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出町柳駅から上賀茂神社までは、鴨川の河川敷を自転車で北へ進み、ゆっくり走って30分ほどで着きます。子どもを連れていても無理のない距離で、川沿いにはピクニックやサイクリングに向いた河原が続きます。スタートの出町柳には鴨川デルタの広い河原があり、ゴールの上賀茂神社は世界遺産に登録された京都最古の神社のひとつです。
途中には寄り道できる場所もあります。出町柳のすぐ近くには下鴨神社と糺の森があり、川の西側には京都府立植物園があります。
家族で走るときに気をつけたいのは、出町柳駅の周りの自転車の多さと、子どものヘルメットです。どちらについても、京都府が重点地区の指定や条例、リーフレットで注意を促しています。

出町柳から上賀茂神社までは鴨川沿いを北へ30分ほど
コースは、出町柳駅前の鴨川デルタから川沿いを北へ上り、上賀茂神社で終わります。鴨川デルタとは、賀茂大橋の西側で賀茂川と高野川が合わさってできた三角州のことです。
道の途中には、腰を下ろせるベンチや広場がところどころにあります。30分ほどの道のりでも、出発してから一気に走り切る必要はありません。子どもの疲れ具合を見て広場で止まり、水分をとってから再び走り出すほうが、最後まで楽しく走れます。
出町柳駅前なら朝7時からおにぎりを買え、自転車も借りられる
走る前の準備は、出町柳駅の周辺だけで済みます。駅前には朝7時に開くおにぎり店があり、走る前の腹ごしらえにも持ち帰りにも使えます。持ち帰りのできる店や、ひと休みできる場所も駅の近くに集まっていて、何も持たずに来ても支度が整います。
自転車を借りるなら、京都市左京区田中上柳町にある「レンタサイクルえむじか出町柳店」が駅の近くです。市バスでも京阪でも叡山電車でも、出町柳駅から行けます。
注意したいのは、子ども用の自転車やチャイルドシートを置いているか、料金がいくらかが店によって違う点です。予約するときか事前の問い合わせで確かめておくと安心です。
叡山電車には、サイクルトレインを企画した実績があります。2022年9月23日の「サイクルトレイン・リレー号」は京阪電車と叡山電車が運行した列車で、京阪沿線を出て出町柳駅を通り、洛北方面まで走りました。ふだん自転車を車内へ持ち込めるかどうかは、乗る前に鉄道会社の案内で確かめてください。
家族で走るときは歩行者を優先し、子どもにはヘルメットをかぶせる
家族で走る日に気を配りたいのは、出町柳駅前の人と自転車の多さ、河川敷での速度、子どもの装備です。
出町柳駅の周りは京都府が指定した自転車事故の重点地区
出町柳駅は京阪電車と叡山電車の始発・終点の駅で、自転車を使う人が多く集まります。京都府はこの駅の周辺を、自転車事故が多い重点地区に指定しています。駅前で自転車を受け取って走り出すときは、歩行者やほかの自転車の動きによく目を配ってください。
河川敷に入ってからも油断はできません。川沿いの道には信号も交差点もなく、そうした道で自転車が速度を出すと、歩いている人にとっては危険です。
京都府が鴨川について示した文書では、自転車の高速走行や横に並んでの走行を、鴨川条例で規制はしていないものの迷惑な使い方の例に挙げています。河川敷を歩いていて自転車にぶつけられた、という声も寄せられています。家族で走るときは歩行者に道を譲り、前の人を追い越すときはスピードを落とし、親子で横一列にならずに進みましょう。
未就学児を乗せるならヘルメットは義務、2023年からは全員が努力義務
自転車の幼児用乗車装置に子どもを座らせるとき、京都府の条例はその子に乗車用ヘルメットをかぶらせることを義務づけています。対象は、小学校就学の始期に達するまでの子どもです。この規定は2021年4月1日に施行されたもので、罰則はありません。
2023年4月1日からは、自転車に乗る人すべてにヘルメット着用の努力義務がかかっています。子どもが自分で自転車を運転するときは、保護者が児童や幼児にヘルメットをつけさせる努力をする決まりです。2023年7月に京都府内で着用していた人の割合は10.5%でした。
京都府のリーフレットは、子どもを乗せる親に二つのことを呼びかけています。幼児用座席のシートベルトをきちんと締めることと、子どもを乗せたまま自転車のそばを離れないことです。「ちょっとだから」と子どもを座席に残して離れるのは、とても危ない行為です。
出町柳の鴨川デルタでは亀の飛び石を渡って遊べる
出町柳駅の目の前にある鴨川デルタは、親子でピクニックや川遊びをする人に人気の場所です。広い河原と芝生があり、夏は川遊びや夕涼みを楽しむ人でにぎわいます。ピクニックの道具一式を借りられる店もあります。
いちばんの遊び場は「出町の飛び石」です。鴨川の飛び石の中で最もよく知られていて、川の流れを安定させる工事のときに、千鳥、舟、亀、三角おにぎりをかたどったブロックが置かれました。子どもたちは大きな亀の形をした石に足をのせ、ひとつずつ跳んで渡っていきます。近くの公園にはすべり台や木で組んだ大きな遊具もあり、幼児から小学生まで遊べるそうです。
飛び石は水位が下がって乾いている日に渡る
急に水かさが増えたときの飛び石は危険で、石が濡れていれば足をすべらせやすくなります。渡ってよいのは、水位が下がり、石の表面が乾いているときです。
鴨川デルタは室町時代に猿楽が演じられた糺河原
住所でいえば、鴨川デルタは京都市左京区下鴨宮河町にあたります。賀茂川と高野川がここで一つになり、鴨川と名前を変えます。形がギリシャ文字のΔ(デルタ)に似ていることから、この呼び名がついたそうです。
昔は、北にある下鴨神社の糺の森にちなんで、糺河原(ただすがわら)と呼ばれていました。室町時代の河原では猿楽の興行が催されたそうです。江戸時代になると、二つの川が出会う場所に賀茂河水弘所という役所ができ、くみ上げた水を大坂まで送っていました。松竹京都撮影所がすぐ隣にあったのは大正12年から昭和50年までで、デルタはその間、撮影にも使われたといいます。
川の流れがいまのように穏やかになったのは、1935(昭和10)年6月の大洪水を受けて河川改修が進められてからです。
下鴨神社の糺の森は約3万6千坪、本殿までの参道は10分から15分
出町柳から少し足をのばせば、下鴨神社に着きます。境内にある糺の森は、自由に歩けます。授与所などが開いているのは6時30分から17時までで、門を閉める時刻は時期によって変わります。
下鴨神社は京都でも最も古い部類に入る神社で、世界遺産に登録されています。東と西に並ぶ本殿は、どちらも国宝です。
糺の森の広さは約3万6千坪で、賀茂川と高野川の合流点に太古の原生林が残っています。約40種、700本ほどの木が茂り、参道の横を瀬見の小川が流れます。参道を本殿まで歩くと、10分から15分ほどかかります。
平安時代には三角州全体が下鴨神社の境内でした。現在の境内はその約40分の1まで小さくなりましたが、それでも東京ドーム3つ分ほどの広さがあります。南口の御手洗で御神水を流している樋は、かつて「糺の森の主」と呼ばれたケヤキを材にしています。樹齢は約600年でした。
みたらし団子は御手洗池の泡をかたどったという説がある
下鴨神社の境内にある御手洗池は、みたらし団子が生まれた場所とされています。池の底からわき上がる泡を団子の形にしたという説があり、この泡の話は「下鴨神社七不思議」の一つです。団子の名前については、御手洗社から取ったという話も残っています。
夏になると、この池に足をひたして無病息災を祈る御手洗祭が開かれます。時期は例年7月下旬から8月上旬ごろで、年によって前後します。献灯料は500円が目安です。
河合神社には鴨長明が晩年を過ごした方丈の庵が復元されている
河合神社は下鴨神社の摂社です。下鴨神社の境内にあり、出町柳駅から歩いて10分ほどです。祀られているのは玉依姫命で、女性を守る神として信仰を集めてきました。手鏡の形をした鏡絵馬で知られています。
『方丈記』の作者として知られる鴨長明は、下鴨神社で禰宜を務めた父の次男として生まれました。河合神社の禰宜として父の跡を継ぐ望みがかなわず、長明は出家します。人生の終わりを過ごしたのは日野山にあった方丈の庵で、それを再現したものが河合神社の境内に建っています。方丈は一丈四方を意味し、広さはおよそ3メートル四方しかありません。小さな室内には囲炉裏もあります。
寄り道先の京都府立植物園は中学生以下が無料
鴨川の西側にある京都府立植物園も、子ども連れで立ち寄れる施設です。入園料は一般が500円、中学生以下は無料で、午前9時から午後6時30分まで開いています。
子ども向けには「未来くん広場」の遊具があり、絵本を読んでもらえる「きのこ文庫」もあります。広い芝生があるので、お弁当を持っていけばその場で広げられます。
所在地は京都市左京区下鴨半木町です。地下鉄烏丸線なら北山駅の3番出口を出てすぐで、北大路駅からは歩いて約10分かかります。
ゴールの上賀茂神社は678年に始まったと伝わる世界遺産
上賀茂神社の始まりは678年(白鳳6年)で、賀茂氏の一族が神山で賀茂別雷大神を祀ったことに由来すると伝わります。賀茂氏が氏神として祀ってきた神社で、平安京に都が移ってからは下鴨神社と並んで都を守る王城鎮護の役目を担いました。明治以降は官幣大社の筆頭に置かれ、伊勢の神宮に次ぐ格式を誇りました。下鴨神社と同じく、平安時代以降の山城国一之宮です。
世界遺産としては、1994年12月にユネスコの「古都京都の文化財」を構成する一つとして登録されました。国宝が2つ、重要文化財が41あります。
「古都京都の文化財」を構成するのは、京都市と宇治市、大津市に点在する17の寺社城です。推薦したのは日本政府で、1993年9月のことです。登録の根拠となった評価基準は(ii)と(iv)です。賀茂の二社とともに名を連ねるのは教王護国寺や清水寺、延暦寺などで、二条城を除けばすべて宗教施設です。その多くが、10世紀から17世紀にかけて建てられたり庭が造られたりしたものです。
二ノ鳥居の正面にある立砂は神山をかたどった砂山
二ノ鳥居をくぐった正面にあるのが立砂(たてずな)で、上賀茂神社を代表する景色です。細殿の前に白砂を円錐の形に盛った一対の山で、神が最初に降りたとされる神社北側の山、神山(こうやま)をかたどっています。立砂そのものも、神が降り立つ神聖な所だと伝わります。
鬼門などにまく清めの砂は、この立砂が起源とされます。参拝した人が受けられる清めの砂も、ここから来ています。身分の高い人が輿に乗って訪れたとき、輿を降ろす場所に使ったという説明もあります。
神山があるのは上賀茂神社の約2キロ北で、参拝者は本殿から山に向かって拝めます。伝承では、賀茂別雷大神がそのふもとに降臨したのは神武天皇の代のことでした。
賀茂別雷大神は丹塗矢の霊力で生まれた神
賀茂別雷大神の由来には、こんな神話が残っています。川でみそぎをしていた賀茂氏の玉依姫のもとへ、一本の丹塗矢(にぬりのや)が流れ着きました。丹は赤い鉱物を指す言葉です。
矢を家に持ち帰った姫の前に、その霊力から男の神が現れ、やがて姫は子を授かります。大人になったことを祝う席で、子は父親が誰なのかを祖父に問われました。祖父の名は建角身命(たけつぬみのみこと)です。子は天津神だと答え、雷鳴とともに天へ昇っていきました。
上賀茂神社と下鴨神社は、この神話に出てくる親子三代を分けて祀っています。
| 項目 | 下鴨神社 | 上賀茂神社 |
|---|---|---|
| 正式名称 | 賀茂御祖神社(読み:かもみおやじんじゃ) | 賀茂別雷神社(読み:かもわけいかづちじんじゃ) |
| 祀られている神 | 母の玉依姫命、祖父の建角身命 | 賀茂別雷大神 |
国宝の本殿と権殿は初穂料500円の特別参拝で入れる
境内の参拝は無料です。本殿と権殿は神域の内側にあり、ふだんは入れません。中に入りたい場合は受付で特別参拝を申し出ると、神職が付き添って見学と参拝をさせてもらえます。大人の初穂料は500円で、受け付けているのは通常10時から16時です。行事のある日などは時間が変わることもあります。
ならの小川は秋のモミジと6月30日の夏越大祓が見どころ
境内を流れるならの小川は、賀茂川から境内に引き入れた御手洗川と御物忌川が合わさってできた流れです。名前の起こりには二つの説があり、「ならす」の意味だとするものと、「楢の小川」だとするものです。秋には川沿いのモミジが色づいてトンネルのようになり、この時期の景色を楽しみに訪れる人が多くいます。
6月30日の日が暮れたあとには、夏越大祓が行われます。かがり火に照らされた橋殿から、神職が祈りを唱えながら紙の人形(ひとがた)をならの小川へ流す神事です。人形は、参拝した人が自分の身の不浄を移す身代わりです。
5月の上賀茂神社では5日に賀茂競馬、15日に葵祭がある
上賀茂神社は、下鴨神社と一緒に行う賀茂祭(通称、葵祭)や、五穀豊穣を祈る賀茂競馬などの神事で知られています。どちらも5月の行事です。
賀茂競馬は寛治7年に始まったとされる5月5日の神事
賀茂競馬(かもくらべうま)は毎年5月5日に上賀茂神社で行われ、五穀豊穣を願って奉納されます。始まりは寛治7年、西暦でいう1093年のことと伝わります。平安時代には宮中の年中行事にも入っていました。応仁の乱のころにいったん途絶えましたが、のちに再び行われるようになりました。
5月1日には足汰式があり、馬の毛並みや速さを確かめたうえで、5日の競馬でどの馬同士を走らせるかを決めます。当日の競馬は午後2時ごろに始まります。京都市の登録無形民俗文化財で、葵祭の前儀にあたる行事です。
葵祭の行列は5月15日に京都御所を出て上賀茂神社へ向かう
賀茂祭(葵祭)は、二つの賀茂の神社が毎年行う例祭です。京都三大祭に数えられ、残る二つは祇園祭と時代祭です。始まりは欽明天皇の時代までさかのぼるそうです。葵祭という呼び名は、参列する人も、社殿の御簾も、牛車も二葉葵で飾られることから広まりました。
日程は5月15日で、天気が悪ければ翌16日に延びます。路頭の儀と呼ばれる行列は午前10時30分ごろに京都御所を出発し、丸太町通と河原町通を進んで下鴨神社に入り、そこから北大路通を通って上賀茂神社へ向かいます。
かつては未婚の皇女が斎王として神に仕えていました。現代の行列では斎王に代わる「斎王代」が加わり、十二単姿で腰輿(およよ)に乗って進みます。
家族で鴨川沿いを走る日は出町柳で支度し、ヘルメットをかぶって上賀茂神社へ
出町柳駅前でレンタサイクルと食事の支度を済ませ、鴨川デルタの飛び石で子どもを遊ばせてから、北の上賀茂神社へ向かいます。走るときは歩く人を優先して速度を落とし、子どもにはヘルメットをかぶせてください。








