香川県の直島でアートを見て回るなら、港でレンタサイクルを借り、電動自転車で島を一方向に走るのがいちばん動きやすい方法です。料金はシティサイクルが1日330円、電動自転車が1日1,100円で、坂の多い島なので差額の770円を払ってでも電動を選ぶほうが楽に回れます。走る順番は、午前に地中美術館などの美術館エリア、昼に黄色いかぼちゃなどの屋外作品、午後に本村地区の家プロジェクトを見て、夕方に宮浦港へ戻る流れが基本になります。
直島は、香川県香川郡直島町に属する瀬戸内海の島です。島のあちこちに美術館や屋外作品、古民家を改修した家プロジェクトが点在しています。島内の移動には町営バスとレンタサイクルが使えますが、気になった作品の前で好きなだけ足を止められるのは自転車ならではですね。
ここでは、本州と四国から直島へ渡る船の運賃と所要時間、島で自転車を借りられる店と料金、2026年10月現在の美術館の開館時間、坂の多い島を無理なく走るための1日の組み立て方をまとめました。自転車でアートを回れる隣の豊島についても、最後に触れています。

直島へは宇野港から片道370円のフェリーで渡るのが安い
直島へ渡る手段は船だけです。島の玄関口になっているのは四国汽船のフェリーと旅客船で、本州側の宇野港(岡山県)と、四国側の高松港(香川県)から、直島の宮浦港や本村港へ船が出ています。
運賃だけで比べると、宇野港から出るフェリーがいちばん安くなります。宇野港から宮浦港へのフェリーは大人片道370円で、所要時間は約20分です。宇野港から出る旅客船なら、約15分で着きます。岡山方面から来るなら、宇野港を経由しない理由はほとんどありません。
高松港からはフェリーと高速船で910円の差がある
高松港から宮浦港へのフェリーは大人片道680円で、所要時間は約50分から60分です。高速船は約30分で、運賃は1,590円になります。高速船を選ぶと20分から30分ほど早く着く代わりに、片道で910円多く払うことになります。
| 出発港 | 船の種類 | 大人片道 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| 宇野港(岡山県) | フェリー(宮浦港行き) | 370円 | 約20分 |
| 宇野港(岡山県) | 旅客船 | ー | 約15分 |
| 高松港(香川県) | フェリー(宮浦港行き) | 680円 | 約50分〜60分 |
| 高松港(香川県) | 高速船 | 1,590円 | 約30分 |
運賃は改定されることがあります。出発前に、四国汽船の公式サイトで最新の時刻表と運賃を確認してください。
自分の自転車を持ち込めるのはフェリーだけ
フェリーは車や自転車を積めますが、高速船と旅客船は人だけの乗船です。自分の自転車で直島を走りたい人は、フェリーの時刻に合わせて動く必要があります。
もっとも、島内にはレンタサイクル店がいくつもあるので、たいていの旅行者は手ぶらで船に乗り、島に着いてから自転車を借りています。わざわざ自転車を積んでフェリーの時刻に縛られるより、島で借りるほうが船の選択肢も広がって身軽です。
直島のレンタサイクルは宮浦港と本村港の両方で借りられる
直島にはレンタサイクル店が複数あり、便数の多い宮浦港と、高速船が発着する本村港のそれぞれに店があります。宮浦港には、港から徒歩1分の店もあります。フェリーで宮浦港に着いたらその場で借り、高速船で本村港に着いたら本村で借りる、という使い分けができます。
おうぎやレンタサイクルは電動自転車が1日1,100円
料金の一例として、おうぎやレンタサイクルの料金を表にしました。いずれも1日あたりの料金で、別途保証料として3,000円がかかります。
| 車種 | 1日の料金 |
|---|---|
| シティサイクル | 330円 |
| 電動自転車 | 1,100円 |
| ミニベロ | 2,200円 |
| 保証料(別途) | 3,000円 |
料金は時期によって変わることがあります。借りる前に、店頭の料金表もあわせて見ておくと安心です。
島小屋 BOOK CAFE & TENT STAYでも自転車を借りられ、こちらはレンタル時に別途800円のデポジットを預ける形です。ほかに、まちの案内所やハナヤでもレンタサイクルを扱っています。
台数や予約が必要かどうかは、店ごとに違います。とくに旅行者が多い時期は、行く前に各店へ確認しておいてください。
坂の多い直島では電動自転車を選ぶ
島内はアップダウンの激しい地形です。シティサイクルの330円は魅力的ですが、坂を上るたびに足を使い切ってしまうと、肝心の美術館に着いたときに疲れて作品どころではなくなります。体力に自信がない人はもちろん、自信がある人でも電動自転車を選んでおくほうが無難でしょう。
電動自転車の1,100円は、シティサイクルの約3.3倍の料金です。それでも、地中美術館の入館料が2,500円であることを考えると、1日を快適に走るための上乗せ770円は高すぎる出費ではありません。ミニベロの2,200円は3車種のなかでいちばん高いので、こだわりがなければ電動自転車で十分です。
10月から2月末は地中美術館と李禹煥美術館が17時に閉館
地中美術館と李禹煥美術館は、季節によって開館時間が変わります。3月1日から9月30日までは18時まで開いていますが、10月1日から2月末までは閉館が17時に早まります。2026年10月現在は冬の時間が適用されているので、秋から冬に訪れる人は、夏より1時間早く1日を組み立てる必要があります。
地中美術館は日時指定のオンライン予約が前提
地中美術館は、日時指定の予約制です。チケットの予約と購入は公式の予約サイトで行い、残数がある場合に限って現地の窓口でも購入できます。直島では2024年10月から、地中美術館や杉本博司ギャラリー 時の回廊などを含め、ほぼすべてのアート施設でオンラインチケット制が始まりました。
開館時間は、3月1日から9月30日が10時から18時(入館は17時まで)、10月1日から2月末日が10時から17時(入館は16時まで)です。休館日は月曜日で、祝日の場合は開館し、翌日が休館になります。このほか、メンテナンスのための休館日もあります。
| 曜日 | オンライン購入 | 窓口購入 |
|---|---|---|
| 平日 | 2,500円 | 2,800円 |
| 土日祝 | 2,700円 | 3,000円 |
オンラインで買えば、平日でも土日祝でも窓口より300円安くなります。しかも窓口で買えるかどうかはその日の残数しだいです。自転車で坂を上って着いたのに入れない、という事態を避けるためにも、地中美術館だけは出発前にオンラインで予約を済ませておいてください。
李禹煥美術館は1,050円で15歳以下は無料
李禹煥美術館の開館時間は、3月1日から9月30日が10時から18時、10月1日から2月末が10時から17時で、入館はどちらも閉館の30分前までです。2026年10月現在なら、16時30分までに入館する必要があります。
休館日は月曜で、祝日の場合は開館して翌日が休館になります。料金は1,050円で、15歳以下は無料です。バスで向かう場合は、宮浦港から町営バスでつつじ荘まで行き、無料シャトルバスに乗り換えて約10分で着きます。
ベネッセハウスミュージアムは21時まで開いている
ベネッセハウスミュージアムの営業時間は8時から21時で、最終入館は20時です。年中無休で、休館はメンテナンスのときに限られます。
ほかの美術館が17時に閉まったあとも入れるので、夕方以降に美術館へ入れるのは直島ではここになります。月曜日に直島を訪れる場合も、ベネッセハウスミュージアムは開いています。
本村の家プロジェクトは7軒を共通チケット1,050円で回れる
家プロジェクトとは、本村地区にある古民家や神社などを改修し、アーティストが空間そのものを作品にしたものです。現在は、角屋、南寺、きんざ、護王神社、石橋、碁会所、はいしゃの7つが公開されています。
料金は、共通チケットが1,050円、1軒だけ見るワンサイトチケットが420円で、いずれも15歳以下は無料です。ワンサイトチケットを3軒分買うと1,260円になり、共通チケットより高くつきます。3軒以上見るつもりなら、最初から共通チケットを買うほうが得です。営業時間は10時から16時30分で、南寺だけは最終入館が16時15分です。
護王神社は地下の石室まで入れる
護王神社は、杉本博司が手がけた作品です。江戸時代から続く神社の本殿と拝殿を建て直し、地下に石室を作って、ガラスの階段で本殿とつないでいます。見学者は地下の石室に入れるので、地上の本殿と地下の空間を両方見られます。
石橋と碁会所とはいしゃは建物の来歴を残した作品
石橋は、製塩業を営んでいた石橋家の建物に、千住博の作品を展示したものです。碁会所は、かつて碁会所があった空き地に建物を新築し、須田悦弘の彫刻「椿」を置いています。はいしゃは、歯医者だった建物の内装と外装に、大竹伸朗が廃物を設置し、ペインティングを施した作品です。
3軒とも、作品名がそのまま建物の元の用途や持ち主を表しています。製塩の家、碁会所、歯医者という前の使われ方を知ってから中に入ると、見え方が変わってきます。
南寺は午前中に整理券が配り終わる日がある
南寺は、安藤忠雄が設計を手がけた建物です。時間指定の整理券が必要になる場合があり、午前中に当日分を配り終えてしまうこともあります。
基本の回り方では本村は午後になりますが、南寺を外せない人は、順番を入れ替えて午前中に本村へ向かうほうが確実です。きんざは共通チケットに含まれず、完全予約制なので、見たい人は別に予約を取ってください。
本村へ向かう途中でANDO MUSEUMに立ち寄る
家プロジェクトを巡る日には、途中で安藤忠雄の作品を見られるANDO MUSEUMに立ち寄る回り方もあります。料金は600円です。南寺も安藤忠雄の設計なので、2か所を続けて見ると、同じ建築家の仕事を比べながら回れます。
赤かぼちゃと黄色いかぼちゃは無料でいつでも見られる
直島の屋外作品のなかで、まず見ておきたいのが2つのかぼちゃです。どちらも入場料がかからず、時間を気にせず見られます。
宮浦港の赤かぼちゃは自転車を借りてすぐの場所にある
赤かぼちゃは草間彌生の作品で、2006年に宮浦港緑地に設置されました。船で宮浦港に近づくと、水玉模様の赤いかぼちゃが最初に目に入ります。宮浦港フェリーターミナルの近くにあり、見学は自由です。
宮浦港でレンタサイクルを借りるなら、ペダルをこぎ出してすぐの場所にあるので、1日の最初の1枚を撮るのにちょうどいい場所です。夕方に宮浦港へ戻ってきたときに、もう一度寄ってみるのも悪くありません。
黄色いかぼちゃはベネッセハウス近くの桟橋にある
黄色いかぼちゃは、黄色い水玉模様の大きなかぼちゃで、ベネッセハウス近くの桟橋の付近にあります。以前は台風の被害を受けて一時撤去されましたが、修復を経て再設置されました。屋外作品なので入場料は不要で、いつでも鑑賞できます。
美術館エリアを午前中に見たあと、昼に立ち寄るのに向いた場所です。地中美術館の予約時刻と、ほかの施設の開館時間の間にできた空き時間を埋めるのにも使えます。
日帰りで回るなら施設は2か所から3か所に絞る
直島を日帰りで回るなら、立ち寄る施設は2か所から3か所に絞るのが現実的です。予約制の施設が多く、坂も多いので、欲張って5か所も6か所も入れると、どこかで時間が足りなくなります。
計画を立てるときは、予約時刻を軸にしてください。地中美術館の入館時刻を先に決め、その前後に、予約の要らない屋外作品や家プロジェクトを入れていくと、1日の流れが崩れにくくなります。
宮浦港から一方向に回る1日のコース
基本になるのは、宮浦港を出発して、午前に美術館エリア、昼に屋外作品、午後に本村の家プロジェクトを回り、夕方に宮浦港へ戻る一方向のルートです。同じ道を引き返さずに済むので、移動の無駄が出にくい回り方です。
| 時間帯 | エリア | 主な立ち寄り先 |
|---|---|---|
| 朝 | 宮浦港 | レンタサイクルを借りる、赤かぼちゃ |
| 午前 | 美術館エリア | 地中美術館、李禹煥美術館 |
| 昼 | 屋外作品 | 黄色いかぼちゃ |
| 午後 | 本村地区 | 家プロジェクト、ANDO MUSEUM |
| 夕方 | 宮浦港 | 自転車を返す、船で島を離れる |
冬の時間が適用される10月から2月末は、地中美術館の入館が16時まで、家プロジェクトの営業が16時30分までです。午後の本村で時間を取りすぎると、帰りの船の時刻に追われます。
鑑賞施設は靴を脱いで入る場所が多い
直島の鑑賞施設には、靴を脱いで入る場所が多くあります。自転車をこぎやすい靴という基準だけで選ぶと、施設に入るたびに紐を結び直すことになって地味に面倒です。こぎやすく、脱ぎ履きもしやすい靴で出かけてください。
自転車がつらくなったら町営バスとシャトルバスに乗り換える
坂で疲れたときや、時間が押してきたときは、自転車以外の移動手段も使えます。町営バスは宮浦港と本村、つつじ荘方面を結んでいて、運賃は1回100円ほどです。乗車券は、宮浦港の海の駅なおしまの切符売場で扱っています。本数は限られるので、時刻表は事前に見ておいてください。
ベネッセエリアには、つつじ荘からベネッセハウスや地中美術館方面へ向かう無料のシャトルバスもあります。坂を上りきる自信がないときは、つつじ荘で自転車からシャトルバスに乗り換える手もあります。
1日の締めくくりは直島銭湯「I♡湯」で汗を流す
自転車で島を回った日の最後に寄りたいのが、直島銭湯「I♡湯」です。美術家の大竹伸朗が手がけたアート施設で、実際に入浴できます。浴槽や浴室の絵、モザイクの装飾、トイレの陶器にまで、大竹伸朗の世界観が反映されています。
営業時間は13時から21時で、最終入場は20時30分です。料金は大人660円、15歳以下310円で、3歳未満は無料です。休みは月曜で、祝日の場合は営業し、翌日が休みになります。メンテナンスや臨時の休業もあります。
ほかの施設が17時前後に閉まる冬の時期でも、銭湯は21時まで開いています。自転車を返したあとに一風呂浴び、汗を流してから船に乗るという順番も組めます。はいしゃを手がけたのも大竹伸朗なので、本村の家プロジェクトを見た日に銭湯へ入れば、同じ作家の作品を2つの形で味わえます。
直島を自転車で回る前に知っておきたいこと
出発前に聞かれることの多い点を、ここでまとめて答えておきます。
月曜日に直島へ行ってもいいのか
月曜日は避けるのが正解です。地中美術館、李禹煥美術館、直島銭湯「I♡湯」の3つが、そろって月曜休みだからです。祝日の月曜は開いていますが、その場合は翌日の火曜が休みになります。月曜にしか行けない場合は、年中無休のベネッセハウスミュージアムと、いつでも見られる2つのかぼちゃを中心に予定を組んでください。
子どもと一緒に回ると料金はどうなるのか
15歳以下は、李禹煥美術館と家プロジェクトが無料です。直島銭湯「I♡湯」は15歳以下が310円で、3歳未満は無料になります。地中美術館の子ども料金は、予約の際に公式の予約サイトで確かめてください。
予約なしで地中美術館に入れるのか
当日の残数があれば、現地の窓口で購入できます。ただし窓口のほうが300円高く、残数がなければ入れません。自転車で坂を上ったあとに入れないと分かるのはつらいので、予約は事前に済ませておくべきです。
直島のアートはベネッセと福武財団が島の風景に合わせて置いたもの
ベネッセアートサイト直島とは、教育や出版を手がけるベネッセホールディングスと福武財団が、瀬戸内海の直島、豊島、犬島を中心に、アートを通じた地域振興を目的として続けている活動の総称です。地中美術館、ベネッセハウス、家プロジェクト、南瓜に代表される屋外作品などが、この活動に含まれます。
作品の多くは、野外や、瀬戸内海の風景を意識して設計された施設のなかに展示されています。その場所で鑑賞し体験することを前提にした、サイトスペシフィックな作品です。サイトスペシフィックとは、特定の場所のために作られ、その場所と切り離せない作品を指します。
作品が置かれた場所ごと見て回る旅なので、作品と作品の間を自分のペースで移動できる自転車は、直島と相性のいい乗り物です。
なお、地中美術館や豊島美術館、直島銭湯「I♡湯」など、一部の作品や施設は別途鑑賞料が必要です。
瀬戸内国際芸術祭2025では直島がすべての会期の会場になった
瀬戸内国際芸術祭2025は、2025年4月11日から11月9日まで、春、夏、秋の3つの会期に分かれて開かれました。直島は、すべての会期で会場になりました。
隣の豊島は電動アシスト自転車1日1,300円でアートを回れる
直島の近くで、同じように自転車でアートを回れる島が豊島です。豊島へは高松港から船で約40分で、岡山県の宇野港からも渡れます。小豆島の土庄港からなら約20分から25分です。
豊島の主な移動手段は自転車とバスですが、バスは本数が少ないので、自転車を借りるほうが動きやすい島です。借りるなら電動アシスト自転車にしてください。電動を1日1,300円で貸している店があり、利用時間に応じた相談にも応じています。
主な見どころを押さえるなら、半日(4時間から5時間)から1日が目安です。島内には、クリスチャン・ボルタンスキーによる心臓音のアーカイブや、横尾忠則と永山祐子による豊島横尾館があります。ハイキング感覚で登れる壇山もあり、自転車とは別に歩く時間を取ってもいいでしょう。
直島の自転車旅は電動自転車とオンライン予約の2つで決まる
直島を自転車で回る計画の要は2つです。1つは、坂の多い島で体力を残すために電動自転車を借りること。もう1つは、地中美術館を出発前にオンラインで予約し、その時刻を軸に1日を組み立てることです。
この2つさえ押さえれば、宮浦港で自転車を借りて赤かぼちゃを見て、午前に美術館、昼に黄色いかぼちゃ、午後に本村の家プロジェクトを回り、最後に直島銭湯で汗を流すという1日を無理なく過ごせます。10月から2月末は地中美術館と李禹煥美術館の閉館が17時になるので、朝は早めに島へ渡ってください。
料金や営業時間は時期によって変わります。訪問前に、ベネッセアートサイト直島の公式サイト(benesse-artsite.jp)で最新の情報を確認してください。








