四国一周サイクリング「シコイチ」は、四国4県を自転車で巡る約1,000kmのサイクリングルートです。愛媛県、香川県、徳島県、高知県の沿岸部を走り、瀬戸内海と太平洋の絶景を楽しみながら、讃岐うどんやカツオのたたきなど各地のグルメも堪能できる、国内屈指のロングライドコースとして人気を集めています。台湾の「環島」と同等の距離を誇るこのルートは、1200年の歴史を持つお遍路文化に育まれたおもてなしの精神が息づく土地を走り抜けるため、地元の方々との温かい交流も魅力の一つとなっています。
この記事では、シコイチの基本ルートや各県の見どころ、完走に必要な装備、ベストシーズン、そしてCHALLENGE 1,000kmプロジェクトへの参加方法まで、四国一周サイクリングを計画するうえで知っておきたい情報を網羅的にお伝えします。初めてのロングライドに挑戦する方から、すでに経験を積んだサイクリストまで、それぞれのレベルに合わせた楽しみ方ができるのがシコイチの魅力です。

四国一周サイクリング「シコイチ」とは
四国一周サイクリングは、四国4県の沿岸部を自転車で一周する約1,000kmのルートを指します。正式名称としては「四国一周サイクリング」が用いられていますが、サイクリスト間では親しみを込めて「シコイチ」と呼ばれることが一般的です。
このルートの特徴として、総距離は約1,000km、獲得標高は約7,000mと、かなりタフなコース設定となっています。上級者であれば5日程度で完走することも可能ですが、初心者の場合は10日以上を見込む必要があります。公式の統計によると、これまでの完走者は2,786人以上、エントリー者数は5,564人を超えており、多くのサイクリストがこのチャレンジに挑んでいます。
四国は本州と3つの橋でつながっており、瀬戸内海、太平洋、宇和海という異なる特色を持つ3つの海を望みながら走ることができます。西日本一の標高を誇る石鎚山をはじめとする山々を背景に、変化に富んだ景観を楽しめるのがこのルートの大きな魅力といえます。
四国一周サイクリングの公式ルート概要
四国一周サイクリングの公式ルートは、愛媛県庁本館前に設置されている「四国一周0kmモニュメント」をスタート・ゴール地点としています。松山市を起点として反時計回りで香川県、徳島県、高知県の沿岸を巡り、再び愛媛県に戻ってくるコース設計となっています。
国道をメインとした最短経路でも800kmを超え、四国の最外縁をつなげると1,000kmを超える距離となります。国内でも屈指のアイランドコースとして知られるこのルートは、公式には1,000kmを11日間に分割して走るプランが推奨されており、1日あたりの平均走行距離は約90kmです。この距離感から、どちらかといえばロングライド初心者向けのルートとして位置づけられています。
公式モデルルート11日間の詳細
公式サイトで推奨されている11日間のモデルルートについて、各区間の特徴を詳しく解説します。
1日目は松山から今治までの47.1kmで、愛媛県庁前をスタートし、瀬戸内海沿いの「はまかぜ海道」を走って今治市を目指します。平坦な道が多いため、サイクリング初日にふさわしいウォーミングアップ的なコースとなっています。
2日目は今治から観音寺までの99.7kmで、しまなみ海道の起点である今治から、香川県の観音寺市まで瀬戸内海沿いを東へ進みます。距離は長めですが、比較的フラットな区間が続きます。
3日目は観音寺から高松までの65.2kmで、香川県内を走り、県庁所在地の高松市へ向かいます。讃岐うどんの本場を巡るため、グルメを楽しむ余裕のある区間です。
4日目は高松から徳島までの96.4kmで、香川県から徳島県へ入る区間となります。瀬戸内海側から太平洋側へと景色が変わり始め、雰囲気の変化を感じられるでしょう。
5日目は徳島から宍喰までの91.3kmで、徳島市から南下して太平洋沿いの道を進みます。海岸線の美しさを存分に堪能できる区間です。
6日目は宍喰から室戸岬を経由して高知までの130.2kmで、全行程の中で最も距離が長い区間となります。室戸岬では太平洋の雄大な景色を楽しむことができ、多くのサイクリストが感動を覚えるポイントとなっています。
7日目は高知から土佐久礼までの58.6kmで、高知市を出発し太平洋沿いを西へ進みます。比較的短い距離設定のため、観光やグルメを楽しむ余裕が生まれます。
8日目は土佐久礼から中村までの106.7kmで、四万十川流域に入ります。「日本最後の清流」と称される四万十川の悠々とした流れを感じながら走る区間です。
9日目は中村から足摺岬を経由して大月までの97.6kmで、四国最南端の足摺岬を経由するルートとなります。アップダウンが多い難所区間として知られ、体力が試される1日となるでしょう。
10日目は大月から宇和島までの75.8kmで、宇和海沿いを北上して宇和島市を目指します。海の幸が豊富なエリアで、地元グルメを楽しめる区間です。
11日目は宇和島から松山までの105.6kmで、最終日として愛媛県内を北上し、ゴールの松山へ戻ります。達成感を味わいながらのラストスパートとなります。
四国一周サイクリングの難所と注意ポイント
四国一周サイクリングには、事前に知っておくべき難所がいくつか存在します。これらを把握しておくことで、より安全で計画的なサイクリングが可能となります。
佐田岬の難所について
佐田岬は前半戦における代表的な難所として知られています。観光地であるため車やバイクの往来が多く、また複数のトンネルを通過する必要があります。この区間の特徴として、平坦部分がほぼなく、常にアップかダウンを繰り返す状態が続く点が挙げられます。特に大型車両とトンネル内で行き合う場合には細心の注意が必要です。
足摺岬周辺の攻略
足摺岬周辺は路面が荒れているため、神経を使う難所となっています。街灯がないエリアも多いことから、夜間走行は昼間以上に難易度が高くなります。四国の南部は全般的に向かい風となる区間が多く、足摺岬手前のトンネルでは風に押し返されるような強風を経験する場合もあります。
室戸岬周辺の特徴
太平洋に面した室戸岬周辺は、風が強い日が多いため注意が必要な区間です。ただし、早朝に通過した場合には朝日を浴びてきらきらと輝く海を見ることができ、その美しさに感動するサイクリストも少なくありません。厳しさと美しさが共存する区間といえるでしょう。
愛媛県の見どころとグルメ
愛媛県は四国一周サイクリングのスタートとゴールを担う県であり、サイクリストの聖地として知られる「しまなみ海道」に接続している点が大きな特徴です。国内外からのサイクリストを受け入れるためのサービスが充実しており、松山空港ではバイクボックスの無料預かりサービスが提供され、サイクルステーションも設置されています。
愛媛県の観光スポット
道後温泉は3千年の歴史があるといわれる日本最古の温泉であり、サイクリングの疲れを癒すのに最適な場所です。松山城と合わせて観光することで、愛媛の歴史と文化を感じることができます。松山城は現存12天守の一つで、市内を一望できる名城として多くの観光客を集めています。
しまなみ海道は瀬戸内海の島々を結ぶサイクリングの聖地であり、国土交通省が定める「ナショナルサイクルルート」にも指定されています。四国一周と組み合わせて走るサイクリストも多く、今治で接続しているためアクセスも容易です。
佐田岬は四国最西端の岬で、夕日の美しさで知られています。難所ではありますが、その分達成感も大きく、絶景を楽しめるポイントとして人気があります。
愛媛県のグルメ
鯛めしは愛媛を代表する郷土料理です。刺身を卵黄と醤油で和えてご飯にかける宇和島風と、鯛を炊き込んだ松山風の2種類があり、それぞれ異なる味わいを楽しむことができます。
五色素麺は松山の伝統的な麺料理として知られ、色鮮やかな見た目が特徴的です。せんざんきは鶏の唐揚げの一種で、ニンニクが効いた味付けが特徴となっており、サイクリング後のタンパク質補給にも最適な一品です。
はまかぜ海道について
愛媛県の今治市と松山市を結ぶ海沿いの国道196号線を基本にしたサイクリングルートが「はまかぜ海道」です。約46kmの距離で概ね平坦、信号も少なく、高低差が少なく海沿いを爽やかに走れるため、ロングライド初心者のチャレンジにもぴったりのルートです。四国一周サイクリングのコースと重複しており、最初の1日目に通過する区間となります。
香川県の見どころとグルメ
香川県は「うどん県」の別名で全国に知られており、コンパクトな県土ながら金刀比羅宮、善通寺、瀬戸大橋、島アートなど多彩な見どころがまとまっています。高松市には7ヶ所にレンタサイクルの乗り捨て可能なターミナルが点在しており、6時間100円という気軽な料金で利用できる点もサイクリストにとって嬉しいポイントです。
香川県の観光スポット
金刀比羅宮は「こんぴらさん」の愛称で親しまれ、785段の石段を登った先にある有名な神社です。栗林公園はミシュラン・グリーンガイドで三つ星を獲得した日本庭園で、その美しさは一見の価値があります。
父母ヶ浜は約1kmの穏やかなロングビーチで、干潮の夕暮れ時には浜辺の水たまりが鏡のようになります。SNS映えするスポットとして話題となっており、多くの観光客が訪れています。
屋島は高台に位置する名勝地で、四国霊場第84番札所「屋島寺」や「屋島山上水族館」があります。小豆島は瀬戸内海で2番目に大きな島で、一周約82.4kmのサイクリングコースが整備されています。エンジェルロードや昭和を感じる迷路のまちなど観光スポットが豊富で、四国一周とは別に訪れる価値のある島です。
香川県のグルメ
讃岐うどんはイートインできる小さな製麺所から大型店まで幅広い店舗があり、どこで食べても絶品の味わいを楽しめます。うどん店は早朝から開いているお店も多いため、朝うどんを楽しむのもおすすめです。県庁すぐそばにある「さか枝」は朝7時から営業しており、サイクリング前のエネルギー補給に最適です。
骨付鳥は丸亀市発祥のご当地グルメで、スパイシーな味付けの鶏もも肉を丸ごと焼き上げた料理です。サイクリングで消費したカロリーを補うのにぴったりのボリューム感があります。
徳島県の見どころとグルメ
徳島県は穏やかな瀬戸内海と黒潮が寄せる太平洋という二つの海岸線を併せ持つ県です。大鳴門橋で淡路島と結ばれており、本州からのアクセスがよいことから「四国の玄関口」とも呼ばれています。「自転車王国とくしま」として、初心者から上級者まで楽しめる全25の公式コースが設定されています。
徳島県の観光スポット
鳴門の渦潮は世界三大潮流の一つに数えられ、潮流時速20km、最大直径は20mにも及ぶ世界一の渦潮を見ることができます。大塚国際美術館は世界の名画を陶板で再現した美術館で、芸術愛好家にとっては見逃せないスポットです。
祖谷のかずら橋は「シラクチカズラ」で作られた橋で、一歩踏み出すごとにきしみ揺れ、スリルを味わうことができます。大歩危は吉野川の中流域に位置する約8kmにわたる渓谷で、その雄大な景観は圧巻です。霊山寺は四国八十八ヶ所霊場の第1番札所で、お遍路のスタート地点として知られています。
徳島県のグルメ
徳島ラーメンは濃厚な豚骨醤油味が特徴で、生卵をトッピングして食べるのが定番のスタイルです。すだちは徳島特産の柑橘類で、様々な料理に使われており、爽やかな風味を添えています。鳴門金時は甘くてホクホクの鳴門産さつまいもで、お土産としても人気があります。
高知県の見どころとグルメ
高知県は四国で最も面積が大きく、東西に長い県です。徳島県から高知県に入ると、太平洋を眺める道が続くようになり、一気に視界が広がる開放感を味わえます。温暖な気候で降水量は多いものの日照時間も長く、「よく晴れるが降る時は一気に降る」という特徴的な気候を持っています。
高知県の観光スポット
室戸岬は太平洋に突き出た岬で、荒々しい海岸風景が広がっています。足摺岬は四国最南端の岬で、断崖絶壁から望む太平洋は迫力満点の景観です。
四万十川は「日本最後の清流」として知られる川で、沈下橋が有名です。仁淀川は日本一の水質を誇り、「仁淀ブルー」と呼ばれる美しい青さが特徴となっています。桂浜は坂本龍馬像が立つ高知を代表する景勝地で、多くの観光客が訪れます。
高知県のグルメ
カツオのたたきは高知を代表する郷土料理で、藁で焼いた香ばしさが特徴です。皿鉢料理は大皿に刺身や寿司、揚げ物などを盛り合わせた宴会料理で、高知の食文化を象徴する一品といえます。鍋焼きラーメンは須崎市発祥のご当地ラーメンで、土鍋で提供される独特のスタイルが人気を集めています。
CHALLENGE 1,000kmプロジェクトの内容と参加方法
愛媛県、香川県、徳島県、高知県の四国4県が連携して実施している「四国一周サイクリング CHALLENGE 1,000kmプロジェクト」は、四国一周サイクリングを公式に認定し、完走者を表彰するプログラムです。
エントリー料金は10,000円となっており、エントリーすると「チャレンジキット」として四国一周サイクリングオリジナルのサイクルジャージと、四国内29カ所の道の駅をチェックポイントにしたオリジナルスタンプラリーシートである「公式チャレンジパス」が送付されます。
完走証の取得条件
エントリーから3年以内に四国一周を達成すると、「完走証」と「記念メダル(バックル式)」がプレゼントされます。完走証の取得には、スタンプポイントである道の駅で規定数以上のスタンプを押すことが条件となっています。
具体的には、愛媛県内で3カ所以上、香川県内で3カ所以上、徳島県内で2カ所以上、高知県内で3カ所以上、合計で15カ所以上のスタンプを集める必要があります。道の駅では休憩や食事、地元の特産品購入も楽しめるため、スタンプを集めながらサイクリングの楽しみが広がります。
スタンプポイントとなる道の駅
四国一周サイクリングのスタンプポイントは、四国各地の道の駅29カ所に設置されています。愛媛県では道の駅今治湯ノ浦温泉、道の駅風早の郷風和里、道の駅みなとオアシスうわじまきさいや広場などが主要なポイントとなっています。
香川県では道の駅恋人の聖地うたづ臨海公園、道の駅ふれあいパークみの、道の駅津田の松原などがあります。徳島県では道の駅公方の郷なかがわ、道の駅日和佐が設置されています。高知県では道の駅やす、道の駅あぐり窪川、道の駅すくもサニーサイドパークなどでスタンプを押すことができます。
四国一周サイクリングのベストシーズン
四国一周サイクリングに最適な時期について、気象庁の過去30年間のデータ分析に基づくと、春は4月中旬から6月の梅雨入りまで、秋は9月中旬から10月中旬が推奨されています。
目安となる条件として、最高気温28度以下、最低気温14度以上、月間降水量250mm以下、日没17時30分以降という基準が挙げられています。これらの条件を満たす時期に走ることで、より快適なサイクリングを楽しむことができます。
避けるべき時期について
真夏の7月から8月は炎天下でのサイクリングが非常に過酷となり、熱中症のリスクが高くなります。実際に走行した方の体験談によると、「真夏は水とドリンクあわせて1日6〜7リットルくらい飲んでいた」とのことで、「正直、暑い時期におすすめできるルートではない」という声も聞かれます。
台風シーズンの8月から10月初旬は、四国が台風の通過点となることが多いため、天候の急変に注意が必要です。真冬の12月から2月は石鎚山のUFOラインなど一部の山岳ルートが冬季閉鎖となるほか、寒さ対策の装備が増えて荷物がかさばる問題もあります。
各県の気候特徴
愛媛県と香川県は瀬戸内海側に位置するため、温暖で降水量が少なく、年間を通じて比較的穏やかな気候です。徳島県は瀬戸内海側と太平洋側の両方の気候を持ち、南部は降水量が多くなる傾向があります。高知県は温暖で降水量は多いものの日照時間も長く、「よく晴れるが降る時は一気に降る」という特徴があります。
四国一周サイクリングに必要な装備と準備
四国一周サイクリングを成功させるためには、適切な装備の準備が欠かせません。ここでは自転車の選び方から必要な装備まで詳しく解説します。
自転車の選び方
四国一周サイクリングには複数のタイプの自転車が適しています。ロードバイクは軽量で速度が出しやすく、舗装路を効率的に走れるため、距離を重視するサイクリストに人気があります。クロスバイクはロードバイクより安定感があり、初心者でも扱いやすい点が特徴で、荷物も積みやすいメリットがあります。グラベルバイクは舗装路も未舗装路も走れる万能タイプで、足摺岬周辺など路面が荒れた区間でも安心して走ることができます。
バイクパッキングの手法
泊りがけのサイクルツーリングでは「バイクパッキング」という手法が人気を集めています。キャリアを使うことなくバイクにバッグ類を取り付ける方法で、ツーリング専用のバイクでなくても直接フレームなどにバッグを取り付けることで荷物の積載が可能になります。
主なバッグの種類として、サドル下に取り付ける大容量のサドルバッグ、フレームの三角形部分に取り付けるフレームバッグ、ハンドル部分に取り付けるハンドルバーバッグ、トップチューブ上に取り付ける小型のトップチューブバッグなどがあります。
必要な装備について
自転車関連では、ヘルメット(必須)、サイクルグローブ、サイクルジャージとサイクルパンツ、サイクルシューズ、サングラス、前後のライト、ベル、鍵、ボトルケージとボトル、GPS付きサイクルコンピューターなどが必要です。
工具・修理用品としては、携帯ポンプ、替えチューブ2〜3本、タイヤレバー、六角レンチセット等の携帯工具、パンク修理キットを用意しておくと安心です。
衣類については、速乾性のインナー、上下のレインウェア、ウインドブレーカー、最小限の着替え、寒い時期にはコンパクトダウンジャケットが必要となります。その他、スマートフォンと充電器、現金とクレジットカード、健康保険証、日焼け止め、洗面用具なども忘れずに準備しましょう。
衣類のパッキングのコツ
泊りがけツーリングの荷物で悩みどころとなるのが着替え衣類の取捨選択です。コツはかさばる衣類を減らすことと、洗濯をこまめに行うことです。1泊2日の旅であれば天気予報で雨の可能性が低い場合にレインギアの装備を減らすことも可能ですが、それ以上の日数であれば雨の装備は削れません。
寒い時期ほどウェア類はどうしても増えてしまいますが、なるべくかさばるウェアを持たないようにしてコンパクトな装備を目指すことが重要です。コンパクトになるダウンジャケットやベストを活用してアウターを減らすのがおすすめです。
四国へのアクセスと輪行方法
四国一周サイクリングを始めるにあたって、四国へのアクセス方法と輪行について知っておくことは重要です。
四国へのアクセス手段
飛行機でのアクセスの場合、松山空港が四国一周のスタート地点に最も近く、サイクリスト向けサービスが充実しています。バイクボックスの無料預かりがあるほか、サイクルステーションではサイクルスタンドや空気入れが常備され、工具の貸し出しや更衣室も利用できます。香川県へは高松空港、徳島県へは徳島阿波おどり空港、高知県へは高知龍馬空港がそれぞれ便利です。
フェリーでのアクセスも人気があります。オレンジフェリーは大阪南港から東予港を結ぶ航路で、サイクリストに人気があります。自転車を客室にそのまま持ち込めるなどサイクリスト対応が充実しており、夜便を利用すれば宿泊も兼ねて早朝に到着することができます。ジャンボフェリーは神戸から高松への航路、南海フェリーは和歌山から徳島への航路で、関西方面からのアクセスに便利です。
鉄道ではJR四国を利用して各県へアクセスすることが可能で、瀬戸大橋経由で本州から直接乗り入れることができます。
輪行について
体力に自信がない方や、まとまった時間が取れないという方には、公共交通機関を利用して自転車を運ぶ「輪行」がおすすめです。JR四国の電車では、自転車を解体もしくは折りたたみ、専用の袋に入れることで無料で持ち込みが可能です。輪行袋は必ず専用のものを用意しましょう。
しまなみ地域では「しまなみ海道手ぶらサイクリング」サービスが実施されており、自転車を解体して輪行袋に入れることなく、そのまま持ち込んで乗車することができる列車やバスが運行されています。
四国一周サイクリングの宿泊と費用
四国一周サイクリングを計画するうえで、宿泊先の選択と費用の見積もりは重要な要素となります。
宿泊の選択肢
ホテルや旅館は快適に過ごしたい方におすすめで、道後温泉など温泉地では疲れを癒すことができます。事前予約をしておくと安心です。ビジネスホテルは各都市部にチェーン展開しており、価格も手頃となっています。自転車を部屋に持ち込めるプランがあるホテルも増えています。
民宿やゲストハウスでは地元の方との交流が楽しめます。四国はお遍路文化があるため、旅人に対するおもてなしの精神が根付いており、温かいもてなしを受けることができます。キャンプ場はテント泊で費用を抑えたい方に適しており、四国各地にキャンプ場が整備されています。
費用の目安
実際に走行した方の体験談によると、27日間の四国一周で総額297,920円、1日あたりおよそ11,000円がかかったとのことです。内訳としては宿泊費と食費が全体の約9割を占めており、真夏に走る場合は熱中症対策のための水分補給代がかさむ傾向があります。
費用を抑えるコツとして、キャンプ泊を取り入れること、自炊をすること、早朝出発で距離を稼いで日数を短縮することなどが挙げられます。
四国一周サイクリングの安全対策と注意事項
安全に四国一周サイクリングを完走するために、交通ルールの遵守と注意事項を確認しておきましょう。
基本的な交通ルール
自転車は車道の左側を走行すること、ヘルメットの着用(努力義務)、夜間はライトを点灯すること、イヤホンをしながらの走行は避けること、飲酒運転は厳禁であることなど、基本的なルールを必ず守りましょう。
ルート検索の注意点
走行時にスマートフォンの地図アプリ等でルート検索を行う場合、自転車での走行が危険な場所や走りにくいルートが表示されることがあります。四国一周サイクリングの基本ルートは現地確認のうえで設定されているため、公式ルートを参考にすることをおすすめします。
トンネル通過時の注意
四国一周ルートには多くのトンネルがあり、特に佐田岬周辺はトンネルが多く、車やバイクの往来も多いため注意が必要です。トンネル通過のポイントとして、前後のライトを点灯すること、反射材を身につけること、無理な追い越しはしないこと、大型車が来たら止まって待つことも検討することが重要です。
天候への対応
毎日の天気予報をチェックし、雨天時は無理せず休養日にすることが賢明です。台風接近時は安全な場所で待機し、強風時は海沿いの道で特に注意を払いましょう。
しまなみ海道との接続と組み合わせ
四国一周サイクリングを語るうえで、しまなみ海道との接続は欠かせないテーマです。
しまなみ海道の概要
しまなみ海道(西瀬戸自動車道)は、瀬戸内海の島々を9つの橋でつなぎ、愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ全長約60kmの自動車道です。各橋には自転車歩行者専用道路が併設されており、自転車でも全ての島を行き来することができます。
「サイクリングの聖地」と呼ばれ、国土交通省が定める「ナショナルサイクルルート」にも指定されています。推奨コースにはブルーラインが引かれており、サイクリストの道標となっています。
四国一周との組み合わせ方
四国一周サイクリングとしまなみ海道は今治で接続しています。多くのサイクリストが四国一周の前後にしまなみ海道を走り、両方のルートを楽しんでいます。
組み合わせのパターンとしては、四国一周後にしまなみ海道を往復する方法、しまなみ海道を渡って尾道から帰路につく方法、尾道からスタートしてしまなみ海道を渡り四国一周へと続ける方法などがあります。
しまなみ海道の魅力
瀬戸内海の多島美と橋が織りなす絶景は圧巻で、「サイクルオアシス」と呼ばれる休憩スポットでは給水やトイレの利用が可能です。レンタサイクルが充実しているため手ぶらでも楽しめ、各島にはグルメや観光スポットが点在しています。
四国一周サイクリング関連イベント情報
四国一周サイクリングに関連するイベントについて、参考情報としてお伝えします。
JTO 四国一周 自転車旅
毎年開催されている公式イベントで、2025年の開催では総距離893km、総獲得標高7,136mで8日間のコースが設定されました。高松をスタートし、徳島、室戸岬、須崎、足摺岬、宇和島、道後温泉、四国中央を経て高松駅にゴールするルートとなっていました。須崎から足摺岬区間は115km、獲得標高1,361mと最も登りが厳しい区間として知られています。
ブルベ(BRM)について
オダックス近畿が主催する「BRM1012近畿1000km徳島 四国一周」は七年に一度の周期で開催されており、制限時間75時間以内で走りきるノーサポートのイベントです。ブルベとは決められた距離を制限時間内に走る認定サイクリングイベントで、自己責任で走る(サポートなし)形式となっており、完走すると認定証がもらえます。
四国「道の駅」スタンプラリー
四国地区「道の駅」連絡会が主催するスタンプラリーで、四国一周サイクリングと合わせて楽しめます。対象は四国地区の「道の駅」91駅で、スタンプブックは各道の駅で1冊300円で販売されています。50個以上のスタンプで敢闘賞に応募可能で、太龍寺ロープウェイペア往復乗車券などの景品が用意されています。
四国一周サイクリング完走者の体験談と完走のコツ
実際に四国一周サイクリングを完走した方々の体験談と、完走するためのコツをご紹介します。
完走者の体験談
人気サイクリストYouTuberのけんたさんは、7月上旬に11日間かけて1,000kmを走破しました。夏の四国の魅力を探しながらの旅で、各地のグルメや絶景を堪能されたとのことです。
75時間ブルベの完走者からは、「絶景尽くしの現地の様子」「高知県は向かい風に体力を削られる厳しい戦いとなったが、荒々しい岩続きの海沿いの風景は土佐の荒波をリアルに体験したような感覚だった」「室戸岬周辺は夜明けのタイミングで通過し、朝日を浴びてきらきらと輝く海が美しかった」という感想が寄せられています。
完走のコツ
無理のないペース配分が重要です。連日走り続けると疲れて距離を走れなくなるという心配もありますが、ツーリングの適度なペースであれば疲れも少なく、むしろ日を重ねるごとに体調が良くなり距離が伸ばせることもあります。
休養日の確保も大切で、10日以上の長期走行では途中に1〜2日の休養日を設けることで、体力の回復と観光を楽しむ余裕が生まれます。天候を見て柔軟に対応することも完走の秘訣であり、雨の日は無理せず休養日にするなど、柔軟なスケジュール調整が求められます。
こまめな補給でエネルギー切れを防ぐため、水分と食事を定期的に摂りましょう。コンビニや道の駅を活用して補給ポイントを確保しておくと安心です。
四国一周サイクリングが人気を集める理由
四国一周サイクリングがなぜ多くのサイクリストを惹きつけるのか、その魅力をまとめます。
自然の多様性
瀬戸内海、太平洋、宇和海という3つの海、石鎚山をはじめとする山々、四万十川や仁淀川といった清流など、四国には多様な自然が凝縮されています。走るたびに景色が変わり、飽きることなくサイクリングを楽しめます。
おもてなしの文化
1200年の歴史があるお遍路文化から生まれた「おせったい」の精神が今も息づいており、旅人を温かく迎え入れる文化があります。地元の方々との交流も、四国一周の大きな魅力の一つです。
達成感
1,000kmという距離はサイクリストにとって一つの大きな目標となります。完走した時の達成感は格別で、多くの完走者が「人生で忘れられない経験になった」と語っています。
グルメの豊富さ
讃岐うどん、カツオのたたき、鯛めし、徳島ラーメンなど、各県に個性豊かなご当地グルメがあり、食べることも旅の大きな楽しみとなっています。
サポート体制の充実
四国4県が連携してサイクリング環境の整備を進めており、道の駅やサイクルステーションなど、サイクリストをサポートする施設が充実しています。CHALLENGE 1,000kmプロジェクトに参加すれば、完走証という形で達成を記念することもできます。
四国一周サイクリング「シコイチ」は、単なるサイクリングを超えた人生を豊かにする体験です。雄大な自然、温かい人々、美味しい食べ物、そして自分自身との対話を通じて、1,000kmを走り終えた時にはきっと新しい自分に出会えることでしょう。まずは公式サイトでルート情報を確認し、CHALLENGE 1,000kmプロジェクトへのエントリーを検討してみてはいかがでしょうか。









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