箱根サイクリングは芦ノ湖東岸コースと箱根旧道ヒルクライムの二択

当ページのリンクには広告が含まれています。

箱根でサイクリングをするなら、コース選びの前に押さえておきたい定番ルートが二つあります。ひとつは芦ノ湖東岸に整備された全長約3kmの平坦なサイクリングロードで、初心者や電動アシスト自転車でも無理なく走れます。もうひとつは箱根駅伝のコースとしても知られる箱根旧道で、距離10.7km、平均勾配6.5%という本格的なヒルクライムルートです。同じ箱根の中でも、走る場所によって体験がまったく違うのが特徴といえます。

この記事では、箱根旧道と芦ノ湖東岸コースの違いから、大観山や椿ラインといった上級者向けルート、レンタサイクルの料金比較、輪行でのアクセス方法、服装や事故防止のポイントまで、箱根でサイクリングを計画するときに必要になる情報をまとめます。芦ノ湖スカイラインのように自転車が通行できない道もあるため、走る前に知っておくと無駄な引き返しを避けられます。

目次

箱根旧道ヒルクライムは距離10.7km、平均勾配6.5%の本格コース

箱根旧道は、ロードバイクのヒルクライム入門コースとしてよく紹介されるルートです。距離は約10.7km、標高差は約700m、平均勾配は6.5%とされています。ただし平均値だけを見て侮らないほうがよいでしょう。上り区間だけを切り出すと勾配10%以上が連続し、しかもかなりの長さ続きます。

走行スピードの目安は上り区間で時速10km前後とされ、下ハンドルでのブレーキ操作に慣れたロードバイク経験者向けのコースという位置づけです。まったくの初心者がいきなり挑戦するというより、ある程度ロードバイクに乗り慣れた人が次のステップとして選ぶコースと考えたほうが安全です。

コース中盤を過ぎたあたりに自動販売機があり、後述する七曲りの手前には公衆トイレも設置されています。真夏の直射日光の中で激坂区間を上ると消耗が激しいので、こまめな給水は欠かせません。

七曲りと猿すべりは平均勾配10〜12%の激坂区間

箱根旧道の中でも「七曲り」区間と「猿すべり」区間は平均勾配10〜12%、局所的には15%を超える箇所もある激坂として知られています。ここを走りきれるかどうかが、箱根旧道ヒルクライムの体感難易度をほぼ決めるといってよいでしょう。

七曲りは急な斜度に加えて連続するカーブと見通しの悪さが重なる区間で、道幅が狭く対向車とのすれ違いが難しい箇所もあります。下り区間でスピードを出しすぎたロードバイクやオートバイが対向車線側にはみ出してしまい、事故に至った事例も報告されています。カーブの先が見通せない場所では、あらかじめ十分に減速し、進路が対向車線側にはみ出していないかを常に意識して走ることが欠かせません。

芦ノ湖東岸サイクリングロードは全長約3kmで初心者に向く

芦ノ湖の東岸には、湖畔に沿って整備された全長約3kmの比較的平坦なサイクリングロードがあります。急な上り下りが少なく、芦ノ湖と、天候に恵まれれば富士山の景色を楽しみながらのんびり走れるため、サイクリング初心者や家族連れ、観光でふらっと立ち寄った人にも向いています。

箱根旧道のような激坂への挑戦は気が引けるけれど、湖畔の風は感じたいという人には、こちらのコースがちょうどよい選択肢になります。箱根園では電動アシスト付きのレンタサイクルが用意されており、体力に自信がなくても気軽に走り出せます。ロードバイクを自分で運ばなくても、現地でレンタルしてすぐスタートできる手軽さも魅力です。

なお、箱根エリアには、はこね金太郎ラインや国道1号線といった道路もあります。国道1号線は交通量があるため走行に注意が必要ですが、箱根旧道と組み合わせて周回コースを組むライダーもいます。自分の体力とロードバイク経験、確保できる走行時間に合わせて、これらのルートを組み合わせるとよいでしょう。

大観山と椿ラインは自転車専用通行帯を使えばヒルクライム可能

大観山方面へのヒルクライムも人気があります。神奈川県道75号、通称椿ラインから大観山展望台へ向かうルートは、走りやすい斜度の定番ヒルクライムルートとして知られています。

ここで注意したいのが、大観山展望台に隣接する有料道路「アネスト岩田ターンパイク箱根」の存在です。ロードバイクで大観山展望台を目指すサイクリストが増えたことを受けて、県道75号とターンパイクの大観山展望台を結ぶ自転車専用の通行帯が整備されました。2021年7月には県道側からの出入りがしやすいよう坂道が改修され、2024年11月にはサイクルスタンドも設置されています。

サイクリストはターンパイク箱根の車道部分を走行できません。必ずこの自転車専用通行帯を利用する必要があります。展望台では自転車を降りて押して歩くルールで、車道部分は自転車通行不可、逆に自転車専用通行帯にはオートバイが進入できません。専用通行帯はアネスト岩田ターンパイク箱根の営業時間外は閉鎖され、利用できない点も覚えておいたほうがよいでしょう。ルールを守れば、大観山山頂の展望台から富士山や芦ノ湖の絶景を楽しめますし、山頂のスカイラウンジで食事や休憩も取れます。

芦ノ湖スカイラインとターンパイク箱根の車道は自転車通行不可

箱根で自転車ルートを計画するなら、「芦ノ湖スカイライン」は自転車で通行できないという点を必ず押さえておく必要があります。芦ノ湖スカイラインは箱根外輪山を南北に縦断する標高約1,000m、全長10.7kmの自動車専用のドライブロードです。御殿場・箱根峠方面から芦ノ湖や富士山の眺望を楽しめる人気の観光道路ですが、自動車専用道路であるため、徒歩・自転車などの軽車両は通行が認められていません。営業時間外に無料開放される区間があっても、その場合も歩行者や自転車といった軽車両は通行できないとされています。

この規制があるため、ロードバイク乗りの間では芦ノ湖を自転車で一周するのは簡単ではないとしばしば話題になります。芦ノ湖でサイクリングロードが整備されているのは東側のみで、西側を通る芦ノ湖スカイラインが通行止めのため、湖を自転車だけで一周する周遊コースは組めません。迂回するルートを組むか、湖の一部区間は担ぎ・押し歩きが必要になるケースもあるとされているため、芦ノ湖一周を計画する場合は事前にルートと通行規制をよく確認しておきましょう。

同様に、ターンパイク箱根の車道部分も自転車通行不可で、先述の専用通行帯以外で車道へ進入することはできません。箱根エリアには魅力的な有料道路や観光道路が複数ありますが、車道は自動車専用、自転車は専用帯や一般道を利用するという原則を覚えておく必要があります。

なお、年に一度、特別なイベントとしてターンパイク箱根を自転車で走行できる「箱根ヒルクライム」のような大会も開催されています。自転車が走れるのはこの日だけという特別感があり、普段は走れない道からの絶景を楽しめる貴重な機会です。開催時期や参加方法は年によって変動するため、参加を検討する場合はスポーツエントリーやRUNNETといった大会エントリーサイトで最新の募集要項を確認することをおすすめします。

レンタサイクルは箱根園の1時間500円からHELLO CYCLINGまで4通り

自分のロードバイクを持ち込まなくても、箱根では複数のレンタサイクルサービスを利用できます。目的や滞在時間に応じて選べるよう、主な料金を表にまとめました。

サービス料金特徴
箱根関所旅物語館・湖尻ターミナル1日パスポート1,000円当日24時まで乗り放題、電動アシスト自転車
ザ・プリンス箱根芦ノ湖(宿泊者限定)1時間以内1,500円電動アシスト付きE-Bike
箱根園1時間500円芦ノ湖東岸コースに手頃な料金
HELLO CYCLING15分200円、12時間まで上限4,000円シェアサイクル、全車電動アシスト

箱根関所旅物語館・湖尻ターミナルの1日パスポートは、移動範囲が広く複数のスポットを回りたい人に向いています。ザ・プリンス箱根芦ノ湖および龍宮殿では、宿泊者限定で電動アシスト付き自転車を利用でき、宿泊とセットでサイクリングを楽しみたい場合に便利です。箱根園のレンタサイクルは、前述の芦ノ湖東岸サイクリングロードを走るのにちょうどよい料金設定といえます。

HELLO CYCLINGは、専用アプリやポートを使って好きな場所で借り、好きな場所で返却できるシェアサイクリングサービスで、短時間だけ湖畔を回りたい観光客にも向いています。用意されている車両はすべて電動アシスト付きです。本格的なロードバイクでのヒルクライムから電動アシスト自転車での気軽な周遊まで、目的や体力に応じてレンタルサービスを選べる点が箱根の懐の深さといえるでしょう。

輪行なら小田急線から箱根湯本駅経由でアクセスする

自分のロードバイクで箱根旧道などのヒルクライムに挑戦したい場合、小田急線やロマンスカーを利用した輪行でのアクセスが一般的です。自転車を解体して専用の輪行袋に収納した状態、あるいは折りたたみ自転車であれば折りたたんで専用袋に収納した状態であれば、鉄道会社の規定に沿って無料で車内に持ち込めます。

箱根湯本駅からは箱根登山線への乗り換えもスムーズで、輪行袋を担いだままでも移動しやすくなっています。駅構内には手荷物を宿泊先まで届けてくれる「箱根キャリーサービス」のカウンターもあり、サイクリング後の着替えや荷物を身軽にしたい場合に活用できます。伊豆箱根鉄道駿豆線の一部列車では、自転車をそのままの状態で車内に持ち込める「サイクルトレイン」も実施されており、輪行袋への収納が不要なため、駿豆線エリア方面からアクセスする場合は検討する価値があります。

車でのアクセスを考える場合、芦ノ湖スカイライン方面へは東名高速道路の御殿場ICから国道138号、県道401号または県道736号を経由するルート、あるいは小田原厚木道路から箱根新道を経由するルートが利用されています。芦ノ湖スカイライン沿いには無料の駐車場を備えた休憩所や展望公園が複数整備されており、車でロードバイクを運び、現地からサイクリングをスタートするポタリング的な楽しみ方をするライダーも多いようです。

箱根旧道の入り口となる箱根湯本まで自走で向かうロングライドコースも人気があります。小田原駅南口をスタート地点として箱根旧道のヒルクライムを経由し往復するコースは、総距離が約55kmに及び、そのうち上りだけでもおよそ20kmのヒルクライムを含むとされています。海沿いの平坦な区間から一気に山岳区間へと切り替わるため、脚を温存しながら箱根旧道の激坂に備えるペース配分が重要になります。

服装は標高差による気温差5〜10℃を前提に重ね着で対応する

箱根は同じエリア内でも標高差が非常に大きく、気温差が生じやすい点に注意が必要です。標高約97mの箱根湯本は都心部との気温差はさほど大きくありませんが、標高約726mの箱根町エリアになると、都心と比べて平均気温が5〜10℃前後低くなる場合があります。ヒルクライムで一気に標高を上げる箱根旧道のようなコースでは、スタート地点とゴール地点で体感温度がまったく違うことを念頭に置いておいたほうがよいでしょう。

秋の紅葉シーズンは昼夜の気温差が大きく、標高の高いエリアでは11月上旬でも朝晩の気温が10℃を下回る一方、日中は20℃近くまで上がることもあります。脱ぎ着で調整できる重ね着スタイルが基本です。冬場は防寒性の高いウェアや手袋、ネックウォーマーなどの装備が必須で、路面凍結の可能性がある早朝や日陰の多い区間の走行には特に注意しなければなりません。

サイクリング中は上り区間で大量の汗をかく一方、休憩時や下り区間では急激に体温が奪われ、いわゆる汗冷えが起こりやすくなります。速乾性のインナーウェアを着用し、下りに備えてウインドブレーカーなど一枚羽織れるアイテムを携行しておくと安心です。日没が早い季節は前照灯・尾灯の携行と点灯を徹底し、走行計画にも十分な余裕を持たせておきたいところです。

冬季の路面状況にも触れておきます。箱根湯本エリアは標高が低く積雪することは少ないものの、宮ノ下、大涌谷、強羅、仙石原、芦ノ湖といった標高の高いエリアでは、1月から3月上旬にかけてたびたび雪が積もり、通行止めや通行規制が発生することがあります。自動車の場合はこの時期スタッドレスタイヤの装着やチェーンの携行が推奨されるほどで、自転車で走行する場合は路面凍結のリスクをより慎重に見ておく必要があります。冬場に箱根旧道や芦ノ湖方面でのヒルクライムを計画するなら、箱根町が公開している交通規制情報や、湯本・大平台・宮ノ下・箱根峠・芦ノ湖の5地点に設置されているライブカメラで最新の路面状況を確認しておくと安心です。

走行の合間に恩賜箱根公園と箱根神社に立ち寄れる

芦ノ湖東岸エリアを走るなら、元箱根周辺の観光スポットにも足を延ばしたいところです。神奈川県立恩賜箱根公園は、かつての箱根離宮跡地に広がる約15.9ヘクタール、東京ドーム約3.4個分の敷地を持つ公園で、園内中央に建つ湖畔展望館からは芦ノ湖と周囲の山々の眺めが楽しめます。その景観は「かながわ景勝50選」のひとつにも選ばれています。

芦ノ湖の湖畔には朱色の鳥居が特徴的な箱根神社があり、杉木立の中を進む参道は多くの参拝客や観光客でにぎわいます。恩賜箱根公園から北へ歩いて約10分ほどの距離にあり、サイクリングの休憩がてら立ち寄りやすい立地です。対岸には「平和の鳥居」と呼ばれる湖上に立つ鳥居も見え、写真撮影スポットとしても人気があります。

大観山方面まで足を延ばせば、山頂のスカイラウンジで食事や休憩を取ることもでき、天候に恵まれれば富士山と芦ノ湖の両方を一望できます。標高約1,000mに位置し、いまなお噴煙が立ち上る大涌谷も箱根随一の景勝地のひとつで、晴天時には駅前の展望台から富士山の様子をじっくり観察できます。芦ノ湖では元箱根港と桃源台港を結ぶ箱根海賊船も運航しており、デッキから湖と富士山の景観を楽しめます。サイクリングの合間に遊覧船で湖上から景色を眺めるといった、自転車だけにとどまらない周遊の仕方もおすすめです。

箱根湯本の甘味処は走行前後の補給に便利

箱根旧道ヒルクライムのスタート地点にもなる箱根湯本エリアには、走行前の腹ごしらえや下山後の補給に便利な飲食店が密集しています。駅から約1キロほどの短い距離に商店街が集まっており、注文から提供までが早い店が多いため、限られた休憩時間でもサクッと立ち寄れます。

たとえば箱根湯本駅から徒歩5分ほどの甘味処「茶房うちだ」は、走行前後にひと息つくのにちょうどよい和スイーツを提供しています。同じく駅から徒歩5分の「箱根浪漫亭湯本店」では、注文を受けてから絞り上げる「箱根できたてモンブラン」が名物で、マロンクリームの風味豊かな一品を楽しめます。テイクアウト用のミルクソフトや生どら焼きも用意されており、ヒルクライム前後の軽い補給食として活用しやすいでしょう。和と洋の雰囲気が融合した空間が特徴の「カフェ・ド・モトナミ」では、あずきを使った創作デザートとコーヒーが味わえます。看板メニューのボリューム満点なあずきパフェで、消耗した体をいたわることができます。

ガイド付きツアーとサイクリスト向けの受け入れ環境

自分でルートを組むのが不安な人や、ロードバイク以外のスタイルで箱根の自然を楽しみたい人には、地元ガイドが同行するサイクリングツアーという選択肢もあります。箱根の山林をマウンテンバイクで巡る半日ツアーは、走行距離が約17km、所要時間は約3時間程度に設定されており、難易度も比較的低くファミリー向けとされています。小さな子ども連れや自転車初心者でも安心して参加できる内容です。道に迷う心配がなく、地元ならではのビュースポットや裏道を案内してもらえる点もメリットといえます。

箱根エリアでは近年、サイクリストを迎え入れるための環境整備が進んでいます。箱根町観光協会は町内にサイクルスタンドを設置し、ロードバイクだけでなく自動車・オートバイ・徒歩など多様な移動手段で訪れる観光客を受け入れる体制を整えています。小田原城や箱根町港の芦ノ湖畔にもサイクルラックが設けられており、愛車を安心して停めながら周辺観光を楽しめます。

宿泊施設の面でも、箱根湯本エリアを中心に屋根付き駐輪場やバイク・自転車旅応援プランを用意する旅館やホテルが見られます。ロードバイクを部屋の中まで持ち込める宿や専用の駐輪スペースを備えた宿も存在するため、大切な愛車を屋外に置きたくない場合は予約時に自転車の保管方法を確認しておくとよいでしょう。走った後は箱根の温泉でじっくり疲れを癒やせるのも、他のヒルクライムスポットにはない魅力です。

神奈川県はアウトドア用品メーカーの株式会社モンベルと連携し、「ジャパンエコトラック」のルートマップシリーズとして県内のサイクリングルートを紹介するマップも発行しています。グルメや観光スポット、トレッキング情報なども併せて掲載されており、初級者向けのコースからロードバイク上級者向けのヒルクライムコースまで、目的やレベルに応じたルートが整理されています。行政と観光協会、民間の取り組みが重なり合うことで、箱根は年々サイクリストにとって走りやすい観光地になってきています。

箱根サイクリングは体力とレベルに応じてコースを選ぶのが正解

箱根でサイクリングを計画するなら、まず自分の体力とロードバイク経験、当日確保できる時間を踏まえてコースのタイプを決めることが第一歩です。体力に自信があり、下ハンドル操作にも慣れている人には、箱根旧道の激坂ヒルクライムや、椿ラインから大観山展望台を目指すコースが達成感の大きい選択肢になります。家族連れや観光の合間に軽く自転車を楽しみたい人には、芦ノ湖東岸の平坦なサイクリングロードを電動アシスト自転車でのんびり走るスタイルが向いています。

どちらのコースを選ぶ場合も、芦ノ湖スカイラインやターンパイク箱根の車道部分といった自転車が通行できないエリアを事前に地図で確認しておくことが、失敗しないコース計画の鍵になります。標高差による気温変化への備えと、下り区間での汗冷え・速度超過への注意を怠らなければ、箱根サイクリングは初心者からベテランまで満足できるフィールドです。温泉、絶景、歴史ある観光名所、そして走りごたえのあるヒルクライムコースが一つのエリアに凝縮されている箱根は、日帰りでも一泊二日でも楽しめるサイクリングの好適地です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次