北海道十勝の上士幌町にある牧場を自転車で駆け上がるヒルクライムコースは、標高800メートル付近の展望施設まで続く約6.9キロメートルの絶景ルートです。牧場入口ゲートから山頂のナイタイテラスまでのあいだ、なだらかな牧草地と十勝平野の大パノラマを眺めながらペダルを漕ぎ続けられる場所は、全国を見渡してもそう多くありません。日本一広い公共牧場を舞台にしたこのコースは、観光ドライブの定番であると同時に、道外からロードバイクを持ち込むサイクリストが挑む「聖地」としても知られるようになりました。この記事では、コースの勾配データやアクセス方法、営業時間、周辺の温泉やイベント情報まで、実際に走る前に知っておきたい内容をまとめます。

ナイタイ高原牧場は東京ドーム358個分、日本一広い公共牧場
ナイタイ高原牧場は、総面積およそ1,700ヘクタールを誇る日本一広い公共牧場です。東京ドームに換算するとおよそ358個分に相当し、規模の大きさは国内の牧場のなかでも群を抜いています。町内外の酪農家から生後6カ月以上の乳用牛・肉用牛を約2,000頭預かり、放牧と育成をおこなう「育成牛預託専門牧場」として運営されており、牛を受精させて妊娠が進んだ状態で飼い主のもとへ戻す役割を担っています。上士幌町の基幹産業である酪農を支える施設のひとつです。
「ナイタイ」という名前は、牧場の東側を流れるナイタイ川に由来します。語源はアイヌ語の「ナイ・エタィエ・ペッ」で、奥の深い沢を意味するとされます。牧場の奥にそびえるナイタイ山も同じ由来を持ち、この土地が古くから奥まった谷として認識されていたことがうかがえます。現在の牧場は指定管理者制度のもとJA上士幌町が管理・運営していますが、戦前は種馬育成牧場として利用されていました。その後、上士幌町の酪農振興にともなう飼料基盤整備の必要から昭和41年に国の大規模草地整備事業「十勝中部地区」が始まり、昭和47年に現在の姿が完成しています。半世紀を超える歴史を持つこの牧場は、今では十勝観光を象徴するスポットのひとつになりました。
上士幌市街地からナイタイテラスまでは車で30分弱、とかち帯広空港から90分
上士幌町の市街地からナイタイ高原牧場までは北西方向に位置しています。市街地から牧場入口ゲートまでは約10キロメートル、そこから山頂のナイタイテラスまでさらに約6キロメートルで、合計するとおよそ16キロメートルほどの距離です。別の資料では市街地からナイタイテラスまで約13キロメートルとされており、走行ルートの取り方によって多少の差が出ます。
道順は、上士幌市街地から西北西へ延びる道道337号に入り、航空公園の手前の信号交差点を右折して道道806号へ進みます。道なりに走れば牧場入口ゲートに到達し、そこから牧場内の一本道をナイタイテラスまで上ることになります。空の玄関口となるとかち帯広空港からは、国道236号・241号を経由して上士幌町まで約54キロメートル、車でおよそ90分が目安です。音更帯広ICを出てすぐ左折し、国道241号を道なりに北上すれば約30分で上士幌市街地に着き、そこからさらに30分弱進めばぬかびら源泉郷方面へ抜けられます。上士幌市街地から上川町方面にかけての国道241号沿いはガソリンスタンドの空白区間が長く続くため、車で訪れる場合は市街地で早めに給油しておくことが推奨されています。
公共交通機関でのアクセスは限られており、牧場そのものへは車かロードバイク・クロスバイクなどの自転車での走行が基本です。牧場周辺にはコンビニエンスストアや自動販売機がほとんどないため、上士幌市街地や帯広市内であらかじめ飲料と補給食を準備しておく必要があります。
ヒルクライムコースは牧場入口から6.9キロ、標高800メートルのナイタイテラスへ
牧場入口ゲートから山頂の展望施設ナイタイテラス(標高約800メートル)までの約6.9キロメートル(資料によっては約7キロメートル)が、ナイタイ高原ヒルクライムの本体区間です。この道はナイタイ高原牧場でしか味わえない絶景ドライビングロードで、車両もそれほど多くないため、比較的落ち着いてペダルを漕げます。
区間ごとの勾配は次のとおりです。
| 区間 | 距離の目安 | 平均勾配 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| スタート直後 | 序盤 | 8〜9% | 最初の急坂 |
| 牧場内の快走区間 | スタートから2.5km程度 | 約4% | 牧草地を突っ切る走りやすい道 |
| ラスト区間 | 残り3km程度 | 約6.5%(最大10%近く) | 標高を一気に稼ぐ本番区間 |
序盤2.5キロは平均勾配4%の快走ロード
最初の坂を越えると、牧場の中を突っ切るように進む区間になります。スタートから2.5キロメートル程度までは平均勾配4%前後の走りやすい道が続き、視界いっぱいに広がる牧草地と放牧された牛の姿を眺めながらリズムよく登れます。この区間で脚を使いすぎないペース配分が、後半の踏ん張りどころを乗り切る鍵になります。
残り3キロは平均6.5%、最大10%に達する本当の壁
残り3キロメートルほどの区間からは勾配が再びきつくなり、平均でおよそ6.5%、場所によっては10%近くに達するポイントも出てきます。多くのサイクリストが「ナイタイの本当の壁はここから」と口をそろえる区間で、アップダウンを繰り返しながら少しずつ標高を稼ぐ構成になっています。単調な登りではなく、変化に富んだペース配分が求められるコースです。コース全体を通して遮るもののない十勝平野のパノラマが視界に入り続け、標高を上げるごとに景色が広がっていく変化そのものがモチベーションになります。牧場内のアスファルト道の随所にビュースポットが設けられており、放牧された牛だけでなく野生の鹿を見かけることもあります。
ナイタイテラスのソフトクリームは「しろ」「くろ」「うし」の3種類
山頂に到着すると、2019年にオープンした展望施設ナイタイテラスが迎えてくれます。大きなガラス張りの窓を採用した館内からも360度のパノラマを楽しめる設計で、牧草地に面したテラス・カフェスペースからは十勝平野を一望する大パノラマが広がります。天候に恵まれれば、遠く日高山脈や阿寒の山並みまで見渡せることもあります。
館内のカフェでは、牧場ならではのネーミングのソフトクリームが人気です。バニラ味は「しろ」、チョコレート味は「くろ」、ミックスは「うし」と名付けられており、登頂後の疲れた体に染み渡る甘さで親しまれています。ソフトクリーム以外にも、地元食材を使ったハンバーガーやローストビーフサンド、ロコモコ丼などナイタイテラスならではのメニューが揃い、ブレンドコーヒーやソフトドリンクも用意されています。汗をかいたあとの塩分・糖分補給としても適した内容で、ヒルクライムのゴール地点として申し分のないロケーションです。
牧場ゲートの開放は4月下旬から10月下旬、テラスの営業は9時から17時
ナイタイ高原牧場のゲートは通年開放されているわけではなく、積雪期を除いた期間限定の運営です。直近の情報では、牧場ゲートは4月下旬(4月24日ごろ)にオープンし、10月下旬まで開放される予定になっています。開放時間帯は基本的に7時から18時ですが、日照時間の長い6月から9月は19時まで延長されるのが通例です。5月と10月は7時から18時という区分になっており、季節によって走行できる時間帯が変わる点には注意が必要です。
牧場ゲート自体の開放時間と、展望施設ナイタイテラスの営業時間は別に設定されています。ナイタイテラスの館内営業はおおむね9時から17時で、ゲートが開いている早朝や夕方の時間帯でも館内のカフェ・売店を利用できるとは限りません。ヒルクライムのゴール後に館内で休憩や食事を予定している場合は、テラスの営業時間内に到着できるよう時間配分を考えておくと安心です。冬季はゲートが閉鎖され牧場内へのアクセスができなくなるため、雪解けが進んだ春から紅葉が美しい秋にかけてのシーズンを選ぶのが安心です。訪問前には上士幌町観光協会などの公式情報で、その年の開放期間と時間帯を確認しておくとよいでしょう。
季節ごとの牧場の表情も見どころのひとつです。春はタンポポの花が咲き始めるところからシーズンが幕を開け、6月から8月にかけては道路沿い一面にエゾフウロ草の淡い薄紫色の花が咲き乱れます。牧草地の緑と花の彩りを横目に走れる時期は、ヒルクライムの疲労を忘れさせてくれるほどの景色になります。9月に入ると紅葉が山の上のほうから少しずつ始まり、色づいた木々が牧場のシーズン終盤と放牧期間の終わりが近いことを静かに告げてくれます。花や紅葉の見頃は年によって前後するため、訪問時期を決める際は上士幌町観光協会の最新情報もあわせて確認しておくと安心です。
ナイタイ高原ヒルクライムフェスは2025年11月3日に一般車両通行止めのコースを貸切開催
ナイタイ高原牧場は観光地であるだけでなく、正式なヒルクライム大会の舞台としても定着しています。北海道十勝バイコロジーをすすめる会、十勝サイクリング協会、東北海道自転車競技連盟十勝支部の3団体で構成される十勝サイクルネットワークの記録によれば、上士幌町を舞台にした「上士幌町ナイタイ高原ヒルクライム」はすでに8回以上を数え、十勝地方に古くから根付いた自転車イベントのひとつになっています。同じ十勝サイクルネットワークは、100キロメートルや200キロメートルを走破する「センチュリーラン十勝大会」なども主催しており、十勝地方が北海道内でも有数のサイクリング熱の高いエリアであることがうかがえます。
近年は「ナイタイ高原ヒルクライムフェス」という名称でイベントが開催されており、2025年の大会は11月3日の文化の日に開催されました。この大会の特徴は、例年10月31日をもって一般車両の通行が終了する「ナイタイ高原線」を、イベント参加者専用として特別に開放し、貸切状態でコースを走れるようにしている点です。一般の観光シーズンが終わったあとの特別営業という位置づけで、車の往来を気にせず全長6.9キロメートルのコースを存分に攻められる、年に一度の貴重な機会になっています。大会は初心者から上級者まで参加できる構成で、タイムを追求する走り方も、景色を楽しみながらのんびり完走を目指す参加の仕方もできます。ゴール後には「ヒルクライムごほうびセット」と名付けられた特別ランチが用意されるなど、走り終えた達成感をそのまま食の楽しみにつなげる演出があるのも、この大会ならではの魅力です。開催時期や詳細内容は年によって変更される可能性があるため、参加を検討する場合は上士幌町観光協会や十勝サイクルネットワークなど最新の公式発表を確認することが欠かせません。
三国峠・糠平湖とトカプチ400で広がる十勝周遊ルート
上士幌町からさらに北へ足を延ばせば、大雪山系の東側を貫く国道273号線沿いに、層雲峡・大雪湖・三国峠・糠平湖といった北海道屈指の景勝地が連なっています。この一帯は峠道でありながら道幅が広く走りやすいとされ、ナイタイ高原ヒルクライムとあわせて訪れるサイクリストも少なくありません。なかでも三国峠は北海道内で最も標高の高い峠として知られ、峠を下るルートには旧国鉄士幌線の廃線遺構が点在しています。
糠平湖周辺には旧幌加駅の跡や、湖の水位によって姿を現したり沈んだりすることから「幻の橋」と呼ばれるタウシュベツ川橋梁があり、糠平湖からは片道約2キロメートル、徒歩でおよそ40分ほどでアクセスできます。冬季には凍結した糠平湖の上を自転車で走る「湖上サイクリング」という、この地域ならではの体験プログラムも実施されており、通年を通じて自転車で楽しめる懐の深いエリアです。
十勝地方には、ナイタイ高原の周辺だけでなく、より広域を巡るロングライドルートも整備されています。帯広市を起終点に北十勝と南十勝を8の字に結ぶ全長403キロメートルの「トカプチ400」は、2021年5月に国土交通省の第2次ナショナルサイクルルートに指定された、太平洋岸自転車道に次ぐ長さを誇るルートです。北側はナイタイ高原を含む三国峠方面までの山岳ルート、南側は日高山脈や広大な平野を望むパノラマルートと、変化に富んだ景観を一本のルートで楽しめる構成になっています。「トカプチ」とはアイヌ語で十勝川を指す言葉で、十勝という地名そのものの語源になったとされています。ナイタイ高原ヒルクライムは、このスケールの大きなナショナルサイクルルートの一部としても位置づけられる、十勝サイクリングの核となるコースです。
十勝晴れが自転車を後押しする、雨の少ない内陸性気候
十勝・帯広エリアは、冷涼な気候とどこまでも続くまっすぐな直線道路という、サイクリングに向いた自然環境が揃っています。十勝平野を中心とする内陸部は太平洋沿岸部とは異なり大陸性の気候に属し、降水量が少なく晴天率の高さは全国有数とされています。冬場に晴天が続く現象は「十勝晴れ」と呼ばれて親しまれており、雪の量も日本海側と比べて少なめです。帯広市の年間降水量はおよそ887.8ミリメートルとされ、北海道内はもとより全国的に見ても雨の少ない地域のひとつに数えられます。
夏場は沿岸部が海霧に覆われて涼しくなる一方、内陸のナイタイ高原周辺は湿度が低くカラッとした晴天に恵まれやすく、自転車で走るのに適したコンディションが整いやすいエリアです。帯広市もサイクルツーリズムを観光振興の柱のひとつに位置づけており、ナイタイ高原牧場はその中でも象徴的な目的地として紹介されることが多いスポットです。上士幌のナイタイ高原を軸に、三国峠や糠平湖方面まで足を延ばす1泊以上の周遊プランを組めば、北海道ならではのスケール感を味わうサイクリング旅になります。
自転車がなくても走れる、上士幌町のレンタサイクルと22キロダウンヒル
ロードバイクを北海道まで運ぶのは大変、気軽に牧場周辺を走ってみたいという人向けに、上士幌町では複数の拠点でレンタサイクルを用意しています。貸出拠点と予約先の電話番号は次のとおりです。
| 貸出拠点 | 所在エリア | 電話番号 |
|---|---|---|
| 道の駅かみしほろ | 上士幌町市街地 | 01564-7-7722 |
| 上士幌町交通ターミナル | 上士幌町市街地 | 01564-7-7200 |
| ひがし大雪自然館 | ぬかびら源泉郷 | 01564-4-2224 |
事前予約をしておくと、当日スムーズに借りられます。なかでもユニークなのが、ぬかびら源泉郷のひがし大雪自然館から市街地の道の駅かみしほろまで、約22キロメートルの道のりを下り基調で走る片道ダウンヒルコースです。ナイタイ高原の本格ヒルクライムとは対照的に、体力に自信がない人や家族連れでも気軽に楽しめる「楽々ダウンヒル」として案内されています。ナイタイ高原で足を使い切った翌日に、こうした下り基調のコースで景色を楽しみながら流すという組み合わせ方もおすすめです。
ヒルクライムの拠点はぬかびら源泉郷の重曹泉
ナイタイ高原ヒルクライムの拠点として便利なのが、上士幌市街地から北へ約23キロメートル、大雪山系の山あいにある温泉街「ぬかびら源泉郷」です。大正8年(1919年)に発見された歴史ある温泉地で、泉質はナトリウム・塩化物-炭酸水素塩泉、いわゆる重曹泉に分類されます。重曹泉は肌をなめらかにする効果があるとされ、ヒルクライムで酷使した脚をいたわるのに向いた湯です。ぬかびら源泉郷にはホテルや旅館が複数軒建ち並んでおり、ナイタイ高原でのヒルクライムや三国峠・糠平湖方面のサイクリングを組み合わせた1泊2日以上の旅程を組む際の宿泊拠点として重宝します。日中は大雪山系の懐でロードバイクを走らせ、夜は温泉で汗を流して疲れを癒す、そんな北海道らしいサイクリング旅を計画してみるのもよいでしょう。
上士幌町は日本の熱気球発祥の地、2026年は8月7日から3日間開催
サイクリングと直接の関係はありませんが、上士幌町を訪れるなら知っておきたいのが、この町が日本における熱気球発祥の地とも言われる「熱気球のまち」であるという点です。1974年7月26日、上士幌町で4機の熱気球が国内で初めて集団フライトをおこなったことが、現在まで続く「北海道バルーンフェスティバル」の始まりとされています。
夏になると全国各地からおよそ30機もの熱気球が上士幌に集まり、十勝平野の緑の大地の上に色とりどりの気球が浮かぶ光景が広がります。バーナーを焚いた熱気球が夜空にぼんやりと浮かび上がる「係留ナイトイベント」は、バルーンファンだけでなく写真愛好家からも人気を集めています。2026年は第53回北海道バルーンフェスティバルとして、8月7日(金)から9日(日)までの3日間の開催が予定されています。ナイタイ高原ヒルクライムの旅程をこの時期に合わせれば、日中は牧場を自転車で駆け上がり、夕方以降は熱気球を眺めるという上士幌ならではの一日を過ごせます。お土産には、気球の形をかたどった上士幌町の名物菓子「気球焼」もおすすめです。
ヒルクライム前に揃えたい補給食と装備
ナイタイ高原ヒルクライムに挑戦する際は、押さえておきたい準備がいくつかあります。前述のとおり、牧場周辺にはコンビニや自動販売機がほとんどありません。飲料と補給食(エネルギーゼリーや行動食など)は、上士幌市街地や帯広市内で走行前に必ず準備しておく必要があります。特に夏場のヒルクライムは発汗量が多くなるため、水分と塩分補給用のドリンクを多めに持参すると安心です。
コースの前半は平均勾配4%前後と走りやすいものの、後半3キロメートルは平均6.5%、最大10%近くに達する区間もあるため、序盤で脚を使い切らないペース配分が重要です。ギア比に余裕を持たせたセッティングにしておくと、後半の急勾配区間でも粘り強く走れます。標高が上がるにつれて気温が下がり、風も強くなる傾向があるため、下山時の防寒対策としてウインドブレーカーなど一枚羽織れるウェアを携行しておくと安心です。
牧場内は放牧されている牛や、牧場管理のための車両が行き交うエリアでもあります。観光客の自動車も走行しているため、単独走行であってもマナーを守り、安全な速度と車間を意識した走行を心がけたいところです。ナイタイテラスに到着したあとは、混雑状況にもよりますが景色を楽しみながらゆっくり休憩を取り、水分とエネルギー補給をしっかりおこなってから下山することをおすすめします。下りは景色に見とれがちですが、路面状況や対向車両に注意しながら安全第一で下ることが大切です。牧場周辺は電波状況が不安定になりやすいエリアでもあるため、スマートフォンの地図アプリだけに頼らず、事前にルートや所要時間をある程度把握しておくと安心です。日帰りでヒルクライムに挑戦する場合は、上士幌市街地への帰着時間から逆算して出発時刻を決め、余裕を持ったスケジュールを組んでおくとよいでしょう。
初心者はレンタサイクルで試走、上級者は後半の勾配で脚を残す走り方
ナイタイ高原ヒルクライムは、本格的なロードバイクでタイムを狙って走ることもできれば、クロスバイクや電動アシスト付きの自転車で景色を楽しみながら登ることもできる、懐の広いコースです。前半2.5キロメートルが平均勾配4%前後の走りやすい区間である一方、後半3キロメートルは平均6.5%、最大10%近くまで勾配が上がるため、軽いギアに変速できる自転車を選んでおくと、体力に自信がない人でも無理なく山頂を目指せます。
サイクリング初心者や体力に不安がある場合は、前述のレンタサイクルを活用し、まずは牧場入口ゲート周辺の走りやすい区間だけを軽く試走してみるのもひとつの方法です。本格的にタイムを追求したいサイクリストであれば、後半の急勾配区間でどれだけ脚を残せるかが攻略の鍵になります。序盤の快走ロードでオーバーペースにならないよう、心拍数やパワーメーターを見ながら一定のペースを保つ走り方が有効です。いずれのレベルで挑む場合も、十勝の広大な自然のなかを自分の脚で駆け上がる体験そのものに大きな価値があります。タイムを競うヒルクライムというより、道中の景色や空気の変化を味わう絶景ライドとして捉えると、この場所の魅力をより楽しめるはずです。
ナイタイ高原は十勝サイクルツーリズムの象徴的な目的地
ナイタイ高原牧場は、日本一広い公共牧場という規模の大きさと、標高800メートルまで駆け上がる約6.9キロメートルの絶景ヒルクライムコースを併せ持つ、北海道・十勝を代表するサイクリングスポットです。前半の走りやすい牧場ロードと後半の本格的な急勾配区間という緩急のあるコース構成、そして登り切った先に待つナイタイテラスからの十勝平野の大パノラマとご褒美のソフトクリームは、他のヒルクライムスポットにはない魅力を作り出しています。
近年は「ナイタイ高原ヒルクライムフェス」のような公式イベントも定着し、一般開放が終わった特別な期間にコースを貸し切って走れる機会も用意されるなど、サイクリストにとっての注目度は高まり続けています。三国峠や糠平湖といった周辺の名所、さらには全長403キロメートルのナショナルサイクルルート「トカプチ400」と組み合わせれば、十勝・大雪エリアをまるごと楽しむ本格的なサイクリング旅も実現できます。自転車を持ち込まずに手軽に上士幌の風を感じたい人には、道の駅かみしほろなどで借りられるレンタサイクルや、ぬかびら源泉郷から市街地まで下る22キロメートルのダウンヒルコースもおすすめです。日中にナイタイ高原で汗を流したら、夜はぬかびら源泉郷の重曹泉で脚を癒し、時期が合えば熱気球のまち上士幌ならではの北海道バルーンフェスティバルの光景も楽しめます。
牧場ゲートの開放期間は例年4月下旬から10月下旬までと限られているため、訪問を計画する際は事前に上士幌町観光協会などの最新情報を確認し、準備を整えたうえでこの北海道随一のヒルクライムコースに挑んでみてください。日本一広い牧場を自分の脚で登り切った先には、十勝平野を見渡す景色が待っています。北海道の広大なスケール感を全身で味わいたい人にとって、ナイタイ高原牧場のヒルクライムは一度は挑んでおきたい特別なコースです。次の北海道旅行の計画に、この絶景ドライビングロードを組み込んでみてください。








