佐久島は、愛知県の西尾市にある三河湾の島です。一色港から市営の渡船に乗ると、約20分から25分で着きます。車は渡れず、島内にはバスもタクシーもありません。島を回る足は、レンタサイクルか自分の脚の2つだけです。愛知県の公式観光サイトAichi Nowは、自転車なら2時間程で島を一周できると案内しています。
つまり佐久島のサイクリングコースは、アート作品を拾いながら半日で回る道です。海岸線は約11〜11.4kmで、島は1996年からアートによる島おこしを続けてきました。
この記事では、2026年10月9日時点で確認できた情報をもとに、渡船の運賃、レンタサイクルの料金、一周の流れ、立ち寄れるアート作品、食事と宿泊までを順に書きます。逆に、電動アシスト車の有無や予約方法のように、確認が取れなかった点もあります。そこは確認できなかったと明記しました。

佐久島へは一色港から渡船で約20分、車は渡れない
結論から言うと、佐久島へ行く手段は一色港からの渡船です。船はカーフェリーではないので、車を島に持ち込むことはできません。
渡船の所要時間と運賃
西尾市の2020年の資料では、一色港から佐久島の西港、東港までの13kmを約25分で結び、高速船2隻が1日7往復していると書かれています。一方、2023年12月に更新された観光記事は、市営定期船の所要時間を20分としています。愛知県の観光サイトも、西港まで約20分、東港まで約25分という書き方です。資料ごとに5分ほど揺れますが、西港のほうが一色港に近く、東港は先にまわる西港のさらに先にある、という順序を頭に入れておけば足ります。船は一色港から西港、東港の順に結ぶ航路です。
運賃は、愛知県の観光サイトで、西港までの片道が大人(中学生以上)830円、小児(小学生)420円とされています。2023年12月更新の観光記事にも830円とあり、2つの数字は一致しています。ただし、どちらも発行時点の情報です。時刻表と運賃は、一色の船のりばか、西港と東港の渡船場へ電話で確かめてから動くのが確実です。
| 項目 | 確認できた内容 |
|---|---|
| 乗船場所 | 一色港(一色さかな広場の佐久島行船のりば) |
| 所要時間 | 西港まで約20分、東港まで約25分 |
| 運航本数 | 高速船2隻で1日7往復(2020年の資料) |
| 運賃(西港まで) | 大人830円、小児420円(片道) |
| 車の積み込み | 不可(カーフェリーではない) |
車で来るか、バスで来るか
車で来る場合は、一色さかな広場と共用の無料駐車場が約1000台分あります。島に車を持ち込めない代わりに、本土側の駐車場が広く使えるわけです。
電車と路線バスを使う場合は、名鉄の西尾駅から名鉄東部交通バスの一色線に乗り、「一色さかな広場・佐久島行船のりば」で降りるルートが案内されています。
繁忙期は最終便から逆算して動く
ゴールデンウィーク、夏休み、祭りの日は、乗船待ちが出ます。案内では、こうした日は最終便を先に決めてから島内の予定を組むよう勧めています。私もこの順番に賛成です。島にいる時間は最終便で決まり、そこから逆算しないと、レンタサイクルの返却時刻も昼食の時間も決まりません。
船は天候で運休することがあります。運航状況は佐久島の公式サイトなどで当日に見ておくと、現地で足止めされずに済みます。
自転車で一周する目安は2時間程、道のない区間は徒歩になる
愛知県の観光サイトは、島の回り方を次のように説明しています。海沿いの一部には道がない箇所もあるものの、おおむね島を一周でき、徒歩なら半日、自転車なら2時間程です。
島の大きさと海岸線の長さ
佐久島の面積は173ヘクタール(1.73平方キロメートル)で、三河湾にある有人の島3つのうち最大です。海岸線の長さは約11〜11.4kmと資料に記載されています。「周囲」として示される数字は、公的資料ではこの海岸線の長さを指します。
注意したいのは、サイクリングコースとして公表された「一周の距離」の数字が見つかっていない点です。海岸線の約11kmと、自転車で2時間程という所要時間の2つが、確認できた手がかりのすべてです。案内には、2時間に立ち寄りの時間が含まれるかどうかが書かれていません。作品の前で写真を撮り、昼食をとる日は、島での滞在が2時間では収まると見て組み立てるのが無難です。
東港から始める一周の一例
旅行予約サイトVELTRAには、「西尾アートの佐久島満喫パック」(乗船券、レンタサイクル、島内施設の特典つき)を使った人の口コミがあります。流れは次のとおりです。最初に東港で自転車を借り、筒島へ向かいます。筒島には弁財天がまつられていて、途中から歩いてお参りします。その後は西港へ向かい、大浦海水浴場、カモメの駐車場、おひるねハウスを経て西港に着きます。
予約サイトに載った口コミなので、あくまで一例です。ただ、東港で借りて西港へ抜ける組み立ては、レンタサイクルの店が両方の港にあることと噛み合っています。
公式のモデルコースは歩きで約5時間
愛知県の観光サイトには、「島のアートをめぐる 佐久島散策プラン」というモデルコースがあります。台湾向けの繁体字ページでは、総距離30km、総時間5時間と書かれています。ただしこれは一色港からの乗船時間(片道25分ずつ)を含み、島内を歩いて回る前提のコースです。自転車の一周にそのまま当てはめられる数字ではないので、このコースの30kmを島の一周距離と読むのは誤りです。
レンタサイクルは東港と西港の両方で借りられる
島内のレンタサイクルは、東の港と西の港の両側にあります。確認できた店は2つです。
| 店名 | 確認できた情報 |
|---|---|
| レンタル自転車 愛ランド(東港店) | 1時間300円、2時間500円、3時間800円、1回1,000円(17:00まで)。営業は8:00〜17:00、休業日は不定休。西港店もあるが料金の記載は見つからなかった |
| レンタル自転車 遊々 | 3種類の大きさから選べ、子どもを乗せられるタイプもある。西港と東港の両方に店があり、どちらの港に返却してもよい。料金と営業時間は直接問い合わせる案内 |
一周なら「1回1,000円」を軸に考える
愛ランド東港店の料金を見ると、2時間で500円、3時間で800円、1回で1,000円(17:00まで)です。島の一周が2時間程という目安なら、アート作品での立ち寄りを加えて3時間を超えそうな日は、1回1,000円のほうが時間を気にせず走れます。3時間で800円との差は200円で、時計を何度も見る手間を考えると、私は1回料金を選びます。この料金は、ナビタイムに掲載されていた情報です。変わっている場合もあるので、借りる時に確認してください。
借りた港と返す港が違ってもよい店がある
遊々は、西港と東港のどちらに返してもよいと案内されています。東港で借りて西港で返す動きができれば、最後に出発点まで自転車で戻る必要がありません。船の最終便に近い時間帯ほど、この融通は効きます。
確認できなかった点と、宿泊者の無料貸出
電動アシスト自転車を扱っている店があるかどうか、予約を電話やWEBで受けているかどうかは、今回の調べでは確認できませんでした。坂道に不安がある人は、出発前に店へ電話で聞くのが確実です。
宿によっては、泊まった人に自転車を無料で貸し出しています。泊まりで訪れるなら、予約の時にレンタルの有無を聞いておくと、島での移動を組み立てやすくなります。
一周で出会えるアート作品は6つ、作者と制作年も押さえる
佐久島は、島のあちこちにアート作品が常設されています。確認できた作品を、作者と合わせて表にまとめます。
| 作品 | 場所 | 作者・制作年など |
|---|---|---|
| おひるねハウス | 石垣海岸(大島桟橋ポケットパーク周辺とする資料もある) | 南川祐輝さん。2004年制作、2013年に再制作・リニューアル |
| イーストハウス | 大島桟橋の途中(大島桟橋ポケットパーク) | 南川祐輝さん |
| カモメの駐車場 | 大浦海水浴場の石積み堤防 | 木村崇人さん。2005年制作 |
| 佐久島の秘密基地(アポロ) | 島の南端、筒島の手前の断崖上 | POINT(長岡勉+田中正洋) |
| 佐久島のお庭 | 筒島(弁天島)や大島桟橋ポケットパーク周辺 | 松岡徹さん |
| 亀乗弘法 | 記載なし | 松岡徹さん |
おひるねハウスは黒い9つの部屋
おひるねハウスは、三河湾の黒真珠と呼ばれる西地区の黒壁の集落をモチーフにした、黒い立方体の作品です。9つに仕切られた正方形のボックスになっていて、仕切りの中に入って並んで写真を撮る使い方も紹介されています。波の音を聞き、潮風に当たりながら目を閉じるための作品です。映画『名探偵コナン 天空の難破船』にも登場しました。
浜辺には、万葉の頃から咲くハマダイコンの薄紫色の花が潮風に揺れる景色があります。設置場所は石垣海岸とする資料が多い一方、大島桟橋ポケットパーク周辺とする資料もあり、記載が割れています。現地の案内板で確かめてください。
イーストハウスは長さ60mのベンチがつなぐ白い東屋
イーストハウスは、大島桟橋の途中にある真っ白な建物です。小さな2つの東屋を、長さ60mのベンチがつないでいます。黒いおひるねハウスと対になる作品で、2つ合わせて「ふたつのおひるねハウス」と呼ばれます。どちらも「三河・佐久島アートプラン21」のプロジェクトで、建築家の南川祐輝さんが手がけました。
カモメの駐車場は60羽の風見鶏
カモメの駐車場は、大浦海水浴場に突き出した石積みの堤防に、カモメを模した60羽の風見鶏が並ぶ作品です。風を受けて回る仕組みで、作者は木村崇人さん、制作は2005年です。風を観測する役目もあり、アート作品としての顔と、風向きを見る道具としての顔を両方もっています。
秘密基地アポロは渥美半島を見渡す物見台
佐久島の秘密基地(アポロ)は、島の南端、筒島の手前の断崖の上に建っています。建築のイメージはアポロ11号の月面着陸船で、渥美半島を見渡す物見台として使えます。作者はPOINT(長岡勉+田中正洋)です。
筒島は途中から歩く
筒島(弁天島)は、伝説の弁天様をまつる島です。自転車で行けるのは途中までで、先は歩きます。作品「佐久島のお庭」は筒島や大島桟橋ポケットパーク周辺で紹介されていて、作者は松岡徹さんです。松岡さんは、亀に乗る弘法大師の作品「亀乗弘法」も手がけています。
作品数は22点前後、数え方で20点台に幅がある
作品数は、資料ごとに違います。ANAの案内は、島内の22作品が常設されているとしています。JALの記事は、島内に22点、本土側の港に2点で、合計24点と数えています。ほかの資料では「20以上」「21点」「22点」と揃いません。
JALの数え方では、本土側の港にある2点を足した結果が24点です。島内だけで数えるなら22点前後と覚えておけば、旅の計画には十分です。
弁天サロンは西地区の休憩所で、開館は9時から17時
弁天サロンは、島の西側(西地区)にある島おこしの拠点です。アート作品を展示し、島の情報や古墳に関する資料も用意されています。休憩所としても使えます。東と西の渡船場から近い場所にあります。
開館は9時から17時で、月曜日は休館です。ただし7月と8月は無休です。月曜日に島へ渡る日は、ここが閉まっているので休憩の段取りを別に考えておくのが安全です。
「佐久島アート・ピクニック」のスタンプシートは、東西の港や弁天サロンで手に入るとされています。実施の有無や内容は変わる場合があるので、現地で確認してください。
島の歴史は縄文から。昭和には民宿が40軒並んだ
佐久島は、三河湾の知多半島と渥美半島の間にあります。縄文土器の破片が見つかっていて、縄文時代から人が住んでいたとされます。古墳時代後期の古墳も50基ほど確認されています。江戸時代には、海を生活の場にした海部族の末裔たちが海運業で栄えました。
昭和には海水浴客でにぎわい、民宿が40軒も軒を連ねた時期があります。その後、観光需要の変化や開発計画の停滞もあり、観光客は減りました。行政では、1954年(昭和29年)の市町村合併で佐久島村が旧幡豆郡一色町に編入され、2011年(平成23年)に西尾市と旧幡豆郡の3町が合併して、佐久島は西尾市一色町になりました。
人口は2020年の国勢調査で196人です。別の記事は170人あまりとし、約250人とする資料もあります。調査年と出典で数字が違うため、最新の人口は西尾市の公式発表で確かめてください。かつては1,600人が暮らしていたとされ、人口は大きく減りました。
里山と黒壁の集落、さつまいもと大アサリ
島の8割以上は里山です。昔ながらの集落が残り、日本の原風景と呼ぶ紹介記事もある黒壁の街並みや、特産のさつまいも畑が広がっています。2017年(平成29年)度には、休耕畑を使ってサツマイモの栽培を始め、焼酎「咲く島」などの特産品が生まれました。三河湾の湾内で獲れる大アサリも名物で、大アサリ丼が人気です。
1996年から続くアートの島おこし
佐久島は1996年からアートによる島おこしに取り組んでいます。島民の組織「島を美しくつくる会」が、事業の開始から行政と一緒に、島の活性化に動いてきました。島のアート作品は、島民と行政が積み重ねてきた島おこしの結果として並んでいます。
昼食と宿泊は、海の幸を出す民宿が中心
三河湾のほぼ中央にある佐久島は、海の幸の宝庫として紹介されています。食事と宿泊の候補は次のとおりです。
| 名前 | 確認できた内容 |
|---|---|
| 民宿「魚増」 | カキ、タコ、アサリ、エビなどのバーベキューが2,000円から(昼食のみは要予約)。1泊2食は8,700円から。養殖業を営む主人が獲ったものや、漁師から仕入れた海の幸が中心 |
| ごはん屋 海 | 島で採れたさつまいも「紅はるか」を使った豆乳味噌スープが750円(税込) |
| 民宿さざなみ | 移住促進ツアーの宿泊先として名前が挙がる |
| 民宿ゆきや | 口コミで、夕食の魚介料理が次々に出ると好評。夏場の客室や接客に不満を書いた人もいる |
民宿ゆきやの口コミには古い時期のものも含まれます。予約の前に、最新の状況を確かめてください。キャンプ場や海水浴場の開設期間、設備、ルールについては、今回の調べでは情報が見つかっていません。目的にする人は、西尾市や佐久島の観光情報サイトで個別に確認する必要があります。
2026年のアート関連の動きと、秋のイベントの確認状況
西尾市は2026年2月14日から3月8日まで、アートプロジェクト「NISHIO ART PORT」を開きました。愛知県の実証事業の一つで、ベイエリアの一色さかな広場と市内の観光拠点にアートを置き、スタンプラリーなどで周遊を促す取り組みです。佐久島や矢作川といった水に恵まれた土地柄を踏まえ、「Flow(流れ)」をテーマにした作品が展示されました。観覧は無料で、愛知県の観光サイトでは現在「開催終了」と表示されています。
佐久島太鼓フェスティバルは、過去に大浦海水浴場で開かれた記録があります。ただし、これは西尾市の広報紙の平成26年度の号に載っていたもので、2026年の開催予定ではありません。2026年秋以降の佐久島のイベント情報は、今回の調べでは見つかりませんでした。訪問の前に、佐久島の観光情報サイトや西尾市の公式サイトで日程を確かめてください。
出発前に確かめる5項目は運賃、本数、料金、時間、電動アシスト
ここまでの内容を、出発前の確認用に表へまとめます。
| 確認すること | 確認できた内容 | 出発前にすること |
|---|---|---|
| 渡船の運賃 | 大人830円、小児420円(片道、西港まで) | 船のりばで最新の運賃を確かめる |
| 渡船の本数 | 1日7往復(2020年の資料) | 当日のダイヤを確かめ、最終便を先に決める |
| 自転車の料金 | 愛ランド東港店で1時間300円〜1回1,000円 | 借りる店で現在の料金を確かめる |
| 一周の時間 | 自転車で2時間程(公式の案内) | 立ち寄りと昼食の時間を足して計画する |
| 電動アシストと予約 | 確認できず | 店に電話で聞く |
佐久島のサイクリングについてよくある疑問
自転車で一周すると何時間かかるのか、という疑問には、愛知県の観光サイトが「2時間程」と答えています。徒歩なら半日です。この2時間に立ち寄りや食事の時間が含まれるかは案内に書かれていないため、滞在時間は余裕をもって見積もってください。
車で行けるのか、という疑問には、行けないと答えられます。渡船はカーフェリーではありません。一色さかな広場の共用駐車場に車を停め、船に乗ります。
借りた自転車を別の港で返せるのか、という疑問には、遊々が両方の港への返却を認めていると答えられます。愛ランドは東港店と西港店があり、返却の条件は確認できていません。借りる時に確認してください。
一周の距離は何kmなのか、という疑問には、「公表された数字は見つからなかった」と答えるのが正確です。海岸線の長さが約11〜11.4kmなので、海沿いを回れば10数km程度になる計算ですが、これは海岸線の長さから出した概算で、サイクリングコースとして示された距離ではありません。
佐久島のサイクリングは半日あれば回れる、最終便から逆算して動く
佐久島は、一色港から約20分の三河湾にあり、面積173ヘクタール、海岸線約11kmの小さな島です。愛知県の公式観光サイトは、自転車で2時間程の一周を案内しています。レンタサイクルは東港と西港の両方で借りられ、遊々のように、どちらの港で返してもよい店もあります。
一周の途中で、おひるねハウス、カモメの駐車場、秘密基地アポロといった作品に出会えます。筒島だけは途中から歩きます。私なら東港で自転車を借り、午前中に島の南端から西側へ回り、昼に民宿か「ごはん屋 海」で海の幸をとって、午後の早い便で戻る組み立てにします。最終便に追われる一周は、作品の前で立ち止まる余裕を削ってしまうからです。
運賃、料金、営業時間、船のダイヤは、すべて掲載時点の数字です。出発の前に、船のりばと借りる店へ確かめてから向かってください。








