紀の川サイクリングロードの60kmは計画延長、河川敷と橋本市の見どころ

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紀の川に沿って走るサイクリングロードは、和歌山下津港から橋本市までの約60kmを結ぶ和歌山県の計画の道で、名前は一般県道「紀の川自転車道線」です。河川敷を使い、できる限り専用道路でつなぐのが県の方針です。一部は自転車歩行者専用道路になっています。

この道の片端にあたる橋本市は、1587年に高野山の僧である応其が開いたとされる町です。高野山へ続く参詣道のいくつかがここから出発し、奈良と大阪をつなぐ主な交易路の中継点でもありました。橋本駅にはJR和歌山線と南海高野線が乗り入れています。

目次

約60kmは和歌山下津港から橋本市までの計画上の総延長

総延長約60kmのうち、和歌山市域は約15kmで、河川敷を通すことが基本とされています。どちらも計画段階の数字です。

和歌山県の2026年の概要にも、専用道路化を進めていると書かれています。

一般県道は国の指定を受けていない都道府県道

紀の川自転車道線は名前こそ自転車向けですが、道路の種別は一般県道です。都道府県道は、地方の幹線道路網をつくる道路として、都道府県が道路法第7条に沿って認定します。このうち整備を特に後押しするために国土交通省が同法第56条で指定した道路が主要地方道で、指定のない道路が一般県道と呼ばれます。

自転車道と自転車歩行者専用道路は道路法上の扱いが別

道路法でいう自転車道は、縁石線やさくで仕切られた車道の一部です。これに対して自転車歩行者専用道路は、それ自体が自転車と歩行者のための独立した道路で、車道や歩道と並ぶ区分には入りません。土手の上を通るサイクリングロードがその例です。

紀の川緊急用河川敷道路はサイクリングとは別の目的の道

紀の川の河川敷には、国土交通省の「紀の川緊急用河川敷道路」も通っています。地震のときに物資を運ぶための道路で、総延長は17.4kmです。2013年頃の時点では、このうち約1.1kmが連続して通行できない区間でした。

和歌山県の案内は初心者向きで、コース例は約22kmから全長124.2kmまで

和歌山県は、紀の川沿いを初心者でも安心して走れる場所として案内しています。県が理由に挙げているのは、平坦なこと、交通量が少ないこと、一部が自転車歩行者専用道路であることです。

実際に組まれたコースの距離には、かなり幅があります。

コース発着距離備考
古墳めぐりコース貴志駅前から岩出駅前まで約22kmおおむね平坦
2025年のイベントコース橋本市の和歌山県伊都振興局駐車場に集合約30km粉河駅と橋本駅の間はJR和歌山線のサイクルトレインを利用
長距離ルート奈良県吉野から和歌山港まで全長124.2km紀の川に沿って下る

奈良県吉野から走り出す長距離ルートは、県の計画にある約60kmの2倍ほどになります。

橋本市は紀の川が山あいから平野部へ出ていく入口

橋本市付近で紀の川は山あいを抜け、平野部へ入ります。紀の川の流域は84.3%にあたる1,475平方キロメートルが山地で、平地と呼べるのは、河岸段丘と紀伊平野が広がる橋本市付近より下流だけです。

河岸段丘は川が河床を掘り下げて残した階段状の地形

河岸段丘とは、川沿いに階段のように並ぶ地形のことで、河成段丘という別名もあります。川が河床を深く削ると、もとの河床や氾濫原は高い場所に置き去りになり、平らな面として残ります。段丘面が昔の河床面にあたるのはこのためです。

掘り下げのきっかけは、気候変化、地殻変動、火山活動などです。こうした変化で流量や土砂の量、河床の勾配が変わると川は下へ削り始め、それを何度か繰り返すと段が増えます。

紀の川は幹川流路延長136kmの一級河川

項目内容
水源奈良県吉野郡川上村の大台ヶ原(標高1,695m)
幹川流路延長136km(全国27位)
流域面積1,750平方キロメートル(全国38位)
流域内の人口約67万人
年間降水量約2,100mm(上流部)、約1,400mm(中下流部)
国土交通省の管理延長68.4km(紀の川62.4km、貴志川6.0km)

支川で主なものは、高見川、大和丹生川、紀伊丹生川、貴志川などです。管理延長はサイクリングロードの距離とは別の数字です。60km前後という道の長さは、この川の平野部の長さと重なります。

一級河川は河川法第4条に定めのある区分です。国土の保全や国民経済の面で特に重要な水系を政令で指定し、その水系の川を国土交通大臣が指定します。手続きでは社会資本整備審議会に加えて関係する都道府県の知事からも意見を聞き、官報で告示します。

一級河川の管理者は国土交通省ですが、管理事務を都道府県知事が受け持つ区間もあり、これを指定区間と呼びます。指定を受けた川は、利用に許可が必要になるなどの規制がかかります。その代わり、市町村の予算でまかなっていた改修や管理の費用を、国や都道府県が負担するようになります。

列車に自転車を積むならJR和歌山線のサイクルトレインプラス、予約は無料

JR西日本のサイクルトレインプラス(和歌山-五条)は、ネットで事前に予約すると、自転車を解体せずそのまま車内へ持ち込める仕組みです。予約に料金はかかりません。

2025年秋には、難波駅と橋本駅を結ぶ南海電鉄のサイクルトレイン臨時列車と、岩出駅から橋本駅へ向かうJR西日本のサイクルトレインプラスを連携させた企画も実施されました。

さかのぼると、2017年には和歌山と橋本の間で「きのかわサイクルトレイン」という取り組みがありました。こちらは持ち込める日が毎週土曜日だけでした。

和歌山県の2025年の催しではE-Bikeも借りられた

和歌山県が2025年に開いた催し「紀の川エリアのんびりサイクリング2025」も、JR和歌山線のサイクルトレインを組み込んだ内容でした。走る範囲は、岩出市と紀の川市からなる紀の川エリアと、かつらぎ町、九度山町、橋本市からなる高野山麓エリアです。元プロロードレーサーがゲストに招かれ、E-Bikeのレンタルも用意されました。

E-Bikeとは、スポーツ用の自転車に電動アシストユニットを載せた車種の総称で、スポーツ電動アシスト自転車という呼び方もあります。電動アシスト自転車そのものは日本で生まれた乗り物で、世界初の市販車とされるのは1993年発売のヤマハのPASです。E-Bikeの車体は海外で主流だったスポーツタイプをもとにしていて、アシストもスポーツ走行向きの性質を持つとされています。電動アシスト自転車の大半は、法律上は普通自転車に入るので、扱いは自転車と同じです。

自転車を借りる場所は粉河駅前、岩出駅前、貴志駅前など

レンタサイクルスポットがあるのは、和歌山電鐵貴志川線の貴志駅前、JR和歌山線の岩出駅前と粉河駅前などです。

和歌山県は2023年9月に「kinokawa グルメ サイクリングマップ」を作りました。レンタサイクルの貸出店のほかに、交通アクセスや駐車場、おもてなしスポットの情報、紀の川エリアの見所も載っています。配布場所は那賀振興局地域づくり課、紀の川市役所観光振興課、岩出市役所産業振興課、和歌山県庁観光振興課などで、Googleマップ版もあります。

おもてなしスポットの運営者は紀の川エリア観光サイクリング推進協議会です。対象はカフェ、物販店、農産物直売所などで、令和8年4月には岩出市安上のcafe 4.Labが登録されました。

橋本市の河川敷には6面のグラウンドを備えた向副緑地がある

橋本市向副緑地は、紀の川左岸の河川敷にある橋本市管理の緑地で、広さは約62,000平方メートル(約6.2ヘクタール)です。橋本駅からは歩いて約15分かかります。6面のグラウンドのほかにゲートボール場とテニスコートがあり、車で乗り入れられる広い河原ではバーベキューや水遊びを楽しめます。

利用者の数は、令和元年7月28日の調査で1日あたり105人でした。国土交通省の「川の通信簿」での総合評価は、令和元年度の四つ星から、令和6年度版では三つ星(普通)に下がっています。

川の通信簿は市民と河川管理者が星5段階で採点する取り組み

川の通信簿は、河川空間の使いやすさを市民と河川管理者が一緒に現地で確かめる、国土交通省の取り組みです。参加者は近づきやすさや施設の使い勝手を点検して良い点と悪い点を出し合い、最後に星の数で5段階の総合評価をつけます。星が多いほど高い評価です。

結果は河川整備や日常の維持管理に使われ、点検をきっかけにトイレを設けたり清掃活動を強めたりした場所もあります。本格的に始まったのは平成15年度で、このときの対象は全国108水系230河川669箇所でした。その後、平成18年度と平成21年度にも実施されています。

橋本駅から徒歩約3分の親水空間で高野山へ続く山並みを望める

向副緑地より駅に近い水辺もあります。橋本駅から歩いて約3分の紀の川沿いに親水空間があり、川の流れと、霊峰高野山へ続く山並みが見えます。

親水空間とは、人が川や水辺に近づいて触れ合える場所のことです。親水機能という考え方は1970年に提起され、治水や利水に並ぶ川の役割とみなされるようになりました。全国初の親水公園は、1974年に東京都江戸川区で整備された古河親水公園です。国土交通省の調査は、川に親しむ利用を目的として河川管理者がアクセス路や散策路、親水護岸を設けた区域と、施設がなくても川に親しむ人が日常的にいる区域の2種類に分けています。

橋本周辺の立ち寄り先は世界遺産の黒河道から県下最大の円墳まで

橋本周辺の寄り道先は、古道と鉄橋、古墳、温泉、へら竿の産地までそろっています。

黒河道は橋本市賢堂から高野山へ向かう世界遺産の古道

黒河道は高野参詣道の古道で、世界遺産の「紀伊山地の霊場と参詣道」へ追加登録された道です。橋本市賢堂を出て高野山を目指し、道沿いには茶堂跡が残っています。

この世界遺産は和歌山、奈良、三重の3県にまたがる世界文化遺産で、登録は2004年7月7日、日本の文化遺産としては12番目です。弘法大師空海が開いた真言宗の聖地である高野山と、高野参詣道も構成に含まれます。2016年10月24日には22地点が加わり、世界遺産の地域が広がりました。

紀ノ川橋梁は南海高野線の近代化産業遺産

南海高野線の橋本駅と紀伊清水駅のあいだに架かる鉄橋が紀ノ川橋梁で、高野山参詣関連遺産として近代化産業遺産の認定を受けています。

近代化産業遺産は経済産業省の認定制度です。対象は幕末から第二次世界大戦期までに造られ、日本の産業の近代化を支えた建造物や機械、文書などで、歴史的価値を明らかにして地域活性化に使うことを目的としています。初回の認定は2007年11月でした。

丸山古墳は直径約45mで和歌山県下最大の円墳

丸山古墳は橋本駅の北にある丸山公園の中にあり、直径は約45mで、円墳としては県下で最も大きいものです。

円墳とは、墳丘が丸い形の古墳を指します。数は全国の古墳でいちばん多く、造られた時期は古墳時代の初めから終わりごろまでにわたります。全国で最も大きいとされるのは奈良県の富雄丸山古墳で、直径109mです。

天然温泉ゆの里と隠れ谷池

天然温泉「ゆの里」は、高野山麓の水を使った温泉です。隠れ谷池は、紀州へら竿の産地として知られる場所です。

走行時の注意点は歩行者優先と徐行、「歩行者専用」では押して歩く

自転車歩行者専用道路を走るときは、歩行者が優先で、自転車には徐行の義務があります。

通行できるものは標識で決まります。自転車に限るのが「自転車専用」、自転車に加えて歩行者も通れるのが「普通自転車等及び歩行者等専用」で、どちらも自動車は入れません。「歩行者専用」の標識が出ている道を通るときは、自転車を押して歩く必要があります。

橋本市は駅から徒歩約3分で紀の川に出られ、自転車ごと列車でも入れる

橋本市は紀の川が平野部へ出る入口にあたり、橋本駅から歩いて約3分で川沿いに出られます。JR和歌山線のサイクルトレインプラスなら、事前のネット予約で自転車を解体せずに持ち込めます。

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