揖斐川サイクリングと多度山ヒルクライムを三重県桑名市の河川敷で満喫

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三重県桑名市を流れる揖斐川の河川敷は、信号が少なく見通しのよい道が続き、初心者からロードバイク経験者まで走りやすいコースとして親しまれています。堤防沿いをさらに北へ進むと、標高403メートルの多度山と多度大社が待っており、平坦な河川敷ライドと本格的なヒルクライムを同じ日に組み合わせられるのが、このエリアならではの特徴です。桑名駅は近鉄名古屋線やJR関西本線、養老鉄道養老線が乗り入れる交通の要所で、名古屋方面からのアクセスもよく、サイクリングの起点として使いやすい立地にあります。この記事では、桑名駅を起点にした揖斐川河川敷のモデルコースから、多度山ヒルクライムの走り方、多度大社の見どころ、養老鉄道のサイクルトレインの使い方まで、実際に走る前に知っておきたい情報をまとめました。

目次

桑名駅発着の揖斐川河川敷ルートは信号が少なく初心者にも走りやすい

揖斐川は岐阜県の伊吹山地に源を発し、養老山地の東側を下って桑名市で長良川と合流し、伊勢湾へ注ぐ一級河川です。木曽川・長良川とあわせて木曽三川と呼ばれ、下流域には広大な河川敷と輪中地帯特有ののどかな田園風景が広がっています。桑名市周辺では堤防上に整備された道や河川敷の道が続いており、市街地に比べて信号や交通量が少ないため、ロードバイクだけでなくクロスバイクや電動アシスト自転車でも巡航しやすい環境です。川面を渡る風を受けながら走ると、天気のよい日には遠くに養老山地や鈴鹿山脈を望むことができます。

このエリアの魅力は、河川敷を走るだけでなく、多度山という起伏に富んだヒルクライムスポットが隣接している点にあります。桑名駅から揖斐川沿いを北上し、多度大社を経て多度山山頂公園を目指すルートは、自転車販売店あさひが運営する情報サイト「ちりりん」も取り上げるコースで、平坦基調のロングライドとヒルクライムの達成感を1本のコースで両方楽しめる、三重県内で人気の高いコースのひとつです。低山でありながら登り切った際の満足感が大きく、週末のトレーニングとして走り込む地元サイクリストの姿も見られます。

桑名市は三重県の北部にあり、名古屋方面からのアクセスが良好です。近鉄名古屋線・JR関西本線・養老鉄道養老線が乗り入れる桑名駅は、名古屋駅から近鉄特急でおよそ20分前後で到着でき、遠方から輪行袋を使って自転車を持ち込む場合にも便利な立地です。東名阪自動車道の桑名インターチェンジ、桑名東インターチェンジも近く、車で自転車を運んでスタートすることもできます。桑名市は東海道五十三次の宿場町として栄えた桑名宿の面影を残す町並みや、桑名城跡の九華公園なども見どころのひとつで、平坦な地形と豊かな水辺の景観を活かしたコースの途中に歴史的な町並みを織り交ぜられるのも、このエリアならではの魅力です。桑名といえば「その手は桑名の焼き蛤」という言葉が残るほど焼き蛤が名物で、川魚や地元食材を使った郷土料理も豊富にそろっています。

赤須賀漁港から多度大社まで続く河川敷コースにははまぐり店とレンタサイクルがある

桑名駅からスタートし、揖斐川の右岸または左岸に出て北へ向かうのが基本ルートです。市街地を抜けると視界が一気に開け、広々とした河川敷の道に入ります。堤防道路は基本的にフラットで、遠くまで直線的に伸びる区間も多く、巡航ペースを作りやすいのが特徴です。途中の赤須賀漁港周辺では、地元で水揚げされたはまぐりを味わえる食事処があり、朝早くスタートした場合は休憩がてら立ち寄ることもできます。名物のはまぐり丼や、自分で焼いて食べられる焼き蛤定食を提供する店の多くは、サイクリスト向けの駐輪スペースを備えています。

河川敷の道をさらに北上すると、養老鉄道の線路や多度大社の鳥居が見えてくるエリアに入ります。揖斐川沿いのルートは木曽三川公園方面へもつながっており、体力や時間に応じて木曽三川公園センターやタワーパークまで足を延ばし、木曽川・長良川・揖斐川の三川を巡る広域ルートに接続することも可能です。国営木曽三川公園にはレンタサイクルが用意されており、シーズン中の3月から10月は午前9時30分から午後4時15分頃まで、冬季の11月から2月は午前9時30分から午後3時30分頃まで貸し出しています。料金は一般車が1台300円、電動アシスト自転車が1台500円程度と手頃で、河川敷周辺で自転車を借りてポタリングを楽しむという選択肢もあります。

多度山ヒルクライムは標高403メートルで5コースから選べる

揖斐川沿いの平坦路を楽しんだあとは、多度山ヒルクライムに挑戦できます。多度山は標高403メートルとそれほど高い山ではありませんが、多度大社から山頂公園に向けて一気に高度を上げていく登りは、低山とは思えないほどの達成感があります。山頂からの眺望はよく、木曽三川の流れや濃尾平野、条件がそろえば名古屋市街まで見渡せます。

多度山には目的や体力に応じて選べる複数のコースが整備されています。多度駅から鳥居をくぐり宇賀神社を経て多度山山頂公園まで続く眺望満喫コースは全長約4520メートルで、桑名市によって自転車・歩行者専用道として整備された区間もあり、ハイキングとサイクリングの両方に使われています。距離の異なる4つのコースもあわせて整備されており、下表のとおりです。

コース名距離の目安
眺望満喫コース約4520メートル
木曽川交流コース約3520メートル
リバーサイドコース約6460メートル
のんびりコース約1420メートル
アスレチックコース約1680メートル

ロードバイクでのヒルクライムにも対応しており、休日のトレーニングコースとして走り込んでいるサイクリストの姿も多く見られます。山道であるため、路面状況や交通量、通行止め情報は季節や天候によって変わることがあります。初めて訪れる場合は無理のないペースで、休憩を挟みながら登るのがよいでしょう。下りは急なカーブや路面の落ち葉、砂に注意し、スピードの出し過ぎには気をつけてください。

多度大社は5世紀創建で上げ馬神事が5月4日と5日に行われる

多度山ヒルクライムの拠点となるのが、麓に鎮座する多度大社です。多度大社は5世紀後半、雄略天皇の時代に社殿が建てられたと伝わる歴史ある神社で、本宮には天津彦根命、別宮には天目一箇命が祀られています。天津彦根命は伊勢神宮の祭神である天照大御神の御子神にあたることから、多度大社は古くから北伊勢大神宮とも呼ばれ、「お伊勢参らばお多度もかけよ、お多度かけねば片参り」という言葉が残るほど、伊勢神宮とあわせて参拝すべき神社として篤い信仰を集めてきました。

境内には「しあわせを運ぶ神の馬」として白馬伝説が伝えられ、実際に神馬が飼育されている姿を見ることもできます。毎年5月4日・5日に行われる上げ馬神事は、少年騎手が馬とともに急な坂を一気に駆け上がる神事で、三重県の無形民俗文化財に指定されています。多度祭は4日の前日祭と5日の本祭の2日間にわたって行われ、前日祭では午前9時30分頃の騎手乗込に続き、午後1時頃から一番手の花馬を皮切りに、それぞれの馬が2回ずつ坂を駆け上がる上げ坂が行われます。本祭にあたる5日には、午後4時頃から神輿渡御が始まり、御旅所祭典や流鏑馬、神輿還御へと続きます。神占いで選ばれた青年騎手が、4日は陣笠・裃姿、5日は花笠・武者姿で坂を駆け上がる姿は見応えがあり、毎年十数万人の参詣者が訪れる三重県を代表する春の行事となっています。開催時期にあわせてサイクリングの計画を立てれば、行事の熱気とあわせてこのエリアの魅力を体感できるでしょう。

参拝は24時間可能で、御祈祷の受付は午前9時から午後4時30分頃までとなっており、参拝自体は無料です。車の場合、東名阪自動車道桑名東インターチェンジから約10分、弥富インターチェンジから約15分、名神高速道路大垣インターチェンジから約30分ほどです。公共交通機関を利用する場合は、養老鉄道多度駅から徒歩約15分、または三重交通バスで約5分となっています。駐車場は神社横に約30台分の無料駐車場、階段下に約70台分の有料駐車場があり、平日は無料です。周辺にもあわせて約500台分の駐車スペースが確保されており、サイクリングの起点としてだけでなく、車で訪れる参拝者にも配慮された環境が整っています。

養老鉄道のサイクルトレインは列車の前から2両目に自転車ごと乗車できる

このエリアのサイクリングを自由度高く楽しむための手段が、養老鉄道のサイクルトレインです。養老鉄道は桑名駅から岐阜県大垣市を経て揖斐駅までを結ぶローカル線で、桑名駅から多度駅、揖斐駅までの区間で、自転車を折りたたんだり専用の袋に入れたりせずそのまま車両に持ち込めるサービスを一年を通じて実施しています。

利用の際は、列車の前から2両目に自転車とともに乗車するのが基本ルールです。土日祝日はすべての列車でサイクルトレインを利用できますが、平日は利用可能な列車が指定されているため、事前に時刻表で確認しておくと安心です。桑名駅ではサイクルトレインへの乗車ができない点にも注意が必要で、桑名駅から多度方面へは自走し、帰路に多度駅などから電車を利用するという使い方が現実的です。

多度駅・駒野駅・養老駅・揖斐駅にはレンタサイクルも用意されているため、自分の自転車を持ち込まなくても、電車で移動しながら気軽にサイクリングを楽しめます。行きは揖斐川の河川敷を自走して多度山まで走り、帰りは輪行袋を使わずそのまま電車に自転車を積んで桑名駅まで戻る、といった柔軟なプランを組めるのも、このエリアで走る大きなメリットです。体力や天候、時間に応じてルートをアレンジできる点は、初心者にもベテランにも心強いポイントといえるでしょう。

桑名市のレンタサイクルは1台500円前後で借りられる

自分のロードバイクを持ち込まなくても、桑名でのサイクリングは気軽に楽しめます。桑名市物産観光案内所では、観光レンタサイクルとしてシティサイクルや電動アシスト付きのeバイクを1台500円程度で借りることができ、営業時間は午前9時から午後4時頃までとなっています。桑名駅周辺には、市内観光用の一般的な自転車から本格的なスポーツバイクまで目的に応じて選べるレンタサイクル店やサイクルショップも点在しており、公共交通機関で訪れた場合でも手ぶらでサイクリングを始められます。

桑名市内にはランバイクやBMX、マウンテンバイクで遊べるオフロード自転車パークもあり、レンタルバイクも完備されているため、小さな子ども連れの家族が自転車遊びを楽しむスポットとしても利用されています。ロングライドだけでなく、こうした施設を組み合わせて1日を過ごすのも、桑名らしい楽しみ方のひとつです。

揖斐川から木曽三川公園を経て養老・一宮方面へ広域ルートがつながる

揖斐川サイクリングの魅力は、桑名市内だけにとどまりません。揖斐川をさらに遡ると、木曽川・長良川とあわせて木曽三川公園が広がる岐阜県海津市や愛知県弥富市、愛西市方面へとつながります。国営木曽三川公園センターや138タワーパークを拠点に、木曽川沿いのサイクリングロードを利用すれば、東は扶桑町、西は一宮市方面へと広域につながるルートを走ることができ、木曽川・長良川・揖斐川の三川すべてを自転車でたどる大規模なロングライドに挑戦することもできます。

春には菜の花ロードとして知られる河川敷の道が黄色い花で彩られ、季節のよい時期には多くのサイクリストや家族連れで賑わいます。養老山地の麓を走る岐阜県側の養老公園エリアとあわせて、養老から多度までを結ぶ40キロメートル前後の広域ライドコースも紹介されており、現代アートで知られる養老天命反転地などを組み合わせた、県境をまたぐ周遊プランを楽しむサイクリストも増えています。桑名を拠点にしながら、体力や興味にあわせて走行距離を自由に伸縮できる懐の深さも、このエリアの魅力のひとつです。

輪中と御囲堤が伝える木曽三川下流域の治水の歴史

揖斐川沿いを走っていると、堤防の内側に集落や田畑がまとまって存在している独特の風景に気づくことがあります。これは輪中と呼ばれる、木曽三川下流域特有の治水の知恵によるものです。古くは木曽川・長良川・揖斐川が網の目のように入り組んで流れ、洪水のたびに流路を変えていたこの地域では、集落や耕地を水害から守るために、周囲を堤防で囲む輪中という形態が発達しました。濃尾平野には、木曽川河口からおよそ45キロメートル内陸の岐阜市付近から伊勢湾に至るまで、大小45にものぼる輪中が連なっていたと伝わります。江戸時代初期の1609年には、木曽川左岸に尾張の国を洪水から守るための大堤防、御囲堤が約50キロメートルにわたって築かれましたが、対岸の美濃側の堤防は御囲堤より低くしなければならない制約があったため、美濃側ではたびたび水害が発生し、これが輪中のさらなる発達を促したといわれています。

現在の揖斐川下流部には、治水と利水を目的とした長良川河口堰をはじめ、先人たちの治水の歴史を物語る施設や史跡が点在しています。長良川河口堰は1988年に着工し1995年に完成した施設で、それまで長良川は本流に堰を持たない、本州でも珍しい大きな河川でした。長良川河口堰の左岸に建てられたアクアプラザながらは、木曽三川と河口堰の歴史を紹介する資料館で、大型映像シアターやパネル展示、模型を通じて長良川の成り立ちや河口堰の役割を学べます。堰本体を間近に見られるテラスや展望室も備えており、河川敷ライドの休憩がてら立ち寄れば、走っている川の背景にある治水事業への理解が深まります。

桑名城跡の九華公園には桜が約450本植えられている

桑名駅を起点にするなら、サイクリングの前後に市街地の観光スポットにも足を延ばせます。桑名城の本丸跡と二の丸跡に整備された九華公園は、面積約7.2ヘクタールの公園で、桑名城がかつて扇城と呼ばれていたことにちなみ、扇の形を思わせる縄張りが今も見て取れます。園内には約450本の桜が植えられており、4月の桑名桜まつりの時期には多くの花見客で賑わいます。5月には金魚まつりも開催され、四季を通じて市民に親しまれている公園です。園内には桑名藩主であった松平定綱と松平定信を祀る鎮国守国神社もあり、歴史散策にも向いています。

七里の渡し跡には六華苑と蟠龍櫓という歴史的建築が残る

九華公園から揖斐川・長良川方面へ向かうと、江戸時代に東海道の宿場町として栄えた桑名宿の玄関口、七里の渡し跡があります。尾張の熱田宿から海路で桑名を訪れた旅人がまず到着したのがこの渡し場で、現在は木曽三川にまつわる史跡と、六華苑や蟠龍櫓といった桑名を代表する歴史的建築を結ぶ桑名七里の渡し公園として整備されています。川と町並みが一体となった景観は、サイクリングの合間の散策スポットとしても向いています。

六華苑は大正2年に完成した邸宅で、鹿鳴館の設計でも知られるイギリス人建築家ジョサイア・コンドルによる4層の塔屋を持つ洋館と、池泉回遊式庭園を備えた和風建築からなり、明治・大正期を代表する建物として国の重要文化財に指定されています。庭園も一部を除いて国の名勝に指定されており、真っ赤な絨毯が敷かれたホールや玄関のステンドグラスなど、見どころが随所にちりばめられています。七里の渡しに面して建つ蟠龍櫓は、かつて東海道を行き交う人々が必ず目にした桑名のシンボルで、歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」にも、海上の名城として桑名を象徴する存在として描かれています。現在の建物は水門の管理棟として外観が再現されたもので、2階は展示室として公開されており、気軽に立ち寄れる休憩ポイントになっています。

多度峡は高さ25メートルのみそぎ滝がある渓谷美スポット

多度山ヒルクライムとあわせて訪れたいのが、多度大社の奥に広がる渓谷、多度峡です。多度峡は桑名市の景勝地で、春は新緑、夏は川をせき止めて作られる天然プールで賑わう水遊びスポット、秋は渓流沿いのモミジやカエデが赤く色づく紅葉の名所として、四季を通じて異なる表情を見せます。多度大社のみそぎ場でもある高さ25メートルのみそぎ滝は、渓谷を代表する見どころのひとつです。

渓谷沿いの河鹿橋付近には、梨の原種といわれる天然記念物イヌナシが自生しており、毎年5月末から梅雨の時期にかけてはゲンジボタルの姿を見ることもできます。夏場は家族連れで賑わう一方、秋になると訪れる人も少なくなり、川のせせらぎを聞きながら静かに紅葉を楽しめる場所に変わります。多度山ヒルクライムで汗を流したあと、涼を求めて多度峡まで足を延ばすのも、このエリアならではの過ごし方です。

赤須賀のはまぐりと桑名駅前の英国館イタスパが立ち寄りグルメの定番

サイクリングの楽しみのひとつが、道中で立ち寄るグルメです。桑名市赤須賀地区にあるはまぐりプラザの食堂では、水揚げされたばかりの新鮮なはまぐりを自分で焼いて食べられるのが人気で、赤須賀定食やはまぐり丼、はまぐりうどんといったメニューがそろっています。走ったあとの空腹を満たすには適した一軒です。

桑名駅から徒歩圏内にある英国館は、レトロな雰囲気の喫茶店で、三重県のご当地グルメとして知られるイタスパ(イタリアンスパゲティ)を味わえます。観光やサイクリングの合間の休憩スポットとしても利用しやすい立地です。落ち着いた雰囲気を楽しみたい場合は、隠れ家的なカフェTHE GALETTE KITCHENもよく、ガレットにスープとドリンクが付いたランチセットを提供しています。テーブル数が限られているため、訪れる際は事前の予約が安心です。これらのグルメスポットの多くは、自転車での来店を想定した駐輪スペースを用意しているため、サイクリングウェアのまま立ち寄れます。長距離を走るライドの場合は、こうした休憩ポイントをあらかじめルートに組み込んでおくと、無理なく楽しめます。

河川敷は日焼け対策、多度山は防寒対策が必要になる

揖斐川の河川敷は開けた場所が多く、夏場は日差しを遮るものが少ないため、日焼け対策や熱中症対策をしっかり行うことが欠かせません。帽子やアームカバー、こまめな水分補給を心がけましょう。一方、多度山のヒルクライム区間は木々に囲まれた区間もあり、気温差が生じやすいため、風を通しやすいウェアと、下りで体が冷えないための薄手のウインドブレーカーがあると安心です。

河川敷は路面がフラットで走りやすい反面、風の影響を強く受けやすいというデメリットもあります。特に冬場は伊勢湾からの北風が強く吹くことがあり、行きは追い風で快調でも、帰りは強い向かい風に苦しめられるケースも少なくありません。天気予報だけでなく風向きや風速もあわせて確認しておくと、無理のないペース配分がしやすくなります。

多度山のヒルクライム区間では、ハイキング利用者や地元の方の生活道路と重なる区間もあるため、歩行者への配慮とスピードの出し過ぎに注意しながら走行することが求められます。特に眺望満喫コースのように自転車・歩行者専用道として整備された区間では、すれ違いの際に十分な間隔を取り、譲り合いの気持ちを持って走ることが大切です。パンク修理キットや予備チューブ、携帯工具といった基本的な装備は、河川敷・山道いずれの区間でも忘れずに携行してください。ヘルメットの着用や、夕方以降に走る場合のライト・反射材の準備も、堤防道路や山道の見通しを考えると欠かせない備えです。

春の菜の花と秋の紅葉が揖斐川サイクリングのベストシーズン

揖斐川サイクリングと多度山ヒルクライムを楽しむなら、気候が穏やかで景色も美しい春と秋がおすすめです。春は堤防沿いに菜の花が咲き誇り、黄色い花畑と川面のコントラストが美しい景観を作り出します。桜のシーズンには、河川敷や周辺の公園で花見を楽しみながら走ることもでき、写真映えするスポットも多く点在しています。

秋は空気が澄んで遠くの山々までくっきり見渡せる日が多く、多度山山頂からの眺望を一層楽しめる季節です。気温も走行に適しており、長距離のロングライドや本格的なヒルクライムトレーニングにも向いています。多度峡の紅葉は、夏場の賑わいが落ち着いた秋になると訪れる人も少なくなり、渓流のせせらぎを聞きながら静かに彩りを楽しめる紅葉スポットへと表情を変えます。ヒルクライムで山頂の眺望を楽しんだあと、下山ルートの途中で渓谷の紅葉に立ち寄る、といった秋ならではの1日プランを組んでみるのもよいでしょう。

夏は日差しと暑さへの対策が必須になりますが、早朝や夕方の涼しい時間帯を選べば、川風を感じながら気持ちよく走れます。多度峡では川をせき止めて作られる天然プールが子ども連れで賑わうシーズンでもあるため、サイクリングとあわせて水遊びを楽しむ家族の姿も見られます。冬は空気が澄んで遠望が利く一方、伊勢湾からの北風が強くなる日もあるため、防寒対策と風向きの確認をしっかり行ったうえで計画を立てるとよいでしょう。

三重県桑名市を舞台にした揖斐川サイクリングと多度山ヒルクライムは、フラットな河川敷ライドと本格的な登りの両方を1日で楽しめる、バランスの取れたコースです。桑名駅を起点に揖斐川沿いを北上し、はまぐりなどの桑名グルメを味わいながら多度大社を目指し、そこから多度山山頂公園への登りに挑戦する、そんな充実したサイクリングが、名古屋から気軽にアクセスできる距離で楽しめるのは大きな魅力です。養老鉄道のサイクルトレインやレンタサイクルを活用すれば、体力や天候にあわせて柔軟にルートを組み立てられますし、木曽三川公園方面へ足を延ばせば、木曽川・長良川・揖斐川の三川を巡る広域のロングライドに発展させることもできます。

九華公園や七里の渡し、六華苑といった桑名市街地の歴史的な町並み散策、輪中や長良川河口堰にまつわる治水の物語、そして多度峡の渓谷美まで、揖斐川と多度山を軸にしたこのエリアには、走る楽しみだけでなく学びと発見に満ちた寄り道スポットが数多く点在しています。1回で全てを回りきる必要はありません。季節やその日の体力に応じてルートを組み替えながら、自分だけのお気に入りコースを見つけていくのも、このエリアでサイクリングを楽しむ醍醐味のひとつといえるでしょう。

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