奥出雲の尾原ダムを巡るサイクリングコースは片道20.3km

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島根県雲南市と奥出雲町を結ぶ尾原ダム周辺のサイクリングコースは、片道20.3kmで獲得標高241mのルートです。JR木次駅と出雲三成駅を起点・終点に選べるため、輪行を使った日帰りサイクリングにも向いています。斐伊川沿いの平坦な道と尾原ダム周辺の緩やかな上り下りを組み合わせたレイアウトで、ロードバイクだけでなくクロスバイクや電動アシスト自転車でも走りきれる設計です。コース沿いには、ダム湖であるさくらおろち湖の景観、ヤマタノオロチ神話にゆかりのある神社や橋、立ち寄り湯、そして仁多米や出雲そば、地元ワインといったグルメスポットが点在しており、しまね観光ナビやサイクリング専門メディアの「cycle」でも紹介されています。この記事では、コースの概要から見どころ、レンタサイクルの料金、道中で味わえる食事まで、順を追って紹介します。

目次

奥出雲・尾原ダムを巡るコースは木次駅と出雲三成駅を結ぶ20.3km

しまね観光ナビが公式に紹介する「奥出雲・尾原ダムを巡るコース」は、雲南市と奥出雲町にまたがる片道20.3km、獲得標高241mのルートです。本格的なヒルクライムというより、里山の風景を楽しみながら走れるレイアウトになっており、サイクリングを始めたばかりの人にも走りやすい距離感といえます。

スタート地点はJR木次駅の近くに設定されており、ゴールは出雲三成駅の付近です。逆に出雲三成駅を起点に木次駅をゴールとするルートも紹介されています。どちらの向きでも鉄道駅が起点・終点になるため、輪行での利用や公共交通機関との組み合わせがしやすいのが特徴です。サイクリング専門メディア「cycle」では「グルメな自転車旅で山の恵みを味わおう」として紹介されており、走る楽しさだけでなく食の魅力も含めたルートとして評価されています。

コース上には、JR木次駅、奥出雲葡萄園、大森神社、木次健康温泉センター「おろち湯ったり館」、簸上堂、願い橋といった見どころが点在しており、それぞれの地点で小休止を挟みながら走ることができます。

尾原ダムが生んだ人造湖「さくらおろち湖」は競技施設を備えた景観スポット

尾原ダムは、国土交通省が斐伊川に整備した治水・利水目的の多目的ダムです。ダムによって生まれた人造湖は「さくらおろち湖」と名付けられました。名前の由来は湖畔に植えられた桜並木と、この地に伝わるヤマタノオロチ神話にあり、春には桜の名所としても知られています。

湖の周辺には、雲南市道・奥出雲町道を利用した自転車ロードレースコースのほか、自転車競技施設やボート競技施設が整備されており、ロードレースやボート競技の大会、地域イベントの会場としても活用されています。ダム湖ならではの穏やかな水面と、周囲を取り囲む山々の緑が織りなす景観は、サイクリング中の休憩ポイントとしても絶好のフォトスポットになっています。

奥出雲は日本刀の原料「玉鋼」を生むたたら製鉄の里としても知られる

島根県東部の出雲地方では、約1400年前からたたら製鉄と呼ばれる、砂鉄と木炭を用いた製鉄が盛んに行われてきました。奥出雲町では、日本刀の原料となる玉鋼を生産するための古代の製鉄法が現在も受け継がれており、江戸時代後半から明治にかけての最盛期には、全国のおよそ8割の鉄がこの地域を中心とした中国山地の麓でつくられていたとされています。海外から製鉄技術が入ってきた影響で大正時代に一度は途絶えましたが、昭和52年に炎が再び灯され、今日まで受け継がれています。この歴史は「出雲の國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語」として日本遺産にも認定されており、奥出雲たたらと刀剣館では、たたら製鉄の歩みを総合的に紹介しています。尾原ダムを巡るコースを走りながら目にする山あいの風景は、こうした鉄づくりの歴史とともに育まれてきた里山の姿でもあります。

コース上の神話ゆかりスポットは大森神社と願い橋の2か所

大森神社

大森神社は、ヤマタノオロチを退治した須佐之男命が、妻となる稲田姫とともに一時滞在し、須賀の地へ向かう前に身を寄せたと伝わる神社です。ヤマタノオロチ神話ゆかりの地として、奥出雲エリアの随所に点在する神話スポットの一つに数えられています。サイクリングの道中、神話の世界に思いを馳せながら参拝できる貴重なポイントです。

願い橋

願い橋は、日本さくら名所100選に選ばれている斐伊川堤防桜並木に隣接する橋です。2008年に公開された映画「うん、何?」に登場し、目を閉じて渡ると願いが叶う橋として描かれたことから「願い橋」の愛称で親しまれるようになりました。桜のシーズンには特に多くの人が訪れる、地元でも話題のフォトスポットです。

木次健康温泉センター おろち湯ったり館は8種類の風呂でヤマタノオロチ神話を表現

木次健康温泉センター「おろち湯ったり館」は、斐伊川の支流である久野川河畔に湧く温泉を利用した日帰り入浴施設で、住所は島根県雲南市木次町木次952-4です。ヤマタノオロチ神話にちなみ、8種類もの異なる趣向の風呂を楽しめるのが最大の特徴です。オロチをイメージした石風呂や、檜の香りが漂う木風呂など、施設全体が神話と八岐大蛇、桜をモチーフにした構成になっており、アプローチから玄関、ラウンジ、2種類の浴室、露天風呂、屋上露天風呂へと巡る動線設計がされています。年中利用できる温泉プールも併設されており、サイクリングで火照った体を癒やすのにぴったりの立ち寄りスポットです。

道の駅おろちの里は湖畔の農家レストランと直売所を兼ねた休憩地

道の駅おろちの里は、尾原ダムのダム湖であるさくらおろち湖の湖畔に位置する道の駅です。国道314号沿いにあり、農家レストランや特産物直売所を備えているため、サイクリングの休憩ついでに地元の農産物や軽食を購入できます。湖を望む展望広場も整備されているため、ライド中の絶景休憩スポットとしてもおすすめです。

佐白温泉長者の湯はpH9.8の高アルカリ性単純温泉

尾原ダム周辺のもう一つの立ち寄り湯として知られるのが、佐白温泉「長者の湯」です。2011年にオープンした比較的新しい日帰り温泉施設で、岩風呂と露天風呂には尾原ダムの湖底となった斐伊川の石が使用されており、露天風呂からは四季折々の奥出雲の自然を眺めることができます。泉質は高アルカリ性の単純温泉でpH9.8とされ、つるつるさっぱりとした美肌の湯として親しまれています。館内の食事処「八重垣」では、地元産の仁多米を使った食事も提供されています。

この一帯は神話の地としても知られ、クシナダヒメの両親が住んだとされる「長者屋敷」があった場所で、八重垣神社発祥の地とも伝わります。JR出雲八代駅から徒歩約20分の立地です。島根県公式観光サイト「しまね観光ナビ」の情報では長者の湯が休館中と案内されている時期があるため、訪問を計画する際は事前に最新の営業状況を確認しておくと安心です。

市民参加型「奥出雲サイクリング」は2025年10月12日にさくらおろち湖畔で開催されました

尾原ダムとさくらおろち湖の周辺は、市民参加型サイクリング大会「奥出雲サイクリング」の舞台でもあります。この大会は毎年秋に開催されており、会場となるさくらおろち湖自転車競技施設がスタートとゴール、昼食会場を兼ねています。2025年度の大会は10月12日の日曜日、10時スタートで実施されました。コースはエクストリームランのEコースが47.0km、チャレンジランのCコースが24.5kmの2種類設定されていました。

大会コース上には、鴨倉トンネル、尾原トンネル、みなり遊園地、自転車競技大会本部施設、佐白温泉長者の湯、温泉小学校、さくらおろち湖、道の駅おろちの里といったチェックポイントが配置されており、地域の自然と文化を一度に体感できる内容になっていました。奥出雲町商工会青年部も大会の開催を後押ししており、地域ぐるみでサイクリング文化を盛り上げている様子がうかがえます。大会は年によって日程やコース内容が変更される可能性があるため、次回の参加を検討する場合は最新の公式発表を確認するのがおすすめです。

レンタサイクルの電動アシスト車は台数限定で事前予約が必須

奥出雲エリアには複数のレンタサイクル拠点があります。奥出雲町サイクリングターミナルのほか、亀嵩温泉玉峰山荘、斐乃上温泉斐乃上荘、佐白温泉長者の湯、雲州そろばん伝統産業会館、道の駅奥出雲おろちループなどでレンタサイクルの貸し出しが行われています。料金の目安は以下のとおりです。

車種4時間以内の料金
大人車510円
子供車300円
電動アシスト車720円

電動アシスト車は台数に限りがあるため予約が必須で、奥出雲町観光協会への事前申し込みが必要です。利用時間は9時から17時までとなっています。

尾原ダムを巡るコースの起点付近にある観光案内所でも、電動アシスト付きマウンテンバイクのレンタルが可能とされており、体力に自信のない人や坂道が多い区間を楽にこなしたい人にはこちらの利用がおすすめです。

奥出雲葡萄園のE-MTBレンタルは2時間1,500円から

奥出雲葡萄園でも電動マウンテンバイクのレンタルを行っています。料金は次のとおりです。

利用時間料金
2時間まで1,500円
4時間まで2,000円
6時間まで2,500円

ワイナリー訪問とセットで電動マウンテンバイクを借りれば、周辺のぶどう畑や里山風景をより広い範囲で巡ることができます。

奥出雲町内には尾原ダムコース以外に4種類のサイクリングコースがある

奥出雲町内にはサイクリングターミナルを起点とした複数のコースも用意されています。

コース名距離
鬼の舌震・絲原記念館コース10km
多根博物館コース12km
可部屋集成館コース25km
奥出雲おろちコース60km

尾原ダムコースと合わせて、走行距離や体力に応じてコースを選べるのも奥出雲エリアの魅力の一つです。

仁多米食堂の名物「奥出雲膳」はご飯おかわり無料

奥出雲町サイクリングターミナル内にある「仁多米食堂」は、お米マイスターが監修した釜戸炊きのご飯が自慢の食堂です。ご当地ブランド肉や季節の野菜を付け合わせたボリュームたっぷりのメニューが楽しめ、看板メニューの仁多米のご飯はおかわり無料というサイクリストにはうれしいサービスもあります。名物「奥出雲膳」は、仁多郡産コシヒカリのご飯に、奥出雲ポーク、奥出雲産きのこのセイロ蒸し、奥出雲産きのこの天ぷらを添えた一皿で、地元食材を一度に味わえる人気メニューです。食事と宿泊、レンタサイクルの機能を兼ね備えた、駅近の旅の拠点としても紹介されています。

奥出雲葡萄園はランチ完全予約制で看板ワイン「小公子」が人気

木次町の山あいに広がる約7ヘクタールの敷地「食の杜」に位置する奥出雲葡萄園は、コース途中の立ち寄りスポットとして紹介されているワイナリーです。ぶどう畑を見渡せるレストランを併設しており、リーズナブルな価格でランチを楽しめます。プレートランチはスープ、季節の副菜が約10品、食後のドリンクが付いたセットで、女性向けとうたわれながらも食べきれないほどのボリュームがあると評判です。ぶどう畑を望むガーデンカフェでは、芝生の上でカジュアルにワインを味わうこともできます。看板ワイン「小公子」は入手困難なほどの人気銘柄として知られています。ランチは完全予約制となっている点には注意が必要です。レンタサイクルでのアクセスにも対応しており、電動マウンテンバイクを借りてワイナリーまで走ることもできます。

出雲そばは玄そばを丸ごと製粉した日本三大そばの一つ

島根と出雲エリアを代表する名物グルメといえば出雲そばです。出雲そばは、殻付きのそばの実である玄そばをほとんどそのまま製粉して作られるため、色が黒く、香りが強い独特の風味と食感が特徴で、日本三大そばの一つに数えられています。そばの実の外側にある黒い部分にはタンパク質やビタミン、ミネラルといった栄養素と旨み成分が豊富に含まれており、香り高く栄養価にも優れているとされています。代表的な食べ方は、冷たい割子そばと温かい釜揚げそばで、どちらもそばに直接つゆをかけて食べるスタイルが出雲流です。奥出雲地方は、寒さに強く短期間で収穫できて痩せた土地でも栽培できるそばの産地として古くから栽培が盛んで、そば街道として複数のそば処が紹介されるほどそば文化が根付いた地域です。サイクリングの道中や、ゴール後の食事に出雲そばの名店に立ち寄るのもおすすめです。

木次乳業のパスチャライズ牛乳はさっぱりとした甘みが特徴

雲南市木次町を代表する食のブランドが、木次乳業のパスチャライズ牛乳です。自然豊かな奥出雲で飼育された健康な牛から搾った新鮮な生乳を、乳本来の性質を活かす低温殺菌製法で仕上げており、搾りたての自然な風味と栄養が生きているのが特徴です。口当たりはさらりとしていて、さっぱりとした風味と甘みが広がる味わいと評されています。この牛乳を原料にしたチーズやヨーグルト、バターなども製造されており、本場ヨーロッパの味わいを再現した正統派のプレーンヨーグルトも人気商品の一つです。サイクリングの合間の休憩に、地元産の乳製品をお土産として持ち帰るのもおすすめです。

島根県は広島県と結ぶ広域サイクリングロードの整備を進めている

島根県は、国土交通省や広島県、沿線市町と連携し、松江市の松江しんじ湖温泉駅と広島県尾道市の尾道駅を結ぶ「やまなみ街道サイクリングロード」を設定し、沿線に19の周遊コースを定めています。路面案内標示の設置など走行環境の整備も進められており、初めて訪れる人でも迷いにくいよう配慮されています。さらに鳥取県、広島県、愛媛県と連携した広域観光の取り組みも行われており、各県が推奨するルートをつないだ総延長約457kmの広域サイクリングルートが設定されています。県内では11のサイクリングコースと隣県との広域コース3コースが紹介されており、しまねサイクリングNaviなどのプラットフォームでコース情報が発信されています。奥出雲・尾原ダムを巡るコースも、こうした島根県全体のサイクリング環境整備の流れの中に位置づけられるコースの一つといえます。

四季を通じて里山の表情が変わるのも、このエリアを走る楽しみのひとつです。春はさくらおろち湖畔や願い橋周辺の桜並木が見頃を迎え、新緑の初夏は斐伊川沿いの緑が濃くなります。秋は空気が澄んで遠くの山並みまで見渡しやすくなるため、大会シーズンと重なることもあり、多くのサイクリストで賑わいます。訪れる季節によって違う表情を楽しめる点も、このコースが繰り返し走りたくなる理由のひとつです。

初めて走るなら給水と日差し対策の準備を

奥出雲・尾原ダムを巡るコースには道の駅や温泉施設などの休憩地点が点在していますが、区間によっては商店が少ない場所もあるため、こまめな水分補給を意識した準備がおすすめです。夏場は日差しが強くなるため、帽子や日焼け止めなどの対策をしておくと安心です。斐伊川沿いの平坦な区間と尾原ダム周辺のアップダウンが混在するコースなので、荷物は最小限にまとめ、身軽な状態で走ると疲れにくくなります。輪行を利用する場合は、JR木次線の運行本数が都市部の路線ほど多くないため、事前に時刻表を確認しておくと計画が立てやすくなります。

訪問前は施設の営業状況とレンタサイクルの予約可否を確認しておきたい

奥出雲・尾原ダムを巡るサイクリングコースは、片道20.3km、獲得標高241mという初心者でも挑戦しやすい距離と勾配でありながら、さくらおろち湖の景観、ヤマタノオロチ神話ゆかりの史跡、立ち寄り湯、そして仁多米やワイン、出雲そば、木次乳業の乳製品といった奥出雲ならではのグルメを一度に楽しめるルートです。JR木次駅と出雲三成駅という鉄道駅を起点・終点にできるため、電車を使った輪行プランも組みやすく、遠方から訪れる人にもアクセスしやすいのが魅力です。

電動アシスト自転車や電動マウンテンバイクのレンタルも複数拠点で用意されているため、体力や経験に応じて自分に合ったスタイルで走れます。秋に開催される「奥出雲サイクリング」は、より本格的にコースを走りたい人の目標にもなっています。

自然と神話、温泉、グルメがコンパクトにまとまった奥出雲・尾原ダムエリアは、日帰りでも一泊二日でも満足度の高いサイクリング旅を実現できるコースです。訪れる際は、長者の湯の営業状況や奥出雲葡萄園の予約可否、レンタサイクルの空き状況など最新情報を事前に確認したうえで、里山と湖の風景を楽しんでください。

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