酒匂川のサイクリングコースは平坦で初心者向き!大口広場まで約9km

当ページのリンクには広告が含まれています。

このページにはAI画像を使用しています。

酒匂川のサイクリングコースは、富士道橋付近から川をさかのぼり、南足柄市の大口広場までを結ぶ約9kmの堤防道です。出発点とゴールの高低差は70メートルほどで、サイクリングロードの路面はどこもアスファルトで舗装されているので、初心者でも走り切りやすいコースです。神奈川県もこの区間を、平坦な道が続いて初心者でも安心して走れるサイクリングコースとして案内しています。

ゴールの大口広場では、休憩しながら酒匂川の治水の歴史に触れられます。

目次

走るのは酒匂川の西側の堤防で、上流へゆるやかに上る

コースは、神奈川県西部を流れる酒匂川の西側の堤防上を通ります。上流へ向かうにつれて、少しずつ高度が上がっていく道です。初心者が気を配りたいのは、スタート付近の歩道区間と、道幅が狭くなる区間です。

スタート付近の一部は車道脇の歩道を通る

富士道橋のあたりから走り出すと、一部の区間は堤防上ではなく、車道の脇の歩道を通る設定になっています。

スタート地点から大口広場へ向かうときは、舗装されたサイクリングロードとは別に、砂利道を通る道もあります。

道幅が狭くなる区間には車への注意書きがある

松田町が作った散策マップには、「道幅が狭くなります 車にご注意!」という表示が載っています。

通行止めや工事の状況は、出かける前に、神奈川県や南足柄市などが出している公式の情報で確かめておくと安心です。

大口広場は足柄平野の扇頂にあたる上流側のゴール

大口広場は、南足柄市にある酒匂川沿いの広場で、サイクリングコースの上流側の終わりの近くにあります。地形でいえば、ここは酒匂川が山あいを抜けて平野へ出てくる場所です。

足柄平野は長さ約12km、幅約4kmの扇状地の平野

足柄平野は、神奈川県南西部、相模湾の北西岸に広がる臨海平野です。長さは約12km、幅は約4kmで、西を箱根火山、北を足柄山地、東を大磯丘陵に囲まれています。

平野の大部分は、酒匂川が運んだ土砂でできた扇状地と沖積平野です。上流から下流まで扇状地が覆う「扇状地性の平野」で、扇の要にあたる扇頂は南足柄市の大口付近にあります。

文命堤の案内板は川をZ型の流れに変えた工事を説明

広場には、箱根ジオパークが設けた「文命堤」の案内板があります。洪水をくり返した酒匂川のまっすぐな流れを、Z型の流れへ変えた工事のことが書かれています。

同じ広場には、「大口土手」を描いた絵図も掲げられています。

大口広場の先は貝沢川を経て南足柄方面へ

大口広場からは、貝沢川を通って南足柄方面へ向かえます。十文字橋をスタートし、大口広場(文命堤)と貝沢川を経て南足柄まで走ったトレイルランの記録では、距離は約10.6kmでした。

小田急線の新松田駅から足柄駅までの各駅がコースに近い

小田急線を使う場合、新松田駅から足柄駅までの各駅は、どれもサイクリングロードに比較的近い位置にあります。たとえば新松田駅からは、約1km離れた十文字橋を渡るとコースに入れます。

起点の富士道橋は、小田急線の富水駅から程近いところです。開成町の側から入るなら、開成駅前から酒匂川沿いのコースへ出て、そのまま川上へ向かう道順もあります。

沿道の寄り道先は開成町と松田町に集まっている

コース沿いで立ち寄りやすいのは、開成町の公園や展示施設、水田のあじさい、そして松田町から望む富士山です。

開成水辺スポーツ公園は関東で最初にパークゴルフのコースができた場所

開成水辺スポーツ公園は、酒匂川のほとり、足柄平野の真ん中にある公園です。パークゴルフをはじめ、いろいろなスポーツができます。関東で初めてパークゴルフ場がつくられたのもこの公園で、晴れた日には富士山も見えます。

パークゴルフは、ほとんどのコースにレンタルのクラブとボールがそろっているので、手ぶらで始められます。

酒匂川ふれあい館は水防工法の実物大模型を屋外に置いている

酒匂川ふれあい館は、開成町にある施設です。館内では、酒匂川の概要や歴史をパネルで紹介しています。川の案内や水防工法をテーマにしたビデオも見られます。屋外には、昔ながらの河川工法や水防工法を再現した実物大の模型が並んでいます。

あじさいの里は約17.2ヘクタールの水田に約5,000株

開成町では、田んぼの脇にあじさいを植えています。約17.2ヘクタールの水田地帯で、咲くあじさいはおよそ5,000株です。毎年6月には開成町あじさいまつりがあり、2026年の会期は6月6日から同月14日まででした。

神奈川県の散策マップには、開成駅から酒匂川沿いを歩き、「あじさい公園」に寄るおよそ3.8kmの散策コースが載っています。あじさいと水田が一緒に見られる景色と、酒匂川での鮎釣りの様子が、このコースの見どころです。

治水碑はサイクリングコース沿いに立つ石碑

コース沿いには、治水碑と呼ばれる石碑も立っています。由来は現地の看板に書かれています。

富士山を眺めるなら松田町の西平畑公園

「関東の富士見百景」には、松田町の西平畑公園から望む富士山が選ばれました。町が作ったマップを見ると、富士山を眺めるためのベンチや、富士山が見える小径も描かれています。開成町も、足柄の山並みの向こうに富士山が頭を出す、平らな土地です。

関東の富士見百景は、国土交通省関東地方整備局の事業で、128景を選んだのは2005年(平成17年)です。

文命堤の背景には宝永大噴火と大口堤の決壊がある

大口広場の案内板が伝えるZ型の流れの工事は、1707年の富士山宝永大噴火から始まった水害と、田中丘隅による堤防の再建を背景にしています。

1707年の宝永大噴火で酒匂川の上流が火山灰に覆われた

宝永大噴火は、1707年12月に富士山で起きた大きな噴火です。噴火は16日間続き、約17億立方メートルもの火山灰などが積もりました。火山灰は上空の季節風に乗って東へ流れ、遠く江戸まで届いています。

旧相模国の中で、いちばん大きな被害を受けたのが酒匂川とその流域の足柄平野でした。酒匂川の上流域と中流域は厚い火山灰に覆われ、その後も大規模な土砂の氾濫がくり返されました。

なぜ氾濫が長引いたのか。国土交通省は土石流を、大雨をきっかけに、谷や斜面に積もっていた土砂が雨水とともにまとめて押し流される災害だと説明しています。流れの急な川や扇状地で起きやすい災害です。斜面に火山灰が積もると、雨水が地面にしみ込みにくくなり、表面を流れる水が増えます。その結果、以前なら土石流にならなかった程度の雨でも土石流が起き、それが長い期間続くようになります。

学会で発表された研究は、噴火で出た軽石状の噴出物である宝永スコリアがもとになった土石流の堆積物を調べ、噴火後およそ150年にわたって酒匂川の氾濫を引き起こしたと分析しました。堆積物の層を年代ごとに見ると、1708年、1711年、1734年、1857年に起きた氾濫と一つずつ対応していることも、その研究で報告されました。

噴火の翌年に大口堤が切れ、6つの村が丘陵地へ移った

噴火の翌年には豪雨で大きな土石流が起き、大口堤が決壊しました。火山灰の混じった濁流は、足柄平野を埋め尽くしたと伝わります。

堤防が切れたあと、酒匂川は流れを変え、足柄平野の真ん中を流れるようになりました。そのため、周辺の6つの村の住民は丘陵地へ移り住むことになりました。

田中丘隅が1725年頃から堤防の再建に取りかかった

堤防の再建を率いたのは、川崎宿の名主だった田中丘隅(たなか きゅうぐ)です。幕府の役人として足柄に入り、堤防の工事を始めたのが1725年(享保10年)頃のことです。翌1726年には相模国の酒匂川を補修し、このとき文命堤を築いたと伝わります。

丘隅は改修箇所に合わせて、自分で考え出したといわれる「弁慶枠」という水制を、堤防の全面に置いて破堤を防ごうとしました。

丘隅は1662年生まれの江戸時代中期の民政家で、代官も務めました。武蔵国の出身で、川崎宿の本陣を務める田中兵庫の養子になり、名主と問屋役を兼ねて川崎宿を立て直し、にぎわいを取り戻しています。

治水の仕事は、酒匂川だけではありません。1723年には幕府から治水の御用を任され、荒川と多摩川の治水に加えて二ヶ領用水の改修にもあたりました。1729年、支配勘定格の代官となって武蔵国で多摩郡と埼玉郡にまたがる3万石を預かりましたが、在任わずか5か月ほどで世を去っています。

神奈川県は新十文字橋から新大口橋までの約3kmで護岸を整備中

酒匂川の治水は、今も続いています。新十文字橋と新大口橋のあいだ、約3kmの区間では、神奈川県が護岸の整備などを進めて治水安全度を高めようとしています。

酒匂川は静岡県の富士山東麓から相模湾へ注ぐ川

酒匂川の水源は、静岡県側の富士山東麓です。上流部では鮎沢川と呼ばれ、県境を越えたところで酒匂川に名前が変わります。そこから神奈川県内を流れ、相模湾に注ぎます。

流域は静岡県と神奈川県の市町にまたがり、河内川、川音川、狩川などの支川が合流します。近年の神奈川県の数字では、幹川流路延長は約42kmです。

流域面積は約582平方キロメートルで、このうち約388平方キロメートルが神奈川県内にあります。流域とは、雨や雪がその川に流れ込む範囲のことで、集水区域とも呼ばれます。流域面積は、その範囲の広さを指す言葉で、集水面積ともいいます。

大きな川と比べると、酒匂川の規模がつかみやすくなります。

河川流域面積幹川流路延長
酒匂川約582平方キロメートル約42km
利根川16,840平方キロメートル322km
信濃川11,900平方キロメートル367km(表の中で最長)

文命堤の案内板を設けた箱根ジオパークは2市3町が範囲

大口広場の文命堤の案内板を設けた箱根ジオパークは、箱根火山の周りを対象にしたジオパークです。範囲は小田原市、南足柄市、箱根町、真鶴町、湯河原町の2市3町で、大口広場のある南足柄市は2016年9月に加わりました。

大口広場までの約9kmは初心者でも走りやすい平坦な道

富士道橋付近から大口広場までの約9kmは、高低差が小さく舗装された堤防道で、初心者でも走りやすいコースです。ゴールの大口広場は、宝永大噴火のあとに荒れた酒匂川を、田中丘隅が堤防の再建で抑えようとした歴史を伝える場所です。行き帰りには、開成町の公園やふれあい館、あじさいの里、松田町からの富士山にも寄れます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次