転車を止めてゆっくり過ごせるスペースが充実しています。天竜川河川敷と竜洋海洋公園を組み合わせたコースは、子どもの自転車練習にも向いていて、車の往来がまったくない舗装路を丸一日かけてのんびり楽しむ家族の姿も見られます。

サイクリングロード沿線には、公園に加えてサッカーや野球ができるグラウンドも各所に併設されています。磐田市が管理する磐田天竜川グラウンドもそのひとつで、河川敷という広い敷地を生かし、地域のスポーツ活動の拠点としても使われています。休日には少年サッカーや草野球の試合が行われている様子を横目に、サイクリングロードを走り抜けるという光景も見られます。

公園に隣接して竜洋海洋公園オートキャンプ場があります。日本オートキャンプ協会(JAC)認定の5つ星オートキャンプ場で、テントサイトが約50区画、大小合わせて15棟ほどのロッジ、トレーラーハウスも1棟備えています。

サイト種別料金の目安
フリーサイト3,140円
電源付き区画サイト(オートサイト)5,230円
電源付きキャンピングカーサイト6,600円

料金は変更される場合があるため、利用前に最新情報を確認することをおすすめします。チェックインは13時から17時まで、チェックアウトは11時までとなっています。

キャンプ場に隣接して日帰り温泉施設のしおさい竜洋があり、大浴場、露天風呂、気泡風呂、ミストサウナなどを手頃な料金で利用できます。サイクリングで汗を流した後に温泉に入れるのは、天竜川サイクリングロードならではの楽しみ方です。周辺には運動公園や釣り場も点在しており、サイクリングだけでなく一日を通してアウトドアレジャーを満喫できるエリアになっています。

遠州地方の広域サイクリングネットワークとつながる立地

天竜川サイクリングロードは、単独の河川敷コースにとどまらず、遠州地方全体に広がる広域サイクリングネットワークの一部でもあります。静岡県西部の遠州地方では、磐田市を含む5市1町が連携して「ゆるゆる遠州サイクルツーリズム」という取り組みを進めており、天竜川と大井川という2つの大河に挟まれたエリアで多彩なサイクリングルートが整備・紹介されています。

その代表的なルートのひとつが中東遠サイクリングルートで、天竜川流域から周辺の丘陵地、茶畑地帯などを巡りながら、遠州地方ならではの田園風景や産業景観を楽しめるコース設定になっています。天竜川かささぎ大橋北から竜洋海洋公園までを結ぶルートは総距離約16.4キロメートル、獲得標高差約30メートルとされ、ほぼ平坦なコースながら河口部までのロングライドを楽しめると紹介されています。

隣接する浜松市エリアでは、ハマイチプラス(天竜・浜名湖サイクリング)という広域サイクリング案内サイトが運営されており、天竜川流域エリアだけでも6つのモデルコースが紹介されています。天竜二俣の街をのんびり巡る街ぶらサイクリングから、長野県との県境に近い水窪地域を目指すヒルクライムコースまで、初心者から上級者まで対応したラインナップです。地域で人気の道の駅や、JR飯田線の最寄り駅を起点・終点とした自転車旅も紹介されており、天竜川サイクリングロードでの平坦な河口ライドとは違う、山あいの渓谷美を楽しむコースとして組み合わせるのもよいでしょう。

遠州地方には「塩の道」と呼ばれる歴史的な街道を活用したサイクリングルート、秋葉街道・横須賀街道の整備も進められています。天竜川流域と山間部、遠州灘沿岸をつなぐ広域観光サイクリングの拠点として、天竜川サイクリングロードが果たす役割は今後も広がっていきそうです。天竜川の下流部でのんびり走った後、上流部の山岳エリアや歴史街道にも足を延ばしてみたいという人にとって、組み合わせがいのあるエリアといえます。

アクセスは池田の渡し公園と竜洋海洋公園の駐車場が起点になる

天竜川サイクリングロードへのアクセスは、車と公共交通機関のどちらでも可能です。

車で訪れる場合、天竜川左岸歩行者自転車道の沿線には複数の公園が点在しており、それぞれに駐車場が整備されています。中でも磐田市の池田の渡し公園は駐車場が広く、家族連れでの利用に適した拠点として人気があります。車に自転車を積み込み、目的の公園まで移動してから走り始めるスタイルが、地元の利用者の間では一般的なようです。竜洋海洋公園やその周辺施設にも駐車場が用意されているため、下流側から走り始めたい場合はそちらを起点にすることもできます。

公共交通機関を利用する場合は、JR東海道本線の磐田駅や遠州鉄道の各駅が最寄り駅になります。駅から河川敷までは距離があるため、輪行で自転車を持ち込んだり、レンタサイクルを利用したりするプランも検討するとよいでしょう。磐田市周辺には専用のレンタサイクルターミナルの情報が多くないため、自分の自転車を車に積んで訪れるか、輪行で公共交通機関を利用するのが基本的なスタイルになります。浜名湖周辺エリアには比較的まとまったレンタサイクル網が整備されているため、天竜川サイクリングロードと合わせて浜名湖方面まで足を延ばす計画を立てる場合は、そちらのレンタサイクルサービスの利用を検討する方法もあります。天竜浜名湖鉄道など、遠州地方を走る鉄道路線と組み合わせれば、上流と下流で異なる駅を発着点にする周遊プランも組めます。

走行速度は時速20キロ以下、増水時や強風時は状況確認を

天竜川サイクリングロードは車の往来がなく安全性の高いコースですが、あくまで公共の遊歩道兼自転車道であるため、利用にあたって守るべき点がいくつかあります。

コース内で発生した事故は自己責任とされています。歩行者やジョギングをする人、他の自転車利用者と共存する空間なので、速度の出し過ぎには注意が必要です。目安としては時速20キロメートル以下での走行が推奨されており、見通しの悪い急カーブ付近や、公園・グラウンドの出入口付近では、通行人の飛び出しに備えて速度を落とし、周囲に気を配りながら走ることが求められます。

河川敷という立地上、増水時や強風時にはコースの状況が大きく変わることもあります。台風や大雨の後は、路面に土砂や流木が堆積していたり、通行止めになっていたりするケースも考えられるため、出かける前に磐田市の公式情報や現地の掲示を確認しておくと安心です。

日差しを遮る場所が少ない開放的なコースなので、夏場は熱中症対策として飲料水の携行や日焼け対策が欠かせません。冬場は川沿いということもあり、体感的に風が強く感じられる場面も多いため、防寒対策をしたうえで走行することをおすすめします。

夏は天竜川河川敷での花火、四季で表情を変える景色

天竜川サイクリングロード沿いでは、年間を通じてさまざまな行事が行われています。春には桜や河川敷の緑を楽しみながらのんびりとしたサイクリングを楽しむ人が多く、5月頃には地域の祭りが河川敷で催されることもあります。

夏の風物詩としては、天竜川河川敷を舞台にした花火大会が挙げられます。天竜川を挟んで浜松市側で開催される中野町煙火大会は江戸時代から続くとされる伝統ある花火大会で、例年8月14日前後、国道1号天竜川橋の南側河川敷で行われ、約4,000発の花火が打ち上げられます。天竜川を挟んで対岸にあたる磐田市側の河川敷からも観覧でき、サイクリングロード沿いから花火を楽しむ地元住民の姿も見られます。磐田市ではいわた夏まつり花火大会も夏の恒例行事となっており、こちらは福田漁港特設会場が主な会場ですが、地域全体で花火の季節を楽しむ雰囲気が広がります。イベントの開催有無や日程は年によって変わるため、訪問前に主催者や自治体の最新情報を確認しておくと安心です。

秋は空気が澄み、遠くの山並みや富士山を望める日もあり、サイクリングには過ごしやすい季節です。冬は空気が乾燥して視界が良好になる一方、風の影響を受けやすいため、防風対策をしたうえでのライドがおすすめです。四季を通じて表情を変える天竜川の景色は、何度訪れても新しい発見があります。

子ども連れやビンディング初心者の練習にも向いている理由

天竜川サイクリングロードが多くの家族連れに支持されている理由は、車が入ってこない専用路であるという安心感にあります。信号待ちや車との接触を心配する必要がなく、子どもが自転車の練習をするにも適した環境が整っています。池田の渡し公園や竜洋海洋公園など、休憩や遊びを兼ねられるスポットが要所にあるため、走ることに疲れたら公園で一休みし、また走り出すというメリハリのある楽しみ方ができます。

コース全体がほぼ平坦なので、初心者や体力にあまり自信がない人でも無理なく走ることができ、自分の体力や時間に応じて途中で引き返すことも簡単です。往復で数キロメートル程度の軽いサイクリングから、寺谷地区から竜洋海洋公園までの往復約24キロメートル前後のロングライドまで、目的やレベルに応じて距離を自由に調整できる懐の深さも、このコースの魅力です。

車の進入がなく、路面が舗装されていて平坦な区間が長く続くことから、ロードバイクのビンディングペダルに慣れていない初心者が、着脱の練習をする場所としても向いています。ビンディングペダルは靴と自転車を固定するタイプのペダルで、信号での停止や発進時にバランスを崩しやすいものです。交通量の多い一般道でいきなり練習するのは危険が伴いますが、天竜川サイクリングロードのような車の来ない専用路であれば、繰り返し練習しやすくなります。

天竜川サイクリングロードは、磐田市を中心とした遠州地方の河川敷に整備された、約12キロメートルにおよぶ自転車・歩行者専用路です。寺谷地区から掛塚地区・竜洋海洋公園まで、橋の下をくぐりながらノンストップで走れる利便性と、車の往来がない安全性を兼ね備えており、家族連れから本格的なサイクリストまで幅広く利用されています。池田の渡し公園や竜洋海洋公園といった見どころに加え、オートキャンプ場や日帰り温泉と組み合わせれば、サイクリングとアウトドアを一日で満喫することもできます。訪れる際は、速度制限や天候の変化といった基本的な注意点を守りながら、河川敷ならではの開放感を楽しんでみてください。

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