高崎伊勢崎自転車道は、群馬県高崎市浜尻町から伊勢崎市若葉町までを結ぶ全長約42.5キロメートルのサイクリングロードです。井野川、烏川、利根川、広瀬川という4つの河川の堤防上に整備されており、群馬県道路管理課が管理する「一般県道高崎伊勢崎自転車道線」が正式名称となっています。信号や交差点が少なく、開けた河川敷の景色を楽しみながら走れることから、群馬県内のサイクリングロードの中でも人気の高い路線として知られています。この記事では、コースのルートや烏川沿いの見どころ、休憩スポット、アクセス方法まで、実際に走る際に役立つ情報をまとめました。

高崎伊勢崎自転車道は井野川や烏川、利根川、広瀬川の4河川をつなぐ堤防路
高崎伊勢崎自転車道は、群馬県が管理する自転車歩行者専用道路で、河川の堤防上を走る「堤防系サイクリングロード」に分類されます。起点は高崎市浜尻町の井野川浜尻大橋、終点は伊勢崎市若葉町の新開橋で、その間を井野川、烏川、利根川、広瀬川という4つの河川に沿って走り抜けます。
自動車との交錯が少ない構造になっているため、ロードバイクに乗り慣れた人だけでなく、クロスバイクやシティサイクルで走る人にも向いています。群馬県内には複数の大規模自転車道が整備されていますが、複数の河川を横断しながら走れる路線は珍しく、景色の変化を楽しみながら長距離を走りたい人に合ったコースといえます。
コースは井野川浜尻大橋から新開橋まで10か所の橋を経由する
高崎伊勢崎自転車道のルートは、起点の井野川浜尻大橋から終点の新開橋まで、次の橋や施設をたどって進みます。
| 順序 | 通過地点 | 所在エリア |
|---|---|---|
| 1 | 井野川浜尻大橋(起点) | 高崎市浜尻町 |
| 2 | 町田橋 | 高崎市 |
| 3 | 常慶橋 | 高崎市 |
| 4 | 群馬の森 | 高崎市 |
| 5 | 柳瀬橋 | 烏川 |
| 6 | 烏川ピクニック野草広場 | 高崎市新町 |
| 7 | 岩倉橋 | 烏川 |
| 8 | 滝川大橋 | 高崎市 |
| 9 | 五料橋 | 佐波郡玉村町 |
| 10 | 新開橋(終点) | 伊勢崎市若葉町 |
高崎市内の井野川沿いから走り始め、烏川を渡って群馬の森の周辺を抜け、烏川ピクニック野草広場を通過したあと、玉村町を経て利根川と広瀬川の流域へと入り、伊勢崎市若葉町にたどり着く流れです。片道42.5キロメートルは、それだけでも本格的なロングライドに相当する距離で、往復すると85キロメートル近くになります。体力や当日の予定に合わせて、コースの一部を選んで走ることも十分可能です。
柳瀬橋から岩倉橋の烏川区間は榛名山と赤城山を望む開放的な景観が続く
高崎伊勢崎自転車道の中で、烏川沿いを走る柳瀬橋から烏川ピクニック野草広場、岩倉橋にかけての区間は、コース全体のハイライトといえる見どころです。烏川は榛名山系を水源とし、高崎市内を流れたあと利根川に合流する河川で、この区間は堤防上を走るため視界を遮るものがほとんどありません。
天気が良ければ、遠くに榛名山や赤城山を望みながら走ることができます。土手には季節ごとに違う植物が姿を見せ、春には野草や桜、秋には紅葉やススキが景色に彩りを添えます。水量は比較的安定しており、水鳥の姿を見かけることも多く、都市部から近い立地でありながら自然の気配を感じられる区間です。川面を眺めながらゆっくりペダルを漕げる時間は、このコースならではの過ごし方だといえるでしょう。
烏川ピクニック野草広場はバーベキュー炉3基を午後5時まで利用できる
烏川ピクニック野草広場は、高崎伊勢崎自転車道のルート上にある休憩スポットです。所在地は群馬県高崎市新町3152番地で、管理は高崎市新町支所建設課が担当しています。
この広場には野外炉が3セット設置されており、バーベキューを楽しむことができます。ただし貸し出しは炉のみで、利用できる時間は午前8時30分から午後5時までと決まっています。事前に食材や炭を用意しておく必要がある点は覚えておきたいところです。名前にある通り園内には野草や草花が自生しており、季節によって表情を変えます。走行の合間にここで自転車を降り、持参した軽食を広げたり、仲間とバーベキューを囲んだりする過ごし方は、このコースの楽しみ方のひとつです。
群馬の森は26万平方メートルの敷地に美術館と博物館が隣接する
群馬の森は、コース中盤の常慶橋から柳瀬橋にかけての区間に位置する県立公園で、約26万平方メートルの敷地に約5000本の樹木が植えられています。県道13号線沿いにある大型公園で、園内にはサイクリングコースが設けられているほか、ウォーキングを楽しむ人でも賑わうエリアです。
春は桜、秋は紅葉の名所として知られ、季節ごとに多くの人が訪れます。園内には群馬県立近代美術館と群馬県立歴史博物館が隣接しており、サイクリングの合間に立ち寄ることもできます。群馬県立近代美術館は1974年秋に開館し、ルノワールやモネ、ピカソといった海外の近代美術作品のほか、日本の近現代美術、群馬県ゆかりの作品、日本と中国の古美術を中心とした東雅堂井上コレクションを収蔵しています。年間4つのテーマ企画展のほか、講演会やワークショップ、館内コンサートも開催されています。
隣接する群馬県立歴史博物館は1979年に開館した施設で、「人々のくらし」「政治・経済の歴史」「文化遺産」という3つのテーマを軸にした常設展示が特徴です。特別展も年に数回開かれており、群馬県の歴史や文化に触れられる場所となっています。休憩を兼ねてこうしたミュージアムに立ち寄れば、身体を休めながら知的な時間も過ごせます。
若葉町の「あじさいの散歩道」は初夏にあじさいが見頃を迎える
コース終点付近にあたる伊勢崎市若葉町周辺には、堤防沿いに「あじさいの散歩道」と呼ばれる遊歩道が整備されています。名前の通り、初夏の時期にはあじさいが見頃を迎え、サイクリングの終盤に彩りを添えてくれます。
この付近には「新橋」と呼ばれる歴史のある橋が架かっており、地域の歴史を感じさせる景観のひとつになっています。広瀬川沿いのサイクリングロードを走りながら、伊勢崎市内の自然や街の雰囲気を味わえる点も、コース後半の魅力です。伊勢崎市内を抜けた広瀬川サイクリングロードは、利根川沿いに続く高崎方面や桃ノ木川沿いに続く前橋方面へも接続しており、伊勢崎市は複数のサイクリングロードが交わる結節点としての役割も持っています。
終点周辺の観光スポットとしては、花菖蒲の見頃の季節に賑わう「赤堀花しょうぶ園」が知られています。市内には「島チャリ」と呼ばれるレンタサイクルサービスも整備されており、市内散策やサイクリングロードの利用を手軽にしています。高崎側の起点だけでなく伊勢崎側の終点周辺にもこうした施設が揃っていることは、コース全体を計画しやすくする要素のひとつです。
休憩所2か所とトイレ2か所が長距離走行を支える
高崎伊勢崎自転車道には、休憩所が2箇所、トイレが2箇所整備されているほか、水飲み場、運動場、親水施設、駐車場といった付帯施設も各所に配置されています。長距離を走るコースだからこそ、こまめに休憩を取れる設計になっている点は、初めて挑戦する人にとって安心材料になります。
特に烏川ピクニック野草広場と群馬の森の周辺はトイレや休憩スペースが充実しており、コース全体を通じた休憩ポイントとして活用しやすいエリアです。長時間のサイクリングでは水分補給と休憩のタイミングが体力維持を左右するため、あらかじめ休憩ポイントの位置を把握しておくと走行計画を立てやすくなります。
井野駅西口自転車駐車場は午前8時から午後7時までレンタサイクルを扱う
高崎伊勢崎自転車道の起点付近にあたる高崎市井野町エリアには、井野駅西口自転車駐車場があり、レンタサイクルサービスが利用できます。営業時間は午前8時から午後7時までで、所在地は高崎市井野町94番地19です。
電車でアクセスする場合、JR高崎線の井野駅が起点付近への最寄り駅にあたります。自転車を持っていなくても、井野駅周辺でレンタサイクルを借りてそのままサイクリングロードに入れるため、遠方から訪れる人にも利用しやすい環境が整っています。終点の伊勢崎市側にも駅前の駐輪場や自転車保管所が整備されているエリアがあり、公共交通機関と組み合わせた片道サイクリングの計画も立てやすくなっています。自家用車で訪れる場合は、群馬の森や烏川ピクニック野草広場周辺の駐車場を起点にする方法もあります。
平坦な道が続くため区間を区切って走るのが無理のない楽しみ方
高崎伊勢崎自転車道は堤防上を走る区間が多く、遮るものが少ない開放的な景観が続くのが最大の特徴です。天気が良ければ榛名山や赤城山、遠くに雪をかぶった山々まで見渡せることもあり、群馬県らしい雄大な自然を感じながら走れます。
コース全体は起伏が少なく平坦な道が続くため、ロードバイクに限らずクロスバイクやシティサイクルでも比較的走りやすい部類に入ります。ただし全長42.5キロメートルというロングコースなので、初心者がいきなり全区間を走ろうとすると体力面での負担が大きくなりがちです。まずは烏川ピクニック野草広場や群馬の森周辺までを往復するなど、区間を区切って楽しむ計画のほうが無理なく続けられます。
サイクリングに慣れている人であれば、井野川浜尻大橋から新開橋までの全区間を一気に走り、道中の群馬の森や烏川ピクニック野草広場で休憩を挟みながらロングライドを楽しむこともできます。往路は高崎から伊勢崎方面へ進み、復路は同じ道を戻る方法のほか、公共交通機関を使った輪行で戻る方法も選べます。
春は桜、初夏はあじさい、秋は紅葉と季節ごとに景色が変わる
高崎伊勢崎自転車道は四季を通じて違う表情を見せてくれるコースです。春は群馬の森の桜や烏川ピクニック野草広場の野草、堤防沿いの草花が芽吹き、コース全体が明るい色に包まれます。桜の開花時期は群馬の森周辺が特に賑わう時期です。
初夏になると、若葉町付近の「あじさいの散歩道」であじさいが見頃を迎えます。梅雨の湿った空気の中、色とりどりのあじさいを眺めながら走るのも季節ならではの楽しみです。夏は日差しが強くなるため、早朝や夕方の涼しい時間帯を選ぶのがおすすめです。河川敷は日陰が少ないので、帽子やサングラス、こまめな水分補給といった熱中症対策は欠かせません。一般的なサイクリングの水分補給の目安として、走り出す30分ほど前に300から500ミリリットルを飲んでおき、その後は喉が渇く前に15分から20分おきに一口ずつ補給する方法が知られています。汗のかき方には個人差があるので、その日の体調や気温に合わせて量を調整しながら走るのがよいでしょう。
秋は群馬の森の紅葉が色づき、堤防沿いにはススキなど秋の草花が揺れます。空気が澄んで山々もくっきり見えるため、景観を楽しむサイクリングには向いている季節です。冬は木枯らしが強く吹くこともあり防寒対策は必要になりますが、その分空気が澄み渡り、榛名山や赤城山、遠くの山並みをより鮮明に望むことができます。
大規模自転車道は1973年度から自然や観光施設を結ぶ目的で整備されてきた
高崎伊勢崎自転車道が属する「大規模自転車道」という枠組みは、1973年度から国の制度として整備が進められてきたものです。自転車道の整備等に関する法律を受けた事業で、自然公園や名勝、観光施設、レクリエーション施設などを結び、交通事故の防止と交通の円滑化に寄与するとともに、国民の心身の健全な発達に役立てることを目的としています。
全国では計画延長4,327キロメートルに対して整備率は8割を超える水準まで進んでいますが、路線によって整備状況にはばらつきがあり、活用状況も一様ではないという課題を国土交通省が示しています。そうした中で高崎伊勢崎自転車道は、河川堤防を活かした専用道として実際に多くのサイクリストに利用されている、比較的活用が進んだ路線のひとつといえます。
群馬県は19路線のサイクリングロードを整備し自転車道の拡充を進めている
群馬県内には、県が管理するサイクリングロードとして利根川自転車道をはじめとする3路線、市町村が管理するサイクリングロードとして蛇川(石田川)サイクリングロードをはじめとする16路線があり、合計19路線が整備されています。高崎伊勢崎自転車道は、こうした県内のサイクリングネットワークの中でも中心的な路線のひとつです。
群馬県は、従来の「歩道内における自転車と歩行者の分離」という考え方から一歩進め、歩行者と自転車、自動車の通行位置を完全に分離した自転車専用の通行空間である「自転車道」の整備を長期的な目標に掲げています。高崎伊勢崎自転車道のような堤防系の専用道は、こうした取り組みのモデルケースとして位置づけられています。
2020年3月には、群馬県が県内全域の観光地を巡るコースやサイクリングイベント、自転車の交通ルールなどをまとめた冊子「群馬県観光サイクリングコースガイド」を発行しました。掲載コースは、自転車愛好家のボランティア組織「サイクルツアー応援隊」をはじめとする県民ボランティアとともに検討・設定されたもので、行政と地域住民が協力してサイクリング文化を育てている様子がうかがえます。
玉村町の五料橋付近は全長87.8キロの利根川自転車道と接続する
高崎伊勢崎自転車道が経由する玉村町の五料橋付近は、群馬県内のもう一つの大規模自転車道である利根川自転車道とも近いエリアです。利根川自転車道は埼玉県久喜市から高崎市金井に至る全長87.8キロメートルの長大なコースで、玉村町周辺もその経由地のひとつになっています。
利根川自転車道の玉村町付近は、堤防上のコースから林間の道へと風景が変わる区間として知られており、木陰の涼しさや緩やかなアップダウンが加わることで走りに変化が生まれます。高崎伊勢崎自転車道を走り終えたあと、時間と体力に余裕があれば、こうした周辺のサイクリングロードへ足を延ばし、群馬県内のネットワークを広く楽しむという選択肢も出てきます。
群馬の森や烏川ピクニック野草広場周辺は歩行者との共有区間として速度に注意する
高崎伊勢崎自転車道は自転車歩行者道であるため、歩行者やランニングをしている人と道を共有する区間があります。特に群馬の森や烏川ピクニック野草広場の周辺は家族連れや散歩をする人が多く利用するエリアなので、スピードの出し過ぎには注意が必要です。
堤防沿いの道は基本的に見通しが良いものの、カーブや橋の接続部分では視界が悪くなる箇所もあるため、その場所では減速して走ることが求められます。増水時や台風接近時など河川の状況によっては通行止めになることもあるため、事前に群馬県や各市のホームページで最新の道路状況を確認しておくと安心です。走行時にはヘルメットの着用や反射材の使用といった基本的な安全対策を徹底し、長距離コースであることを踏まえてパンク修理キットや携帯ポンプ、十分な飲料水を携行しておきたいところです。
榛名山ヒルクライムin高崎は2026年5月10日に開催された
高崎伊勢崎自転車道の起点にあたる高崎市は、平坦な河川敷サイクリングだけでなく、山岳系のヒルクライムイベントでも知られるエリアです。代表的なイベントが「榛名山ヒルクライムin高崎」で、通称「ハルヒル」として多くのロードバイク愛好家に親しまれています。
第14回榛名山ヒルクライムin高崎は2026年5月10日(日)に開催されました。エントリー期間は2025年12月26日午前9時から2026年3月23日午後11時59分までで、参加者のレベルに応じて3種類のコースが用意されていました。最長の「榛名湖コース」は総距離16.1キロメートル、「榛名神社コース」は11.6キロメートル、初心者や小学生でも参加できる「初心者コース」は6.7キロメートルというコース設定でした。
高崎伊勢崎自転車道のような平坦な河川敷コースで基礎体力を養い、榛名山ヒルクライムのような山岳コースにステップアップしていく走り方ができるのも、高崎エリアの特徴です。ロングライドと山岳ライドの両方を同じ地域で楽しめる環境が整っています。
高崎伊勢崎自転車道は、井野川や烏川、利根川、広瀬川という4つの河川をたどりながら、群馬の森や烏川ピクニック野草広場、あじさいの散歩道といった見どころを結ぶ42.5キロメートルのコースです。平坦な道が多く走りやすい一方で、全長は長く本格的なロングライドになるため、体力や経験に応じて区間を選んで楽しめる柔軟性もあります。井野駅周辺のレンタサイクルを使えば自転車を持っていない人でも走り始められ、季節ごとに変わる烏川沿いの景色を楽しみながら、群馬県ならではのサイクリング体験ができるコースです。








