東京の中心部で自動車の往来を気にすることなく、自転車で自由に走行できる貴重な機会として、皇居周回(パレスサイクリング)コースが多くの人々に愛され続けています。通称「パレサイ」として親しまれるこのイベントは、一般財団法人自転車産業振興協会によって1975年から開催されており、40年以上の歴史を持つ由緒ある催しです。皇居周辺の自然環境保護と人々の健康増進を目的とし、都心の真ん中にありながらお堀の水と松の緑に恵まれた豊かな自然環境の中で、歴史と現代のコントラストを感じながらサイクリングを楽しめます。ロードバイクからママチャリまで、どんな種類の自転車でも参加でき、初心者から上級者まで幅広い層が利用できる点も大きな魅力となっています。

パレスサイクリングコースとは何ですか?基本情報を教えてください
パレスサイクリングコースは、東京都心に位置する皇居周辺の道路を、特定の時間帯に自転車専用道路として特別に開放する画期的なイベントです。このイベントの最大の特徴は、通常4車線もの広々とした車道を自転車で独占して走る爽快感を味わえることです。
コースは主に皇居外苑の内堀通りに設定され、祝田橋交差点から平川門交差点までの往復約3kmの区間が自動車の通行規制対象となります。1周にかかる時間は15分から20分程度で、開催時間内であれば何周でも自由に走行することができます。また、自転車から降りてゆっくり過ごすことも可能です。
どんな種類の自転車でも参加可能という点も大きな魅力で、ロードバイクやクロスバイクといったスポーツバイクはもちろん、ママチャリやシティサイクル、子供用自転車まで対応しています。初心者からベテラン、家族連れ、サイクリング愛好家、カップルなど、老若男女問わず多くの人がそれぞれの目的でサイクリングを楽しんでいます。
皇居周辺には全長約5kmの「皇居一周コース」も存在し、パレスサイクリングの3kmコースはこの一部にあたります。特に平坦な区間を含んでいるため、体力に自信がない方でも安心して参加できる設計となっています。都会の喧騒を離れ、自然に囲まれた環境で自転車に乗ることで、心身ともにリフレッシュできる貴重な機会を提供しています。
パレスサイクリングの開催日時やアクセス方法、2025年の最新情報は?
パレスサイクリングは毎週日曜日に開催され、開放時間は午前10時から午後4時までとなっています。午後4時を過ぎると交通規制が解除され、自動車が通行し始めるため注意が必要です。
ただし、毎週必ず開催されるわけではありません。2025年度については、7月と8月は例年通り休止となることが発表されています。開催が中止される主なケースは、雨天時(開催日前々日の金曜日午前11時の気象庁発表予報で降水確率が50%以上の場合)、皇室の式典や行事、東京マラソンなどのイベント開催時です。
アクセス方法については、公共交通機関の利用が便利です。地下鉄千代田線「二重橋前駅」2番出口から徒歩約3分、日比谷線「日比谷駅」から徒歩8分、JR「東京駅」丸の内側から徒歩15分となっています。皇居前警備派出所横に案内所のテントがあり、不明な点があれば尋ねることができます。
自転車の準備について重要な変更点があります。以前はイベントで自転車の貸し出しが行われていましたが、平成30年(2018年)3月をもって終了しています。したがって、コースを走る自転車は各自で用意する必要があります。
自分の自転車を持参するのが難しい場合は、皇居周辺のレンタサイクルサービスを利用できます。ドコモ・バイクシェアの電動アシスト自転車、東京駅直結のMarunouchi Bike&Run、希望の場所まで自転車を届けてくれる東京サイクリングツアー&レンタサイクルなど、複数の選択肢があります。最新の開催情報は自転車産業振興協会のホームページで確認することが強く推奨されています。
パレスサイクリングコースの距離や走行ルート、周辺施設について詳しく知りたい
パレスサイクリングコースの基本的な距離は往復約3kmで、皇居外苑の内堀通りの祝田橋交差点から平川門交差点までが対象区間となります。この区間は通常4車線の広々とした車道で、4車線のコースではスピードが速い自転車は内側のレーン、ゆっくり走りたい場合は外側のレーンを走ることが推奨されています。
より本格的なサイクリングを楽しみたい方には、皇居一周コース(全長約5km)があります。このコースは信号がなく、適度な高低差があるため、トレーニングコースとしても人気です。コースは基本的に反時計回りで走行することが推奨されており、「逆走厳禁」とされています。
皇居一周コースの詳細な区間構成は以下の通りです:①祝田橋~竹橋(2kmの平坦区間)、②竹橋~代官町(約500mの上り坂)、③代官町~千鳥ヶ淵(600mの平坦区間)、④千鳥ヶ淵~半蔵門(450mのスプリント区間)、⑤半蔵門~国会前~祝田橋(1.5kmの快走区間)。
周辺施設については、皇居ランニングコース沿いに数ヶ所の公衆水洗トイレと水飲み場が設置されており、パレスサイクリングの際にも利用できます。ただし、皇居周辺にはコンビニやスーパーがほとんどないため、事前に飲食物を準備して持参することが強く推奨されています。
子ども向けの特別施設も充実しており、補助輪付き自転車専用コーナー、幼児練習コーナー、小学生以上を対象とした自転車乗り方教室が用意されています。また、専用駐車場はありませんが、近くの有料駐車場を利用することができ、皇居周辺には朝から夜まで2,000円台で利用できる駐車場もあります。
パレスサイクリングの利用ルールやマナー、安全に楽しむための注意点は?
パレスサイクリングを安全で快適に楽しむためには、重要なルールとマナーを守ることが必要です。最も重要なのは、パレスサイクリングコースはレース場ではないということです。家族連れや子どもたちも多く走る、のんびりとサイクリングを楽しむためのコースであり、スピードの出し過ぎやレースまがいの行為は厳禁とされています。
基本的な安全走行ルールとして、スピードの出し過ぎや無理な追い越しは避け、手放し運転、片手運転、よそ見運転は禁止されています。また、急ブレーキ、急カーブ、コース内での逆走、ジグザグ運転も禁止されており、二人乗りはタンデム車を除き禁止です。ブレーキのない自転車(ピストバイクなど)や変形自転車は走行できません。
交通ルールの遵守も重要で、自転車専用道路として開放されていても、歩行者の出入りは可能であり、信号機も通常通り稼働しています。信号はもちろんのこと、係員や警察官、道路標識、看板などの指示には必ず従う必要があります。
歩行者への配慮も欠かせません。コース内は自動車の通行が規制されていますが、皇居外苑を散策する歩行者は自由に出入りできます。特に、信号のない場所で歩行者が飛び出してくる可能性があるため、常に周囲に注意を払い、必要以上にスピードを出さないことが重要です。
駐輪に関するルールとして、コース内や路上、空き地などには駐輪できません。皇居外苑自体にも専用の駐輪場はなく、芝生や林内への進入、駐輪も禁止されています。停車する際は、後方の安全を確認し、左に寄って徐行しながら停止しましょう。
環境保護の観点から、自分が出したゴミは必ず持ち帰ることが基本的なマナーです。また、事故や怪我については自己責任となるため、利用者は各自で十分注意する必要があります。
パレスサイクリング後の楽しみ方や周辺観光スポット、おすすめの過ごし方は?
パレスサイクリングの魅力は、サイクリング自体を楽しむだけでなく、その立地を活かした周辺観光や食事も同時に楽しめることです。東京駅の丸の内駅舎がすぐ近くにあるため、丸の内エリアでのショッピングやグルメを手軽に楽しむことができます。
丸の内エリアでは、丸の内ビルディングや新丸の内ビルディングに多くの商業施設やレストランが入居しており、特に新丸の内ビルディングの地下1階にはシャワーブースや屋内駐輪場を完備したランナーズステーションもあります。日本郵便が手掛けた商業施設「KITTE」や、イギリス風の庭園がある「丸の内ブリックスクエア」なども、ハイセンスなショッピング体験を提供します。
歴史と文化を感じられる観光スポットも豊富です。二重橋や桜田門、桜の名所として知られる千鳥ヶ淵(ボート乗り場もあります)、都会のオアシスとして噴水や季節の花々が咲く日比谷公園などが徒歩圏内にあります。さらに、国会議事堂、警視庁、日本武道館、東京国立近代美術館、科学技術館など、文化施設や国の重要な建物も集中しています。
少し足を延ばしたサイクリングでは、秋葉原の電気街や上野動物公園、浅草、スカイツリーなどもサイクリング圏内で楽しめます。東京都は自転車通行空間の整備に積極的に取り組んでおり、皇居周辺は日本の玄関口である東京駅と六本木・虎ノ門地区を結ぶ約3kmのミニサイクリングコースの一部としても位置付けられています。
サイクリングデートとしても最適で、自転車好きのカップルにとってうってつけのスポットです。のんびりと景色を楽しんだり、スピード感を味わったりと、それぞれの楽しみ方で絆を深めることができます。サイクリング後の丸の内でのショッピングや食事も、デートをさらに充実させる要素となります。
四季折々の美しさも楽しめ、特に春の桜や秋のイチョウの紅葉は格別です。都市におけるサイクリングの開放感を味わい、心身をリフレッシュするために、ぜひ次の日曜日に「パレサイ」を訪れて、東京の中心部で自然、歴史、都会の景観、そしてコミュニティの喜びを同時に体験してください。
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