あわら温泉から東尋坊を巡る約12.8キロ、三国湊と雄島も訪ねる海岸線のサイクリング

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三国湊と東尋坊、雄島は、福井県坂井市三国町の海沿いに近い距離で並んでおり、自転車なら海岸線に沿って一続きに回れます。その道筋になるのが三国・あわらサイクリングコースで、東尋坊と雄島、越前松島水族館に立ち寄りながら、えちぜん鉄道のあわら湯のまち駅に至ります。

三国湊には、江戸時代から明治初期にかけて北前船の交易で栄えたころの町家や商家が残っています。東尋坊では柱状節理の崖が海に向かって切り立ち、雄島には大湊神社が祀られ、地元では神の島とされてきました。性格の違うこれらの見どころを、海岸線に沿って一続きに巡れる点がこのエリアの特徴です。

目次

東尋坊と雄島を巡る三国・あわらサイクリングコースが海岸線の軸になる

三国の海岸線を自転車でたどるなら、まず押さえるのは三国・あわらサイクリングコースです。東尋坊周辺の海岸をたどるルートで、途中で枝分かれした道を進めば北潟湖の方面へ寄り道することもできます。

あわら温泉から越前海岸を回る道は車道の区間が多い

あわら温泉を起点に、越前海岸沿いを走って東尋坊を巡る約12.8キロの道筋は、地図サービスにも載っています。このルートには、車道を走る区間が多く含まれます。

福井市中心部から九頭竜川沿いに東尋坊へ向かう約26キロのルートもある

もっと長い距離を走る道筋として、国土交通省が示している観光ルートがあります。福井市の中心部を出発して足羽川の左岸を進み、九頭竜川の右岸へ移って東尋坊を目指す、約26キロの道のりです。国土交通省は、このルートをサイクルトレインと組み合わせて使う形を想定しています。

えちぜん鉄道のサイクルトレインは2022年に福井口駅から三国港駅までが対象だった

えちぜん鉄道は、自転車を車内へ持ち込んだまま乗車できるサイクルトレインという取り組みを続けてきました。

2022年の運行は、三国芦原線の福井口駅と三国港駅の間を対象に行われました。期間は3月19日から11月27日で、その間の土曜と日曜、祝日に限って走りました。

乗り降りには決まりもありました。越前竹原駅と太郎丸エンゼルランド駅と西長田ゆりの里駅の3駅では、一番前の扉しか開きませんでした。そのため、これらの駅で乗り降りするときは、あらかじめ乗務員かアテンダントに伝える必要がありました。また、駅に置かれているレンタサイクルを、サイクルトレインに載せて使うことはできませんでした。

三国湊の町並みには北前船の交易で栄えた江戸から明治の商家が残る

三国湊は九頭竜川の河口に開けた港です。川を行き来する舟で越前の各地から物資を集め、それを日本海回りで各地へ積み出す拠点の役目を担いました。江戸時代から明治初期には北前船を使った商いでにぎわい、格子戸を備えた町家や豪商の屋敷が現在も通りに残っています。

三国湊は、三国節の歌詞にも出てくる花街の文化でも知られた町です。この花街は出村遊里とも呼ばれていたそうです。その入口にかかる思案橋は丸岡藩と福井藩の境にあり、通う客が「行こうか、帰ろうか」と迷った場所だったと伝わっています。

三國神社の随神門や旧岸名家といった建物は、日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 北前船寄港地・船主集落」を構成する資産です。このストーリーが認定されたのは2017年度(平成29年度)で、福井県内からは当初、敦賀市と南越前町が入りました。坂井市が小浜市とともに加わったのは、2018年度(平成30年度)の追加認定のときです。

北前船は船主が自分で品物を売り買いした買積船

北前船とは、江戸時代から明治にかけて日本海を行き来した買積船をまとめて呼ぶ名前です。買積みでは、船主が他人の荷を預かって運び賃を受け取るのではありません。船主みずから品物を仕入れ、寄った先の港で売って利益を得ます。

「北前」という言葉は、上方の人々が北陸をはじめとする日本海側の沿岸を指して使った呼び名で、決まった船の形を表すわけではありません。船そのものには、弁才船、つまり千石船が使われていました。

北前船が通ったのは西廻り航路です。北海道や東北、北陸と西日本を結ぶこの航路は、河村瑞賢が手を加えて1672年に整えました。出羽の酒田を出た船は日本海を南へ下り、下関を回り込んで瀬戸内海へ入り、大坂を目指します。

積み荷は向かう方角で変わりました。北海道からの上り荷はニシンやサケ、昆布といった海産物が中心で、下り荷は米や塩、木綿、古着、酒でした。行きも帰りも荷を積めたので、船は多くの港に立ち寄り、そのぶん稼ぎを増やしました。

三國湊きたまえ通りには旧岸名家と旧森田銀行本店が建つ

旧市街のうち、北本町4丁目から三國神社まで続く通りには、「三國湊きたまえ通り」という愛称が付いています。名付けられたのは2007年(平成19年)です。

旧岸名家は、材木商が暮らした邸宅です。今の建物は1823年(文政6年)に建てられました。妻入りの母屋の玄関側に、平入りの下屋(かぐら)が付いた「かぐら建て」と呼ばれる造りで、三国湊独特の様式です。外から見ると平屋ですが、中に入ると2階建てになっています。建物は国の登録有形文化財です。

この家の住人だった岸名昨嚢は、俳諧の結社「日和山吟社」で宗匠を務めた人物として知られました。屋内では通り庭のほか、客用のトイレに設けられた水琴窟を見学できます。水琴窟は、地中に埋めた甕の中へ水滴を落とし、その音を琴のように響かせる仕掛けです。裏手に回ると土蔵が配置されていて、三国の商家ならではの造りが見て取れます。

1920年(大正9年)、新しい本店として建てられたのが旧森田銀行本店で、洋風の銀行建築です。県内でいちばん古い鉄筋コンクリート造りの建物とされています。同じ通りにある三国湊町家館は、江戸時代に大きな商いをした商人の町家です。

三國湊座で自転車を借り、名物の三國バーガーも味わえる

通り沿いには店がいくつも軒を並べています。三國湊座はレンタサイクルの貸し出しをしていて、三國バーガーの店としても知られています。三國バーガーは福井県産ビーフのパティを使ったハンバーガーで、ピクルスではなく特産品のラッキョウが挟んであります。

ほかにも、ジェラートとスイーツを扱う「カルナ」や、江戸小唄のライブを聴ける茶屋「竹よし」が同じ通りで営業しています。

三国祭は毎年5月19日から21日に6基の山車が巡行する

三国祭は三國神社の例大祭で、北陸三大祭のひとつに数えられています。毎年5月19日から21日に開かれ、祭りの中日にあたる20日、三國神社の前に集まった6基の山車が一番山車から順に動き出します。

山車の上段に大きな人形を載せるのが三国祭の特徴です。武者人形は毎年新しく作り替えられます。いま使われている山車は約6.5メートルの高さがあります。明治の中ごろは、10メートル以上の山車だったと伝わっています。

2026年の三国祭では、6基の山車に次の人形が載りました。

山車を出した区・団体人形の題材
岩崎区源義経
中元区歌舞伎十八番「暫」の鎌倉権五郎景政
三国祭保存振興会前田慶次
滝谷区遠山金四郎
上台区碇知盛
北末廣区「刃傷 松の廊下」

東尋坊は高さ約25メートルの断崖が約1キロ続く国の天然記念物

東尋坊は坂井市三国町安島にあり、国の天然記念物と名勝の両方に指定されています。海岸に沿って約1キロにわたり崖が連なっていて、その高さは約25メートルです。

えちぜん鉄道の三国駅からなら、京福バスに乗って約9分から15分で着きます。散策そのものは基本的にお金がかかりません。

柱状節理は約1300万年前から1200万年前のマグマが冷えて固まったもの

東尋坊の崖をつくっているのは柱状節理です。柱状節理は、冷えていく溶岩やマグマが縮んで割れ目を生じ、その割れ目で岩体が柱のように区切られた地質構造を指します。柱の断面には、六角形や五角形といった多角形がよく見られます。

東尋坊では、約1300万年前から1200万年前に地表の近くまで上がってきたマグマが、冷えて固まる過程で五角形や六角形の柱になりました。柱の断面が小さいほど急に冷え、大きいほどゆっくり冷えたことを表すといわれます。

岩の種類は、多くの場合、輝石安山岩と紹介されます。

日本の地質百選と越前加賀海岸国定公園の特別保護地区にも選ばれた

天然記念物と名勝に加えて、東尋坊は日本の地質百選に選ばれ、越前加賀海岸国定公園の特別保護地区にもなっています。柱状節理を大きな規模で見られる場所として、朝鮮半島の金剛山、ノルウェーの西海岸と一緒に「柱状節理世界三大絶勝」に数えられることもあります。

日本の地質百選は、2005年度にNPO法人GUPIと全国地質調査業協会連合会が提案した取り組みで、2008年5月には第一次分として83か所が公表されています。越前加賀海岸国定公園の指定日は1968年(昭和43年)5月1日で、福井県敦賀市杉津から石川県加賀市までの延長約108キロの海岸を範囲とし、海食崖や砂浜、砂丘が主な要素です。

東尋坊の名は平泉寺の暴れ者の僧に由来するという伝承がある

東尋坊という名前については、福井県勝山市の平泉寺にいた僧の名から来たという言い伝えがあります。この僧はたいへんな暴れ者で、手を焼いたほかの僧たちが、酒に酔わせたうえでこの崖から突き落としたという話です。やがて僧の無念が海を荒らすようになり、それ以来この崖を東尋坊と呼ぶようになったとも伝わります。

柵のない岩場が多いので足元に気をつける

東尋坊の岩場には、柵が設けられていない場所がたくさんあります。崖の上を歩くときは、足元に十分気をつけてください。

雄島は全長224メートルの朱塗りの橋で渡る周囲約2キロの神の島

雄島は東尋坊の先に浮かぶ島で、越前海岸ではいちばん大きく、周囲は約2キロあります。島内を巡る遊歩道の長さは約1キロです。

大鳥居から78段の石段を上ると大湊神社に着く

島へは、全長224メートルの朱塗りの橋を歩いて渡ります。渡り切って大きな鳥居をくぐると78段の石段が待っていて、上り切った先に大湊神社が祀られています。源義経や朝倉義景、明智光秀もこの島を訪れたと伝わっており、境内からは東尋坊を一望できます。

遊歩道で島をぐるりと一周すると、約40分かかります。島の南にそびえる柱状節理を眺めながら歩ける道で、沿道には樹齢100年を超える大木も立っています。毎年4月20日には、例大祭にあたる雄島祭りが行われます。

神域のため遊歩道の外には踏み込まない

雄島は神域なので、社殿や樹木、岩場に立ち入ったり、遊歩道から外れて歩いたりしないよう案内が出ています。ドローンなどを使って撮影したい場合は、管理者の承諾を得なければなりません。

雄島へのバスは安島で降りて徒歩7分

公共交通を使うなら、JR芦原温泉駅から東尋坊行きの京福バスに約30分乗り、安島で降りて徒歩7分です。車の場合は、北陸道の金津ICからおよそ30分で着きます。

冬季とゴールデンウィークは、雄島の停留所までバスが入らないこともあります。

越前松島水族館は1959年開館で建築当時の水槽が今も残る

越前松島水族館の所在地は坂井市三国町崎で、開館は1959年(昭和34年)です。「汽車窓式水槽」をはじめ、建てられた当時の水槽が残る国内でも珍しい水族館で、館内はレトロな雰囲気に包まれています。

フンボルトペンギンの散歩タイムには、よちよち歩く姿をすぐ近くで見られます。「ぺんぎん館」の水中トンネルでは、ペンギンが空を飛ぶような姿で泳ぐ様子を頭上に眺められます。「ぺんぎんらんど」のハート型の水槽も、下から見上げる造りです。毎日行われるイルカショーのほか、アザラシとふれあえる時間もあります。

「おさかな館」には、光を放つ魚のマツカサウオやハリセンボンなどが並びます。「かわうそ館」で飼われているコツメカワウソは9頭です。ミズダコやエイ、ヒトデに加え、おとなしい性格のネコザメやドチザメにも直接手で触れられます。日本海と越前松島の奇岩は、展望レストランの席から見渡せます。

バスなら、JR芦原温泉駅から東尋坊行きの京福バスで約30分、水族館前で降りればすぐです。

荒磯遊歩道は米ヶ脇から安島の松林まで約3.5キロで、自転車の可否は現地表示で確かめる

荒磯遊歩道は、米ヶ脇を起点に東尋坊、安島の松林へと続く約3.5キロの海岸遊歩道で、越前海岸の景色を味わいながら進めます。

この遊歩道は階段が少なく、緩い坂のように整えられた部分がたくさんあります。実際に通った人の中には、自転車でも走りやすかったと話す人がいます。とはいえ、本来は歩く人のための道です。自転車で走ってよいかどうかや、通るときの決まりについては、現地の案内表示で確かめてください。わからない点は、坂井市の観光担当部署に問い合わせられます。

三国湊と東尋坊、雄島を自転車でつなぐ海岸線ルート

三国湊と東尋坊、雄島は三国町の海沿いに集まっていて、三国・あわらサイクリングコースを使えば越前松島水族館も含めて一続きに回れます。

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