高知安芸自転車道は香南市から安芸市まで走る15.5キロのサイクリングコース

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高知県東部を走る高知安芸自転車道は、香南市吉川町から安芸市西浜までの約15.5キロを結ぶ自転車専用道路です。もとは土佐電気鉄道安芸線という路面電車が走っていた区間で、廃線跡を活用しているため道幅が広く、勾配もほとんどありません。香南市と安芸市をまたいで太平洋沿いを走れることから、サイクリング初心者からロードバイク愛好家まで幅広く利用されています。この記事では、コースの成り立ちや見どころ、レンタサイクルやアクセス方法まで、実際に走る際に役立つ情報をまとめました。

目次

高知安芸自転車道は香南市吉川町から安芸市西浜までを結ぶ約15.5キロの自転車道

高知安芸自転車道の正式名称は、一般県道高知安芸自転車道線といいます。起点は香南市吉川町吉川で、終点は安芸市西浜となっており、その間を約15.5キロメートルの区間で結んでいます。案内によっては香南市から安芸市まで約15キロと紹介されることもあり、実際に走る際のスタート地点として香我美駅の周辺を使う人も少なくありません。

土佐電気鉄道安芸線の廃線跡を活用して整備されたコース

このコースの成り立ちには、鉄道の歴史が関わっています。1924年から1974年まで、土佐電気鉄道安芸線という路面電車がこの区間を走っていました。廃線となった軌道跡の一部を、昭和60年頃に自転車・歩行者専用道路として整備し直したのが、現在の高知安芸自転車道です。線路の跡地を利用しているため道幅にはゆとりがあり、急な勾配もほとんどなく、直線的で走りやすい区間が多くなっています。かつて電車が走っていた道を自転車で辿るという点も、このコースならではの楽しみ方といえるでしょう。

現在、自転車道のすぐそばを土佐くろしお鉄道の阿佐線、通称ごめん・なはり線が並走しています。ごめん・なはり線は太平洋を望む観光列車としても知られており、車窓とサイクリングロードの両方から同じ海岸線を眺められる場所は全国的にも珍しいといえます。

ごめん・なはり線は、南国市の後免駅から安芸郡奈半利町の奈半利駅までを結ぶ路線で、2002年7月に開業しました。国鉄時代の阿佐線計画から数えると着工から開通まで37年もの歳月がかかっており、昭和56年にはいったん工事が中断された時期もあります。その後、土佐くろしお鉄道株式会社が設立されて工事が再開され、現在の姿になりました。後免駅から奈半利駅までの20駅の多くは海岸沿いや高架線を通っており、車窓から太平洋を一望できる区間が続きます。すぐ隣を自転車道が走っているという位置関係は、この路線が開通するまでの経緯を思うと、なおのこと印象深いものがあります。

廃線跡を活用したサイクリングロードは、高知安芸自転車道に限らず全国各地に存在しています。2000年度以降に廃止された鉄道路線は、全国で45路線、距離にして1157.9キロメートルにおよぶとされており、廃止後の跡地をどう活用するかは各地の自治体や地元団体にとって共通の課題となってきました。茨城県のつくば霞ヶ浦りんりんロードは、筑波鉄道筑波線の廃線跡を活用した約40キロのコースで、旧真壁駅をはじめ当時のホームがそのまま残る駅跡もあり、桜並木が続く区間は春になると長いトンネルのような景観になることで知られています。京都府の加悦鉄道廃線跡のように、1980年代に廃止された地方私鉄の跡地を活用したサイクリングロードも各地に整備されています。高知安芸自転車道も、かつて路面電車が走った軌道をそのまま道として残しながら新しい役割を与えた点で、こうした全国の廃線跡活用の流れに連なるコースのひとつといえるでしょう。

太平洋の黒潮と漁港と廃線跡の景観が入り混じるコース

高知安芸自転車道の魅力は、景観が単調にならない点にあります。太平洋に面した海岸線、落ち着いた地方都市の市街地、活気のある漁港と、走るごとに異なる表情に出会えるコースです。海沿いの区間では黒潮の海がどこまでも広がる様子を眺めながら走ることができ、途中には海岸へ下りられるスロープも何箇所か設けられています。波音を聞きながら休憩したり、写真を撮ったりする時間も取りやすいコースです。

アップダウンが少なく平坦な道が続くため、本格的なロードバイクに乗る人だけでなく、レンタサイクルを利用する観光客やサイクリング初心者、家族連れでも気軽に走れます。全区間を休憩なしで走りきった場合の所要時間はおよそ1時間程度とされており、日帰りでも十分に楽しめる距離です。

春には、コース沿いの一部区間で桜を見られるポイントもあります。海と桜、そして廃線跡という要素が重なる区間は、このコースならではの撮影スポットとして親しまれています。

高知安芸自転車道の海沿いを流れる黒潮は、東シナ海から九州と奄美大島の間を抜けて太平洋に入り、日本の南岸沿いを北上していく海流です。流れの速いところでは秒速2メートルを超え、幅は100キロメートルにも及ぶといわれています。プランクトンが少なく透明度が高いために海の色が青黒く見えることが名前の由来とされており、高知県沖はこの黒潮が列島に沿って北上していく途中の重要な通過点にあたります。自転車道から見える海の青さの濃さは、こうした黒潮の性質によるところが大きいといえるでしょう。

手結港可動橋は最大70度まで橋桁が持ち上がる全国的にも珍しい跳開橋

香南市夜須町手結にある手結港可動橋は、正式名称を高知県手結港港湾道路可動橋といい、2002年9月に完成しました。跳開橋、いわゆるバスキュール型の可動橋で、この形式の橋が生活道路として使われている例は全国的にも珍しいものです。橋桁の長さは32.8メートルあり、油圧シリンダーによって橋げたを持ち上げる仕組みになっています。

船が港を出入りする際には、橋が最大70度まで跳ね上がります。開閉にかかる時間は約6分ほどで、鉄道の踏切のようにゲートが下りて通行止めになる点も特徴的です。道路が地面から突き刺さったように見える光景は、居合わせたサイクリストの記憶に残るはずです。橋を渡れる時間帯は1日のうち約7時間程度に限られているため、通行するタイミングには注意が必要です。事前に開閉のスケジュールを調べておくと、足止めされる事態を避けやすくなります。

跳開橋、いわゆるバスキュール型の可動橋は、橋桁が支点を軸にして回転しながら跳ね上がる仕組みの橋を指します。船を通すために橋の一部を持ち上げるという発想自体は珍しいものではなく、東京都の隅田川に架かる勝鬨橋や、愛媛県大洲市の長浜大橋など、全国にいくつかの事例が知られています。ただ、日常的に使われている生活道路がこの方式で開閉する例は多くなく、手結港可動橋はそのなかでも実際に稼働している珍しい橋のひとつに数えられます。橋が上がる瞬間に居合わせられるかどうかは運次第の面もありますが、それも含めてこの区間ならではの体験といえるでしょう。

香南市サイクリングターミナル海のやどしおや宿はタンデム自転車も貸し出す拠点

香南市のサイクリングロード沿いにある香南市サイクリングターミナル海のやどしおや宿は、営業時間が8時から17時までとなっています。クロスバイクやマウンテンバイクに加えて、二人乗りのタンデム自転車や子供用自転車まで、幅広いレンタサイクルが用意されている点が特徴です。施設の北側にはサイクリングロードが伸びており、海を眺めながら走ったり、木々のトンネルをくぐり抜けたりするコースを楽しめます。宿泊は定員80人程度まで対応しており、研修室や3面のテニスコートも備えているため、サイクリングを軸にした長期滞在の拠点としても利用できます。

タンデム自転車は、ペダルとサドルが前後に連なった二人乗り用の自転車で、高知県では公安委員会規則により一般道路での走行が認められています。普通自転車とは扱いが異なり軽車両に区分されるため歩道を走ることはできず、二人でこぐぶんスピードが出やすいことから、発進や停止、右左折のタイミングを声を掛け合って合わせる必要があります。運転に慣れていない場合は、走り始める前に施設周辺で少し練習しておくと安心です。カップルや親子で息を合わせて漕ぐタンデム自転車は、海沿いの直線が多い高知安芸自転車道と相性のよい乗り物といえるでしょう。

道の駅やすヤ・シィ広場とのいち駅もレンタサイクル拠点として使える

高知安芸自転車道の区間内では、道の駅やすヤ・シィ広場でもレンタサイクルを利用できます。香南市サイクリングターミナルと合わせて、この2か所が自転車道を走る際の起点や終点として活用しやすい施設です。

土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線ののいち駅も、レンタサイクルの拠点のひとつになっています。高知龍馬空港からは空港乗合タクシーで約10分、料金は500円ほどでアクセスでき、空港からタクシーでのいち駅まで移動し、そこから自転車道を走り始めるルートを選ぶ人もいます。のいち駅からはのいち動物公園へも徒歩やレンタサイクルで行くことができ、サイクリングと合わせて立ち寄る人が多く見られます。

絵金蔵は幕末の絵師金蔵の芝居絵屏風23点を収蔵する美術館

香南市赤岡町にある絵金蔵は、幕末の絵師である金蔵、通称絵金にゆかりのある美術館です。金蔵は土佐藩家老の御用を勤めた絵師でしたが、贋作事件に巻き込まれて城下を追放され、赤岡の町に定住して絵を描き続けた人物とされています。館内には、地域の夏祭りで飾られてきた芝居絵屏風23点が収蔵されており、サイクリングの合間に立ち寄れる文化的なスポットとして親しまれています。

絵金は1812年に高知城下の髪結いの家に生まれ、幼い頃から絵の才能を見せていたと伝えられています。若くして江戸に上り、御用絵師のもとで修業を積んだのち帰郷し、土佐藩家老に仕える絵師として頭角を現しました。城下追放後は姓を変えながら町絵師として絵筆を握り続け、赤岡をはじめとする周辺の集落に多くの芝居絵屏風を残しました。1876年に亡くなるまでに絵の手ほどきを受けた人は数百人にのぼるといわれており、いまも高知県内では絵金にちなんだ祭りが各地で受け継がれています。

安芸市の野良時計と土居廓中に見る幕末から明治の歴史

自転車道の終点に近い安芸市には、歴史を感じさせる見どころが集まっています。安芸市のシンボルとされる野良時計は、明治20年頃に地元の地主である畑中源馬氏が、アメリカ製の八角時計を分解して仕組みを学び、歯車やおもりまですべて手作りで製作したという逸話が残る時計台です。

安芸市土居地区の土居廓中は、江戸時代の武家屋敷の町並みが今も残るエリアで、2012年7月には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。生垣や水路が続く落ち着いた町並みは、サイクリングの合間に自転車を降りて歩きながら散策するのに向いています。

重要伝統的建造物群保存地区は、昭和50年の文化財保護法改正によって創設された制度で、城下町や宿場町、港町や農漁村など、歴史的な集落や町並みを保存するために市町村が定める地区のなかから選ばれます。2024年8月時点で、全国では106の市町村にまたがる129地区がこの選定を受けており、土居廓中もそのひとつに数えられる町並みです。武家屋敷が連なる景観をこれほどまとまって見られる場所は多くなく、自転車道の旅の締めくくりとして立ち寄る価値があります。

安芸市は、三菱財閥の創業者として知られる岩崎弥太郎の生誕地でもあり、岩崎弥太郎の生家も保存されています。安芸城跡と合わせて、幕末から明治にかけての歴史を感じられるエリアです。

岩崎弥太郎は1835年に土佐国で生まれ、藩の御用で長崎に出張した経験などを経て、明治3年に大阪で九十九商会を設立しました。この九十九商会がのちの三菱商会となり、三菱財閥へと発展していきます。土佐藩の下級武士に近い家に生まれながら一代で全国規模の事業を築き上げた人物が、この安芸の地から巣立っていったことになります。生家周辺を歩きながらその足跡をたどるのも、自転車道の旅に厚みを加えてくれるはずです。

高知龍馬空港からのいち駅までは乗合タクシーで約10分

高知安芸自転車道の起点付近へは、いくつかの方法でアクセスできます。高知龍馬空港を利用する場合、空港乗合タクシーで土佐くろしお鉄道のいち駅まで約10分、料金は500円程度です。空港発は日章ハイヤーが、のいち駅発はのいちタクシーが、それぞれ運行を担っています。

鉄道を利用する場合は、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線が便利です。のいち駅から安芸駅までは、快速列車でおよそ23分、普通列車でおよそ31分かかります。ごめん・なはり線の沿線には香南市と安芸市それぞれの主要な観光スポットが点在しており、自転車道と組み合わせて周遊しやすい路線です。

ごめん・なはり線への輪行は安芸駅への問い合わせで対応できる

自分の自転車を電車に持ち込んで移動したい場合は、ごめん・なはり線への自転車の持ち込みについて安芸駅に問い合わせることができます。車両には、自転車専用のスペースであるサイクルゾーンが設けられており、自転車はこのサイクルゾーンの中に収まるように管理しなければなりません。走行中の揺れや急停車に備えて、備え付けの結束用具で固定するか、しっかりと手で押さえて管理することも求められています。

輪行袋を持っていない場合でも、取扱駅の窓口で必要事項を記入すれば、その場で無料で輪行バッグを貸し出してもらえます。ただし手続きに時間がかかることもあるため、列車の発車時刻には余裕を持って駅を訪れたほうがよいでしょう。なお、事前予約は受け付けていない点にも注意が必要です。

レンタサイクルは香南市内4か所で利用できる

高知安芸自転車道の区間内には、自転車を借りられるスポットが複数あります。代表的なのは、香南市サイクリングターミナル海のやどしおや宿、道の駅やすヤ・シィ広場、土佐くろしお鉄道のいち駅の3か所で、これに神明自転車店を加えた香南市内4か所でレンタサイクルを利用できるとされています。手ぶらで現地を訪れても、これらの拠点で自転車を借りて自転車道を走ることができるため、旅行や出張のついでに立ち寄る人にも便利です。

拠点名特徴
香南市サイクリングターミナル海のやどしおや宿タンデム自転車や子供用自転車も貸し出し、宿泊や研修室も利用可能
道の駅やすヤ・シィ広場自転車道区間内でレンタサイクルが利用できる拠点
のいち駅高知龍馬空港からアクセスしやすく、のいち動物公園にも近い
神明自転車店香南市内でレンタサイクルを利用できる4か所目の拠点

香南市サイクリングターミナルでは、通常のクロスバイクやマウンテンバイクに加えて、二人乗りのタンデム自転車や子供用自転車まで用意されているため、家族連れやカップルでのサイクリングにも対応しています。

香南市側から安芸市側へ南下するモデルプランが定番

多くのサイクリストは、香南市側ののいち駅や香我美駅、サイクリングターミナル周辺を起点にし、海岸線沿いに手結港可動橋を経由しながら南下して、安芸市側の野良時計や土居廓中周辺をゴールに設定するプランを選んでいます。逆に、安芸市側から香南市側へ向かって走る人も少なくありません。

全区間を走りきるだけであれば所要時間は1時間程度ですが、手結港可動橋での見学、海岸のスロープでの休憩、絵金蔵や野良時計、土居廓中といった観光スポットへの立ち寄りを組み込むと、半日から1日がかりのサイクリング旅になります。レンタサイクルの拠点が複数あることを活かし、片道だけ自転車道を走って、帰りは列車で戻ってくるプランも組みやすいのが、このコースの利点です。

初めて訪れる場合は、まず香南市サイクリングターミナルや道の駅やすでレンタサイクルの状況を確認し、天候や潮風の状況を見ながら海沿いのルートを選ぶとよいでしょう。海からの強い風が吹く日もあるため、上着を1枚用意しておくと安心です。手結港可動橋は通行できる時間帯が1日のうち限られているため、事前に開閉のタイミングを確認しておくと、橋が上がる瞬間に立ち会えたり、逆に通行止めで足止めされたりする事態を避けやすくなります。

高知安芸自転車道は初心者から本格派まで楽しめる約15.5キロのコース

高知安芸自転車道は、廃線跡を活用した平坦で走りやすいコースに、太平洋の黒潮の海、活気ある漁港、そして安芸市の歴史的な町並みという、変化に富んだ景観が詰まったサイクリングロードです。手結港可動橋という土木遺産的な見どころもあり、走ること自体はもちろん、道中の寄り道を含めて一日楽しめるコースといえます。レンタサイクルの拠点やごめん・なはり線を使った輪行、移動の選択肢も豊富なため、初心者から本格的なサイクリストまで、それぞれのペースで高知県東部の魅力を楽しめるコースです。

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