たまリバー50kmとは、多摩川の河川敷に沿って整備された全長約53kmのサイクリング・ウォーキング・ランニングコースです。東京都が都民の健康づくりを目的として整備し、西側の起点・羽村取水堰から東側の終点・大師橋緑地までを結ぶ、首都圏を代表するサイクリングルートとして親しまれています。本記事では、たまリバー50kmの基本情報、コース区間ごとの特徴、見どころ、装備、安全に走るための注意点まで、初めて挑戦する方からベテランサイクリストまで役立つ情報を網羅的に紹介します。多摩川サイクリングコースの全容を理解し、安心して走り出せる準備が整う内容に仕上げました。週末のロングライドや初めての都市型サイクリングの計画にぜひお役立てください。

たまリバー50kmとは何か:多摩川サイクリングコースの基礎知識
たまリバー50kmとは、多摩川の河川敷等を活用して整備された、全長約53kmにわたる連続したコースです。正式名称は「たまリバー50キロ」で、東京都都市整備局が管理・推進しています。名称は「50キロ」となっていますが、実際の総延長は53km程度ある点が特徴です。
このコースは、一本の自転車専用道として完全に整備されているわけではありません。沿川の各区市が個別に整備したサイクリングロード、遊歩道、河川敷の道路、一部の一般道路を組み合わせて形成されています。多摩川に沿って東京都側(左岸)を中心に走るルートで、区間によって道幅や路面状態が大きく異なる点を理解しておく必要があります。
多摩川サイクリングロードは「タマサイ」という愛称でも親しまれており、週末を中心に多くのサイクリスト、ランナー、ウォーカーが集う場所です。都心部から電車で短時間でアクセスでき、都市の中にいながら豊かな自然を体感できる希少なコースとして、首都圏の自転車愛好家から長く支持されています。
たまリバー50km 多摩川サイクリングコースの起点と終点・基本データ
たまリバー50kmの起点は羽村市の羽村取水堰(羽村堰)付近、終点は大田区の大師橋緑地付近です。全長は約53kmで、上流から下流へ向かう形がコースの基本となります。
起点へのアクセスは、JR青梅線「羽村駅」が最寄り駅となります。羽村駅西口から多摩川方面へ道なりに約700m歩くと、羽村堰のある起点に到着します。終点側の大師橋エリアへは、京急大師線「小島新田駅」が比較的近く、都営浅草線「京急蒲田駅」からもアクセス可能です。電車で自転車を持ち運ぶ輪行を予定している場合は、各路線の輪行規定を事前に確認しておきましょう。
コース上には起点からの距離を示すキロポスト(距離マーカー)が設置されており、羽村取水堰付近には道路に埋め込まれた「53.0km / 0.0km」の案内板があります。1kmごとに距離を確認しながら走れるため、ペース配分や残距離の把握にも役立ちます。
たまリバー50kmのコース区間ごとの特徴と多摩川の見どころ
たまリバー50kmは大きく4つのエリアに分けられ、上流から下流へ向かうにつれて川幅や景色、沿線の雰囲気が大きく変化します。それぞれの区間で見られる多摩川の表情こそ、このコース最大の魅力です。
第1区間:羽村〜立川・日野エリア(上流部)
上流部にあたるこの区間は、川幅が下流に比べて狭く、緑豊かな自然環境が広がる落ち着いた区間です。起点の羽村堰から福生市、昭島市を経て立川市・日野市へと続きます。
羽村堰の少し上流にある「根がらみ前水田」では、例年4月中旬ごろにチューリップまつりが開催されます。約35万本のチューリップが咲き誇るこの祭りは地元で大変人気があり、起点に訪れた際にはぜひ立ち寄りたい春の風物詩です。立日橋(たっぴばし)付近では多摩川の流れが広がり、遠くに奥多摩の山々や、条件が良ければ富士山のシルエットを望める眺望スポットとなっています。
第2区間:府中・調布・狛江エリア(中流部)
府中市に入ると「府中多摩川かぜの道」と呼ばれる約10kmにわたる整備されたルートに入ります。この区間には独自の交通ルールが定められており、道幅は比較的広く、桜並木も楽しめる人気のエリアです。春の桜シーズンには、満開の桜のトンネルの下をサイクリングする絶景が楽しめます。
府中から調布市、狛江市へと向かう区間は、道幅は広くなく路面状況も良いとはいえない箇所がありますが、多摩川の自然を身近に感じながら走ることができます。多摩川原橋付近の稲城市エリアには、サイクリスト御用達のカフェがあり、週末は多くのサイクリストで賑わいます。自転車ラックも完備されており、休憩スポットとして最適です。
第3区間:登戸・二子玉川エリア(中流下部)
川崎市との境界に近い登戸・多摩水道橋付近では、川崎市側(右岸)の「かわさき多摩川ふれあいロード」と接続します。この付近から下流の二子橋・二子玉川方面にかけて、左岸の東京都側は未舗装区間(砂利道やグラウンドの中を通る箇所など)があるため、ロードバイクで走行する場合は特に注意が必要です。
二子玉川エリアには大規模複合施設「二子玉川ライズ」があり、休憩・食事・ショッピングに立ち寄ることができます。二子玉川公園内にはスターバックスが入っており、多摩川を望む景色を楽しみながらコーヒーブレイクができる人気の休憩スポットです。公園内にはサイクルラックやトイレも完備されており、長距離ライドの中継地点として理想的な環境が整っています。
第4区間:丸子橋〜大師橋エリア(下流部)
丸子橋から下流の大師橋までの区間は、主に川崎市側(右岸)の「かわさき多摩川ふれあいロード」を利用するか、左岸の東京都側を走行するかを選択できます。この区間は多摩川の川幅が一気に広がり、広大な河川敷の風景が展開します。
大師橋付近では、2022年3月に開通した多摩川スカイブリッジを渡ることができます。スカイブリッジは全長675mで、羽田空港側と川崎市臨海部を結ぶ橋です。橋上からは羽田空港を発着する飛行機を間近に眺められ、迫力ある眺望が広がります。自転車は歩道横の専用路を通り、歩行者と道が分けられた一方通行となっています。終点の大師橋緑地付近では、多摩川の河口近くならではの広大な風景と、川越しに羽田空港を望む景色が広がります。
多摩川サイクリングコースの右岸ルート:かわさき多摩川ふれあいロードとは
たまリバー50kmを語る上で欠かせないのが、川崎市側(右岸)の「かわさき多摩川ふれあいロード」です。このルートは2020年2月4日に川崎市が正式名称を制定しました。
かわさき多摩川ふれあいロードは、多摩区菅野戸呂から幸区小向までの「多摩川サイクリングコース」(21.4km)と、川崎区鈴木町から川崎区殿町までの「多摩川河口青少年サイクリングコース」(3.5km)の2区間から構成されています。川崎市が整備した比較的きれいな舗装路が多く、左岸(東京都側)に未舗装区間がある場合の迂回路としても有効です。
特に、左岸の二子橋〜丸子橋間が未舗装・狭路となっているため、ロードバイクなどの細いスリックタイヤの自転車で走行する場合は右岸ルートを選択するのが賢明な判断となります。ただし、かわさき多摩川ふれあいロードも自転車専用路ではなく、歩行者と共用の道路です。川崎市は「歩行者優先」「ゆっくり走ろう」などの看板や段差を設置し、安全走行を促しています。
たまリバー50kmの路面状況と要注意スポット
たまリバー50kmを安全に走るためには、区間ごとの路面の特徴と注意が必要な箇所を事前に把握しておくことが重要です。
区間ごとの舗装状況の違い
舗装状況は区間によって大きく異なります。大田区管理の多摩川青少年サイクリングロードは全区間舗装路となっており、走りやすい区間です。府中市の「府中多摩川かぜの道」は比較的整備されたカラー舗装で、狛江市から府中・国立区間も道幅は広く、ごく一部を除いてカラー舗装となっています。一方、二子橋〜丸子橋間の左岸は未舗装の砂利道となっている区間があり、稲城北緑地公園付近では凸凹した道が続き、細いタイヤのロードバイクにはきつい区間が含まれます。
路面が荒れやすい箇所と段差
大雨や増水後は路面に砂が堆積したり、ぬかるんでいる箇所があるため注意が必要です。特に未舗装区間では増水後に泥が残ることがあり、走行しにくくなる場合があります。コース上にはトイレや人通りの多い場所付近に段差が設けられていることがあり、速度を落とさずに進入するとパンクや転倒の原因となります。段差には必ず減速して進入することが基本です。
歩行者との共存とマナー
たまリバー50kmは「サイクリング専用道路」ではなく、ウォーキング・ジョギングをする歩行者も通行する遊歩道として整備された道路です。自転車と歩行者の接触事故が発生しているため、自転車は常に徐行し、歩行者を最優先に走行する必要があります。ベルを鳴らす際も、歩行者に驚きを与えないよう配慮することが求められます。
多摩川サイクリングコース沿いのおすすめ観光スポット
たまリバー50kmのコース沿いには、サイクリングの合間に立ち寄れる見どころが豊富にあります。歴史・自然・グルメ・絶景がバランスよく揃っており、走ること自体が一つの観光体験となります。
羽村堰(羽村取水堰)
コースの起点であり、江戸時代から続く玉川上水の取水口として歴史的価値が高い場所です。羽村堰(羽村取水堰)は1653年(承応2年)に玉川兄弟(玉川庄右衛門・清右衛門)によって建設された歴史ある堰で、現在も水道水を取水する機能を持ちながら観光スポットとして親しまれています。春には桜との競演が美しく、花見を楽しみながらスタートを切れます。堰付近の公園は整備されており、トイレや休憩スペースも完備されています。
羽村市・根がらみ前水田のチューリップまつり
例年4月中旬に開催され、約35万本のチューリップが咲き誇る春の名物イベントです。羽村堰から少し上流に位置し、起点周辺の観光スポットとして多くの人が訪れます。開催時期に合わせてサイクリングの計画を立てると、より充実した旅になります。
府中多摩川かぜの道の桜並木
府中市内の区間には桜並木が続く美しい道があり、春の開花シーズンには花びらが舞う幻想的な景色の中を走ることができます。桜の見頃に合わせた早朝ライドは、多摩川サイクリングの醍醐味を存分に味わえる体験です。
二子玉川公園
川沿いの大型都市公園で、芝生広場から多摩川を一望できます。丘の頂上から多摩川を見渡せる大階段も人気のフォトスポットとなっており、サイクリング途中の絶好の休憩地です。スターバックス、トイレ、サイクルラックが完備された充実した設備が魅力です。
多摩川スカイブリッジ
2022年3月12日に開通した全長675mの橋で、羽田空港側と川崎市臨海部を結びます。橋上から羽田空港を発着する飛行機を間近に見ることができ、サイクリングコースの中でも特にフォトジェニックなスポットとして注目を集めています。自転車は専用の走行レーンを使用します。
羽田空港周辺と富士山の眺望
コース終盤は羽田空港のすぐ隣を走るため、離陸・着陸する旅客機を至近距離で眺められます。空港ならではの迫力ある光景は、サイクリングの締めくくりにふさわしい体験です。さらに、天気の良い晴れた日には、多摩川越しに富士山を望めるポイントがあります。立川〜府中区間の上流側や、二子玉川エリアの河口方向を見渡す地点が富士山眺望スポットとして知られており、特に冬から春にかけて空気が澄んでいる時期は絶好の撮影機会となります。
たまリバー50kmの休憩スポット・トイレ・補給情報
長距離のサイクリングには、適切な補給と休憩が不可欠です。たまリバー50kmのコース沿いには休憩できる施設が点在しており、計画的に活用することで快適なライドが可能となります。
コース沿いのトイレ設置場所
コース沿いの各公園や河川敷の公衆トイレを無料で利用できます。主な設置場所として、羽村堰周辺公園、拝島橋周辺、立日橋周辺(立川市)、関戸橋周辺(多摩市・府中市)、稲城北緑地公園、多摩川交流センター付近、二子玉川公園、大師橋緑地などがあります。設備の状態は場所によって異なるため、清潔さや個数に余裕のある主要拠点を計画的に活用するのがおすすめです。
コンビニエンスストアと補給ポイント
コース沿いや近隣道路沿いにコンビニが点在しており、エネルギー補給・水分補給に便利です。丸子橋周辺にはファミリーマート、多摩水道橋付近にはセブンイレブン、大師橋周辺にはローソン、府中四谷橋の0.4km上流左岸にはセブンイレブンがあります。走行前に地図アプリで事前に位置を確認しておくと、補給計画を立てやすくなります。
カフェ・休憩施設
二子玉川公園内のスターバックスは、多摩川を眺めながら休憩できる人気のカフェです。多摩川原橋近くの稲城市にあるサイクリスト向けカフェは自転車ラック完備で、週末は多くのサイクリストで賑わいます。多摩川交流センターはトイレ・休憩スペース完備で、不定期でテイクアウト可能なカフェも営業しています。
レンタサイクルサービス
自転車を持っていなくても多摩川サイクリングを楽しめます。コース近くにはレンタサイクルショップがあり、本格的なロードバイクやクロスバイクを借りられます。「RIDEAWAY(ライドアウェイ)」はJR南武線中野島駅から徒歩3分に位置する人気のレンタサイクルショップで、初心者向けのサイクリング講習やガイドツアーも開催しています。スタッフが乗り方を指導した後に多摩川サイクリングコースを引率して走るため、全くの初心者でも安心して参加できます。詳細な料金や開催情報は公式サイトで確認しましょう。
多摩川サイクリングコースのおすすめシーズンと時間帯
たまリバー50kmは一年中走れますが、特におすすめの時期は春(3月〜5月)と秋(9月〜11月)です。それぞれの季節で異なる多摩川の表情を楽しめるのが、このコースの大きな魅力です。
春(3月下旬〜4月上旬)は桜の開花シーズンで、コース沿いの桜並木が美しく、サイクリングの醍醐味を最大限に楽しめます。ただし花見客で歩道が混雑するため、歩行者への配慮が一層重要です。4月中旬には羽村のチューリップまつりも開催されます。秋(10月〜11月)は気温が穏やかで風も比較的弱く、快適にサイクリングができます。紅葉も楽しめ、空気が澄んでいるため富士山の眺望も期待できます。冬(12月〜2月)は空気が澄んで富士山や丹沢山系が美しく見える時期です。防寒対策を万全にすれば走行は十分可能で、混雑も少なくなります。夏(7月〜8月)は早朝に走れば炎天下を避けられますが、熱中症対策が必須です。日中の走行は危険なため、早朝の出発が基本となります。
おすすめ時間帯としては、平日は比較的すいていますが、週末・祝日は歩行者・ランナー・サイクリストで混雑します。週末に走る場合は早朝7時〜9時ごろに出発すると人が少なく快適です。夏場は日中の気温が40度近くになることもあるため、夏の走行は早朝6時〜8時ごろが最適です。夕方は夕焼けとともに河川敷の景色が美しくなり、特に大師橋周辺では羽田空港との絡みで印象的な景色が楽しめます。ただし日没後は照明がない区間も多いため、ライトの装備は必須です。
たまリバー50km完走に必要な装備と持ち物
たまリバー50kmを完走するために必要な装備をしっかり整えることが、安全で快適なサイクリングの第一歩です。
必須装備
ヘルメットは万一の転倒から頭部を守るために必ず着用しましょう。日本では2023年4月から自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化されました。前照灯と後部反射板であるライト類は、夜間走行や薄暗い箇所での安全確保のために必要です。携帯工具・パンク修理セットは、特に未舗装区間ではパンクリスクが高まるため、スペアチューブとタイヤレバー、ミニポンプを携行しましょう。スマートフォンと地図はコースが複雑な箇所もあるため必須で、GPSナビやコースマップを手元に用意します。東京都都市整備局が公式のコースマップを公開しています。水分・補給食もコース上にはコンビニや売店がありますが、区間によっては補給ポイントが離れているため、常に水分を持ち歩き、こまめな補給を心がけることが重要です。
あると便利な装備
日焼け止めは長時間の屋外走行で紫外線対策に役立ちます。レインウェアは突然の雨に備えて軽量なものをバッグに入れておきましょう。グローブは手のひらの痛みや疲れを軽減し、転倒時の手の保護にもなります。サングラスは強い日差しや砂埃から目を守る重要なアイテムです。輪行袋は電車で輪行する場合に必要で、ゴールから電車で帰る場合は事前に準備しておきます。
おすすめの自転車の種類
コース全体にはアスファルト舗装路と未舗装路の両方があるため、クロスバイクが最もオールラウンドに対応できる選択肢です。ロードバイクは舗装路のパフォーマンスに優れますが、未舗装区間ではタイヤが細いためリスクが高まります。未舗装区間は右岸(かわさき多摩川ふれあいロード)を迂回するか、ゆっくり押して通行することが推奨されます。マウンテンバイクは未舗装に強い反面、舗装路での巡航速度が落ちる傾向があります。
たまリバー50km完走のための実践アドバイス
全長53kmは日帰りで十分完走できる距離ですが、初めての場合や体力に自信がない場合は、区間を分けて段階的に走破することをおすすめします。
「羽村〜府中(約25km)」と「府中〜大師橋(約28km)」の2分割が代表的なパターンです。沿線にはJR・私鉄・地下鉄の駅が複数あるため、輪行での途中撤退も可能です。無理せず段階的に距離を伸ばしていく方が、長く楽しめます。
走行方向は上流から下流へ、つまり羽村から大師橋方面が推奨されます。川の流れと同方向に走ることで若干の追い風効果が期待でき、上流が標高が高く下流に向かうにつれてわずかに下り傾向となります。ただし、多摩川はほぼ平坦なコースのため、どちらの方向からでも走りやすいです。
スタート時間の設定としては、始発電車を利用して羽村に8時ごろ到着し、日が高くなる前の涼しい時間帯にスタートするプランが理想的です。余裕を持った所要時間として、休憩込みで5〜7時間を見ておくと良いでしょう。長時間のサイクリング前後には軽いストレッチを行うことで、筋肉痛や疲労の軽減につながります。
ルールとマナーの面では、歩行者を最優先にすることが大原則です。特に混雑時は降車して押して歩くことも検討しましょう。並走は禁止されており、必ず一列で走行する必要があります。スピードを出しすぎず、コースは高速走行のための道路ではなくみんなで共有するルートであることを意識します。ゴミは必ず持ち帰り、河川敷の美しい環境を守るのもサイクリストの責務です。イヤホンの片耳使用も禁止されている地域があるため、周囲の音を聞ける状態を保つことが大切です。
たまリバー50kmの歴史と多摩川の背景
たまリバー50kmは、東京都が策定した健康づくりを推進するプロジェクトの一環として整備されました。多摩川は古くから東京と神奈川の境界をなす一級河川で、江戸時代には玉川上水の水源として江戸の街を支えた歴史を持ちます。
羽村堰(羽村取水堰)はその象徴的な施設で、1653年(承応2年)に玉川兄弟(玉川庄右衛門・清右衛門)が建設した歴史ある堰です。現在も水道水を取水する機能を持ちながら、観光スポットとしても親しまれています。多摩川沿いの各市区が個別に整備を進めてきたサイクリングロードを、東京都が「たまリバー50km」として一つのルートにまとめ、コースマップの整備や案内板の設置などを行ってきました。近年では沿線のにぎわいづくりや観光振興を兼ねたイベントも開催されるようになり、その知名度は年々高まっています。
たまリバー50kmの走行データと所要時間の目安
たまリバー50kmには、コース上の要所に距離マーカー(キロポスト)が設置されています。起点の羽村取水堰付近には道路に埋め込まれた「53.0km / 0.0km」という案内板があり、そこからスタートして1kmごとに距離を確認しながら進めます。終点の大師橋緑地側では「0.0km」となり、コース全体を走り切った達成感を感じられる仕掛けです。
ルートを左岸のみで走った場合の走行距離は約53km、一部区間で右岸(かわさき多摩川ふれあいロード)に渡るルートを選択した場合は、橋の往復距離が加わり実質55〜56km程度になることもあります。
所要時間の目安は、平均時速15〜18kmのクロスバイク・一般的なペースで休憩込み約5〜7時間、平均時速20km以上のロードバイク・速めのペースで純走行2時間30分程度、休憩込みで4〜5時間が標準です。観光・グルメを楽しみながらのんびり走るプランでは、8〜10時間の1日コースとして計画するのが現実的です。はじめてたまリバー50kmを走る場合は、焦らずたっぷり時間を確保し、途中の景色や立ち寄りスポットを楽しみながらのんびり走ることをおすすめします。
多摩川サイクリングコース周辺エリアとセットで楽しむプラン
たまリバー50kmはそれ単体でも充実していますが、周辺エリアとセットにすることでさらに楽しみが広がります。
羽村・福生エリアは、ゴールまたは起点となる羽村周辺に位置し、米軍横田基地に隣接する福生市の国際色豊かな雰囲気が魅力です。石川酒造などのビール醸造所もあり、サイクリング後のランチや観光に最適なエリアです。立川・国立エリアはコース中間付近に位置し、立川は商業施設や飲食店が充実しており補給や昼食に便利です。隣接する国立市は大学通りの桜並木が有名で、春には圧巻の花のトンネルが楽しめます。
下流部の二子玉川エリアは、おしゃれな商業施設と自然が共存する都会的なエリアです。「二子玉川ライズ」には多彩なレストランやカフェが揃っており、サイクリングの疲れを食事で癒すことができます。温泉施設もあるため、走り終えた後に汗を流して帰ることも可能です。終点の大師橋緑地のすぐ近くには、厄除けで有名な川崎大師(平間寺)があります。年間を通じて多くの参拝者が訪れる関東有数の寺院で、境内の参道には名物の久寿餅を売る店が並んでいます。完走後の参拝と土産購入で、ゴールの達成感をさらに盛り上げられます。
たまリバー50km出発前の最終チェックリスト
出発前には自転車の整備として、タイヤの空気圧、ブレーキの効き、チェーンの状態を確認します。ヘルメットの装着は努力義務化済みで、安全のため必須です。スマートフォンの充電とコースマップのダウンロードを済ませ、水・補給食・現金の準備も忘れずに行いましょう。電子決済が使えない場所もあるため、現金の用意は重要です。天気予報の確認では、多摩川は川風が強い日もあることを念頭に置きます。輪行袋の準備は、途中リタイアに備えて持参すると安心です。
東京都都市整備局の公式ウェブサイトでは、たまリバー50kmの公式コースマップをPDF形式で公開しています。コースの詳細なルート、距離マーカー、トイレの位置、休憩スポットなどが掲載されており、走行前の計画立てに欠かせない情報源です。スマートフォンのサイクリングアプリ(StravaやRide with GPSなど)を活用すると、リアルタイムでルートをナビゲートしながら走れます。あらかじめたまリバー50kmのルートデータを取り込んでおくと、迷子になる心配がなく安心して走行できます。
たまリバー50km 多摩川サイクリングコースについてよくある疑問
たまリバー50kmを走る際によく寄せられる疑問にお答えします。
「初心者でも完走できますか」という疑問については、無理のないペース配分と区間分割を意識すれば、初心者でも十分に完走可能です。沿線には複数の駅があるため、途中で輪行に切り替えることもできます。「ロードバイクでも走れますか」という点は、走行可能ですが二子橋〜丸子橋間など未舗装区間があるため、該当区間は右岸のかわさき多摩川ふれあいロードへ迂回するのが安全です。「電車で自転車を運ぶ方法は」という疑問には、輪行袋に自転車を収納する必要があります。各鉄道会社の輪行規定を事前に確認しましょう。「コースマップはどこで入手できますか」という質問については、東京都都市整備局の公式ウェブサイトでPDF形式のコースマップが公開されています。
まとめ:たまリバー50kmで多摩川の魅力を体感する
たまリバー50km(多摩川サイクリングコース)は、東京都心からのアクセスが良く、都市の中にいながら豊かな自然を感じながら走れる、首都圏随一のサイクリングルートです。羽村の歴史ある堰から始まり、府中・調布・二子玉川・川崎を経て、羽田空港の目前の大師橋緑地まで、約53kmにわたる旅は様々な顔を見せてくれます。
桜咲く春、緑豊かな夏の早朝、紅葉輝く秋、そして澄み渡る冬の空と富士山──四季それぞれの表情を持つこのコースは、何度訪れても新しい発見があります。初めてのロングライドに挑戦する方も、ベテランサイクリストも、たまリバー50kmは期待に応えてくれるでしょう。しっかりと準備を整え、安全に、そして思い切り多摩川の自然を楽しんでください。次の週末は、たまリバー50kmへ出かけてみてはいかがでしょうか。








