しまなみ海道の東側に位置する「ゆめしま海道」。愛媛県上島町の弓削島(ゆげじま)、佐島(さしま)、生名島(いきなじま)、岩城島(いわぎじま)の4つの島々を橋で結ぶサイクリングコースとして近年注目を集めています。地元のサイクリストからは「ミニしまなみ海道」とも呼ばれるこのエリアは、2022年3月に生名島と岩城島を結ぶ「岩城橋」が開通したことで完全につながり、より魅力的なサイクリングスポットとなりました。
今回は、船でしか行くことができない離島サイクリングの魅力や、初心者でも安心して楽しめるコース情報、グルメスポットまで、ゆめしま海道サイクリングの全てをご紹介します!

ゆめしま海道サイクリングコースとは?基本情報と特徴を教えてください
ゆめしま海道は、愛媛県越智郡上島町に位置する4つの島(弓削島、佐島、生名島、岩城島)と3つの橋(弓削大橋、生名橋、岩城橋)からなるサイクリングコースです。全長約63.1kmのコースは、信号やトンネルがほとんどなく、交通量も少ないため、初心者から上級者まで安心して楽しめるのが特徴です。
ゆめしま海道の特徴
- 船でしか行けない離島サイクリング: しまなみ海道からフェリーで渡る必要があり、船旅も含めた特別な体験ができます
- ブルーラインで迷わない: コース全体にしまなみ海道と同様のブルーラインが整備されており、初めての方でも迷わずサイクリングを楽しめます
- 島ならではの風景: しまなみ海道とはまた違った、のどかな島の暮らしや美しい瀬戸内海の多島美を間近で感じられます
- 起伏が少なく初心者に優しい: 比較的平坦なコースが多く、サイクリング初心者でも無理なく走れます(積善山などの一部区間を除く)
- 新名所「岩城橋」: 2022年3月に開通した岩城橋によって4島がつながり、より充実したサイクリングが可能になりました
各島の特徴
1. 弓削島(ゆげじま) 上島町の中心的な島で、面積は約14.8km²。人口も他の島と比較して多く、スーパーやコンビニ、カフェやレストランなども多数あります。「ゆげ海の駅舎ふらっと」はサイクリストの休憩所「サイクルオアシス」として人気です。島の北側の外周ルートは起伏が多いものの絶景ポイントが連続し、特に大森神社の海に浮かぶ鳥居は必見です。
2. 佐島(さしま) 弓削島と弓削大橋で結ばれた小さな島。面積約2.5km²の小島ながら、「book cafe okappa」などのおしゃれなカフェや、古民家を改装したゲストハウス「汐見の家」があります。島の南端には有名な「Uターンブルーライン」があり、その先には隠れビーチも。
3. 生名島(いきなじま) 佐島と生名橋で結ばれた島で、面積約6.7km²。立石港から因島へのフェリーが頻繁に運行されており、アクセスの良さが特徴です。島の海岸線沿いのサイクリングコースからは美しい瀬戸内海の景色を楽しめます。
4. 岩城島(いわぎじま) 2022年3月に岩城橋で生名島と結ばれた島で、面積約7.7km²。「青いレモンの島」として知られ、特産品のレモンを使った商品が多数あります。島の中央に位置する積善山(標高370m)は、島内最高峰で展望台からは360度の大パノラマを楽しめます。春には3,000本の桜が咲き誇る花見の名所でもあります。
島々をつなぐ3つの橋(弓削大橋、生名橋、岩城橋)からの眺めも素晴らしく、特に生名橋からの多島美の景色は格別です。
ゆめしま海道へのアクセス方法は?フェリーの便や注意点について教えてください
ゆめしま海道へは船(フェリーまたは高速船)でしか行くことができません。しまなみ海道サイクリングと組み合わせる場合は、以下の3つの主なアクセスルートがあります。
1. 生口島からアクセス
洲江港(生口島)⇔ 小漕港(岩城島) 【三光汽船】
- 所要時間: 約5分
- 運賃: 大人300円(自転車込)
- 運行頻度: 1時間に2~3往復(朝6時台から20時台まで)
- 特徴: しまなみ海道の生口島東側から最短距離でゆめしま海道に入ることができます。地元の方の生活航路となっているため、本数も多く便利です。
2. 因島からアクセス
土生港(因島)⇔ 立石港(生名島) 【生名フェリー】
- 所要時間: 約10分
- 運賃: 大人160円+自転車180円
- 運行頻度: 早朝から23時頃まで頻繁に運行
- 特徴: 因島の土生港からアクセスする最も一般的なルート。運賃が安く、便数も多いため利用しやすいです。
家老渡港(因島)⇔ 上弓削港(弓削島) 【家老渡フェリー】
- 所要時間: 約7分
- 運賃: 大人100円+自転車180円
- 運行頻度: 朝6時台から21時台まで20~30分おきに運行
- 特徴: 因島の北部から弓削島へ直接アクセスできる便利な航路です。
3. 今治からアクセス
今治港 ⇔ 岩城港・佐島港・弓削港・生名港 【芸予汽船】
- 所要時間: 今治→弓削で約1時間
- 運賃: 大人1,700円前後+自転車料金
- 運行頻度: 1日数便
- 特徴: しまなみ海道をサイクリングせずに直接ゆめしま海道へアクセスする場合に便利。ただし、時間帯によって自転車を積載できない便もあるので事前確認が必須です。
お得な「かみじまサイクルフリー券」
ゆめしま海道へは、船の自転車料金が無料になる「かみじまサイクルフリー券」を利用するとお得です。港などに置いてある専用券または印刷した券に、必要事項を記入して、運賃支払い時に渡すだけで自転車料金は無料になります(2012年から毎年キャンペーンが更新されています)。
アクセス時の注意点
- フェリーの時刻表確認: 事前に各フェリー会社の最新の時刻表をホームページなどで確認しましょう。特に最終便の時間は要チェックです。
- 自転車の積載: 芸予汽船の高速船は時間帯によって自転車を積載できない便があります。必ず事前に確認してください。
- 天候による欠航: 荒天時はフェリーが欠航することがあります。天気予報もチェックしておきましょう。
- 乗り継ぎ時間: フェリーの乗り継ぎがある場合は、余裕を持った計画を立てましょう。
- サイクリストへの配慮: フェリー乗船時は他の乗客の迷惑にならないよう、自転車の取り扱いに注意しましょう。
ゆめしま海道サイクリングの初心者向けおすすめルートと見どころは?
ゆめしま海道は全体的に交通量が少なく、起伏も穏やかなコースが多いため、初心者でも安心してサイクリングを楽しめます。以下に初心者におすすめのルートと見どころをご紹介します。
岩城島~弓削島横断コース(初心者向け定番コース)
概要:
- 距離: 約12~13km(岩城島の小漕港~弓削島の上弓削港)
- 所要時間: 1時間半~2時間(休憩・観光含まず)
- 難易度: ★★☆☆☆(初心者向け)
- 特徴: 起伏が少なく、サイクリング初心者やレンタサイクルでも非常に走りやすいコース
ルート:
- 生口島(洲江港)からフェリーで岩城島(小漕港)へ
- 岩城島をサイクリング → 岩城橋を渡る
- 生名島をサイクリング → 生名橋を渡る
- 佐島をサイクリング → 弓削大橋を渡る
- 弓削島をサイクリング
- 弓削島(上弓削港)からフェリーで因島(家老渡港)へ
主な見どころ:
- 岩城橋(岩城島~生名島) 2022年3月に開通した全長916mの新しい橋。橋の上からは瀬戸内海の美しい景色を一望できます。
- 生名橋記念公園(生名島) 佐島と生名島を結ぶ全長515mの生名橋のたもとにある公園。橋を見上げる角度からの景色は迫力満点です。
- Uターンブルーライン(佐島) 佐島の南端にある珍しいUターンしているブルーライン。その先には美しい隠れビーチがあります。(南端まで行くには山道を5km程度走る必要があります)
- 弓削大橋(佐島~弓削島) 全長980mの美しい橋。橋の上からの瀬戸内海の景色は絶景です。
- ゆげ海の駅舎ふらっと(弓削島) サイクリストの休憩所として人気のスポット。トイレや休憩スペース、情報収集ができます。
- しまでCafe(弓削島) 地元のお母さんたちが運営する人気カフェ。島の食材を使った料理が楽しめます。
弓削島外周コース(中級者向け絶景コース)
体力に自信がある方には、弓削島の外周コースもおすすめです。
概要:
- 距離: 約18km(島の北側を一周)
- 所要時間: 2~3時間(休憩・観光含む)
- 難易度: ★★★☆☆(中級者向け)
- 特徴: 部分的に急坂があり起伏が多いが、大海原の壮大な風景が連続する絶景ルート
主な見どころ:
- 大森神社(弓削島北部) 海に鳥居が立つ風光明媚な神社。「これぞ海神社」と呼ばれる絶景スポットです。
- 防波堤アート「天の花」 弓削島北部の久司浦地区にある色鮮やかな防波堤アート。SNS映えするフォトスポットです。
- 弓削大谷 瀬戸内海の広い海原を望む絶景ポイント。朝日の時間帯は特におすすめです。
積善山コース(上級者向けヒルクライムコース)
チャレンジ精神旺盛な方には、岩城島の積善山登山も体験してみましょう。
概要:
- 距離: 往復約8km(岩城港から山頂まで)
- 獲得標高: 約370m
- 難易度: ★★★★☆(上級者向け)
- 特徴: 島内最高峰の積善山頂上には360度の大パノラマが広がる展望台あり
ポイント:
- 岩城島の南側、岩城港からのルートが比較的傾斜が緩やか(平均勾配6.7%)
- 春には3,000本の桜が咲き誇る愛媛屈指の花見スポット
- 山頂からは瀬戸内海の島々を一望でき、四国山地や中国山地も見渡せる絶景
ゆめしま海道周辺の人気カフェやレストランのおすすめスポットは?
ゆめしま海道の島々には、地元の食材を活かした魅力的なカフェやレストランが点在しています。サイクリングの休憩や食事に立ち寄りたいおすすめスポットをご紹介します。
弓削島のグルメスポット
1. しまでCafe
- 場所: 弓削島の中心部
- 特徴: 島のお母さんたちが運営する人気カフェレストラン
- おすすめメニュー:
- レモンポークのソテー(島特産のレモンを餌に混ぜて育てた豚肉料理)
- 摘み菜ランチ(島に自生する野草をその日に収穫して提供・1日5食限定)
- 営業時間: 9:30~17:00(火曜定休)
2. 食堂まるふ農園
- 場所: 弓削港から上島町役場を通った先の路地裏
- 特徴: 自家栽培の野菜を使ったこだわりの料理が楽しめる農園併設の食堂
- おすすめメニュー: 旬の野菜をふんだんに使ったランチプレート
- 営業時間: 土・日・月のみ営業(要確認)
3. Kitchen 313 Kamiyuge
- 場所: 上弓削の路地裏
- 特徴: 100年以上の歴史ある古民家を改修したパン・お菓子・コーヒーの工房
- おすすめメニュー: 手作りのパンや焼き菓子、こだわりのコーヒー
- 営業時間: 火・木・土のみ営業(要確認)
4. インランド・シー・リゾート フェスパ レストラン
- 場所: 弓削島の小高い丘の上
- 特徴: 全室オーシャンビューのホテル内レストラン
- おすすめポイント: 瀬戸内海を見下ろしながら食事ができる、日帰り入浴も可能
- 営業時間: ランチ 11:30~14:00
佐島のグルメスポット
book cafe okappa
- 場所: 佐島の中心部、旧保育所を改装
- 特徴: おかっぱ頭の女性二人が島に移住して開いたカフェ
- おすすめポイント: のんびりとした島時間を過ごせるくつろぎスポット、本も読める
- 営業時間: 11:30~17:00(月~金曜定休・要確認)
岩城島のグルメスポット
1. わらしべ。岩城島BASE
- 場所: 岩城港近く
- 特徴: 柑橘や地場産品を扱う「わらしべ。」が運営するレモネードスタンド
- おすすめメニュー: 「越冬完熟の究極のレモンジュース」(フードプロフェッショナルアワードでグランプリ受賞)
- 営業時間: 要確認
2. Takeout & Cafe たい屋
- 場所: 岩城島の浦安水産の工場敷地内
- 特徴: 鯛の養殖業を営む会社が開いたカフェ
- おすすめメニュー: 鯛料理各種、海が見えるカフェスペースでの休憩
- 営業時間: 休日限定営業(要確認)
3. レモン・ハート
- 場所: 岩城港のリモーネ・プラザ内
- 特徴: 島の特産であるレモンを使ったメニューが楽しめる
- おすすめメニュー: レモンポーク丼
- 営業時間: 要確認
グルメ利用時の注意点:
- 島のお店は営業日や営業時間が不定期な場合が多いので、事前に確認することをおすすめします
- 繁忙期は混雑することもあるので、余裕を持った計画を
- 島の食材を使った料理は季節によってメニューが変わることも
ゆめしま海道でサイクリングする際の準備と注意点は?
ゆめしま海道でサイクリングを楽しむためには、適切な準備と注意点を押さえておくことが大切です。初めて訪れる方のために、役立つ情報をまとめました。
レンタサイクル情報
ゆめしま海道・上島町には独自のレンタサイクルシステムがあります。
上島町レンタサイクル:
- 拠点: 弓削島、生名島、岩城島、魚島のレンタサイクルターミナル
- 特徴: エリア内の別ターミナルでの乗り捨ても可能
- 料金: 普通自転車1日1,000円前後、電動アシスト自転車1日1,500円前後
- 注意点: しまなみ海道のレンタサイクルとは連動していないので注意
しまなみ海道レンタサイクル利用者への注意点:
- しまなみ海道とゆめしま海道の両方をサイクリングする場合は、しまなみ海道のレンタサイクルを利用する方が便利
- しまなみ海道のレンタサイクルでゆめしま海道に渡る場合、自転車を持ち込む船賃が必要(かみじまサイクルフリー券で無料になることも)
休憩スポット「サイクルオアシス」
ゆめしま海道にも、しまなみ海道エリアと同様に「サイクルオアシス」が整備されています。
主なサイクルオアシス:
- 弓削島: 海水温浴施設「潮湯」、レストラン「しまでcafe」
- 岩城島: 「岩城観光センター」
サイクルオアシスでのサービス:
- 空気入れの貸出
- 給水
- トイレの利用
- 休憩スペースの提供
- 地元住民との交流機会
サイクリング時の持ち物チェックリスト
必須アイテム:
- ヘルメット(安全のため必ず着用を)
- 水分(島内では購入場所が限られるため多めに)
- 行動食(エネルギー補給用のお菓子など)
- モバイルバッテリー(緊急時の連絡用)
- 日焼け止め(海上は紫外線が強いので要注意)
- 雨具(天候変化に備えて)
- 現金(島内ではキャッシュレス決済に対応していない場所も多い)
- フェリー時刻表(プリントアウトか、スマホにダウンロード)
あると便利なアイテム:
- サイクリンググローブ
- サングラス
- 着替え・タオル(汗をかいたり、急な雨に備えて)
- 簡易工具・パンク修理キット
- カメラ(絶景スポットが多いので)
- 島のサイクリングマップ(「しまなみ島走MAP」の上島町編がおすすめ)
サイクリング時の注意点
1. フェリーの時間を確認
- 最終便の時間は必ず確認しておく
- 荒天時は欠航の可能性もあるので天気予報もチェック
2. 交通ルールを守る
- 自転車は車道の左側を走行
- 並走は禁止(一列で走行)
- 交差点では一時停止と安全確認を徹底
3. 体調管理
- こまめな水分補給と休憩
- 無理せず自分のペースで走行
- 夏場は熱中症に注意
4. 島ならではの注意点
- 携帯電話の電波が不安定な場所もある
- 島内のコンビニやスーパーは数が限られるので買い物はなるべく早めに
- 天候が急変することもあるので、天気予報のこまめなチェックを
5. 宿泊する場合
- 繁忙期は宿が取りにくいので早めの予約を
- 島内の宿泊施設は数が限られるので、計画的に
ゆめしま海道は、しまなみ海道ほど有名ではありませんが、その分混雑も少なく、のんびりとした島時間を楽しめる穴場的なサイクリングコースです。船旅からはじまる特別な体験を、ぜひ島の雰囲気や美しい景色とともに満喫してください。
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