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伊豆市の狩野川記念公園の近くから、大仁橋の下をくぐって延びる左岸側の約1.2kmが、狩野川のサイクリングロードのひとつです。勾配がゆるやかで、散策に向いたコースです。起点の狩野川記念公園では1日520円で自転車を借りられ、68台分の無料駐車場もあります。
狩野川の河川敷には、散歩や自転車で遊べる場所という顔と、大水のときに町と住まいを守る空間という顔があります。上流から河口まで自転車と歩行者が続けて使える道をつくる構想があり、川沿いには釣り場や桜の名所、2か所の川の駅も点在しています。

狩野川サイクリングロードは記念公園から大仁橋をくぐる約1.2kmのゆるやかな道
狩野川記念公園の付近を起点に、大仁橋の下をくぐるように整えられた左岸側の道は、全長がおよそ1.2kmです。走るのは主に堤防の上で、歩く人と自転車が同じ道を使います。
一部の区間を除いて、安全に通行できます。
1.2kmの道は「狩野川コリドー」構想の一部
この道は、国土交通省が紹介する「狩野川コリドー」の一部にあたります。狩野川コリドーは、川沿いの空間を自転車や歩く人が途切れずに使えるようにつなぎ、周辺の観光施設や公共施設も含めてまとめて整えようという構想です。構想にかかわるのは伊豆市、伊豆の国市、函南町、三島市、清水町、沼津市の6市町です。
構想を形にしたイベントもありました。「狩野川コリドーサイクリング&ウォーキング」には、平成16年度、雨にもかかわらず843人が参加しています。
自転車歩行者道は全川での整備が国の方針
国の河川整備計画は、狩野川の上流から下流まで通して使える自転車歩行者道などを、地域と協力しながら整えていく方針を掲げています。計画への意見募集の際には、伊豆市が、堤防の上にある管理用の道路を、自転車や散歩で通れるように整えてほしいと要望しました。自転車歩行者道は、河川管理者ではなく市や町が整備し、川の土地を占用して設けることもあります。
地域の側でも動きがありました。2014年、地域の団体が「狩野川ツーリズムネットワーク」を立ち上げ、狩野川を軸にしたサイクリングマップづくりを目標に掲げています。
下流の沼津市側にも自転車で走る人の多い堤防
下流の沼津市側でも、堤防を自転車で走る人は多くいます。千本浜の堤防については、沼津市の会議で、自転車に乗る人のためだけの場所にとどまらず、沼津の観光資源として大事だという意見が記録に残っています。
狩野川記念公園では1日520円で自転車を借りられる
起点の狩野川記念公園は、伊豆市熊坂の狩野川大橋のそばにつくられた市民公園です。レンタサイクルの料金は1日520円で、用意されているのはシティサイクル2台と子ども用1台の計3台です。
遊具とグラウンド、テニスコートがそろう
園内にはグラウンドとテニスコート、それに遊具を置いた広場があります。芝生広場や砂場、子ども向けの遊具がそろい、ベンチや屋根のある場所、多目的トイレ、売店も備わっています。
管理棟の「狩野川そば」は平日の昼だけ営業
管理棟の中には食事処「狩野川そば」が入っていて、そば、うどん、カレーなどを出しています。営業は月曜から金曜の11時から15時までです。
駐車場は68台分が無料で大型車も可
駐車場は無料で68台分あり、グラウンドの利用者と共用です。大型車も停められます。施設についての問い合わせ先は、狩野川記念公園管理舎です。
大仁橋の周辺は「アユ釣り銀座」と呼ばれる河川敷の釣り場
サイクリングロードが下をくぐる大仁橋のあたりは、中流部にある釣り場で、「アユ釣り銀座」の呼び名で全国の釣り人に知られています。初夏になると、アユを狙う人が大勢集まります。狩野川は、アユの友釣りが生まれた川としても有名です。
友釣りはアユの縄張りを守る習性を使う釣り方
友釣りでは、釣り人がおとりのアユに掛け針を付け、野生のアユの縄張りへ送り込みます。アユは石に付いたコケや藻類を確保するために縄張りをつくり、その広さはほぼ1平方メートルで、中の藻類だけで1尾が暮らせるとされています。縄張りに入ってきたおとりに野アユが体当たりして追い払おうとし、そのときに針に掛かります。
背中に針が掛かったアユは手応えがよく、「背掛かりアユ」と呼ばれて喜ばれます。友釣りでいちばん大事なコツは、おとりを自然な状態で泳がせることです。
解禁前には漁協が河川清掃
アユ漁の解禁を控えて、狩野川漁業協同組合が主催し、川をきれいにする清掃をした例もあります。その模様は平成30年5月、国土交通省の沼津河川国道事務所が報告しました。釣り人が少なくなってきたことを背景に、2005年の流域委員会では、友釣り発祥の地にふさわしい川になるよう、アユを増やす手立ても考えるべきだという意見が出ています。
河川敷ではいかだ競漕や魚のつかみ取りも
大仁橋周辺では、釣りのほかに、いかだ競漕や魚のつかみ取り大会といったイベントもさかんに開かれています。
2023年10月1日開業の「川の駅・伊豆城山」は伊豆の国市の狩野川沿いにある
2023年10月1日、伊豆の国市の神島地区に「川の駅・伊豆城山」が開業しました。函南町で2019年に開いた「伊豆ゲートウェイ函南」に続き、狩野川流域で2か所目の川の駅です。場所は大仁中央ICの出口から約2分です。
2025年8月末までの来場者は255,300人に達し、令和7年度の「かわまち大賞」にも選ばれました。発表は2026年1月14日でした。
かわまちづくりの制度を使って整備
この川の駅は、かわまちづくりの取り組みとして整備されました。かわまちづくりは、「河川空間」と「まち空間」を一体に整え、にぎわいのある町をつくることで地域を元気にしようとする取り組みで、平成21年度(2009年度)に国土交通省が支援制度を設けました。
市町村や民間事業者などが河川管理者と一緒に「かわまちづくり計画」をまとめ、計画が登録されると、河川管理者がハード、ソフトそれぞれの面で手を貸します。ハード面の例は親水護岸の整備です。ソフト面では、河川敷を「都市・地域再生等利用区域」に指定し、オープンカフェなどを置けるようにします。河川敷を占用できる相手は原則として公的な主体だけでしたが、条件を満たした民間事業者なら商売ができるようになっています。登録数は2025年8月時点で全国303か所に達し、そのなかの優れた事例を国土交通大臣が「かわまち大賞」として表彰しています。
神島地区の計画は令和元年度に登録され、狩野川利活用調整協議会が推進主体を務めています。目指したのは、狩野川沿いに芝生広場や多目的広場を設け、地元の人も訪れた人も集まってくつろげる、水に親しめる空間です。整備は次のように分担する計画でした。
| 担い手 | 受け持つ整備 |
|---|---|
| 国 | 河川管理用通路、高水敷の整正など |
| 伊豆の国市 | 多目的広場の舗装、ベンチ、サイクルラックなど |
| 民間 | オフロード自転車コースの開削 |
運営はPark-PFIと指定管理者制度の併用
公園の整備も運営も官民が連携する形で進められていて、Park-PFIと指定管理者制度を併用しています。この川の駅の特色は、水防の機能と、キッチンカーなどの収益事業を両立させている点です。
Park-PFIは公募設置管理制度とも呼ばれ、2017年(平成29年)の都市公園法改正で生まれました。公募で選ばれた民間事業者が飲食店や売店などの公園施設を設けて管理し、その収益を周りの公園整備に充てる制度です。2003年(平成15年)に地方自治法の改正で設けられた指定管理者制度は、地方公共団体が指定した民間事業者などの団体に、公園のような「公の施設」の管理を任せる仕組みです。
利用者からはE-BIKEやランニングロードの要望
利用者からは、E-BIKEで河川敷のオフロードを走りたい、長嶋茂雄氏の名前を冠したランニングロードがほしい、といった声も寄せられています。
函南町の「伊豆ゲートウェイ函南」はサイクルエリアとシャワーを備えた川の駅
狩野川のほとり、函南町塚本に建つのが川の駅「伊豆ゲートウェイ函南」です。水防多目的センターの役目も持つ建物で、中には狩野川や伊豆地域の案内機能があり、シャワールーム、トイレ、サイクルエリアもそろっています。
外には展望エリアやキャンプ広場、水辺広場、多目的広場、ドッグランが配されています。すぐ隣は道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」なので、物産販売所や飲食店にも立ち寄れます。自転車の体験やマルシェなどのイベントが定期的に開かれ、バーベキューとキャンプは予約制です。
バスを使うなら、JR三島駅から約30分、伊豆箱根鉄道の伊豆仁田駅からなら約15分です。駐車場もあります。
狩野川さくら公園の堤防には約450mの桜並木
伊豆の国市の狩野川さくら公園では、狩野川の堤防に沿ってソメイヨシノが全長約450メートルにわたって並びます。本数は約110本から120本で、狩野川流域でも随一の桜並木として名前が挙がる場所です。
花が見頃を迎えるのは例年3月下旬から4月上旬ごろです。4月中旬まで楽しめると案内されることもあります。晴れていれば、満開の花の向こうに富士山が見えます。夜にはライトアップもあります。
最寄りは伊豆箱根鉄道駿豆線の伊豆長岡駅で、歩いて20分から30分ほどです。開花の時期は年によって変わるため、出かける前に開花情報を確かめておくと安心です。桜の開花情報サイトは2026年分の更新を終えていて、次の情報は2027年2月に載る予定です。問い合わせ先は伊豆の国市観光協会です。
狩野川は天城山系から駿河湾へ注ぐ長さ46kmの一級河川
狩野川は、伊豆半島の中央にある天城山系に源を発する一級河川です。天城の山すそから北へ向かって田方平野に出ると、古奈(伊豆の国市)で狩野川放水路へ水を分けたあと、来光川や大場川などの支川を集めます。最後は沼津市で黄瀬川と合わさって駿河湾へ出ます。幹川流路延長46km、流域面積852平方キロメートルの川です。
流域とは、降った雨や雪がその川へ流れ込んでくる範囲全体のことで、集水区域とも呼ばれます。川の長さと流域の広さは別の物差しです。流域面積16,840平方キロメートルで日本一広いのが利根川で、その幹川流路延長は322kmです。長さで日本一なのは367kmの信濃川です。この2本と比べると、狩野川は小さめの川になります。
一級河川は国土交通大臣が管理する
一級河川は河川法第4条で決められた区分で、国土の保全や国民経済のうえで特に重要な水系の河川を国土交通大臣が指定し、管理します。一級河川に指定されると、水や土地を占用するのに許可が必要となり、河川管理者の監督処分や罰則も適用されます。河川敷での施設づくりやイベントの開催に許可が求められるのは、この制度があるためです。
上流は渓谷、中流はヨシとヤナギが茂る水辺
天城山麓を流れる上流部は、自然のままの植生がある渓谷です。アマゴやカジカといった清流の魚が多く、ところどころに滝もあります。
中流部に下ると瀬と淵が交互に続いて中洲ができ、ヨシやヤナギが水際から高水敷まで茂っています。多くの生き物がここで暮らして子を育てていて、草地を住みかにするオオヨシキリのような鳥もいます。城山付近にはヤマセミやカワセミなどの鳥をはじめ多くの生き物がいます。コオニヤンマやホンサナエなど、静岡県内だと狩野川流域だけで見つかっている昆虫もいます。
河川敷の高水敷は大きな洪水のときに水に浸かる場所
河川敷でサイクリングや散策、公園遊びをするとき、足もとにあるのはたいてい高水敷(こうすいしき)です。高水敷とは、ふだん水が流れる低水路より一段高くなった部分の敷地で、平常時はグラウンドや公園に使われ、大きな洪水では水に浸かります。低水路と高水敷を持つ川の断面を「複断面」と呼びます。一方、高水敷を持たず、水量が増えても減っても川幅があまり変わらない断面は「単断面」です。
河川法が適用される「河川区域」に、高水敷も含まれます。この区域は一般に、堤防の川裏側の法尻から、向こう岸の堤防の川裏側の法尻までの、川としての役割を持つ土地です。
親水空間は河川管理者が整えた区域と日常の川遊びの場の2種類
国土交通省の調査は、親水空間を2つに分けています。1つ目は、河川管理者が川を利用してもらうために整備した区域で、人と川が触れ合う場の施設の例として親水護岸が挙がっています。2つ目は、管理者がつくった施設はなくても、キャンプ地のように日ごろから川遊びに使われている区域です。
狩野川の治水は鎌倉時代に始まり、昭和24年に放水路の計画へ
狩野川は、昔から洪水に苦しめられてきた川です。治水の始まりは鎌倉時代とされ、田方平野を水害から守るために守山を掘り割って、流れを西へ移しました。
昭和2年からは本格的な改修に入り、修善寺橋から下流を対象に、大仁地点で毎秒1,700立方メートルという計画高水流量を前提として工事が進みました。この計画は昭和24年に見直され、狩野川放水路が毎秒1,000立方メートルを受け持つ形になりました。
計画高水流量は河道が受け持つ洪水の流量
計画高水流量とは、治水計画の基準として使われる流量です。まず、想定される洪水のいちばん大きな流量を基本高水流量とし、そこからダムや遊水地などでおさえる分を引きます。残りを川の流路(河道)に受け持たせる量が計画高水流量で、川の改修計画はこの数字をもとに組み立てられます。
計画どおりの断面を持つ河道にこの流量が流れたとしたときの水位を「計画高水位」といい、堤防と護岸の設計はこれを基本にします。計画高水流量は河川整備基本方針で決める項目に含まれ、河川工事や維持管理を行う際の基本にもなっています。大仁地点の毎秒1,700立方メートルは、この計画高水流量にあたります。
狩野川台風から近年の豪雨まで
支川の大場川と来光川の流域を中心に、床上浸水などの被害をもたらしたのが、昭和33年9月の狩野川台風です。静岡県は、狩野川放水路の完成60周年を取り上げています。
その後も大きな出水は起きています。令和元年の台風第19号のときは、計画高水位のすぐ近くまで水位が上昇しました。令和3年7月の豪雨でも、支川の黄瀬川で、計画高水流量に近い規模の洪水が起きています。こうした出水を踏まえて、令和5年8月に河川整備基本方針が改められ、河川整備計画も見直しの作業に入りました。令和8年(2026年)2月付で、その変更原案が示されています。
河川整備基本方針は水系ごとの長期的な方向性を、河川整備計画は今後20年から30年程度の具体的な工事などを定める中期計画で、どちらも平成9年の河川法改正で導入されました。
河口近くの下河原地区では堤防を整備
沼津市の下河原地区は河口の近くにあり、主要道路や市街地などの資産が集中する狩野川下流部の一角です。ここには堤防の高さや断面が不十分で、洪水を流しきる能力が足りない区間があります。洪水が起きれば被害が大きくなりかねないため、堤防を整える工事が行われます。
狩野川の河川敷では自転車のほかに釣りや桜、川の駅も楽しめる
狩野川記念公園の付近から大仁橋をくぐる左岸の約1.2kmは、堤防を使った勾配のゆるやかなサイクリングロードで、公園のレンタサイクル(1日520円)で走り出せます。河川敷の周りには、大仁橋のアユ釣り銀座、伊豆の国市の川の駅・伊豆城山と狩野川さくら公園、函南町の伊豆ゲートウェイ函南があります。国と自治体、地域の団体は、上流から河口まで自転車と歩行者が続けて使える川沿いの空間を目指して、整備を進めています。








