神宮外苑サイクリングコースは、東京都心部にある貴重なサイクリングスポットとして、多くの自転車愛好家や親子連れに愛され続けています。明治神宮外苑内の公道が特定の日時に自転車専用コースとして開放されるこの場所は、都市部では珍しい安全で快適なサイクリング環境を提供しています。国立競技場や神宮球場といった歴史ある施設に囲まれた緑豊かな環境で、家族みんなでサイクリングを楽しむことができます。しかし、現在は再開発問題や運営状況の変化により、利用に関して注意すべき点もあります。また、自転車に乗れない子供や大人を対象とした教室も開催されており、短期間で自転車に乗れるようになる高い効果で注目を集めています。神宮外苑のサイクリングコースについて、最新の情報を含めて詳しく解説していきます。

神宮外苑サイクリングコースはいつ利用できる?現在の開催状況と利用時間について
神宮外苑サイクリングコースの利用可能日時について、最新の状況を把握することが非常に重要です。従来は毎週日曜日と祝日の午前9時から午後5時まで、神宮外苑内の公道が自動車の乗り入れ禁止となり、自転車専用コースとして開放されていました。
しかし、2025年6月時点では利用状況が複雑化しており、注意が必要です。警視庁のウェブサイトによると、現在は「長期休止中」とされており、実施の有無については四谷警察署への確認が必要な状況となっています。一方で、自転車教室や特別なイベント時には利用されているという情報もあり、完全に閉鎖されているわけではないようです。
この混乱の背景には、神宮外苑の大規模再開発工事が影響していると考えられます。明治神宮第二球場の解体工事がほぼ完了し、新宿区道の一部では道路封鎖も実施されているため、従来のようなサイクリングコースの運営が困難になっている可能性があります。
利用を検討している方は、事前に必ず最新情報を確認することをお勧めします。確認先は四谷警察署や神宮外苑サイクリングセンターの公式サイトです。また、悪天候や年末年始などには従来も休止されることがあったため、天候状況も考慮する必要があります。
現在の状況では、一般的なサイクリング目的での利用よりも、自転車教室やイベント参加を通じた利用の方が確実性が高いと言えるでしょう。サイクルドリームフェスタのような特別イベント時には確実にコースが利用できるため、そうした機会を狙うのも一つの方法です。
神宮外苑の自転車乗り方教室とは?料金や対象年齢、効果について詳しく解説
神宮外苑の自転車乗り方教室は、自転車に乗れない子供や大人を対象とした実践的な指導プログラムです。この教室は神宮外苑サイクリングセンターで実施されており、短期間で高い効果を上げることで評判となっています。
開催日時と受付方法について、教室は毎週日曜日と祝日のみの開催で、午前の部(9:30~12:00)と午後の部(13:00~15:30)の2回実施されます。受付は午前・午後ともに8:30から開始されますが、事前予約は受け付けていません。定員になり次第締め切られるため、特に気候の良い季節は早めに並ぶことが重要です。また、受付時には受講者本人も一緒に並ぶ必要があります。これは体格に合わせた自転車選定とクラス分けのためです。
対象年齢と料金については、子供は5歳から8歳までが対象とされていますが、大人も年齢制限なく参加可能です。料金は1回1,000円(保険料込み)で、2017年頃から有料化されました。自転車は教室で貸し出されるため手ぶらで参加でき、ヘルメットを持参しない場合は100円でレンタルできます。ただし、サンダルなど脱げやすい履物での参加は安全上禁止されています。
指導内容と驚異的な効果が、この教室の最大の魅力です。まず指導員による模範演技と口頭レクチャーから始まり、ペダルを外した状態の自転車でバランス感覚、ハンドル操作、ブレーキの使い方を習得します。子供たちはほとんど転ばず、1時間程度でスムーズに蹴り進めるようになります。
バランスが取れるようになったらペダルを取り付け、指導員が背中を押しながら伴走してサポートします。この一連の流れはわずか2時間半で完了し、参加者の約30%が1回の教室で自転車に乗れるようになるという驚異的な成果を上げています。1回で乗れない場合でも、次回の教室でほとんどの子が乗れるようになり、中には1時間で習得する子供もいます。
教室修了者には記念の「自転車教室修了証」が贈られ、子供たちの達成感を高めています。指導員によると、親が練習に過度に介入しないことが上達の秘訣だそうです。親が近くにいると子供に甘えが生じがちなため、コース脇で見守る形が推奨されています。
この教室が人気の理由は、高い効果だけでなく、現代の「自転車練習場所不足」問題も背景にあります。近所の道路での練習は危険で、多くの公園でも自転車が禁止されているため、安全に練習できる貴重な場所として重宝されています。
神宮外苑サイクリングコースの魅力とは?距離やコースの特徴、楽しみ方を紹介
神宮外苑サイクリングコースは、都心部にありながら自然豊かな環境でサイクリングを楽しめる貴重なスポットです。コースの距離は一周約1.2kmと、幼稚園児でも10分程度で楽しめる親しみやすい距離設定となっています。
コースの特徴として、まず挙げられるのが3車線分もの広さです。これにより家族で並走してサイクリングを楽しむことができ、安全性も確保されています。コース内は変化に富んでおり、木々に囲まれた道あり、カーブあり、開けた場所ありと、単調になりがちな周回コースでも飽きることがありません。
特に景観の美しさは神宮外苑ならではの魅力です。国立競技場や明治記念館、神宮球場といった歴史ある建造物を眺めながら走ることができ、建設当時の新国立競技場の工事現場なども見どころの一つでした。秋になると、神宮外苑の象徴であるいちょう並木が黄金色に色づき、まさに絶景の中をサイクリングできます。
利用の自由度も大きな魅力です。自分の自転車を持ち込めば利用は完全無料で、好きなだけ周回することができます。子供たちは景色の変化を楽しみながら何周も走り回り、大人も日頃の運動不足解消やストレス発散に最適です。
多様な利用者への配慮も見られます。サイクリング以外にも、ジョギングやインラインスケートを楽しむ人もいますが、基本的には自転車優先のコースとして設計されています。そのため、他の利用者は自転車、特に子供たちに配慮したマナーを守ることが求められています。
季節ごとの楽しみ方も豊富です。春は新緑、夏は木陰の涼しさ、秋は紅葉、冬は澄んだ空気と、四季折々の自然を感じながらサイクリングができます。特に秋のいちょう並木シーズンは多くの人が訪れる人気の時期です。
家族連れにとっての価値は計り知れません。都心部で安全に子供と一緒にサイクリングできる場所は限られており、交通量を気にすることなく親子でサイクリングを楽しめる環境は貴重です。子供の体力に合わせて周回数を調整でき、疲れたらいつでも休憩できる安心感もあります。
ただし、現在は利用状況が不安定であるため、訪問前には必ず最新情報の確認が必要です。それでも、利用可能な時期には都心で味わえる最高のサイクリング体験が待っています。
神宮外苑再開発問題がサイクリングコースに与える影響は?現在の状況と今後の見通し
神宮外苑の大規模再開発計画は、サイクリングコースの存続に深刻な影響を与えている重要な問題です。この再開発は3000億円以上の巨大プロジェクトで、既存施設の老朽化対応と神宮の維持管理費確保を目的としていますが、多方面から強い反対の声が上がっています。
再開発の背景と内容について、明治神宮野球場や秩父宮ラグビー場の老朽化が進み、バリアフリー対応や最新設備への更新が必要となっています。また、明治神宮の年間維持費が10億円以上かかる中、高層ビルを建設してその賃料収益を維持管理に充てるという経営戦略があります。事業には明治神宮のほか、伊藤忠商事、三井不動産、日本スポーツ振興センターなどが参加しています。
最大の争点である樹木伐採問題は、サイクリングコースの環境にも直接影響します。当初700本以上の樹木が伐採される予定でしたが、市民の反対を受けて124本減らす見直し案が示されました。それでも大量の樹木が失われることに変わりはなく、サイクリングコースの魅力である緑豊かな環境が大きく損なわれる可能性があります。
国際的な注目と反対運動も拡大しています。国連の組織であるイコモス(国際記念物遺跡会議)は「ヘリテージアラート(文化遺産危機警告)」を発出し、100年以上の歴史を持つ森の破壊を警告しています。音楽家の坂本龍一さんが生前に小池都知事に再開発中止を求める手紙を送ったことをきっかけに、村上春樹さんや桑田佳祐さんなど多くの文化人が反対を表明しています。
現在の工事状況とサイクリングコースへの影響は深刻です。明治神宮第二球場の解体工事はほぼ完了しており、新宿区道の一部では道路封鎖が実施されています。これらの工事により、従来のサイクリングコースの運営が困難になっており、警視庁が「長期休止中」と発表している状況につながっています。
樹木伐採の現状については、東京都が事業者に対して樹木保全方法の再検討を指示したため、2023年9月予定の伐採作業は停止しています。事業者側は伐採本数の削減やいちょう並木との距離を8mから10m近くに広げるなどの見直し案を公表しましたが、市民の不信感は解消されていません。
今後の見通しは不透明です。事業者が東京都に提出する環境影響文書の審査が完了すれば、手続き上は伐採に進むことが可能になります。しかし、2024年東京都知事選でも再開発問題が争点となり、現職の小池百合子氏と前参議院議員の蓮舫氏の間で見直しについて意見が対立しました。
サイクリングコース利用者への影響は長期化する可能性があります。再開発工事は数年にわたって続くため、従来のような安定したサイクリングコース利用は困難な状況が続くと予想されます。ただし、自転車教室や特別イベント時の限定利用は継続される可能性があり、完全に利用不可能になるわけではないかもしれません。
この問題は、都市開発と市民の憩いの場の保護という現代的な課題を象徴しており、神宮外苑が今後どのような形で市民に親しまれる場所として存続するかが注目されています。
神宮外苑周辺のサイクリング関連イベントやスポットは?チャリカフェやポタリング情報も
神宮外苑周辺は、サイクリングコース以外にも自転車愛好家にとって魅力的なスポットが点在しています。特に自転車文化が発達したエリアとして、様々なイベントや施設が充実しています。
サイクルドリームフェスタは、毎年5月5日の「自転車の日」に開催される大規模な自転車イベントです。2025年の開催では、明治神宮外苑の聖徳記念絵画館前通りをメイン会場とし、神宮外苑サイクリングロードを試乗コースとして活用しました。ロードバイク、タンデム自転車、電動アシスト自転車、ふたごじてんしゃなど、多様な自転車を体験できる貴重な機会となっています。
試乗会への参加は傷害保険料として200円が必要で、事前申し込みと身分証明書の提示が求められます。BMXパフォーマンスショー、自転車メンテナンス講座、交通安全教室なども開催され、家族連れで一日中楽しめるイベントとして定着しています。子供向けのBMX・MTB乗り方教室も実施され、様々なレベルの自転車愛好家に対応しています。
ポタリング(のんびりサイクリング)の聖地としても、神宮外苑周辺は理想的なエリアです。都心部にありながら緑が豊富で、歴史的な建造物や文化施設が点在しているため、自転車でゆっくり散策する「ポタリング」に最適な環境が整っています。
チャリカフェ(自転車愛好家向けカフェ)も充実しており、サイクリングの休憩スポットとして重宝されています。南青山にある「OVE(オーブ)」は、自転車部品メーカーのシマノが運営するカフェで、店内にサイクルラックを完備しており、盗難の心配なく自転車を停められる安心感があります。オーガニックな食事と自転車関連雑貨も楽しめる、まさに自転車愛好家のためのスポットです。
その他にも「盆栽自転車店」「ラファ サイクル クラブ TOKYO」「RATIO &C」「LUG」「ピラーカフェ」などの個性的なチャリカフェが点在しています。これらの店舗は、サイクルショップを併設していたり、バイクラックを完備していたりするため、安心して自転車を停めて休憩や食事ができます。
自転車文化の発信基地としての役割も果たしており、最新の自転車情報交換や愛好家同士の交流の場となっています。店舗によっては自転車のメンテナンスサービスや、サイクリングツアーの企画なども提供しており、単なるカフェを超えた自転車ライフスタイルの拠点として機能しています。
アクセスの良さも魅力の一つです。神宮外苑周辺は地下鉄各線からアクセスしやすく、自転車を輪行(分解して袋に入れて電車で運ぶ)して現地で組み立てることも可能です。また、レンタサイクルサービスも充実しているため、自転車を持っていない人でも気軽にポタリングを楽しめます。
ただし、再開発工事の影響でアクセスルートや周辺環境が変化している可能性があるため、訪問前には最新の交通情報や店舗の営業状況を確認することをお勧めします。それでも、神宮外苑周辺は東京における自転車文化の中心地として、多くの魅力的なスポットと体験を提供し続けています。
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