置賜自転車道は、山形県が管理する県道の自転車道で、米沢市花沢から高畠町安久津までのおよそ23.9キロメートルを結ぶコースです。米沢盆地の田園風景と、廃線跡を利用した桜並木、最上川沿いの町並みを一本の道でつなぐルートとして、山形県南部・置賜地方のサイクリングの軸になっています。この記事では置賜自転車道を中心に、米沢、長井、白鷹という置賜地方を代表する三つの町のサイクリングの見どころを、距離やレンタサイクル料金などの具体的な数字とあわせて紹介します。
置賜地方は米沢盆地を囲むように広がる三市五町のエリアで、奥羽山脈と飯豊連峰、吾妻連峰に挟まれた盆地の中を、日本三大急流のひとつに数えられる最上川が流れています。その源流にあたる松川沿いの堤防道と、旧鉄道の廃線跡を組み合わせて整備されたのが置賜自転車道です。自動車の往来が少なく、初心者でも走りやすいコースとして知られる一方、区間によっては勾配や分岐のわかりにくさもあるため、事前に距離感とルートを把握しておくと安心して走れます。これから置賜地方でサイクリングを計画している方の参考になれば幸いです。

置賜自転車道は米沢市花沢から高畠町安久津まで23.9キロ
置賜自転車道の正式名称は「一般県道米沢県南公園自転車道線」といいます。起点は米沢市花沢、終点は東置賜郡高畠町安久津で、区間距離はおよそ23.9キロメートルとされています。ルートとしては米沢駅を起点に最上川の源流である松川沿いを北上し、堤防上の道を経て高畠駅方面へ向かい、高畠駅から先は旧山形交通高畠線の線路跡を利用した「まほろば緑道」に接続して蛙沢湖を経由し、赤湯駅へと至ります。まほろば緑道の区間だけでもおよそ14キロメートル、幅員3.0メートルで整備されており、赤湯駅までを含めた路線全体の総延長は32.8キロメートルにおよぶという資料もあります。資料によって距離の表記には幅がありますが、米沢から高畠、赤湯まで置賜地方を南北に縦断する長大なサイクリングロードであることに変わりはありません。
道の大きな魅力は、河川の堤防上や旧鉄道の廃線跡を利用しているため、自動車とほとんどすれ違わずに走れる点です。舗装も比較的良好で、初心者でも安心して走りやすいコースとされています。ただし区間によっては勾配がきつくなる箇所や、案内看板が少なく道に迷いやすい箇所もあるため、初めて走る場合は地図アプリなどでルートを事前に確認しておくと安心です。走行中には駐車場やトイレ、東屋などの休憩施設も点在しており、長距離のライドでも無理なく休憩を挟みながら進めます。
まほろば緑道は旧山形交通高畠線の廃線跡、桜700本の景観区間
まほろば緑道には、鉄道が走っていた時代の歴史が刻まれています。この区間はもともと山形交通高畠線という私鉄で、糠ノ目駅(現在の高畠駅)と二井宿駅を結んでいました。高畠周辺で盛んだった養蚕業の産品輸送を目的に敷設された路線で、昭和期には工業製品のほか木材や乳製品、木炭、果物なども運んでいたといいます。戦後はトラック輸送の発展で利用が減少し、昭和49年(1974年)に全線が廃止されました。廃線跡は桜の名所を兼ねた緑道として整備され、沿道にはおよそ700本の桜が植えられているとされています。開花期には桜のトンネルとなり、置賜自転車道の中でも屈指の景観スポットとして親しまれています。旧高畠駅の駅舎は今も保存されており、当時の電車や電気機関車、貨車の車両も展示されているため、鉄道好きの方にとっても見逃せない立ち寄りどころです。
米沢駅から走り始めてしばらくすると松川と合流し、堤防上の自転車道が米沢市窪田町矢野目付近まで続きます。この区間からは、かつて「東洋のアルカディア」と評されたこともある米沢盆地の田園地帯を一望でき、季節ごとに表情を変える里山の風景を楽しめます。稲穂が実る初秋や、雪をかぶった飯豊連峰・吾妻連峰を望める晴れた日は、写真映えするビューポイントが数多く点在しています。
初心者向けの区間としては、米沢から窪田水辺の楽校までの往復コースが人気です。片道はおよそ15キロメートル前後、平均時速12キロメートルほどのペースでも片道50分弱で到着できる距離感とされ、ママチャリタイプの自転車でも無理なく往復できます。窪田水辺の楽校は最上川沿いの親水公園で、冬場には白鳥が飛来することでも知られ、休憩スポットとしても人気です。さらに高畠町まで足を延ばせば、終点近くに高畠ワイナリーがあり、工場見学やワインの試飲、ソフトクリームで旅の締めくくりができます。
米沢エリアは上杉神社と酒蔵めぐりが定番コース
置賜自転車道の起点となる米沢市は、戦国武将・上杉謙信、上杉景勝、名家老・直江兼続ゆかりの城下町です。サイクリングの拠点としても観光資源が多く、歴史好きの方には特におすすめのエリアといえます。
米沢での定番の立ち寄りスポットは、上杉謙信を祀る上杉神社です。かつての米沢城本丸跡に鎮座しており、境内には上杉謙信・上杉鷹山公の像も建てられています。神社周辺には上杉伯爵邸や上杉記念館、稽照殿といった歴史的建造物も点在し、自転車を停めて散策するのに適したエリアです。上杉家累代の当主が眠る上杉家廟所も、米沢の歴史を感じられる立ち寄りどころとして知られています。
米沢は日本酒の名産地でもあり、老舗の酒蔵である東光の酒造資料館なども見学スポットとして人気です。米沢牛や米沢ラーメンといったご当地グルメも豊富で、サイクリングの休憩がてら名店に立ち寄る観光客も多いといいます。米沢牛を提供する飲食店のほか、地元で長く愛される米沢ラーメンの名店、囲炉裏端で田楽を味わえる古民家風の飲食店など、走ったあとのご褒美にふさわしいスポットがそろっています。もう少し足を延ばしたい方には、小野川温泉方面を目指すコースもおすすめです。道中にはカフェや立ち寄り湯も点在しており、走ったあとに温泉でひと汗流してから帰路につくプランも人気があります。
米沢の歴史を語るうえで欠かせないのが、直江兼続が築いたとされる直江石堤です。米沢に移封された直江兼続は、たびたび氾濫を起こしていた松川(最上川)の水害を防ぐため、総延長10キロメートルにおよぶ谷地河原堤防、いわゆる直江石堤と蛇堤を築いたと伝えられています。現在は石堤が残る河川敷が公園として整備され、置賜自転車道の走行中に立ち寄れる歴史スポットのひとつになっています。上杉神社が位置する松が岬公園は桜の名所としても知られ、米沢上杉まつりの時期には多くの露店が並び、公園内で花見やそぞろ歩きを楽しむ人でにぎわいます。この時期に合わせてサイクリングを計画するのもおすすめです。
米沢市内での移動には、レンタサイクルの活用が便利です。米沢駅前のレンタカー営業所や、上杉神社境内にある米沢観光コンベンション協会などでレンタサイクルの貸し出しが行われており、利用料金はおおむね1日1000円、1時間200円程度とされています。米沢駅と上杉伯爵邸の間で乗り捨て返却ができるサービスを提供している事業者もあり、片道だけ自転車を利用して帰りは電車やバスで戻る使い方もできます。近年は電動アシスト付きのE-BIKEを使ったモデルコースも整備されており、上杉神社や上杉家廟所、東光の酒蔵をめぐる歴史コース、グルメスポットを巡るコース、小野川温泉を目指す温泉コースなど、目的に応じて複数のコースが用意されています。体力に自信がない方や坂道の多いエリアを走りたい方は、E-BIKEを利用するとより快適にサイクリングを楽しめるでしょう。
高畠エリアはまほろば古の里歴史公園と高畠ワイナリーが終点
置賜自転車道の中間から終盤にあたる高畠町も、サイクリングの見どころが凝縮されたエリアです。まほろば緑道の終点付近にあるまほろば古の里歴史公園は、安久津八幡神社の三重塔と、置賜地方の暮らしを紹介する展示施設「うきたむ風土記の丘考古資料館」を中心に、古墳や復元された竪穴住居、田畑や四季折々の花々が広がる公園です。安久津八幡神社は860年に慈覚大師が阿弥陀堂を建立したことに始まるとされ、その後、源義家が鎌倉の鶴岡八幡宮を勧請して合祀したと伝えられる由緒ある神社です。本殿と三重塔、舞楽殿は山形県の指定文化財となっており、静かな境内は置賜自転車道の道中でも屈指の歴史スポットといえます。
高畠町では、高畠駅前の観光交流施設「太陽館」を拠点としたレンタサイクルも充実しています。普通自転車や電動アシスト自転車だけでなく、ロードバイクやタンデム自転車まで用意されているのが特徴で、まほろば緑道を中心に高畠の自然と歴史を体感できるおよそ11キロメートルのモデルコースも用意されています。高畠町観光協会では、駅を起点にしたガイド付きのサイクリングイベントも開催されており、初めて訪れる方でも安心してコースを回れる工夫がされています。終点近くの高畠ワイナリーでは、ぶどう畑を眺めながらワインの試飲や工場見学を楽しめるほか、売店ではソフトクリームなどの軽食も販売されており、長い道のりを走り終えたあとのご褒美スポットとして人気があります。
長井エリアはレンタサイクル「ながいくるん」で舟運の町並みを巡る
置賜自転車道から少し足を延ばした位置にある長井市は、最上川舟運の要衝として栄えた歴史を持つ町です。市内には最上川と白川、置賜白川が合流する地点があり、水運で栄えた蔵造りの町並みが今も残されています。かつて舟運の拠点だった歴史を伝える施設として、道の駅「川のみなと長井」が整備されており、地元の農産物や特産品を購入できるほか、観光情報の収集にも便利な拠点となっています。
長井市でのサイクリングの大きな楽しみのひとつが、レンタサイクル「ながいくるん」です。道の駅「川のみなと長井」で貸し出されており、電動アシスト付き自転車と普通自転車の両方から選べます。貸出台数は普通自転車5台、電動アシスト自転車5台とされ、利用時間は午前9時30分から午後5時30分までの1日単位での貸出です。貸出期間は冬季を除く4月から12月頃までとされているため、積雪期を避けて計画するのがよいでしょう。料金は令和7年6月1日から改定されており、普通自転車、電動自転車、クロスバイクともに4時間1000円、1日2000円になりました。改定前は普通・電動自転車が1日500円、クロスバイクが1日1000円だったとのことで、利用を検討している場合は最新の料金を道の駅やお問い合わせ先のやまがたアルカディア観光局に確認しておくと安心です。
長井市の代表的な観光スポットとしては、長井あやめ公園が挙げられます。開園から100年を超える歴史を持つ都市公園で、500種100万本ともいわれる規模のあやめが植栽されており、日本でも有数のあやめの名所として知られています。花菖蒲の原種に近いとされる「長井古種」など貴重な品種も鑑賞できるのが特徴です。見頃は例年6月中旬から7月上旬にかけてで、この時期には「長井あやめまつり」が開催され、紫や青、藤色、白など色とりどりの花が咲き誇ります。まつりの開催期間以外は入園無料で、地元の方の散策コースとしても親しまれています。高台の広場には遊具も設置されているため、家族連れでのサイクリング途中の休憩スポットとしてもおすすめです。
長井市は江戸時代、最上川舟運によって栄えた商都であり、当時の繁栄を今に伝える重厚な商家や土蔵が数多く残されていることから、水運や商業に関わる歴史的な町並みが国の重要文化的景観に選定されています。中でも代表的な建物が小桜館、旧西置賜郡役所です。明治11年(1878年)に建てられたこの擬洋風建築は、上げ下げ窓や板絵、欄間窓といった当時としては珍しい建築技法を用いており、現存する郡役所建築としては山形県内最古、全国でも二番目に古いとされています。平成8年(1996年)には長井市の有形文化財に指定され、現在は市民の文化・芸術活動の場として活用されています。白壁の窓が印象的な擬洋風の外観は、日本の伝統技術と西洋建築の技法を組み合わせた意匠が特徴で、蔵造りの町並みとあわせてサイクリングの途中に立ち寄る街歩きスポットとしておすすめです。
長井市内には最上川沿いの舟運文化を伝える蔵造りの町並みも点在しており、自転車で路地をゆっくり巡りながら、置賜地方ならではの歴史的な景観を楽しめます。置賜自転車道の本線からは少し外れるエリアですが、最上川沿いを北上するルートを組み合わせることで、米沢から長井、さらに白鷹方面へと続く、より広域のサイクリングプランを立てることも可能です。
白鷹エリアは日本一規模のヤナ場「あゆ茶屋」で鮎料理
長井市からさらに最上川沿いを北へ向かうと、西置賜郡白鷹町にたどり着きます。白鷹町は最上川舟運とともに発展してきた町で、現在も最上川の恵みを生かした観光資源が豊富なエリアです。
白鷹町でのサイクリングの目的地としてまず名前が挙がるのが、国道287号沿いにある道の駅「白鷹ヤナ公園」、愛称「あゆ茶屋」です。この道の駅の最大の特徴は、最上川に設置された常設のヤナ場で、その規模は日本一とも称されています。ヤナ場に隣接するあゆ茶屋では、最上川で獲れた鮎の塩焼きをはじめ、鮎をふんだんに使った郷土料理を味わえ、サイクリングの休憩がてら川の幸を堪能できる貴重なスポットです。売店やレストランの営業時間はおおむね午前10時から午後5時までとされていますが、休憩所や公衆トイレは24時間利用できるため、早朝や夕方のライドでも安心して立ち寄れます。
白鷹町のもうひとつの大きな魅力が、桜の名所としての顔です。町内には樹齢500年を超えるという桜の古木が数多く点在しており、見頃は例年4月下旬から5月上旬にかけてとされています。あゆ茶屋の周辺や最上川沿いにも桜が多く、桜を眺めながら食事や休憩を楽しめるのも白鷹町ならではの魅力です。さらに春先には、ヤナ場の上空を約150匹もの鯉のぼりが最上川の川風を受けて泳ぐ光景が見られることもあり、桜と鯉のぼりが織りなす春の風物詩を楽しみながらのサイクリングは、この時期ならではの体験になるでしょう。
白鷹町の玄関口となるのが、山形鉄道フラワー長井線の終着駅である荒砥駅です。フラワー長井線は南陽市の赤湯駅から川西町、長井市を経て白鷹町の荒砥駅までを結ぶローカル線で、片道はおよそ30キロメートル、所要時間は1時間ほどとされています。荒砥駅は2003年にリニューアルされた駅舎を持ち、東北の駅百選にも選ばれた趣のある駅です。この荒砥駅ではレンタサイクルの貸し出しも行われており、料金は500円、貸出時間は午前10時から午後4時までとされ、荒砥駅のほか長井駅や宮内駅での返却にも対応しているとされています。フラワー長井線に自転車を輪行して荒砥駅まで移動し、そこから最上川沿いを南下しながら長井、米沢方面へと走る、置賜自転車道とは逆方向のプランを組むこともできます。白鷹町は人口およそ1万1000人の町で、ホップの産地としても知られており、道の駅などでは地元産のホップを使った特産品を見かけることもあります。
白鷹町を含む最上川沿いのエリアは、山形県が推進する「やまがたサイクリングガイド」における川沿いルートの一部としても位置づけられています。山形県では、起伏に富んだ山岳ルート、日本三大急流のひとつである最上川沿いを進む川沿いルート、広大な庄内平野を走るルート、日本海の潮風を感じられる海沿いルートなど、複数のサイクリングルートが整備・紹介されています。中でも置賜地方から村山地方を目指す基幹ルートは最上川そのものを軸としており、置賜地方が起点となって最上川に沿うように山形県を縦走するルート構成になっているとされています。白鷹町はこの基幹ルートの重要な経由地のひとつであり、置賜自転車道の終点である高畠、あるいは長井方面から最上川沿いをさらに北上することで、白鷹町のヤナ場や桜並木を含む雄大なサイクリングルートを描けます。
コースプランは初心者向け15キロ往復から一日縦断まで3段階
置賜地方でのサイクリングは、体力や日程に応じてさまざまなプランを組み立てられます。ここでは代表的なプラン例を紹介します。
サイクリング初心者や家族連れにおすすめなのが、米沢駅を起点に置賜自転車道を北上し、窪田水辺の楽校で折り返す往復コースです。片道はおよそ15キロメートル前後とされ、平坦な堤防道を中心に走るため、ロードバイクだけでなくママチャリや電動アシスト自転車でも十分に楽しめます。往復でも2時間程度あれば余裕を持って走ることができ、道中の田園風景や松川のせせらぎを楽しみながら、置賜自転車道デビューにぴったりのコースといえます。
もう少し距離を伸ばしたい方には、米沢駅から高畠町の高畠ワイナリーまで走る片道コースがおすすめです。全体としてはおよそ24キロメートル前後の道のりで、道中には米沢盆地を一望できるビューポイントや、休憩に適した公園、まほろば緑道といった旧鉄道跡の趣あるコースも含まれます。終点の高畠ワイナリーでワインの試飲やソフトクリームを楽しんだあとは、高畠駅から電車で米沢駅方面へ戻る輪行プランも人気です。時間や体力に余裕があれば、そのまま赤湯駅方面まで足を延ばすこともできます。
さらに本格的にサイクリングを楽しみたい方には、米沢から長井、白鷹までを一日かけて巡る広域プランもおすすめです。置賜自転車道の起点である米沢を出発し、上杉神社や酒蔵などの城下町の風情を楽しんだあと、最上川沿いを北上して長井市のあやめ公園や蔵造りの町並みを訪ね、さらに白鷹町の道の駅「白鷹ヤナ公園」で鮎料理を味わいながら休憩し、桜の季節であれば古木の桜並木を眺めながら走るプランです。距離はかなり長くなるため、体力に自信のある方や、電動アシスト自転車、E-BIKEを活用したいところです。長井市の「ながいくるん」を利用すれば、長井エリアでのレンタサイクルの心配も少なくなります。
季節ごとのおすすめの走り方も押さえておきたいポイントです。桜を楽しみたいなら白鷹町の桜が見頃を迎える4月下旬から5月上旬、あやめの花を楽しみたいなら長井あやめまつりが開催される6月中旬から7月上旬、実りの田園風景や澄んだ空気の中を走りたいなら稲穂が色づく初秋がおすすめです。冬場は積雪のため自転車道の通行やレンタサイクルの利用が難しくなるエリアもあるため、雪の少ない時期を選んで計画するのが安心です。
レンタサイクルは米沢、高畠、長井、荒砥の4拠点で選べる
置賜地方へのアクセスは、JR奥羽本線・山形新幹線の米沢駅、高畠駅、赤湯駅、フラワー長井線の長井駅、荒砥駅などが起点として便利です。特に米沢駅は山形新幹線の停車駅であるため、東京方面から自転車を輪行して訪れる場合のアクセス拠点としても適しています。置賜自転車道沿いには河川敷などに駐車場も点在しているため、マイカーに自転車を積んで現地入りし、コースの途中から走り始める楽しみ方もできます。
レンタサイクルの窓口は、エリアごとに料金体系が異なります。次の表に主な貸出拠点をまとめました。
| 拠点 | 主な料金 | 貸出時間の目安 |
|---|---|---|
| 米沢駅前・上杉神社境内(米沢観光コンベンション協会など) | 1日1000円、1時間200円程度 | 各営業所の営業時間による |
| 高畠駅前「太陽館」 | 普通自転車、電動アシスト自転車、ロードバイク、タンデム自転車など複数種 | まほろば緑道中心の約11キロコースあり |
| 道の駅「川のみなと長井」(ながいくるん) | 4時間1000円、1日2000円(令和7年6月1日改定) | 午前9時30分〜午後5時30分、4〜12月頃 |
| 荒砥駅(フラワー長井線) | 500円 | 午前10時〜午後4時、長井駅・宮内駅返却可 |
近年は電動アシスト付きのE-BIKEを扱う事業者も増えており、坂道の多い区間を含むロングライドを計画している場合は、体力を温存できる電動アシストタイプの利用を検討してみるとよいでしょう。貸出時間や休業期間、料金は変更されることがあるため、出発前に最新情報を各施設の公式情報で確認しておくことをおすすめします。
安全に走るための注意点は勾配、熱中症、積雪の3点
置賜自転車道は基本的に堤防上や専用の緑道を走るため、一般道に比べて自動車との接触リスクは低いコースです。とはいえ、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
区間によっては勾配がきつくなる箇所や、分岐がわかりにくく道に迷いやすい箇所があるとされているため、初めて走る場合は事前にルートマップやGPSアプリを準備しておくと安心です。案内看板の少ない箇所もあるため、地図アプリのナビゲーション機能を併用すると、道に迷うリスクを減らせます。
堤防上のコースは日差しを遮る木陰が少ない区間もあるため、夏場は熱中症対策として十分な水分補給と休憩を心がけましょう。飲料や日除け対策は事前に準備しておくと安心です。冬場は積雪や路面凍結の可能性があるため、無理のない時期を選んで計画することが大切です。道の駅や水辺の楽校など、休憩できるポイントは複数用意されているため、長距離を走る際は無理をせずこまめに休憩を取りながら進むのがおすすめです。特に初めて置賜自転車道を走る場合は、短い区間から試してみて、道の状況や自分の体力に合わせて徐々に距離を伸ばしていくとよいでしょう。
服装や持ち物についても、事前に準備しておくと快適に走れます。短い距離のサイクリングであれば普段着でも問題ありませんが、汗を吸いにくいポリエステルなどの化繊素材のウェアがおすすめです。夏場は強い日差しを避けるため、あえて長袖のドライメッシュシャツを選ぶという方法もあります。春や秋は気温差が大きいため、ウィンドブレーカーなど脱ぎ着しやすい防寒着を一枚持っておくと安心です。足元はスニーカーなど運動しやすい靴を選び、安全のためにヘルメットの着用も心がけましょう。目安としては、初心者であれば1時間に10キロメートル程度、半日で30キロメートル程度を無理のないペースの参考にするとよいとされています。休憩時に自転車を離れる際は、盗難防止のため必ず鍵をかけてください。
置賜自転車道は米沢、長井、白鷹それぞれ異なる魅力を持つ
置賜自転車道は、米沢の城下町から高畠のまほろば緑道、そして最上川沿いに広がる長井や白鷹の風景まで、置賜地方ならではの歴史と自然を味わえるサイクリングロードです。米沢では上杉ゆかりの史跡や酒蔵めぐり、長井ではあやめ公園と舟運の町並み、白鷹では最上川の恵みを生かしたヤナ場料理と桜の古木と、それぞれの町で異なる魅力を楽しめます。初心者向けの短距離往復コースから、置賜地方を縦断する本格的なロングライドまで、体力や目的に応じてプランを自由に組み立てられるのも大きな魅力です。堤防上や旧鉄道跡を利用した走りやすい道が多い一方で、勾配や分岐に注意が必要な区間もあるため、事前の情報収集と余裕を持った計画で、置賜地方ならではのサイクリング旅を楽しんでみてください。
置賜地方は米沢市、長井市、南陽市、高畠町、川西町、白鷹町、飯豊町という三市五町からなるエリアであり、置賜自転車道やまほろば緑道だけでなく、フラワー長井線沿線や最上川沿いのルートを組み合わせることで、さらに広い範囲を自転車で周遊することも可能です。上杉氏の城下町として栄えた米沢の歴史、最上川舟運で発展した長井や白鷹の商都としての面影、そして高畠のまほろばと称される田園風景は、それぞれの町の成り立ちや自然条件が生んだ、置賜地方ならではの多彩な魅力です。桜が咲き誇る春、あやめが咲き乱れる初夏、稲穂が実る初秋と、季節ごとに異なる表情を見せてくれるのも、このエリアをサイクリングで訪れる楽しみのひとつです。レンタサイクルや電動アシスト自転車、E-BIKEといった手段も充実してきているため、自分のロードバイクを持ち込む本格派の方はもちろん、旅行のついでに手軽に走ってみたいという方まで、幅広いスタイルで置賜自転車道の旅を計画できます。米沢駅からスタートし、松川沿いの田園風景を抜けて高畠のまほろば緑道を桜のトンネルとともに走り、長井のあやめ公園や蔵の町並みで一息ついたのち、白鷹のヤナ場で鮎料理を味わう、そんな一日を思い描くだけでも、置賜地方の奥深さが伝わってくるはずです。








