「木曽ポター」ということばは、各務原市を流れる木曽川沿いに整備されたサイクリングロード「木曽ポタロード」の公式サイトが掲げるキャッチコピーで、木曽川と自転車で旅する時間そのものを指しています。この木曽川サイクリングロードの拠点のひとつが、各務原市川島笠田町にあるかさだ広場です。国営木曽三川公園の施設で、広大な芝生広場と大型遊具を備えながら、木曽川の河川敷を走る本格的なルートへの入口としても機能しています。子ども連れの遊び場として訪れる人もいれば、河川環境楽園や138タワーパークまで足を延ばすサイクリストもいて、目的の幅広さがこのエリアらしいところです。以下では、木曽ポタロードの成り立ちから各務原市内のルート、かさだ広場の詳細、アクセスとレンタサイクルの使い方まで、実際に計画を立てるときに役立つ情報を順番にまとめます。

木曽ポタロードは令和5年度の愛称募集で正式名称に決まった
木曽川沿いのサイクリングネットワークは、国や岐阜県、愛知県、そして各務原市や江南市、犬山市、笠松町、一宮市、稲沢市、美濃加茂市といった沿川の自治体が連携し、健康づくりとレクリエーションの場として長年整備が進められてきました。令和4年3月には、犬山市から稲沢市にかけての木曽川沿いを自転車道と一般道の組み合わせで周遊できる「木曽川沿川周遊サイクリングマップ」が作成されています。翌年度にあたる令和5年度には、沿川の関係機関が共同で愛称を募集し、「木曽ポタロード」という名称が正式に採用されました。ゆったりと自転車で巡る「ポタリング」を楽しんでもらいたいという意図が込められていて、公式サイトのタイトルにも「木曽ポター 木曽川と自転車で旅するー」というキャッチコピーが掲げられています。各務原市内では木曽川本流だけでなく、市の中心部を桜並木とともに流れる新境川沿いの遊歩道も含め、地域全体で自転車を使った周遊が楽しめるように整備が進んでいます。
各務原市内のサイクリングロードはかさだ広場までおよそ4.5キロ
各務原市内の木曽川沿いには、堤防道路や河川敷を利用したサイクリングロードが整備されています。令和6年12月にオープンした「KakamigaharaわたしのPARK」を起点に、木曽川の堤防下を進んで各務原大橋をくぐり、木々の間を抜けて川島町のかさだ広場へと至るルートが代表的です。この区間は各務原大橋交流広場や各務原市総合運動公園を経由しながら、かさだ広場までおよそ4.5キロメートルとなっています。河川敷の中に整備されているため自動車の往来を気にせず走行でき、木曽川本流を間近に望む区間もあれば、木々に囲まれて木漏れ日の中を進む区間もあります。春先から初夏にかけては新緑が、秋には河川敷の草木の色づきが楽しめ、季節ごとに表情が変わるのもこのルートの特徴です。対岸の江南市側でも、フラワーパーク江南の園路を含めて全長約6.5キロメートルのルートが公開されていて、各務原市側のルートと接続すれば愛知県側まで含めた広域周遊も組み立てられます。
かさだ広場は1988年開園、11.5ヘクタールの芝生広場が中心
かさだ広場の正式名称は「国営木曽三川公園 かさだ広場・各務原アウトドアフィールド」で、所在地は各務原市川島笠田町です。1988年7月19日に開園した、国営木曽三川公園の三派川地区における最初の施設で、11.5ヘクタールにおよぶ芝生広場を中心に構成されています。国営木曽三川公園そのものは愛知県、岐阜県、三重県の3県にまたがる日本最大級の国営公園で、三派川地区、中央水郷地区、河口地区の3地区、あわせて13の拠点で構成されており、かさだ広場と同じ三派川地区には138タワーパークや河川環境楽園も含まれます。園内には高さ9.3メートルの大型ネット遊具をはじめ13種類の遊具があり、幼児から小学校高学年まで幅広い年齢の子どもが体を動かせる作りになっています。車いす対応のトイレやおむつ替えシート、日よけ付きのベンチなど、家族連れが過ごしやすい設備も一通りそろっています。園内を巡る長い園路は交通量の心配がなく、小さな子どもの自転車の練習場所としても向いていて、広場のすぐそばに木曽川の水面が見える開放感は都市部の公園にはないものです。
かさだ広場の開園時間は季節ごとに4段階で変わる
開園時間は月によって異なり、次の表のとおりです。
| 期間 | 開園時間 |
|---|---|
| 4月1日〜6月30日 | 9時30分〜17時 |
| 7月1日〜8月31日 | 9時30分〜18時 |
| 9月1日〜11月30日 | 9時30分〜17時 |
| 12月1日〜2月末日 | 9時30分〜16時30分 |
| 3月1日〜3月31日 | 9時30分〜17時 |
休園日は、8月を除く毎月第2月曜日(祝日の場合は直後の平日)と、12月31日、1月1日です。イベント開催状況や当日の混雑を確認したいときは、河川環境楽園内の自然発見館(電話0586-89-7023)に問い合わせると確実です。
かさだ広場へは各務原市役所前駅からバスで30分、車なら岐阜各務原ICから10分
公共交通機関を使う場合は、名鉄各務原線「各務原市役所前駅」から各務原市ふれあいバス(川島線)に乗り、「かさだ広場」バス停で降りるのが基本ルートです。名古屋方面からバスでおよそ30分、川島笠田の停留所からは徒歩1分ほどで到着します。車で訪れる場合は岐阜各務原インターチェンジから約10分で、園内には無料駐車場も用意されているため、自転車を積んで来園し現地で組み立てるという使い方もしやすくなっています。サイクリングで向かう場合は、各務原市街地や各務原市総合運動公園、各務原大橋交流広場を経由すれば河川敷のルートを通して安全にアクセスでき、対岸の河川環境楽園や138タワーパーク方面からも橋を渡って周遊するコース取りができます。
各務原市のレンタサイクルは138タワーパークと河川環境楽園の2拠点
自分の自転車を持ち込まなくても、国営木曽三川公園エリアでは一宮市の138タワーパークと各務原市の河川環境楽園(自然発見館)の2か所でレンタサイクルを借りられます。
| 施設 | 通常料金 | 電動アシスト料金 | 大人用台数 | 子ども用台数 |
|---|---|---|---|---|
| 138タワーパーク | 300円 | 500円 | 34台 | 32台 |
| 河川環境楽園(自然発見館) | 300円 | 500円 | 10台 | 6台 |
貸出時間も季節で区分されていて、3月から10月は9時30分から16時15分まで(返却は16時45分まで)、11月から2月は9時30分から15時30分まで(返却は16時まで)です。休園日や雨天・荒天時は貸出そのものが行われないので、その点は事前に確認しておいたほうがよさそうです。料金や台数は時期や施設の都合で変わることもあるため、利用前に公式サイトで最新情報を確認するのが安心です。手ぶらで訪れて現地でレンタサイクルを借り、河川環境楽園からかさだ広場まで足を延ばすといった気軽な楽しみ方ができるのも、このエリアの利点です。レンタサイクルには、木曽川の景観や沿川のまちなみ、木曽三川公園の各拠点の魅力を自転車であらためて発見してもらう狙いがあり、健康増進の一環としても運営されています。
木曽川は輪中の治水史を経て今のサイクリングロードにつながった
木曽ポタロードが走る木曽川は、木曽三川と呼ばれる木曽川、長良川、揖斐川のひとつで、全長229キロメートルは山形県の最上川と並んで全国7位、流域面積9,100平方キロメートルは国内の水系で5番目の広さです。各務原市と愛知県犬山市の境界付近で山あいから濃尾平野へ流れ出し、川島地区の三派川地区で一時的に3つの流れに分かれてから再び合流するという珍しい地形をつくっています。かさだ広場のある川島笠田町は、この分流地帯のちょうど中州のような場所にあたります。
濃尾平野の下流域では、木曽川、長良川、揖斐川が合流と分流を繰り返すたびに洪水の被害が出やすく、堤防で集落を囲む「輪中」という形態が数多く発達しました。明治時代初めには濃尾平野南西部だけで80以上の輪中があったとされています。江戸時代の1609年には尾張側を守るため木曽川左岸に約50キロメートルの「御囲堤」が築かれ、1754年から1755年にかけては江戸幕府が薩摩藩に命じた宝暦治水と呼ばれる大規模な分流工事が行われました。明治20年から45年にかけては当時の国家予算のおよそ12パーセントを投じた河川改修が実施され、木曽三川の分流が完成しています。川島笠田町という地名も、1889年に松倉村、河田島村、笠田村、小網島村、松原島村の5つの村が合併して川島村が成立したことに由来し、大正時代の改修工事で大字笠田島と大字松原島の間に木曽川本流が新たに開削されて今の地形になったという経緯があります。ペダルを漕ぎながら川面を眺めていると、この土地が幾度もの水害と治水事業を乗り越えてきたことを思い出します。
各務原市周辺には138タワーパークや新境川堤の桜並木もある
かさだ広場だけでなく、周辺の施設もあわせて巡ると一日を通して楽しめるコースになります。木曽川の生態系を再現した水辺展示のある「河川環境楽園(木曽川水園・自然発見館)」は、レンタサイクルの拠点としても機能する中継地点です。対岸の愛知県一宮市側にある「138タワーパーク」は、岐阜県の県章にちなんだシンボルタワー「ツインアーチ138」が目印で、展望台から木曽川流域や濃尾平野を一望できます。園内には芝生広場や大型遊具もあり、家族連れの休憩スポットとしても人気です。各務原市内では、令和6年12月にオープンした「KakamigaharaわたしのPARK」(正式名称は木曽川前渡南公園)も新しい起点のひとつです。芝生広場やBMX用のフリーバイクコース、日帰りグランピング施設を備えていて、名鉄各務原線市民公園前駅から徒歩すぐ、JR那加駅からも徒歩10分ほど、岐阜各務原ICから車で約10分の立地にあります。
もう少し本格的に走りたいなら「各務野自然遺産の森」も候補になります。令和3年1月にオープンした全周77メートルの土のコース「キッズ用サイクリングロード」は自転車の貸し出しがないため持参が必要ですが、小さな子どもの練習にはちょうどよい広さです。全長1.6キロメートルのマウンテンバイクコースも整備されていて、休日には遠方からのMTB愛好者でにぎわいます。さらに足を延ばせば、およそ1000本の桜が並び「日本さくら名所100選」にも選ばれている新境川堤にたどり着きます。地元出身の歌舞伎役者・市川百十郎がソメイヨシノの苗木1000本を寄贈したことから「百十郎桜」とも呼ばれ、例年3月下旬から4月上旬が見頃で、この時期には各務原市桜まつりも開催されます。上流方向には国宝犬山城の城下町があり、木曽川沿いのルートからは犬山城と日本モンキーパークを望める展望スポットも見つかります。
木曽ポタ・パークリンク大会は2025年に2回開催された
河川環境楽園を会場とする参加型サイクリングイベント「木曽ポタ・パークリンク大会」は、木曽川中流域の魅力を発信する目的で企画され、第1回は2025年3月16日、第2回は2025年12月7日に開催されました。会場は各務原市川島笠田町にある河川環境楽園の東口駐車場で、安全な河川敷を走る初心者向けのショートコース(約10キロメートル)と、愛知県側まで含めて周回するロングコース(全長約40キロメートル)の2種類が用意されています。コースには各務原市だけでなく扶桑町や江南市、一宮市も含まれ、河川環境楽園を起点にKakamigaharaわたしのpark、138タワーパーク、フラワーパーク江南といった主要拠点を周遊する構成でした。走行中の写真撮影サービスやゴール後の家族写真ブース、ドローンによる動画撮影なども用意され、タイムを競うレースというよりファンライドに近い性格のイベントです。木曽川沿いでは他にも、岐阜羽島からリバーポートパーク美濃加茂までの約90キロメートルのロングコースと、岐阜羽島から犬山城までの約60キロメートルのショートコースを走る「ツール・ド・KISOGAWA」というグルメライドイベントも開催されていて、かさだ広場や周辺の飲食店もこのコース沿いにあります。
初めての木曽ポタロードは各務原市内の4.5キロ区間から
初めて木曽ポタロードを走る人には、Kakamigaharaわたしのpark、各務原大橋交流広場、各務原市総合運動公園を経由してかさだ広場まで至る約4.5キロメートルの区間から始めるのがおすすめです。初心者や子ども連れでも無理なく走破できる距離で、途中には休憩できるスポットも点在しています。慣れてきたら、レンタサイクルを使って河川環境楽園や138タワーパークまで足を延ばし、対岸の愛知県エリアまで含めた周遊コースに挑戦するのもよいでしょう。木曽川に架かる橋を渡ることで、岐阜県側と愛知県側、両方の景観を楽しめるのが木曽ポタロードならではの魅力です。家族での利用なら、かさだ広場での遊具遊びとサイクリングを組み合わせ、午前中に園内でしっかり体を動かし、午後は近隣のレンタサイクル拠点まで軽く走るという一日プランも組めます。木曽川の川面と河川敷の緑、遠くに望む山並みの組み合わせは写真映えするポイントとしても知られていて、季節ごとに異なる表情を撮影できるところも魅力です。木曽ポタロード全体では、犬山市、江南市、笠松町、一宮市、稲沢市、美濃加茂市など複数の自治体にまたがる周遊ルートが整備されているため、体力や時間に応じてコースの規模を自由に決められるのも大きな特徴です。
木曽川サイクリングロードは増水後の通行止めと夏場の熱中症に注意したい
河川敷を走るサイクリングロードは自動車との接触リスクが低く初心者にも走りやすいコースですが、増水時や大雨のあとは通行止めや路面状況の悪化が起こることがあります。訪問前には各市町村や国土交通省中部地方整備局の公式情報で、当日のコース状況を確認しておくと安心です。夏場は河川敷の照り返しが強いので、飲み物や日よけ用品を持参して熱中症対策をしておいたほうがよさそうです。冬場は開園時間が短くなるため、早めに行動計画を立てておく必要があります。かさだ広場をはじめ園内は子ども連れやペット連れの利用者も多く、ネット遊具の周辺は子どもの飛び出しもあるので、サイクリングロードではスピードを控えめにして周囲へ配慮したいところです。
各務原のグルメ休憩は古民家カフェ一志と湊屋が定番
サイクリングの合間の食事や休憩も、ルート選びの楽しみのひとつです。各務原市役所周辺や各務原イオン周辺にはランチ利用しやすい飲食店が集まっていて、河川環境楽園や138タワーパークの周辺にも軽食を取れる売店や休憩所があります。具体的な立ち寄り先としては、幕末に建てられた商家、旧湊屋文右衛門家の主屋を活かした「湊屋」が挙げられます。1891年の濃尾地震で周辺の宿場のほとんどが全壊するなかで倒壊を免れた、数少ない江戸時代建築のひとつとされています。木曽川堤防沿いにある「古民家カフェ一志」は、古民家を改装した空間で四季折々の景色を眺めながら休めるお店です。朝9時から12時まではモーニングサービスがあり、トーストやおにぎり、サラダ、玉子、ヨーグルトがドリンク代のみで付いてきます。サイクリングの前に立ち寄って腹ごしらえをするのにも向いています。訪問前には各施設の営業状況を確認し、季節や曜日による営業時間の変動にも注意しておくとよいでしょう。
木曽ポタロードとかさだ広場は各務原発の周遊サイクリングの起点になる
木曽ポタロードは、木曽川流域の自然環境を活かして整備された広域サイクリングネットワークで、各務原市のかさだ広場はその中核を担う拠点のひとつです。広大な芝生広場と大型遊具、木曽川を間近に感じられる園路でのサイクリングを兼ね備えていて、子ども連れのファミリーから本格的なポタリングを楽しみたいサイクリストまで対応できる懐の深さがあります。開園時間や休園日、アクセス方法、レンタサイクルの料金や台数といった実用的な情報を事前に押さえておけば、初めて訪れる人でも当日スムーズに計画を立てられるはずです。周辺には河川環境楽園や138タワーパークなど、あわせて楽しめる施設も多く点在していて、木曽川エリア全体をひとつの大きなサイクリングフィールドとして活用できます。
自転車を通じて木曽川という一本の川と向き合ってみると、江戸時代から続く治水事業の歴史や、川島笠田町という地名に刻まれた土地の成り立ち、令和になって新たに命名された木曽ポタロードという取り組みまで、時間軸の異なる物語が重なり合っていることに気づかされます。かさだ広場での遊具遊びや芝生でのピクニック、レンタサイクルを使った河川環境楽園や138タワーパークへの小旅行、新境川堤の桜並木を絡めた春のポタリング、木曽ポタ・パークリンク大会のような参加型イベントへの挑戦まで、楽しみ方は訪れる人の数だけ広がっています。天候や増水の状況を事前に確認し、季節に合った服装と水分を準備したうえで、木曽ポタロードとかさだ広場を軸にした自分なりの木曽川サイクリングプランを、次の休日に組み立ててみてください。








