いわき七浜海道サイクリングコースとは、福島県いわき市の太平洋沿岸を縦断する全長約53kmの絶景サイクリングロードです。勿来の関公園を南端、久之浜防災緑地を北端として七つの浜をつなぎ、東日本大震災からの復興のシンボルとして2021年3月28日に全線開通しました。国内で唯一、防潮堤の上を自転車で走ることができる類いまれなルートとして、全国のサイクリストから熱い視線が注がれています。
コースのほとんどが平坦で交通量も少なく、初心者からベテランまで幅広い層が楽しめる設計が魅力です。本記事では、いわき七浜海道サイクリングコースの概要や成り立ち、七つの浜それぞれの見どころ、立ち寄りたいグルメスポット、アクセス方法、安全に楽しむための注意点まで、これから訪れたい方が知っておきたい情報を網羅的に解説します。潮風を浴びながら太平洋の水平線を眺めて走る体験は、走り終えた後も心に深く残る忘れられない一日となるはずです。

いわき七浜海道サイクリングコースとは何か
いわき七浜海道とは、福島県いわき市の太平洋沿岸を南北に貫く全長約53kmのサイクリングロードのことです。東日本大震災の復旧・復興事業によって整備された防潮堤や既存の国道・県道・市道などを活用し、自転車走行空間として一体的に整えられました。白砂青松が広がる美しい海岸線に沿って走るこのコースは、震災からの力強い復興の歩みを肌で感じられる、日本でも唯一無二のルートです。
コースの起点は南部の勿来の関公園、終点は北部の久之浜防災緑地で、その間に並ぶ「勿来」「小名浜」「永崎」「豊間」「薄磯」「四倉」「久之浜」という七つの浜を結びます。この七つの浜それぞれが固有の風景・歴史・文化を持っており、一本のルートでそのすべてを巡れる点が、いわき七浜海道サイクリングコースの大きな魅力となっています。
南北に細長いいわき市の海岸線を縦断する形で整備されたこのルートは、市内の主要な観光スポットや港町を結ぶ「海の道」とも呼べる存在です。サイクリングそのものを目的とする方はもちろん、観光・グルメ・歴史散策と組み合わせて楽しむ方も多く、訪れる人によってさまざまな表情を見せてくれます。
いわき七浜海道が生まれた背景と復興の歴史
いわき七浜海道サイクリングコースを語るうえで欠かせないのが、2011年3月11日の東日本大震災と、その後の復興の歩みです。震災当時、いわき市の海岸には高さ4〜6メートルに及ぶ津波が押し寄せ、沿岸部の住宅地や農地が飲み込まれ、多くの尊い命が失われました。
その後、国・県・市が一体となって被災地の復旧・復興に取り組み、海岸防護のために高さ7〜8メートルに及ぶ防潮堤が建設されることになります。防潮堤は人々を津波から守る重要な構造物である一方、これほど高い壁が海岸線に立ちはだかれば海の景観が失われてしまうという懸念の声も上がっていました。
そうした状況の中、地元住民の間から「防潮堤の上を自転車で走れるようにしてはどうか」というアイデアが生まれます。この発想が市・県・国を動かし、被災地特有の創造的な復興のかたちとして全国から注目を集めることになりました。整備工事は2018年度から本格的に始動し、2019年8月には勿来の関公園から三崎公園までの約26kmの区間が開通、2020年8月には三崎公園から新舞子ビーチ間の約13kmが開通しました。そして2021年3月28日に残りの区間が完成し、全長約53kmの全線開通を達成しています。
現在、いわき七浜海道は「国内唯一の防潮堤の上を走ることができるサイクリングロード」として、全国のサイクリストから高い評価を得ています。このルートを走ることは、単なるスポーツや観光にとどまらず、震災の記憶を風化させず、復興の歩みを体感するという意義も併せ持っているのです。
いわき七浜海道サイクリングコースの全長と難易度
いわき七浜海道サイクリングコースの基本情報を、まず表で整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コース名 | 復興サイクリングロード「いわき七浜海道」 |
| 区間 | 勿来の関公園から久之浜防災緑地まで |
| 総延長 | 約53km |
| 全線開通日 | 2021年3月28日 |
| 難易度 | 初級から中級(ほぼ平坦) |
| 所要時間の目安 | 全線走破で6〜7時間(初心者・休憩込み) |
| おすすめ自転車 | クロスバイク、ロードバイク、電動アシスト付き自転車 |
全長約53kmのコースは、その大半が海岸線沿いの平坦なルートで構成されています。アップダウンは数カ所ありますが、全体としてはほぼフラットな設計で、脚力に自信のない初心者や女性サイクリストでも安心して楽しめる難易度です。
ルート上には矢羽根(矢印マーク)と案内標識が随所に設置されており、地図やGPSに不慣れな方でも迷わず走れる工夫が施されています。コース上の看板にはQRコードが設置されていて、スマートフォンでスキャンするとナビゲーション機能を備えたNAVITIMEのサイクリングルートに誘導される仕組みです。現在地の確認や進行方向の把握が容易で、初めての方でも安心して走破に挑めます。
初心者がクロスバイクで走った場合、1時間あたり10〜15km程度のペースを目安に、休憩を含めると全線走破には6〜7時間ほどかかります。一日で走り切るのが難しい場合は、途中の区間だけを楽しむ走り方もポピュラーです。たとえば小名浜エリアだけを巡る、四倉から久之浜までの北部だけを走るといった計画も立てやすく、体力や目的に合わせて柔軟にアレンジできます。
クロスバイクはロードバイクよりも楽な姿勢で乗れるため、スポーツ用自転車が初めての方にも安心です。電動アシスト付き自転車を選べば、坂道や向かい風の区間でも快適に走ることができ、より広い年齢層の方が楽しめます。
七つの浜と主要スポットの見どころ
いわき七浜海道サイクリングコースの最大の魅力は、七つの浜それぞれに固有の見どころが点在していることです。ここでは南から北へ向かって、コース沿いの主要スポットを順に紹介します。
勿来の関と勿来海岸
コースの南端に位置する勿来の関は、かつて奥州への入り口を守った歴史的な関所の跡地です。白河の関・念珠の関とともに奥州三古関のひとつとして知られており、源義家や西行法師などの歌人・武将が詠んだ歌枕の地としても有名な場所です。勿来の関公園には資料館や庭園が整備されており、サイクリングの出発前後に歴史散策を楽しめます。
勿来海岸には市内有数の広さを誇る勿来海水浴場があり、夏場は多くの海水浴客でにぎわう人気スポットです。海岸のシンボルである赤い鳥居と二ツ岩は、フォトジェニックな撮影スポットとして人気が高く、休憩がてら写真撮影に立ち寄るサイクリストも数多く見られます。
小名浜エリア
小名浜はいわき市の玄関口ともいえる主要な港町で、カツオの水揚げ高が全国トップクラスを誇る漁港です。コース上でも特に賑わいのあるエリアで、観光スポットや飲食店が充実しています。
このエリアの代表的な施設が「いわき・ら・ら・ミュウ」です。小名浜港に面した複合商業施設で、採れたての新鮮な鮮魚や水産加工品を販売する店舗のほか、地元の海の幸を使った料理を提供する飲食店が並んでいます。サイクリングの途中に立ち寄り、カツオ料理や浜焼きを楽しむ方も多く、ランチスポットとしての人気も高いです。
小名浜には大型水族館「アクアマリンふくしま」もあります。2011年の東日本大震災では約9割の展示生物が失われる深刻な被害を受けましたが、わずか4カ月という驚異的なスピードで再開館を果たし、現在は復興のシンボルとして多くの来場者を迎えています。コース上のアクアマリンパーク周辺には広い無料の公共駐車場があるため、車を駐めてここをサイクリングのスタート拠点として利用する方も少なくありません。
小名浜港は福島県内最大の港湾で、常に多くの漁船や貨物船が行き交う活気あるエリアです。港の周辺を走っていると、水産業が地域の経済を支えてきたいわきの歴史と文化を肌で感じられます。
三崎公園
小名浜と新舞子の間に位置する三崎公園は、海に突き出た崖の上に広がる自然公園です。公園内には「松島海岸」と呼ばれる景勝地があり、遊泳は禁止されていますが、岩場と海が織りなす独特の景色を間近に楽しめます。木々の緑と太平洋の青が交わる絶景スポットで、天気の良い日には水平線まで見渡せるため、サイクリング中の休憩ポイントとして高い人気を集めています。園内には休憩施設もあり、持参した食事をゆっくり取るのにも適した場所です。
新舞子エリア
新舞子はいわき七浜海道のほぼ中間あたりに位置し、美しい砂浜が広がる「新舞子ビーチ」を擁するエリアです。新舞子ビーチは遠浅で波が穏やかなため、夏は海水浴場として多くの家族連れでにぎわいます。
いわき新舞子ハイツは、宿泊施設・多目的運動場・サイクルステーション・レンタサイクル拠点などを備えた複合施設で、いわき駅から路線バスで約25分というアクセスの良さに加え、広い無料駐車場も完備されています。そのため、多くのサイクリストが出発拠点として利用している場所です。コースの中間地点という立地を生かし、前泊して早朝から走り始めたり、遠方から車でアクセスしてここを基点に南北どちらかへ走ったりする使い方が人気を集めています。
薄磯・豊間エリア
薄磯海水浴場は環境省が選定する「日本の快水浴場百選」に選ばれた海岸で、透明度の高い海水と白い砂浜が美しいスポットです。東日本大震災の津波による被害を大きく受けたエリアでもありますが、復興工事を経て現在は整備された海岸線に生まれ変わっています。夏の海水浴シーズン以外でも、その美しい景色はサイクリストにとって格好の撮影スポットです。
近隣の豊間地区には「いわき震災伝承みらい館」があります。2020年5月30日に開館したこの施設の入館は無料で、館内は「地震」「津波」「原発事故と避難」「復旧」「復興」の5つのゾーンに分かれた展示構成です。被災した住民の証言映像や震災当時の資料が丁寧に保存・展示されており、津波で被災したピアノが修復を経て再び音を奏でるようになった「奇跡のピアノ」のエピソードは、来館者の胸を打つ展示として広く知られています。月曜定休(祝日の場合は翌平日)で、開館時間は9時から17時(最終入館16時30分)です。サイクリングの途中にぜひ立ち寄りたい施設のひとつといえるでしょう。
四倉エリア
四倉はいわき市北部の港町で、「道の駅よつくら港」を中心に展開するエリアです。道の駅では地元産の新鮮な野菜や水産物が販売されており、サイクリングの休憩・補給ポイントとして重宝されています。隣接するサイクルステーションでは自転車の空気入れや簡単な整備も行えるため、コースの後半に差し掛かった頃の立ち寄り先として最適です。
四倉付近には「ワンダーファーム」というトマトのテーマパークもあります。国内最大規模のトマト農園を見学しながら、レストランで採れたてトマトを使った料理を楽しんだり、トマト狩り体験や手ぶらでBBQを満喫したりすることができる体験型施設です。子供から大人まで楽しめる施設として、家族連れにも人気のスポットとなっています。
久之浜エリア
コース北端の久之浜は、波立海岸など美しい海岸が続くエリアです。波立薬師は岩礁上に建てられた小さな祠で、周囲の岩礁と海が織り成す独特の景観が見る者を惹きつけます。朝日や夕日が海面に映える時間帯は特に美しく、多くのカメラマンやサイクリストが訪れる撮影名所です。
このエリアにある「海カフェ」は、久之浜の海岸をパノラマで望むテラスデッキが魅力の休憩スポットです。波立海岸の景色を一望しながら海風に吹かれてくつろぐひとときは、長距離サイクリングの疲れを癒してくれます。コースの終点・久之浜防災緑地のすぐ近くにあるため、サイクリングの締めくくりにぴったりの場所です。
いわき七浜海道のサイクルステーションとレンタサイクル
いわき七浜海道サイクリングコースのルート上および周辺には、複数のサイクルステーションが設置されています。自転車の空気入れや簡単なメンテナンスサービスのほか、レンタサイクルの提供を行う拠点もあり、電動アシスト付き自転車からクロスバイク、ロードバイクまで、さまざまなタイプの自転車を借りられます。自転車を持っていない方でも手ぶらでサイクリングを楽しめるのは大きな魅力です。
主なサイクルステーションは、いわき駅周辺の市内サイクルステーション「NORERU?」、コース南端の勿来の関サイクルステーション、小名浜のアクアマリンパークサイクルステーション、コース中間に位置する新舞子サイクルステーション、北部エリアの浜風きららサイクルステーション、地元サイクリスト御用達の颯(はやて)サイクル、四倉エリアの道の駅よつくら港サイクルステーション、湯本駅前サイクルステーションなどです。各拠点はコースの主要地点に配置されており、出発拠点としてはもちろん、走行中の休憩・整備拠点としても機能しています。
なお、いわき市のサイクリング情報は「NOZZOいわき(nozzo-iwaki.jp)」という専門サイトで総合的に提供されています。最新のレンタサイクル情報、おすすめルート、各種サイクリングイベント情報も掲載されているため、サイクリング前に必ず確認しておくことをお勧めします。
いわき七浜海道サイクリングコース沿いで楽しめるグルメ
いわき七浜海道サイクリングコース沿いには、地元の食材を使ったグルメスポットが点在しています。新鮮な海の幸を使った料理から個性的なカフェまで、走る合間の楽しみは尽きません。代表的な店舗を、エリアごとに表でまとめます。
| 店舗・施設 | エリア | 特徴 |
|---|---|---|
| いわき・ら・ら・ミュウ | 小名浜 | 新鮮な海産物と地元グルメが集まる観光物産センター |
| ごはんカフェきゅういち | 豊間 | 郷土料理「ポーポー焼き」が味わえる食堂 |
| 月見亭 | 中之作 | 港を見下ろす古民家カフェ(金〜火曜営業) |
| 海カフェ | 久之浜 | 波立海岸を一望できるテラスデッキ |
小名浜の「いわき・ら・ら・ミュウ」では、カツオをはじめとした新鮮な魚介料理、さんまの刺身、めひかりの唐揚げなど、いわきならではの料理を堪能できます。観光物産センターとしての機能も持ち、購入したお土産を送ることもできる便利なスポットです。
豊間の「ごはんカフェきゅういち」は、豊間海岸から徒歩約3分の場所に位置するアットホームな食堂です。サンマのすり身に味噌やネギを加えて焼き上げる「ポーポー焼き」は、いわき独特の郷土料理で、地元の食文化を体験する貴重な機会となります。
中之作港を見下ろす高台に佇む「月見亭」は古民家カフェで、旬の野菜や果物を使った料理とスイーツを港と海を眺めながらゆっくり楽しめます。趣のある古民家の雰囲気と海の景色のコントラストが魅力で、サイクリングの疲れを癒す一休みにぴったりです。営業は金曜から火曜(水・木曜定休)となっています。
久之浜町の波立海岸近くに位置する「海カフェ」は、海岸をパノラマで望む広いテラスデッキが自慢の海沿いカフェです。営業時間は11時から日没まで、ドリンクバーは500円で利用できます。コースの終点・久之浜防災緑地の近くにあるため、全線走破後のゴールの一杯を味わうのにも最適な場所です。
いわき七浜海道へのアクセス方法
いわき七浜海道サイクリングコースへのアクセスは、電車・バス・車のいずれにも対応しています。それぞれの手段別に、出発拠点までの行き方を整理します。
電車を利用する場合、JR常磐線「いわき駅」が最寄りの主要駅です。東京方面からは上野駅から特急「ひたち」で約2時間、品川駅からも直通でアクセスできます。駅からは路線バスで小名浜方面や新舞子方面へ移動でき、いわき駅から新舞子ハイツまでは路線バスで約25分が目安です。
車でアクセスする場合は、常磐自動車道を利用するのが便利です。南部の勿来エリアへは「いわき勿来IC」、小名浜エリアへは「いわきJCT」から国道6号線経由、北部の四倉・久之浜エリアへは「いわき四倉IC」がそれぞれ最寄りインターチェンジとなります。コース沿いのサイクルステーション周辺には無料駐車場が整備されているため、車でアクセスしてサイクリングを楽しむ方も少なくありません。
主な出発拠点としては、コースのほぼ中間に位置する「いわき新舞子ハイツ」、小名浜港に隣接する「アクアマリンパーク」、サイクリング後の宿泊先として人気の「いわき湯本温泉」が挙げられます。いわき新舞子ハイツはサイクルステーション・レンタサイクル拠点・広い無料駐車場を完備し、宿泊も可能なため、前泊して翌日早朝から走り始めるプランにもぴったりです。アクアマリンパークは小名浜港に隣接する無料公共駐車場があり、観光と組み合わせたプランに最適です。湯本駅前にもサイクルステーションがあり、温泉とサイクリングを組み合わせたツアープランも組めます。
いわき七浜海道サイクリングコース走行時の注意点とマナー
自転車は道路交通法上の「車両」に分類されます。いわき七浜海道サイクリングコースを安全に楽しむためには、いくつか押さえておきたい注意点があります。
まず、交通ルールの遵守が大前提です。左側通行を守り、車道走行の際は信号や一時停止などの基本ルールを必ず守りましょう。スマートフォンを操作しながらの「ながら運転」は禁止されています。防潮堤の上や遊歩道区間では歩行者の通行を妨げないよう、歩行者優先を徹底することも重要です。歩行者の近くを通る際は十分に速度を落とし、声がけをするなど安全への配慮を欠かさないようにしましょう。
ヘルメットの着用も忘れてはなりません。2023年の道路交通法改正により、自転車乗車時のヘルメット着用が全年齢に対して努力義務化されました。転倒時の頭部保護に有効であるため、大人も含めて全員が着用することが強く推奨されています。
津波への備えも重要です。コースの大半は海岸線の低地または防潮堤の上を走るため、気象庁から津波注意報・警報・大津波警報が発令された場合は、直ちに自転車を降り、指定された津波避難場所や高台に避難する必要があります。強風・大雨・台風などの荒天時は防潮堤の上が非常に危険となるため、走行は控えましょう。夜間は視界が悪くなることから、防潮堤や河川堤防などでの夜間走行はできる限り避けることが推奨されています。
ルート上には矢羽根や案内標識が設置されており、QRコードからナビアプリへのリンクも案内されています。事前にルートを確認してから出発し、コースを外れた際は早めに引き返して無理な走行はしないことが、安全に楽しむためのコツです。
いわき七浜海道サイクリングコースのおすすめの楽しみ方
いわき七浜海道サイクリングコースは、走り方の自由度が高い点も大きな魅力です。全長約53kmを一日で走破することも可能ですが、無理に全線を狙わず、自分のペースで楽しむ方法も多くあります。
分割走行は、初心者や体力に自信のない方におすすめのアプローチです。たとえば「勿来の関から小名浜」「小名浜から新舞子」「新舞子から久之浜」という3区間に分ければ、それぞれ15〜20km程度の走りやすい距離になります。半日で気軽に楽しめるため、宿泊を伴う旅行プランとも相性が良い走り方です。
折り返しサイクリングも人気のスタイルです。出発地点と終点が離れているため、一方通行で走る場合はゴール地点まで輪行(自転車をたたんで電車に乗せる方法)か、帰りの移動手段を確保しておく必要があります。一方、任意の地点を折り返し点として往復するプランなら、出発地点に戻れるので計画が立てやすくなります。「いわき・ら・ら・ミュウを折り返し点にして小名浜周辺を往復」「新舞子ハイツを基点に北方向へ走って折り返し」など、柔軟なプランが組めるのが強みです。
このコースの醍醐味は、走ることだけではありません。コース沿いには震災伝承施設、水族館、道の駅、海カフェ、海鮮グルメなど立ち寄りスポットが豊富で、観光や食事を楽しみながらゆっくり走るスタイルも、いわき七浜海道ならではの楽しみ方といえます。
いわき七浜海道は「ホープツーリズム エンジョイプラス」という福島浜通りの旅行プログラムとも連携しています。震災伝承施設や復興関連スポットを組み合わせたガイドツアーに参加すれば、より深く復興の背景を知りながらサイクリングを満喫できます。専門ガイドの解説とともに学べるこのプログラムは、一般のサイクリングとは一味違う深い体験を提供してくれる選択肢です。
いわき七浜海道サイクリングコースの季節ごとの楽しみ方
いわき七浜海道サイクリングコースは、四季それぞれに異なる魅力を見せてくれます。訪れる季節を選ぶことで、走る体験はまた違った表情を見せてくれるでしょう。
春(3月から5月)は桜と海のコントラストが美しく、気候も穏やかでサイクリングに最適なシーズンです。4月下旬から5月のゴールデンウィーク期間には多くのサイクリストが訪れ、コース全体がにぎわいます。夏(6月から8月)は海水浴場の活気と輝く青い海が魅力で、海の幸グルメも最も充実する季節です。ただし強い日差しと暑さがあるため、暑さ対策と熱中症予防は必須となります。
秋(9月から11月)は気候が涼しく走りやすく、澄んだ空気の中で美しい水平線を楽しめる絶好の時期です。冬(12月から2月)は人が少なく静かな海を独り占めできる穴場シーズンとなります。晴れた日には透き通るような青い海とシャープな水平線が楽しめますが、海風が冷たいため防寒対策は万全に整えて出発しましょう。
福島浜通りサイクルルートとの連携
いわき七浜海道サイクリングコースは「ふくしま浜通りサイクルルート推進協議会」が整備する浜通りサイクルルートの一部にも位置づけられています。浜通りのサイクルルートはいわき市内にとどまらず、北は宮城県、南は茨城県方面へと広がっており、より長距離のツーリングにも対応する設計です。
茨城県側ではいわき七浜海道の南端・勿来の関から続く形でサイクリングルートが整備されており、北茨城市・日立市方面へとさらに走り続けられます。サイクリングのレベルアップや長距離ライドに挑戦したい方は、隣接するルートとの連携も視野に入れた計画づくりが楽しめます。
浜通りサイクルルートは「ビワイチ(琵琶湖一周)」「しまなみ海道」などと並び、東日本を代表するサイクリングルートのひとつとして知名度を高めつつあります。全国のサイクリングルートを巡る愛好家にとっても、見逃せない注目スポットになりつつあるのです。
いわき七浜海道サイクリングコースの準備物
サイクリングを安全かつ快適に楽しむためには、事前の準備が欠かせません。最低限揃えておきたいアイテムを表で整理します。
| カテゴリ | 準備物 |
|---|---|
| 自転車関連 | ヘルメット、グローブ、サイクルウェア、携帯ポンプ、タイヤ修理キット、サドルバッグ |
| 安全・快適 | 日焼け止め、サングラス、レインウェア、スマートフォン、充電バッテリー |
| 補給・飲食 | 水分、補給食(エネルギーバー、ゼリー飲料など) |
| 緊急時の備え | ファーストエイドキット、緊急連絡先、津波避難マップ |
海沿いを長時間走るコースのため、紫外線対策と水分補給は特に重要です。風が強い日はそれと意識せずに汗をかきやすいため、こまめな水分補給を心掛けましょう。急な天候変化に備えてレインウェアを携行しておくことも、安心して走るためのポイントです。
いわき七浜海道サイクリングコースについてよくある疑問
いわき七浜海道サイクリングコースを初めて訪れる方からは、いくつか共通する疑問が寄せられます。ここでは代表的な疑問への回答をまとめて紹介します。
初心者でもいわき七浜海道サイクリングコースを楽しめるのかという疑問については、十分に楽しめると回答できます。コースの大半は平坦で、案内標識やQRコードによるナビ案内も充実しているため、スポーツ自転車に初めて乗る方でも安心して走れる設計です。電動アシスト付き自転車のレンタルも各拠点で利用できるため、体力に自信のない方も気軽に挑戦できます。
自転車を持っていない場合の対応については、いわき市内に設置された各サイクルステーションでレンタサイクルが利用できます。クロスバイク、ロードバイク、電動アシスト付き自転車などから選べるため、手ぶらで訪れても問題ありません。
全線53kmを一日で走り切れるかという疑問については、初心者でも休憩を含めて6〜7時間ほどの所要時間が目安となります。体力に自信のない方は、コースを複数区間に分けて走る方法もあります。
雨の日や荒天時に走ってもよいかについては、強風・大雨・台風などの荒天時は防潮堤の上が非常に危険なため、走行は控えることが推奨されています。津波警報が発令された際は、直ちに自転車を降りて高台へ避難する必要があります。
まとめ
いわき七浜海道サイクリングコースは、東日本大震災からの復興を象徴する全長約53kmのサイクリングロードです。国内で唯一、防潮堤の上を走れるという類いまれな体験、震災の歴史と記憶を肌で感じる震災伝承施設、港町ならではの新鮮な海の幸グルメ、そして整備されたサイクルステーションとレンタサイクルのインフラと、サイクリングの楽しみが凝縮された特別なルートといえます。
初心者から上級者まで幅広く楽しめる平坦なコース設計、わかりやすい案内標識、各拠点での手厚いサポート体制のおかげで、サイクリング初体験の方も安心して走れます。まずは一区間だけでも走ってみると、いわきの海と復興の歩みが心に深く残る忘れられない体験となるはずです。
福島県いわき市を訪れる際は、ぜひいわき七浜海道サイクリングコースを旅の一部に組み込んでみてください。潮風を感じながら走る53kmは、何度訪れても新しい発見がある「また来たくなる」サイクリングロードとして、あなたを温かく迎えてくれることでしょう。








