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長崎県平戸市の生月島には、西海岸に沿って約10km続く道があり、東シナ海へ沈む夕日が見えることから「生月サンセットウェイ」と呼ばれています。自転車で走るなら、生月大橋を渡ってすぐの道の駅生月大橋が出発点です。長さが約10kmに収まっているので、島の中にあるほかの見どころと組み合わせて、ぐるりと回る計画を立てやすい道です。
道の片側には東シナ海が広がり、反対側には柱状節理の崖がそびえています。崖の緑と空の青、それに曲がりくねった道の形が一枚の景色に収まる眺めは、自動車メーカーのCMの撮影に何度も使われてきました。ドライブが好きな人にはおなじみの場所です。信号が少なく、上り下りは小刻みで、カーブも急ではありません。

生月サンセットウェイは農免道路として整備され、景色で観光の道になった
この道は、もともと農業のために整備された農免道路です。水平線まで見通せる眺めが知られるにつれて、観光の道として名前が広まりました。
農免道路は、農道の種類のひとつです。1965年に始まった事業で、農林漁業用の機械に使う燃料にかかる揮発油税を免除し、その分を農道の整備に回す仕組みでした。名前の由来もここにあります。
農道には広域農道、農免農道、一般農道といった区分があり、どれも農産物を出荷し、流通させるための道として役立ってきました。農免道路の事業は2008年度で終わり、それ以降、新しい農免道路は造られていません。
自転車での起点は生月大橋のたもとにある道の駅生月大橋
サンセットウェイの入口は、道の駅生月大橋のすぐ横にあります。平戸島から生月大橋を渡り、道の駅の脇から農免道路へ入る流れです。県道の青い案内標識が出ているので、それに従って左へ曲がれば道を間違えることはまずありません。車で向かう場合、平戸口駅から約1時間かかります。
生月大橋は全長960mの三径間連続トラス橋
生月島へ渡るには、平戸島との間に架かる生月大橋を通ります。全長は960mで、三径間連続トラス橋としては、架けられた当時、世界一の長さでした。かつては有料でしたが、2010年4月から無料で渡れるようになりました。
三径間連続トラス橋は、部材を三角形に組んだ骨組み(トラス)で本体をつくり、三つの径間を連続させた形式の橋です。
道の駅生月大橋は本土最西端の道の駅
道の駅生月大橋は、本土の最西端にある道の駅として知られています。開いているのは8時30分から17時30分までで、8月だけは18時まで開いています。休みは12月31日と1月1日です。
売店に並ぶのは、生月の水産加工品です。飛魚(あご)のだしが600円、あごかまぼこが160円ほどで売られています。菓子なら地元の店の丸ボーロとあごクッキー、鯨の加工品ならくじらジャーキーとくじらみそが手に入ります。ただし、価格や品ぞろえは変わることがあります。
サンセットウェイ途中の立ち寄り先は長瀬灯台と塩俵の断崖
ルートの途中にある立ち寄り先は、長瀬灯台と塩俵の断崖です。長瀬灯台は、走る途中で寄り道できます。
長瀬灯台はロケット灯台とも呼ばれる
長瀬灯台には、ロケット灯台という別名があります。
塩俵の断崖は高さ20mの柱状節理が約500m続く
塩俵の断崖では、玄武岩の柱状節理が高さ20mほどの壁となって海岸に並んでいます。南北の長さは約500mあり、長崎県指定の天然記念物です。
柱状節理とは、マグマや溶岩が冷えて固まる際にできる、規則正しい柱の形をした割れ目のことです。溶岩は固まる途中で体積が小さくなり、縮んだ分だけひびが入ります。ひびは冷える面に対して垂直に伸び、玄武岩の場合は六角柱になるケースが多く見られます。冷える面の近くには、その面と平行な板状節理ができ、内側に向かって柱状節理が育つのが一般的な形です。
似た地形の代表例として、イギリスにある世界遺産のジャイアンツ・コーズウェイと、兵庫県豊岡市の玄武洞が挙げられます。塩俵の断崖では、この柱状節理が海沿いに長く連なっています。
島の最北端にある大バエ灯台からは壱岐や対馬が見える
サンセットウェイの先、生月島の北の端まで行くと、白い大バエ灯台が立っています。灯台の展望デッキには上ることができ、天気が良い日には壱岐や対馬まで見渡せます。灯台が立つ断崖は高さ90mほどとされ、灯台の周辺は夕景の名所です。
平戸島から生月大橋を渡ってから、車で約20分の場所にあります。灯台のふもとに駐車場があり、駐車場から灯台までは約250mで、丘を歩いて上ります。
大バエ灯台の周りはハマユウの自生地
灯台のある岬一帯には、ハマユウが自然に生えています。花の時期は7月下旬から8月ごろが目安ですが、年によってずれます。
ハマユウの正式名称はハマオモトです。夏になると白い花をつけ、夕方から咲き始めて夜中に満開を迎えます。日が沈むころから強い香りを放つのも特徴です。
夕景を狙うなら日没の30分から60分前に灯台や断崖へ着く
夕日をきれいに見たいなら、日没の30分から60分前から、日が沈んで空に光が残っているあいだが狙い目です。天候と日没の時刻の確認が大切です。
光を追いやすい回り方は、朝に生月大橋公園の側で橋と海を撮り、午後はサンセットウェイを走り、夕方に大バエ灯台や塩俵の断崖へ移る順番です。塩俵の断崖から戻るときにサンセットウェイを通る回り方もあります。
雨の日に訪れた人からは、景色全体がくもっていても海の色がとても美しかったという感想が寄せられています。
平戸市街地を回るなら平戸市観光案内所の電動アシスト自転車が2時間500円から
平戸市街地を自転車で回るなら、平戸市観光案内所で電動アシスト自転車を借りられます。案内所は平戸港の側にある平戸市観光交通ターミナルの中にあり、料金は1台2時間まで500円からです。モーターの助けがあるので、市街地の上り坂も楽に進めます。借りられるのは身長145cm以上の人に限られます。なお、平戸観光協会の案内所は年中無休です。
旅行予約サイトでは、対象のプランを予約すると、平戸市のレンタサイクル(電動アシスト自転車)を無料で使えるキャンペーンも行われています。平戸にいるあいだは好きな日時に借りられ、坂の多い平戸城や平戸ザビエル記念教会のあたりを回るのに重宝します。
走ったあとは島の館で古式捕鯨とかくれキリシタンの歴史をたどる
平戸市生月町博物館「島の館」では、古式捕鯨とかくれキリシタンの信仰の二つを展示の柱にしています。
益冨組は江戸時代から明治中期まで日本最大規模の鯨組だった
古式捕鯨とは、江戸時代に九州や山口などの沿岸で、鯨組と呼ばれる集団が行った捕鯨のことです。網取り式捕鯨は、網でクジラが逃げられないようにしてから銛でとどめを刺すやり方で、江戸時代に生まれた技術です。
生月島には益冨組(ますとみぐみ)という鯨組があり、江戸時代から明治時代の中ごろまで、古式捕鯨では最大の規模を誇っていました。最も栄えた江戸時代後期には5つの網組を抱え、従業員は3000人を数えたそうです。クジラの解体と加工を行う施設は、拠点を移した1729年から明治30年まで生月島の御崎浦に置かれていました。西海地方では、網掛突取法が広まるにつれて鯨組が大きくなっていきました。
島の館の見どころは、この益冨組の捕鯨の場面を再現した大型のジオラマです。
潜伏キリシタンとかくれキリシタンは指す時代が違う
館内には潜伏キリシタンの家が復元され、再現された納戸神も展示されています。島のかくれキリシタンがつくってきた共同体を伝える史料と映像のコーナーもあります。
潜伏キリシタンとは、江戸幕府がキリスト教を禁じていた時代に、信仰を隠しながら守り続けた人たちのことです。小さな集落ごとに秘密の組織をつくり、オラショと呼ばれる祈りの言葉を唱えて信仰をつなぎました。慈母観音像をマリア像として拝んだり、聖像や聖画、メダイ、ロザリオ、クルスといった聖具をひそかにしまって「納戸神」として祀ったりしていました。
一方のかくれキリシタンは、禁教が解かれてからもカトリック教会へは戻らず、江戸時代以来の祈りの形をそのまま続けた人たちを指します。仏教や神道、民俗信仰と混ざり合った、独自の信仰を持っているのが特徴です。納戸神は、信者が大切に祀ってきた御神体や聖具のことで、飾板やメダル、ロザリオなどが宝物や御神体として拝まれています。生月島や外海地区など、かくれキリシタンの信仰が今も続く土地は限られているとされます。
ガスパル西玄可の墓は、島の館から車で5分ほどの距離にあります。中江ノ島も関連する場所で、かくれキリシタンにとっての聖地です。生月島の信仰を描いた本としては、ノンフィクション『消された信仰』があります。
平戸の街は南蛮貿易とオランダ商館の歴史を歩いてたどれる
平戸は古くから大陸との行き来の窓口として栄えた港町で、1550年には日本で初めてのポルトガル船が平戸港に入りました。1609年からの33年間はオランダ商館も置かれましたが、1641年に幕府の命令で取り壊され、貿易の場は長崎の出島へ移りました。
いま建っている平戸オランダ商館は2011年にオープンした建物で、1639年に完成した倉庫を忠実に復元しています。真っ白な壁と瓦の屋根が目印で、中には松浦史料博物館が入っています。
平戸城とザビエル記念教会、崎方公園と幸橋
平戸城は亀岡城とも呼ばれ、江戸時代に平戸藩の城として建てられました。標高53mの亀岡山の上にあり、海が天然の外堀の役目を果たしています。城の中では、平戸の歴史や人物をデジタル映像で紹介しており、デジタルアートも見られます。
平戸ザビエル記念教会は、白っぽい壁と尖った塔がひときわ目立つゴシック様式の教会で、昭和6(1931)年に建てられました。敷地にはフランシスコ・ザビエルの像があります。ザビエルは、日本へ最初にキリスト教をもたらした人物です。
崎方公園に上ると、平戸港が一望できます。公園にはフランシスコ・ザビエル記念碑と三浦按針の墓があります。幸橋はオランダ橋の名でも親しまれ、江戸時代にオランダ人の指導を受けて架けた橋と伝えられています。幸橋は街歩きで立ち寄れる場所です。
平戸市大野町の川内峠からは佐々町方面の陸と海を一度に見渡せる
川内峠は、平戸市大野町にある峠です。峠の途中の小高い丘に上ると、佐々町の方向に陸地と海が一緒に広がる景色が見えます。頂上のモニュメントには、方角と地名が刻まれています。
山道を抜けて視界が開けると、目の前に草原が広がります。展望台の下にある駐車場からは、峠と吉江湾が見下ろせます。一日中いつでも入れる場所です。公共交通で行く場合は、佐世保駅で西肥バスの平戸桟橋行きに乗って終点まで行き、そこからタクシーに乗り換えて約10分です。
平戸で食べたいのは平戸牛と海鮮、冬は天然ひらめ
平戸牛は、潮風にさらされた牧草で育った和牛で、脂が控えめでさっぱりした味わいが持ち味です。焼肉で味わうなら「平戸和牛 焼肉市山」があり、田平港の隣には直売所も設けられています。
平戸瀬戸市場にあるレストランは「平戸海鮮丼」が人気で、ブリやタイ、マグロなど数種類の刺身がのっています。西端夢浪漫 田平店はイカの活き造りで知られ、昼にはご飯の上に刺身を好きなだけのせられる数量限定の「勝手丼」が人気を集めています。「お食事の店萬福」では、刺身をいくらでもおかわりできる刺身定食が看板メニューです。
冬に訪れるなら、寿司店「豊鮨」で1月下旬から3月まで天然のひらめが食べられます。平目定食なら2750円で味わえます。また、毎年1月中旬から3月末までの期間には「平戸天然ひらめまつり」が開かれ、市内の飲食店や宿で期間限定のメニューが出されます。ご当地グルメには、南蛮貿易の歴史を題材にした「平戸ジビエ」と「南蛮カレー」もあります。
立ち寄り施設の営業時間と料金
島の館と平戸城、平戸ザビエル記念教会の時間と料金は次のとおりです。
| 施設 | 営業時間・休み | 料金・見学 |
|---|---|---|
| 島の館(平戸市生月町南免4289番地1) | 9時〜17時、1月1日と2日は休館 | 入場料510円 |
| 平戸城 | 8時30分〜18時(10月〜翌年3月は17時まで) | 入館料は大人520円 |
| 平戸ザビエル記念教会 | 外観は自由に見学可、礼拝の時間中は内部の見学に制限あり | 見学無料 |
サンセットウェイを走る前に確かめたいのは道路状況と休憩場所
走る前には、平戸市や平戸観光協会が出している最新の情報で、道路の状態や通行の可否を確認しておいてください。
もうひとつ気をつけたいのが、休める場所の少なさです。道沿いの駐車場は鷹の巣展望台などわずかしかなく、車でも自転車でも、止まって景色を眺められる場所は限られます。どこで休むかを先に決めておくと安心です。
まとめ
生月サンセットウェイは、生月島の西海岸を走る約10kmの農免道路で、東シナ海に沈む夕日と柱状節理の断崖を一度に楽しめる道です。自転車なら道の駅生月大橋を起点にし、長瀬灯台や塩俵の断崖に立ち寄りながら、日没の30分から60分前に夕景のポイントへ着く計画が立てられます。
平戸市街地を回るなら、平戸市観光案内所で電動アシスト自転車を2時間500円から借りられます。走ったあとは、島の館で捕鯨とかくれキリシタンの歴史にふれられます。








