埼玉県は首都圏からのアクセスも良く、都市部から自然豊かな山間部まで多様な地形を持つため、サイクリング愛好家にとって魅力的なエリアです。平坦な河川敷コースから本格的なヒルクライムまで、レベルや目的に応じて選べる豊富なコースが整備されています。2025年11月には「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」の開催も予定されており、県全体でサイクリング文化がますます盛り上がりを見せています。初心者の方でも安心して楽しめる信号の少ない河川敷コースや、家族連れに人気の公園内サイクリングコース、そして上級者も満足できる秩父の山岳コースまで、一つの県内でこれほど多彩なサイクリング体験ができるのは埼玉県ならではの魅力と言えるでしょう。

埼玉県で初心者におすすめのサイクリングコースはどこですか?
初心者の方に最もおすすめなのは、荒川サイクリングロード(通称:荒サイ)です。荒川河口から武蔵丘陵森林公園までを結ぶ約90kmの長距離コースですが、全体的に平坦な道が多く、信号や車の往来が少ないため安心して走行できます。都心から山間部まで多様な景色を楽しめるのも魅力で、初めての方は一部区間だけでも十分楽しめます。
入間川自転車道も初心者におすすめです。入間大橋から狭山まで約20kmのコースで、途中で小江戸として有名な川越付近を通ります。川越水上公園や蔵造りの街並みを巡る約15kmのルートは、サイクリングと観光を同時に楽しめる絶好のコースです。走行距離は短めですが、川越の街をゆっくり散策したり食べ歩きを楽しんだりできるため、1日かけてのんびり過ごすのに最適です。
桜の季節には芝川自転車道と見沼サイクリングがおすすめです。「日本一の桜回廊」と呼ばれる20kmにわたる桜並木は圧巻で、江戸時代に作られた見沼代用水沿いに続く桜並木の中をゆったりと走ることができます。川沿いなのでひたすら平坦な道が続き、首都圏とは思えない広々とした田んぼや畑作地帯の風景も楽しめます。
初心者の方が安全にサイクリングを楽しむためには、歩行者を優先し、いつでも止まれる速度で走ることが基本です。特に東京区間では運動場や公園の利用者が多いため、周囲への配慮を忘れずに走行しましょう。また、風の強い日は走行が困難になる場合があるため、天気予報だけでなく風向きも事前にチェックすることをおすすめします。
埼玉県で家族や子供と一緒に楽しめるサイクリングスポットはありますか?
家族連れに最も人気なのは国営武蔵丘陵森林公園です。東京ドーム約65個分の広大な敷地に全長約17kmの林間サイクリングコースが整備されており、清々しい木漏れ日の中を走ることができます。約1,500台の豊富なレンタサイクルがあり、子供乗せ電動アシスト自転車から子供用マウンテンバイクまで、体格に合わせた車種を選べるのが魅力です。基本料金は大人600円、中学生以下350円で3時間利用でき、サイクリング以外にも日本一大きなトランポリン「ぽんぽこマウンテン」やアスレチックなど、家族で一日中楽しめる施設が充実しています。
彩湖・道満グリーンパークは、彩湖沿いをぐるりと回る1周約5kmのコースで、比較的平坦なため自転車に慣れてきた子供の練習スポットとしても人気です。春は桜が美しく、冬の晴れた日には富士山が見える絶景スポットです。シティサイクルから子供用自転車、さらにはタンデム(2人乗り)自転車まで多様なレンタサイクルがあり、家族それぞれのニーズに対応できます。バーベキューや釣り、ドッグランなどの施設も併設されているため、サイクリング以外の楽しみ方も豊富です。
川越水上公園では、ボート池を一周する590m、プール施設を一周する1330m、公園全体を回る2750mの3種類のコースがあります。ウォーキングコースでのサイクリングが可能で、ゆっくり走れるため初心者の子供の自転車練習に最適です。川越市のシェアサイクルステーションも設けられており、夏は9種類のレジャープールが楽しめるため、サイクリングとプールを組み合わせた家族の一日を過ごせます。
特にユニークなレンタサイクルが楽しめるのは加須はなさき公園です。マウンテンバイクや幼児用自転車に加えて、「ぱんだサイクル」「バッタサイクル」、子犬やイルカ、キュウリやナスの形をした自転車など、面白い形の自転車がたくさんあります。車のような4人乗り自転車もあり、小さなお子様も安全に楽しめます。夏のプールやパターゴルフ、ボールプールなど、遊べる設備も充実しているため、子供たちが飽きることなく一日中楽しめるでしょう。
埼玉県で本格的なロードバイク・ヒルクライムが楽しめるコースはどこですか?
上級者に最もおすすめなのは奥武蔵グリーンラインです。埼玉県入間と秩父にまたがる尾根筋をたどるコースで、距離35.5km、獲得標高1409mに達する本格的な山岳コースです。深い森林の中を走り抜けるため自然を存分に感じられ、数多くの峠をクリアするため、ゴール後は大きな達成感を味わえます。スタート地点の毛呂山総合運動公園には駐車場やシャワーが完備されており、JR八高線の毛呂駅や高麗川駅からもアクセスしやすいのが特徴です。
秩父ヒルクライムコースは、秩父の山々を登っていく約40kmの本格的な山岳コースで、アップダウンが激しく体力と技術が必要です。しかし、山頂からの絶景は格別で、秩父の豊かな自然を存分に堪能できます。「峠の宝庫」と呼ばれる埼玉県ならではのチャレンジングなコースと言えるでしょう。
ヒルクライム初心者には山伏峠がおすすめです。飯能から秩父へ向かうルートで、距離3.98km、平均勾配7.0%、獲得標高278mと、初心者にも無理なく登れる難易度です。国道299号線を避ける山伏峠経由の道は車通りが少なく、トレーニングやロングライドに最適です。全体の走行距離は43.3km、獲得標高890mで、予想タイムは約2時間半となっています。道中には「道の駅あしがくぼ」があり、秩父名物の「味噌豚丼」で補給することもできます。
山の神峠は奥秩父の栃本集落に位置し、ピークに向けて2通りのルートがあります。林間ルート(12.6km、平均勾配7.0%)は交通量が少なく走りやすく、ダムルート(13.1km、平均勾配5.2%)は渓谷美を望みながら走れます。残念ながら現在は峠のピークへの道が全面通行止めとなっていますが、栃本広場からハイキングコースで山の神様の祠まで歩くことは可能です。スタート地点の道の駅大滝温泉では、サイクリングでかいた汗を温泉で流すことができ、敷地内の「帰路館」では美味しいそばやうどんが楽しめます。
これらのヒルクライムコースでは、トンネルでのライト装備が必須で、土日はツーリングの車も多いため後方車両への注意が必要です。また、適切な補給食や水分補給の計画を立て、無理のないペースで挑戦することが重要です。
埼玉県のサイクリングコース沿いでおすすめのグルメスポットや休憩場所はどこですか?
荒川サイクリングロード周辺では、榎本牧場が定番スポットです。牛の数よりもロードバイクの数が多い時があるほどサイクリストに人気で、搾りたての牛乳を使ったジェラートが特に有名です。また、古民家カフェ VIAは築80年の古民家を改装したカフェで、木の温もりを感じながら休憩でき、サイクルラックも多数設置されています。
メロンパン専門店『HAPPy HAPPy』は武蔵浦和駅から戸田方面の埼京線沿いにあり、サイクリスト向けに自転車ラックを制作した経緯があります。軽い食感のメロンパンは補給食にも最適です。もつ煮・手打ちうどん『川岸屋』は荒川サイクリングロード開平橋近くにあり、昭和レトロな雰囲気の中でサイクリングボトルの水の心配までしてくれる心遣いのあるお店です。
比企・吉見地域では、名代『四方吉うどん』吉見店がおすすめです。荒川サイクリングロードから約1kmの場所にあり、ボリューム満点のうどんと多数のサイクルラックが特徴です。道の駅いちごの里よしみ『ベーカリーキタオカ』では、フレンチバルブ対応の空気入れも借りられ、自転車を停めるサイクルラックが見える位置にあるため安心して休憩できます。
うどん・そば屋『手打ちうどん たなか』では、埼玉ご当地グルメ王決定戦で企業賞を獲得した「あぶら味噌丼」が人気で、疲労回復に役立つとされています。とうふ工房 わたなべでは、有機栽培大豆と都幾川の地下水で作られた豆腐が自慢で、豆乳ソフトやおからドーナツがおすすめです。冷たい湧き水も持ち帰れ、かなりの台数のバイクラックがあるためグループライドにも最適です。
川越地域では、ソーセージ工房 ミオ・カザロで自家養豚のブランド豚「小江戸黒豚」で作るホットドッグが人気です。パンからソーセージがはみ出した豪快なサイズで、サイクリングでお腹を空かせた方にぴったりです。川越ベーカリー 楽楽は蔵の街の菓子屋横丁へ繋がる路地にある人気のベーカリーで、お店の正面に自転車ラックが設置されています。
多くの店舗ではサイクルラック(バイクラック)が常設されており、高価なロードバイクでも安心して駐輪できます。また、埼玉県内のミニストップは「自転車の駅」として機能しており、トイレや空気入れなどを気軽に利用できるため、計画的な休憩ポイントとして活用できます。
埼玉県でレンタサイクルが利用できる場所とサービス内容を教えてください
公園系レンタサイクルでは、国営武蔵丘陵森林公園が最も充実しています。約1,500台の自転車を貸し出しており、子供乗せ電動アシスト自転車、軽量フレームの自転車、子供用マウンテンバイクなど、体格に合わせた豊富な種類が魅力です。基本料金は大人600円、中学生以下350円、電動アシスト950円で3時間利用でき、各入り口のサイクリングセンターで借りることができます。
専門ショップ系では、シクロパビリオンが特におすすめです。スポーツバイク未経験者向けのベーシックプランでは、希望車種と身長からスタッフがバイクを選んでくれ、料金はロードバイク(カーボンモデル)7,700円、ロードバイク(アルミモデル)5,500円、クロスバイク3,300円です。基本操作説明、ヘルメット、グローブ、更衣室、シャワールーム(シャンプー、ドライヤー完備)の利用が無料で含まれており、個人レッスンやイベントも開催しています。
観光地系では、川越市自転車シェアリングが便利です。川越駅や本川越駅、小江戸蔵里、蔵造りの町並み付近など36ヶ所以上にステーションがあり、15分あたり60円(1日最大1,000円)で24時間利用可能です。観光には坂道も多いため電動自転車を選ぶのがベストで、6ヶ所で乗り捨てができるため観光に非常に便利です。
SAITAMA Cycle StationはJR大宮駅西口に併設されており、電動アシスト自転車とクロスバイクを1日1,000円、コミュニティサイクルを1日610円でレンタルできます。自転車生活の情報提供スペースでもあり、全国のサイクリング情報誌も揃っています。
森泉サイクルは東飯能駅から徒歩10分のサイクルショップで、シティサイクル1,000円、クロスバイク2,000円で1日レンタルできます。都内から1時間ほどでアクセスできる飯能市周辺には「ムーミンバレーパーク」「メッツアビレッジ」などの観光スポットがあり、のんびりサイクリングには最適です。
ユニークなレンタサイクルでは、加須はなさき公園の「ぱんだサイクル」「バッタサイクル」、子犬やイルカ、キュウリやナスの形をした自転車が人気です。熊谷スポーツ文化公園でも2人乗りメリーゴーランドやタンデム、大きなタイヤがついたバギーなど面白い形の自転車が充実しており、子供たちに大変喜ばれています。
レンタサイクル利用時は、埼玉県では自転車損害保険等への加入が義務となっているため、利用者自身での保険加入が必要です。また、人気の車種は数に限りがあるため、事前予約をおすすめします。
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