茨城県は関東平野の豊かな自然と首都圏からの優れたアクセス性により、近年サイクリングの聖地として注目を集めています。海、山、湖、川といった多様な風景を楽しめる茨城県のサイクリングコースは、初心者からベテランまであらゆるレベルのライダーに対応した環境が整備されています。特に2019年に日本初のナショナルサイクルルートに認定された「つくば霞ヶ浦りんりんロード」をはじめ、挑戦的な「奥久慈里山ヒルクライムルート」、絶景の海岸線を走る「大洗・ひたち海浜シーサイドルート」という3つの主要ルートが人気を博しています。2024年にはサイクリング情報ポータルサイト「Cycling IBARAKI」がリニューアルされ、100件以上のモデルルートやグルメ情報、宿泊施設情報が充実しました。さらに2025年には新たな挑戦的イベント「奥久慈クロス」の開催も予定されており、茨城県のサイクリング環境はますます発展を続けています。

茨城県で初心者におすすめのサイクリングコースはどこですか?
茨城県で初心者の方に最もおすすめなのは、つくば霞ヶ浦りんりんロードです。このコースは全長約180kmの壮大なルートですが、大部分が平坦な道で構成されているため、初心者でも安心してロングライドに挑戦できます。特に注目すべきは、かつての筑波鉄道の廃線敷を利用した約40kmの「つくばりんりんロード」区間で、こちらは自転車歩行者専用道路として整備されているため、車を気にせず安全に走行できます。
初心者向けのもう一つの選択肢として、研究学園都市サイエンスツアーがあります。つくば市中心部を走る約10.4kmのコースで、ほとんどが歩行者自転車専用道路のため安全性が高く、JAXA筑波宇宙センターなどの科学施設を巡りながらファミリーでも楽しめます。つくば駅でレンタサイクルも利用できるため、手ぶらで気軽に始められる点も魅力です。
大洗・ひたち海浜シーサイドルートも初心者におすすめで、約95kmのコースながらゆるやかなアップダウンが特徴です。海岸線の美しい景色を楽しみながら、国営ひたち海浜公園や大洗磯前神社の「神磯の鳥居」など、観光スポットも充実しています。コース途中には電動アシスト付き自転車のレンタルサービスも充実しており、体力に自信がない方でも安心です。
これらのコースには休憩所やトイレ、空気入れなどの設備が整備されており、初心者が安全にサイクリングを楽しめる環境が整っています。また、サイクルサポートステーションでは工具の貸し出しや修理対応も可能で、万が一のトラブルにも対応できる安心感があります。
つくば霞ヶ浦りんりんロードの魅力と走り方のポイントは?
つくば霞ヶ浦りんりんロードは、2019年に日本初のナショナルサイクルルートとして認定された茨城県を代表するサイクリングコースです。筑波山と霞ヶ浦をシンボルとした全長約180kmのコースで、関東平野の雄大な自然を満喫できる点が最大の魅力です。年間利用者数は開通当初と比較して約3倍の12万人を超えており、その人気の高さがうかがえます。
このコースの特徴は、2つの主要区間に分かれていることです。一つ目は約40kmの「つくばりんりんロード」で、旧筑波鉄道の廃線敷を活用した自転車歩行者専用道路として整備されています。車道を走る必要がないため安全性が高く、旧駅跡地を利用した休憩所では電動の空気入れや自動販売機も利用できます。二つ目は「霞ヶ浦自転車道」で、土浦から潮来まで霞ヶ浦の湖岸を半周する開放的なルートです。
アクセスの良さも大きな魅力で、首都圏からJR常磐線やつくばエクスプレスで約1〜1.5時間、車でも常磐自動車道を利用して東京から土浦まで約70分と非常に便利です。特に注目すべきは常磐線サイクルトレインで、土日祝日に上野駅から土浦駅間で自転車を分解せずに持ち込める特別サービスが提供されています(要事前予約)。
走り方のポイントとしては、JR土浦駅直結のりんりんスクエア土浦を拠点にするのがおすすめです。レンタサイクルの受付、シャワールーム、カフェが集約されており、星野リゾートの「BEB5土浦」では全室に自転車持ち込み可能で整備室も完備されています。また、土浦駅で借りて岩瀬駅で返却する広域レンタサイクルサービスも利用でき、片道だけのサイクリングも可能です。
春には桜並木が美しく、健脚な方は筑波山や加波山へのヒルクライムにも挑戦できます。コース沿いには真壁の歴史的街並みや小田城跡などの文化的スポットも点在しており、サイクリングと観光を同時に楽しめる充実したコースとなっています。
茨城県のサイクリングコースで楽しめるグルメスポットはありますか?
茨城県のサイクリングコースは、各地域の特色あるご当地グルメを楽しめる点も大きな魅力の一つです。サイクリングで消費したエネルギーを美味しい食事で補給しながら、地域の文化も味わえる贅沢な体験ができます。
つくば霞ヶ浦りんりんロード沿いでは、奥久慈卵と筑波山麓の生乳を使ったつくばプリン「ふじ屋」が人気です。松屋製麺所の作りたて手打ちラーメンや、沼田屋本店の黒糖が香るかりんとう饅頭など、昔ながらの製法にこだわった美味しいグルメが点在しています。真壁の街並み散策では、歴史ある建物を眺めながら地元の和菓子店なども楽しめます。
大洗・ひたち海浜シーサイドルートは特にグルメの宝庫で、海の幸を中心とした多彩な味覚が楽しめます。那珂湊おさかな市場では新鮮な海の幸を堪能でき、地元で評判の惣菜かじまでは「かにたっぷりコロッケ」という名物料理が味わえます。ズワイガニがたっぷり入った贅沢なコロッケは、サイクリストの間でも人気の一品です。
特にユニークなのが醤油ソフトクリームで、老舗醤油店「黒澤醤油店」で味わえる香ばしい醤油の奥深い味は絶品です。ひたちなか市の特産品である干し芋も見逃せません。「ほしいも専門店大丸屋」では様々な種類の干し芋を楽しめ、自然な甘さがサイクリングの疲労回復に最適です。
那珂湊焼きそばは手延べせいろ蒸し麺を使ったもちもちとした食感が特徴的で、ソース味だけでなく醤油味もあるご当地グルメです。また、好きな食材を選んで蒸し焼きや網焼きを楽しめるカキ小屋も点在しており、季節によっては新鮮な牡蠣を味わうこともできます。
日立駅にあるシーバーズカフェは全面ガラス張りの店内から海が一望できる絶景カフェとして人気で、美しい景色とともに食事を楽しめます。各コース沿いには、これらのグルメスポットを巡る「グルメライド」として楽しめるモデルコースも設定されており、食べ歩きを目的としたサイクリングも十分に楽しめる環境が整っています。
茨城県でヒルクライムを楽しみたい場合はどのコースがおすすめ?
茨城県でヒルクライムを楽しみたい方には、奥久慈里山ヒルクライムルートが断然おすすめです。袋田の滝、八溝山、竜神大吊橋など、里山の美しい風景を楽しみながら、起伏や勾配を感じる走りごたえのあるコースが設定されています。自然の中で挑戦を楽しみたい上級者サイクリストにとって、茨城県最高峰の八溝山へのヒルクライムは特に魅力的です。
2025年には特別なイベントとして「Okukuji X(奥久慈クロス)」の開催が予定されており、これは「日本最恐レース」と銘打たれた挑戦的な大会です。10月18日〜19日の2日間で開催され、1日目はサイクリング(120km)、2日目はトレイルラン(59km)という構成になっています。特に注目すべきは八溝山でのタイムトライアルで、計測区間8km、平均勾配9%以上という国内屈指の激坂コースとなっています。
このイベントのサイクリング部門では、水戸を出発して八溝山のタイムトライアルを経て大子(袋田の滝)へ向かうハードなロングライドで、獲得標高2,300mという数字からもその厳しさがうかがえます。参加費は1競技10,000円、2競技参加で18,000円となっており、6月末にはコース詳細とエントリー受付が開始される予定です。
つくば霞ヶ浦りんりんロード沿いでも、健脚なサイクリストであれば筑波山や加波山へのヒルクライムに挑戦できます。日本百名山の一つである筑波山は、コースからの眺めも美しく、達成感のあるヒルクライムが楽しめます。平坦なメインコースから外れて山岳部へ向かうルートは、体力と技術に自信のあるサイクリストにとって格好の挑戦の場となっています。
ただし、2025年6月には大子町でクマの目撃情報が複数報告されているため、奥久慈エリアでのサイクリングの際は十分な注意が必要です。単独でのヒルクライムは避け、複数人でのグループライドや、地元のサイクリングガイドと一緒に走ることをおすすめします。また、ヒルクライムに挑戦する際は、十分な装備と体力、そして緊急時の連絡手段を確保してから挑むことが重要です。
茨城県のサイクリングに必要な準備とサポート体制は?
茨城県でサイクリングを安全かつ快適に楽しむためには、適切な準備と充実したサポート体制の活用が重要です。まず装備面では、2023年4月1日から全ての自転車利用者にヘルメット着用が努力義務化されているため、安全のためにもヘルメットは必須アイテムです。服装については、寒暖差に対応できる重ね着とストレッチ性のあるパンツ、ローカットで底が固い運動靴がおすすめです。
携行品としては、サイクリングマップ、予備チューブ、携帯式空気入れなどの工具、十分な水分と軽食は必ず持参しましょう。荷物は軽くコンパクトにまとめ、コインロッカーの活用や自転車用バッグの取り付けも検討してください。スポーツバイクのサドルが固いと感じる場合は、クッション性のあるサドルカバーがあると快適です。
レンタサイクルについては、各主要ルートで充実したサービスが提供されています。つくば霞ヶ浦りんりんロード周辺では、土浦駅で借りて岩瀬駅で返却する「広域レンタサイクル予約サービス」が利用でき、クロスバイク、ロードバイク、電動自転車など様々なタイプから選択可能です。大洗・ひたち海浜シーサイドルート周辺では、久慈サンピア日立、日立駅情報交流プラザ、大洗町観光情報交流センター「うみまちテラス」など8箇所でレンタサイクルが利用できます。
宿泊施設では、茨城県認定の「サイクリストにやさしい宿」が多数存在します。特に「BEB5土浦 by 星野リゾート」は全室に自転車持ち込み可能で整備室も完備された、サイクリスト特化型ホテルとして人気です。2025年には季節ごとのイベントも開催されており、宿泊とサイクリングを組み合わせた特別な体験ができます。
サポート体制としては、サイクルサポートステーションで工具の貸し出しや修理対応が可能で、万が一のパンクや故障にも対応できます。サポートライダーによる現地でのトラブル支援もあり、初心者でも安心してサイクリングを楽しめます。また、霞ヶ浦を一望できる「あそう温泉白帆の湯」のような温泉施設では、空気入れや工具も準備されており、疲労回復のためのマッサージ施設も利用できます。
安全面では「自転車安全利用五則」の遵守が重要で、車道左側通行、信号と一時停止の遵守、夜間のライト点灯、飲酒運転禁止、ヘルメット着用という5つの原則を守ることが求められています。これらの準備とサポート体制を活用することで、茨城県での充実したサイクリング体験が実現できます。
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