兵庫県は「日本の縮図」とも称される多様な地理的特徴を持ち、北は日本海、南は瀬戸内海から淡路島を経て太平洋へと続く豊かな自然環境が広がっています。この恵まれた立地を活かし、兵庫県では「サイクルツーリズム」の推進に力を入れており、2023年度には「兵庫県自転車活用推進計画」が改定され、快適な都市環境の形成、安全な自転車利用、地域活力向上を目標に掲げています。県内には8つの広域モデルルートが設定されており、総延長150kmの本格的なロングライドから平坦な初心者向けコースまで、あらゆるレベルのサイクリストが楽しめる環境が整備されています。充実したレンタサイクルサービスやメンテナンス講習会なども提供され、初心者でも安心してサイクリングデビューできる関西屈指のサイクリングデスティネーションとなっています。

兵庫県で初心者におすすめのサイクリングコースはどこですか?
兵庫県には初心者でも安心して楽しめる平坦で安全なサイクリングコースが数多く整備されています。特におすすめなのが、武庫川サイクリングコースです。このコースは宝塚市から西宮市、尼崎市に至る全長約11kmの自転車専用道路で、最大の特徴は一般道路との交差点が全て立体交差となっているため、信号機がなく連続走行が可能なことです。地形はほぼ完全に平坦で、ママチャリでも無理なく走行できます。
コース沿いには美しい松並木が続き、春には桜や菜の花、秋にはコスモスが咲き誇る四季折々の自然を楽しめます。自転車専用レーンとジョギングコースが明確に区分されており、野鳥観察も人気のアクティビティです。アクセスも抜群で、阪神武庫川駅、JR西宮駅、阪急西宮北口駅、阪急宝塚駅などから簡単に利用でき、各所に休憩用ベンチ、コンビニ、飲食店が整備されています。
もう一つの初心者向けコースとして、「宝塚伊丹街中コース」があります。距離は約29.2km、獲得標高は77mと短く、ママチャリでも回れる設計になっています。阪急宝塚南口駅付近をスタートし、武庫川河川敷、荒牧バラ公園、あいあいパークなどを巡りながら、宝塚歌劇の本拠地である宝塚大劇場や手塚治虫記念館、清酒発祥の地である伊丹の酒蔵など、文化的な見どころも豊富です。
神戸エリアでは、「つくはら湖をめぐる神出山田自転車道」が定番の初心者コースです。北区山田町から西区神出町にかけての約19kmの片道コースで、都心部からアクセスしやすく、豊かな自然を感じられる里山コースとなっています。コースの大半が歩行者と自転車の専用道路のため、子どもや高齢者でも安心して楽しめ、途中には隠れ家レストランやカフェも充実しています。
これらのコースでは、安全な自転車利用が推進されており、2023年4月1日からは全ての自転車利用者に対してヘルメット着用が努力義務となりました。初心者の方は、交通ルール(左側通行、一時停止、赤信号停止など)を守り、安全運転を心がけることで、兵庫県の美しい自然と文化を存分に満喫できるでしょう。
兵庫県の「アワイチ」とはどのようなサイクリングコースですか?
「アワイチ」は「淡路島一周」の略称で、淡路島を一周する約150kmのサイクリングルートです。平成10年代からサイクリストの間で親しまれ、近年特に高い人気を誇る「サイクリストの聖地」として知られています。総延長は約150km、獲得標高は約1,144mで、一般的には岩屋港を拠点に島の外周を時計回りに走るルートが推奨されており、左側通行することで海に近い側を走行できます。
アワイチの最大の魅力は、穏やかな瀬戸内の自然と美しい景観を楽しみながら、淡路島ならではの特産品やグルメ、温泉、数多くの観光スポットを満喫できることです。南部を除けば比較的平坦なコースですが、島特有の起伏も存在し、適度な挑戦感も味わえます。コース上には路面表示や自転車レーン、矢羽根型路面表示が施されており、岩屋からの距離を示す距離標が5~10kmごとに設置されているため、初めて走る方でも迷うことなく安心です。
毎年9月から10月には「淡路島ロングライド150」という大規模イベントが開催されます。2010年度から続くこのイベントは、国営明石海峡公園をスタート・ゴール地点とし、2,300人もの参加者が集まる一大イベントです。エイドステーションでは地元特産の食材が振る舞われ、島を挙げてのおもてなしを体験できます。国内外から多くの参加者があり、サイクリングを通じた国際交流の場にもなっています。
インフラ整備も充実しており、2012年度からサイクリング環境の向上が図られています。通学路対策としての歩道整備、車道の路肩幅の確保、側溝の蓋掛け、「ゆっくりのんびりサイクルレーン」の設置などが進められました。事故防止のため、下り坂や見通しの悪い区間には注意喚起看板が設置され、自転車には左側一列走行、車には「自転車に優しく」といったマナー啓発看板も設置されています。
アクセス方法も多様で、車でのアクセスには神戸淡路鳴門自動車道を利用し、主要な駐車場が島内各所に整備されています。特に「美湯松帆の郷」ではサイクリスト専用無料駐車場が開放されています。自転車を載せてアクセスできるフェリーサービスも充実しており、明石港と岩屋港を結ぶ「淡路ジェノバライン」、深日港と洲本港を結ぶ「深日洲本ライナー」が利用できます。道中には「あわじ花トイレ」などの公衆便所や道の駅が約30箇所に設置され、サイクルラックも完備されています。さらに注目すべきは、2027年度完成を目指して、鳴門海峡をまたぐ大鳴門橋の桁下空間を利用した自転車道の設置が事業化されており、四国への自転車でのアクセスも可能になる予定です。
兵庫県でヒルクライムを楽しめるサイクリングコースはありますか?
兵庫県には本格的なヒルクライムを楽しめる挑戦的な山岳コースが用意されており、中でも六甲山ヒルクライムは関西の自転車乗りにとって象徴的な存在です。休日には多くのサイクリストが訪れる人気スポットで、特に逆瀬川ルートが最もポピュラーで登り甲斐があるとされています。
逆瀬川ルートの特徴は、その厳しい勾配にあります。平均で9%から11%に達する区間があり、一時的に12%から15%にもなる激坂セクションが待ち受けています。特に後半の2.5kmは平均11%の勾配が続く難所で、精神的にも肉体的にも極めて厳しい挑戦となります。しかし、この厳しさを乗り越えた時の達成感は格別で、多くのサイクリストがリピートする理由でもあります。頂上には「一軒茶屋」という茶屋があり、自動販売機、トイレ、水道が利用できる休憩施設が整備されているため、しっかりと休息を取ることができます。
山田錦の里ロングライドコース(約217km)は、東播磨・北播磨地域を巡る本格的なロングライドコースです。このコースでは豊かな自然や田園風景を楽しみながら、長距離ライドの醍醐味を味わうことができます。酒米として名高い山田錦の産地を巡ることから名付けられたこのコースは、日本の原風景を感じながらのサイクリングが可能です。
特に注目すべきは、「南但馬グリーンライド2025」です。2025年5月18日(日)に開催予定のこのイベントは、「鉱石の道周遊ルート」を活用した本格的なヒルクライムイベントです。養父市役所大屋地域局をスタート・ゴールとする約116kmのコースで、登り獲得標高は2,270m、最高勾配は27.6%という極めて厳しい設定となっています。中瀬鉱山や生野銀山などの日本遺産「播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道」のスポットを巡りながら、中級・上級者向けの本格的なチャレンジができます。
丹波篠山市では「KOMチャレンジ」ルートが設定されており、上級者向けの挑戦的なコースとして人気を集めています。また、「ササイチ100km」も用意されており、距離と獲得標高の両方で実力を試すことができます。これらのコースでは、2023年4月1日より改正された道路交通法により、全ての自転車利用者について乗車用ヘルメットの着用が努力義務となっているため、安全性を最優先にチャレンジすることが重要です。
ヒルクライムの魅力は、単に坂を登るだけでなく、達成感と絶景を同時に味わえることです。兵庫県の山岳コースでは、瀬戸内海や日本海の美しい景観、四季折々の自然の変化を楽しみながら、自分の限界に挑戦できる環境が整っています。
兵庫県でサイクリングイベントに参加できますか?
兵庫県では年間を通じて多彩なサイクリングイベントが開催されており、初心者から上級者まで楽しめる様々なプログラムが用意されています。最も注目すべきは、2025年5月18日(日)に開催予定の「南但馬グリーンライド2025」です。
南但馬グリーンライドは、日本遺産「播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道」の一部である「鉱石の道周遊ルート」を活用した本格的なサイクリングイベントです。養父市役所大屋地域局(養父市大屋町大屋市場)をスタート・ゴール地点とし、約116kmのコースで中瀬鉱山や生野銀山などの歴史的スポットを巡ります。登り獲得標高は2,270m、最高勾配は27.6%という厳しい設定で、中級・上級者向けのチャレンジングなイベントです。募集定員は100人で、参加費は8,000円(レース保険と飲食費を含む)となっています。5〜7名程度に1名のガイドライダーが同行するため、安心して参加できます。
兵庫県最大のサイクリングイベントといえば、「淡路島ロングライド150」です。2010年度から開催されているこのイベントは、毎年9月から10月に開催され、募集人数は2,300人という大規模なイベントです。国営明石海峡公園をスタート・ゴール地点とし、淡路島を一周する約150kmのコースを走ります。エイドステーションでは地元特産の食材が振る舞われ、島を挙げてのおもてなしを体験できます。国内外から多くの参加者があり、サイクリングを通じた国際交流の場としても機能しています。
地域密着型のイベントも充実しており、宍粟市の「シソイチ」では独自の取り組みが行われています。公式LINEに登録すると、協力事業所でサイクリスト限定の割引が受けられる特典があり、「土万ふれあいの館」「道の駅ちくさ」「道の駅みなみ波賀」「道の駅播磨いちのみや」の4か所で自転車と投稿者の写真を公式LINEに送ると、限定の「シソイチ達成証」が贈呈されます。さらに、アンケートに答えると抽選でグランピング施設の無料宿泊券などが当たるキャンペーンも実施されています。
サイクリング技術向上を目的とした教育イベントも定期的に開催されています。サイクルベースあさひ舞子店では、無料の「輪行講習会」を開催しており、自転車の分解から輪行袋への収納、組み立て、調整までを実践形式で学ぶことができます。輪行ができるようになることで、サイクリングの幅が大幅に広がるため、多くのサイクリストに支持されています。パンク修理・チューブ交換、変速調整などの講習会も定期的に実施されており、メンテナンス技術の向上にも貢献しています。
これらのイベントはタイムを競うレースではなく、交通規則の遵守が求められ、安全第一で開催されています。各ポイントには制限時間が設けられており、参加者全員が安全にゴールできるよう配慮されています。初心者でも安心して参加できる環境が整っているため、サイクリングデビューの機会としても最適です。
兵庫県でレンタサイクルを利用してサイクリングを楽しむ方法は?
兵庫県では県内の広範囲でレンタサイクルサービスが充実しており、手ぶらでも本格的なサイクリングを楽しむことができます。提供される自転車の種類も、本格的なスポーツサイクル(ロードバイク、クロスバイク、MTB)から電動アシスト自転車、シティサイクル、ミニベロまで多岐にわたり、目的や体力レベルに応じて選択できます。
淡路島では、「アワイチ」を快適に楽しむための専門的なレンタサイクルサービスが充実しています。道の駅東浦ターミナルパーク内の「Bicycle Hub Awaji」では、スポーツサイクル専門店として本格的なロードバイクやクロスバイクをレンタルできます。配送サービスを行う「おでかけ工房」では、宿泊先や指定の場所まで自転車を配送してくれるため、アクセスの利便性が大幅に向上します。岩屋港の「岩屋観光案内所」、洲本バスセンター内の「洲本観光案内所」、南あわじ市の「カムカムレンタルサービス」や「陸の港西淡」、「南あわじ観光案内所」など、島内各所でレンタルが可能です。
都市部では低料金で利用できるサービスが人気です。「駅リンくん」(JR駅)や「阪急レンタサイクル」(阪急駅)などの駅直結サービスは、電車でのアクセス後にすぐにサイクリングを開始できる利便性があります。最近では、スマホアプリを利用したシェアサイクルサービスも急速に普及しており、「LUUP」「コベリン」「姫ちゃり」「加東シェアサイクルサービス」などが展開されています。これらのサービスでは乗り捨てサービスも提供されており、片道利用や複数のスポットを巡る際の利便性が格段に向上しています。
料金体系は、一般的にシティサイクルが1日500円~1,000円程度、電動アシスト自転車が1日1,000円~2,000円程度、本格的なスポーツサイクルが1日3,000円~5,000円程度となっています。長期利用の場合は割引料金が適用されることが多く、2泊3日や1週間パックなどのお得なプランも用意されています。シェアサイクルは15分単位や30分単位の課金制が多く、短時間の利用に適しています。
レンタサイクルを利用する際のおすすめの楽しみ方として、神戸市西北神地域では「つくはら湖をめぐる神出山田自転車道」のシェアサイクルサービス(期間限定)があり、本格的なスポーツ自転車をレンタルして、どの貸し出しスポットでも返却可能なシステムが導入されています。コース沿いには隠れ家レストランやカフェが充実しているため、グルメとサイクリングを組み合わせた楽しみ方が可能です。
利用時の注意点として、2023年4月1日からは道路交通法の改正により、全ての自転車利用者に対してヘルメット着用が努力義務となりました。多くのレンタサイクル店では無料でヘルメットの貸し出しも行っているため、安全性を最優先に利用することが重要です。また、レンタサイクルでも自転車保険の加入が推奨されており、一部のサービスでは料金に保険が含まれている場合もあります。事前に確認し、安心してサイクリングを楽しみましょう。
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